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2016/7/14
特集記事

株式会社 PR TIMES・山口拓也

プレスリリースは、頻度を重視すべきか、質を重視すべきか

中小・ベンチャーのPR戦略について、PR TIMESに聞く

【話し手紹介】



第一章『株式会社PR TIMESについて』
山口 拓己

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(株)PR TIMES代表取締役社長。1974年愛知県生まれ。生年月日: 1974年 出身: 愛知県 出身校: 東京理科大学 東京理科大学卒業後、山一証券、コンサルティングファームを経て2006年に株式会社ベクトルに入社し、取締役に就任。
2007年、株式会社PR TIMESPR TIMESを立ち上げ、2009年に代表取締役社長に就任。プレスリリース配信サービス「PR TIMESPR TIMES」をはじめ、デジタル領域におけるPRを幅広く提供している。
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第二章『ベンチャー・中小企業のPR戦略について』
江口 学
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マーケティング本部 アカウントプランナー。1981年佐賀県生まれ。生年月日: 1981年 出身:佐賀県 出身校:千葉大学  千葉大学卒業後、リクルートHRマーケティング(現リクルートジョブズ)を経て2014年株式会社PR TIMESに入社。
マーケティング本部にて、デジタル領域におけるPRサービスを提供しクライアントの商品・サービスを広めることに尽力。ベンチャーキャピタルとのアライアンスを通じて、スタートアップ情報の流通拡大にも力を入れている。
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【インタビュアー紹介】
平野哲也
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(株)オンリーストーリー代表取締役。1990年横浜生まれ。2013年早稲田政経卒業。20代前半で髄膜炎、腹膜炎、肺気胸を経験。それらが転機となり、就活せず2014年に起業。『中小企業のプラットフォーム~ ONLY STORY~』を運営しており、掲載企業数は500社を超える。様々なビジネスコンテストでの受賞、市や県からの表彰実績あり。
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第一章『株式会社PR TIMESについて』


平野:この記事は二章構成となっております。第一章では、株式会社 PR TIMESについて、過去・現在・未来の時系列に沿って、代表取締役の山口社長にお話をお伺いさせて頂きます。どうぞよろしくお願いします。

山口:よろしくお願いします。


【過去】~乗り越えた失敗~

平野:それでは早速ではありますが、まず過去のお話についてお伺いさせて頂ければと思います。始めに会社設立とPR TIMESの事業開始に至るまでの経緯についてお伺いさせてください。

山口:元々の会社設立と、今のPR TIMESの事業開始とで、実は時期が少しずれています。まず会社設立は2005年12月です。弊社は株式会社ベクトルという会社が親会社なのですが、従来のPR会社ではなく、ネットに強いPR会社を目指そうということで、当時キジネタコムという会社を作りました。PR TIMESはその時のキジネタコムという会社が前身の会社です。

次にPR TIMESという事業の開始は2007年の4月です。当時、プレスリリースは国内外から本当に評判が悪くて、特にPRやメディアの業界人からも「リリースは終わった」と言われていました。

そこで、もう一回企業の情報発信を見直すという視点で、キジネタコムからPR TIMESに事業を転換して、PR TIMESを2007年4月に始めたというところが、事業開始の経緯ですね。

平野:そのような経緯で始められたPR TIMESも、今では13,000社以上の企業が利用するサービス(2016年6月時点)に成長しています。サービスリリースから現在までの期間に事業をどのように発展させていったのか、教えてください。

山口:まずサービスをリリースしてからしばらくは、とにかく『軌道に乗せる』までの期間でした。時期で言うと2007年から2008年くらいの時期です。チームの状態で言うと、2007年は本当に社員がいなくて、一時期はアルバイト1人というような状態でした。

その時は売るということよりも、とにかくサービスとして成立させるというところを重視したフェーズでした。具体的に説明すると、始めに2007年1月にサービスを作ったのですが、その時には『将来的にはこれくらいの価値を出して、これくらいの料金にしよう』という利用価値と料金設定まで既に決まっていました。ただ、リリースしたばかりの段階のサービスが、いきなりその理想の利用価値をつくりだせるわけはありません。

そこで私には2つの選択肢がありました。1つ目は、現在のサービスの利用価値に合わせて、現在の料金を値下げすること。2つ目は、未来のサービスの利用価値に現在の料金を合わせて、そこに追いつかせることです。

