株式会社ノジマ

野島廣司

『人は性格の上に考え方、その考え方の上に行動が表れる』

売り上げ4000億円越え! 株式会社ノジマ野島廣司社長への独占インタビュー
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この度は野島社長の独占インタビュー記事をご覧頂き、
誠にありがとうございます。

このインタビュー記事は

【1部、野島社長についての記事】

【2部、中小企業の現状についての記事】

【3部、若者からの質問についての記事】


という3つの部に分かれています。
どうぞよろしくお願いします。

[話し手紹介]
  野島廣司 


[プロフィール]
1951年(昭和26年)、神奈川県横浜市生まれ。
73年に中央大学商学部を卒業。
有限会社野島電気商会(現在の株式会社ノジマ)に入社。
94年から社長。
経営悪化で社員数2人になっていた家業の電器店を、
社員数 3,251名(2015年3月期末・連結)、
売上高 4,520億円(2016年3月期予想・連結)
の家電流通企業に成長させる。
著書に「失敗のすすめ」(ダイヤモンド社)




[インタビュアー紹介]
  平野哲也 

【プロフィール
株式会社オンリーストーリー代表取締役。
1990年、神奈川県横浜市出身。2013年、早稲田大学政治経済学部卒業。小学生でテニスを始め、在学中は140人規模の体育会系テニスサークルでキャプテンを務める。大学生活後半からはプロの実演販売士として2年間経験を積む。その後起業家支援の会社でインターンをし、『起業家スーパーカンファレンス2013summer』主催、学生向けインタビューサイト『ReLife』の運営などを経験する。

20代前半で髄膜炎、腹膜炎、肺気胸を経験。それらが転機となり、就活を一切せずに経営の道を志す。現在は『中小企業の広報プラットフォーム ~ONLY STORY~』
(http://onlystory.co.jp)を運営している。横浜ビジネスグランプリやかわさき起業家オーディション等多数コンテストでの受賞実績あり。

1部:野島社長の経営者としての道のり


平野:この度はご多用な中インタビューの機会を頂き、誠にありがとうございます。 よろしくお願いします。

野島:よろしくお願いします。

平野:さて早速ですが、まず初めに野島社長が経営者になられた経緯について教えて下さい。

野島:はい。もともと、私の父親が電気屋を経営していたんです。しかし商売がなかなかうまくいかず、借金を抱えて赤字続きでした。その結果、それまで二人三脚で頑張ってきた母親との関係まで悪くなってしまっていました。そして私が昭和48年に学校を卒業したときには、会社にいるのは母親と従業員2人とパートタイムで働く人1人、という有様でした。

そのような状況だったので、当然のことながら私には会社を継ぐ気は全くありませんでした。でも、9歳離れた弟を大学に行かせなければならなかったんです。だから経営せざるを得ない状況で、逃げ場がなくて、そうして私は経営者になりました。自ら進んで経営者になったというよりは、そうならざるを得なくて経営者になったんです。


平野:そのような経緯があったんですね。それではそのような本当に過酷な状況の中から、一体どのようにして会社を成長させていったのでしょうか。

野島:まず前提として、会社の負債も、家族の未来も、全て自分が背負っていたので、プレッシャーが相当ありました。これは本当に本当に苦しかったですね。

でも私は、この厳しい環境を自分自身が成長するチャンスだと捉えました。そして本当にがむしゃらに頑張り続けました。

そうして逆境の中でもあきらめずに頑張っていると、それが段々と実を結んでいきました。そして結果的に、会社としても、1人の人間としても、飛躍的に成長することができました。

厳しい環境をただ辛いと思うのか、それとも自分の成長する場だと考えるのかは、本当に気の持ちようだと思います。私は今でもこの考え方はすごく大切にしています。社員たちにはいつも「厳しい状況の時にこそ人は成長する。逆にうまくいっている時に人はなかなか成長しない」と伝えています。