そこで私が選んだのは後者でした。料金を下げて現状の利用価値に価格を合わせてしまうと、どんどん価格も価値も落ちて縮小してしまうと考えたからです。そのため料金設定は目指すところに設定して、利用価値をそれに追いつかせ、追い越すために活動し続けたのが、最初のフェーズです。

平野:後者の方針をとられたということは、料金に利用価値が追い付くまでの間、かなり収益化が難しかったのではないでしょうか。

山口:はい、そうですね。その期間は本当に耐えしのぐための期間でした。その上、料金設定も実は一個だけ失敗しているんです。当時フリーミアムという概念がすごく流行っていたんですね。私たちもフリーミアムがいけると思い、今の有料の料金設定は変えずに、無料プランというのを作りまして。利用企業を増やしながらセルアップしていこうと考えていたのですが、それが大失敗でした。

平野:どのような点が大失敗だったのでしょうか。

山口:無料だからということで使う企業だと、最終的にあまり価値のないニュースを出してしまうケースが多かったんです。私たちが、クライアント(企業)がファーストと思ってしまったことが間違いだったのですね。

PRや広告業界の多くの会社がクライアントファーストという考えで、それ自体は間違ってはいないのですが、私たちのビジネスモデルの場合は『生活者がファースト』だったんです。

その人たちが満足するニュースをPR TIMESから発信するようにするためには、有償でも、価値あるニュースを出してくれるお客様が必要でした。無料だから何でも流せばいいというお客様を増やしても、事業の価値が高まらないんです。半年くらいですぐにだめだと思い、無料プランをやめました。

今までは自分たちもビジネスモデルの価値そのものが分かっていなかったのですが、この経験を通してその価値を理解しました。そうして料金にサービスの価値が追いつくまでの期間が2008年くらいまでです。

サービスの価値がようやく料金設定よりも高まったと感じた段階で、営業を始めました。メディアとの関係性を増やしながら、一方で利用企業をバランスよく増やしていった形です。そうして何度も試行錯誤を繰り返しながら、なんとか今に至るという形ですね。
【現在】~価値あるニュースが生まれるコミュニティ~
平野:では次に現在の御社の事業についてお伺いさせて頂ければと思います。PR TIMESは、現在約13,000社が利用し、月間のプレスリリース配信本数は6000本(2016年6月時点)を超えています。ここまで選ばれている一番の要因はなんだとお考えですか?

山口:色々な要素があるかと思いますが、選ばれている一番大きな理由としては、『価値あるニュースを出してくれる企業様がたくさんいること』だと思っています。

価値あるニュースを出す企業がたくさん集まるおかげで、さらにまた参加する企業が有益なニュースを出してくれるという、良いサイクルが生まれているのです。

平野:そのように価値のある有益な情報を出す企業が多く集まるよう、御社で何か特別なアプローチを行っているのですか。

山口:ここについては、たぶん解決策やコツがあるとすっきりして皆が理解できると思うのですが、実際は一言でいってしまうと『コミュニティ』なんだと思います。

たとえば静かで快適な空間を売りにしている飲食店があったとすると、そこでうるさくする人ってあまりいないですよね。それは店員が頑張って静かにさせているというよりも、そういう人だけが集まるコミュニティで、『ここでは皆がお互いに快適な空間を作って、快適さを楽しみましょう』という文化が自然と出来上がっていることが何より大きいのかなと思っています。

私達の場合にはそれが『価値ある情報を流す』という文化のコミュニティだということです。そのため、社員が色々な施策をうつことよりも、お客様自身が必然的に良質的な記事を作り出せるような、そういうコミュニティや文化づくりに力をいれていることが一番大きな要因だと思っています。


【未来】~有用で面白いニュースを増やしていく~

平野:ありがとうございます。では第一章の最後に、今後の展開についてお伺いさせてください。

山口:先ほど、私たちは生活者ファーストであるというお話をしたと思いますが、その生活者達に届けられている今のニュースが現状としてどうなのかというと、正直いまいちだと思っています。

というのも、現在、生活者がニュースを見て本当に心が躍ったり、元気付けられたり、明日も頑張ろうとなっているかというと、なっていないと思うからです。ですので、私たちがそういった有用で面白いニュースを増やしていきたいと思っています。

また、PR TIMESとしても、利用企業数や記事数は増えてきていますが、それはあくまで私たちの立場から見た場合の話で、社会全体で見たときにPR TIMESがニュースで貢献できているというのはまだまだ少ないと思っていますので、もっと貢献できるように私たちのシェアを増やしていきたいと思っています。