平野:そういった考えを持つことは、できそうでなかなかできないことだと思います。 そのような地道な努力があったからこそ、今の御社があるんですね。

2部:中小企業の社長のあるべき姿


平野:さてそれでは次からは、中小企業の経営者の方々についてお話をお伺いしたいと思います。

私たちは日々の活動の中で、中小企業の社長のお話をお聞きする機会がたくさんあるのですが、その中で『会社を大きくしていきたいと思っているが、なかなか売り上げが伸びずに悩んでいる』というお話をよく耳にします。抽象的な質問で恐縮ですが、こういった問題に直面している経営者の方々に対して、アドバイスを頂けますと幸いです。

野島:そうですね。まず前提として、中小企業が売り上げを伸ばすために最も大切なことは『経営者自身がとにかく働くこと』です。特に、会社が小さなうちは社長が他人の『何倍も』働く、トップに立つ人はそれくらいでないといけないと思いますよ。

実際に私自身、会社の中で『自分が一番働いている』という自覚がありました。それこそ昔は、会社の利益の実に6割を自分1人で稼いでいましたね。しかもそれは人事も経理も総務も、全てを自分1人でこなしたうえで、その数字を出していたんです。

するとやはり社員はそんな社長の背中を見ているので、段々と頼られるようになりますし、社員も頑張るようになります。そうして自然と会社全体としての売り上げも伸びていきましたね。

もちろん、チームで働いているので、頼るべきところは仲間に頼るということも必要です。ただ、『頼る』ということを言い訳にして社長がさぼっていては、誰も社員はついてきてくれません。

全員で経営しているという意識を常に持ちながらも、まず何より自分自身が一番働く。これが会社の売り上げを伸ばしていく上で何より大切です。これは意外と忘れられやすいことなので、中小企業を経営してる方全員に、再度意識し直してほしいことですね。


平野:なるほど、勉強になります。これは自分も改めて肝に銘じます。さて、今は売り上げについてお伺いしましたが、続いて採用についてもお伺いしたいと思います。やはり、中小企業にはなかなか人が集まってこないという現状があります。この点について、中小企業の社長に向けてご意見・アドバイスを頂ければと思います。

野島: 私は、そもそも採用ができないということは、会社に魅力がないこと、自分に経営者としての資質がないことと同じだと思っています。だから私たちは、就職者たちにとって魅力ある会社にしていくために、『まず自分たち自身が何をすべきか』を常に考えてきました。まず前提として、この考え方がないと何でも環境や就職者のせいにしてしまうことになるので、良くないかと思います。

前提にその考えを置いたうえで、具体的な手法として、私は大学生のアルバイトを雇うのが良いと思います。まず実際にアルバイトとして大学生を雇い、その中から私たちの会社に合うと思った人を正式に採用するという形です。まず実際に働いてもらって、自分の会社のことを知ってもらうことが、採用の大きな1歩になると思います。

そうした努力が実を結んで、ある年には20名の採用枠に約150名もの人が集まるようになりました。その時は素直に嬉しかったですね。その傾向が今でも続いていて、今では年間で2万2千人以上の方からエントリーしていただけるようになりました。


平野:なるほど。アルバイトを通して価値観のすり合せをしっかりと行ったうえで新卒採用に結びつけていったんですね。

さて次に、教育面についてなのですが、現代では、3年以内に新入社員の30%が辞めてしまうと言われています。そしてそのような時代背景も後押しし、多くの中小企業が教育で困っているという現状があります。御社ではどのように社員教育をしているのでしょうか?

野島:弊社では『考え方』を重視した教育をしています。具体的には、“自分から主体的に行動してもらうためにはどうしたらいいか”を重視した、OJTなどの研修プログラムを実施しています。

これは私の考え方なのですが、『人は性格の上に考え方、その考え方の上に行動が表れる』と思っています。お客様から見えるのは、最後に表れる行動の部分のみですが、行動はその下の性格や考え方によって生み出されるものなのです。

その中で、弊社が何より大切にしているのは、この考え方の部分です。人の性格は簡単には変えられませんが、考え方は変えることができます。適切な考え方が、最終的にお客様の目の前に行動となって表れるのです。

3部:現代の若者に対して


平野:ありがとうございます。さて、ここまで野島社長の経歴と、中小企業の経営者の方向けのお話をお伺いしてきましたが、最後にONLY STORYのメイン読者である20代の若者についてお伺いさせて頂きます。

まず初めに、抽象的な質問になってしまい大変恐縮ですが、野島社長は、今の20代“ゆとり世代”や“さとり世代”と言われる世代の若者について、ずばりどのような印象をお持ちですか?

野島:そうですね、昔の子のほうがやんちゃで、今の子のほうが良い子という印象があります。本当に今の子は考え方もしっかりしていますし、勉強もしっかりしている印象がありますね。

ただここで1つ注意して頂きたいのが、良い子というのは、逆の見方をすれば実は『甘さ』にもつながりやすいんです。今の子は、人に対しても自分に対しても、少し甘い子が多いのではないかなと思います。少しきつい言い方になってしまいますが、『ただの良い子のままでは人生生きていけないよ』と若者には伝えたいですね。


平野:貴重なご意見を頂きありがとうございます。それでは次に、二元論的な質問になってしまい恐縮ですが、学生時代の過ごし方について、学生時代は遊ぶべきだと思いますか?それとも将来に向けて勉強や仕事をしておくべきだと思いますか?

野島: 私は、大学生活の過ごし方の選択そのものに善悪や優劣はないと思っています。それよりも本質的なのは、勉強でも仕事でも遊びでもなんでもいいので、全力で、かつ色々な経験をして『成長すること』だと思っています。

ただここで例えば仕事といっても、スーパーのレジ打ち等の単純作業は良くないと思います。頭を使わずに、ただ言われた作業をこなしているだけでは成長しなくなるからです。ちなみに私たちの会社の宣伝のようになってしまい恐縮ですが、弊社のアルバイトは、作業というよりコンサルティングです。コミュニケーション能力を磨き、自分で選択する能力を身につけ、どうしたらお客様がより良くなるかを常に考えながら働けるアルバイトなので、学生にもとてもオススメですよ。

平野:ありがとうございます。次の質問なのですが、やはり学生にとっての一大イベントとして、『就活』が挙げられるかと思います。そのような中で、大学生、特に就職を控えた学生で、自分が何をしたいのか、もしくは何をしたいのかをどうやったらみつけたらいいのかがわからず悩んでいる若者が多くいます。そういった若者たちに対して、アドバイスを頂けないでしょうか。

野島:そうですね、業界や業種にこだわらずに、自分が自由に働くことができ、活躍できる会社を選んでほしいと思います。『自分がこの会社に入ったら本当に成長できるのか』という点を徹底的に考え抜いて企業選びをしていってほしいです。これは大企業でも中小企業でも同じですね。

そういった意味では、学生時代から色々な会社を見ておくことはすごく良いことだと思いますよ。


平野:では、最後の質問になります。私達ONLYSTORYは、日本の中小企業1社1社に学生がインタビューに行き、記事をつくってホームページとFacebookで若者に向けて情報発信しています。私事で大変恐縮ですが、ONLY STORYの活動について、本人の前で言いにくいかと思いますが、率直なご意見を頂ければと思います。

野島:そうですね、やはり中小企業と一口にいっても、色々な会社があります。その中で、どの中小企業を支援するべきかについては、やはりしっかりと厳選する必要があるのではないでしょうか。そのために具体的には、厳選した中小企業経営者を集めた小さなコミュニティを作ってみてもいいかもしれません。そうして中小企業の社長の方々を集めて交流会などを開催してネットワークを構築するのも面白いと思いますよ。

平野:具体的なアドバイスまで頂き、ありがとうございます。頂いたアドバイスをもとに、さらに精進していきます。

さて、以上でインタビューは終了となります。本日は貴重な学びの機会を頂き、本当にありがとうございました。個人的にもとても勉強になりました。心よりお礼申し上げます。

野島:こちらこそ、ありがとうございました。
ONLY STORYのこと応援しているので、これからも頑張って下さい。

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