それによって、記事の量の部分でも、質の部分でも社会に対して与える影響を大きくしていきたいと考えております。

平野:圧倒的な実績と価値を誇るPR TIMESが、これまでどのような過程を経てきたのか、そして今後どのように展開していくのか、お話を伺うことができて、自分自身素直に勉強になりました。山口社長、貴重なお話をありがとうございました。

山口:ありがとうございました。

第二章『ベンチャー・中小企業のPR戦略について』


平野:第二章では、ベンチャー・中小企業のPR戦略について、株式会社 PR TIMESマーケティング本部の江口学様にお話をお伺いさせて頂きたいと思います。江口様よろしくお願いします。

江口:よろしくお願いします。

平野:それではまずはじめに、前提として、そもそもPRとは何かを整理するために、広告とPRの違いについて教えてください。

江口:TV番組とTVCMの違いをイメージして頂くと、イメージがつきやすいかと思います。

まず広告についてですが、広告は企業が枠を買って記事の内容も、配信時期も、自分たちでコントロールできるという特徴があります。また、掲載の決定権が基本的に企業側にあるので、お金を払って出せば、基本的には掲載してもらえます。

ただ、広告として広告表記が入っていたりするので、「あ、なんだ広告か」という読者のセリフをよく聞くことがあるかと思いますが、そのような印象を与えてしまう点も理解すると良いかと思います。また、多くの人に知ってもらおうとすると、莫大な費用がかかってしまいます。テレビCMなどが実際の例ですね。

次にPRについてですが、これは広告としてでなく、記事やTV番組のコンテンツとして拡散されます。掲載の決定権がメディアにあり、メディアに『これは広めたら読者に価値があるな』と感じてもらえれば、無償で記事を掲載してもらえることもあります。

ただ編集権はメディアにあるので、基本的には事前確認も出来ませんし、内容や時期などのコントロールがかなり難しいのが特徴です。ですがメディアに取り上げてもらった時の拡散力は非常に大きく、また基本的には費用がかからないのが大きな特徴です。TV番組で取り上られることなどが実際の例ですね。

またPRは、もちろん今知っている人にも届けることができますし、今知らなくても潜在的にいいなと思っている人に対しても広くコミュニケーションをとれるのも良いところだと思いますね。ニュースとして自然と知っていることだと、その後に紹介や営業をされたときに、「ああそれ知っている。なんかで見たぞ。」と心理的に受け入れやすい状態を作りやすいです。


平野:それでは次に、今の時代に中小企業やベンチャー企業がPR活動をすることの意義についてお伺いできればと思います。

江口:絶対必要条件として、企業が皆PRしなければならないということはないと思います。でも、『自社のことをもっと知ってもらいたい』という気持ちがあるのであれば、PRは一つの非常に有効な手段になると考えております。

そのため、PRする必要があるというよりは、したほうがより自社のことを社会に理解してもらえる機会が増えるので、PRは自社が実現したい環境、未来に近づくための有効な手段という立ち位置になると思います。
【プレスリリースを打っても取り上げてもらえないのですが。。】

平野:PRそのものがそのような有効な手段である一方で、中小・ベンチャー企業経営者の悩みとして、例えばプレスリリースを打ってもなかなかメディアに取り上げてもらえないという問題があると思います。そこで抽象的な質問になってしまい恐縮なのですが、中小企業やベンチャー企業がメディアに取り上げてもらうためには、どのような点に気をつけてPRをしていったら良いのでしょうか?

江口:テクニック的なことより大枠の話をすると、皆が知りたい・関心をもっている、もしくは明示的ではないけど潜在的にはこういうのを知りたいと思っていた、など社会や人々のニーズに答えるようなリリースにしていくことが大事ですね。

具体的には、製品やサービスを作ったという情報だけで終わらせるのではなく、何故作ったのか、何故今なのか等、社会とどう接点を持たせるかということを考えていかなければなりません。それを怠ると、情報を出したとしても沢山の企業の情報が出ているので、記事としてメディアに取り上げてもらうのが難しくなってくると思います。

平野:『社会や人々のニーズにこたえるようなリリースにしていく』という点について、もう少し深くお伺いできればと思うのですが。例えば、私たちの会社が「サイト何万PV達成しました」とか「新しいサービスをリリースしました」等の内容でプレスリリースを打とうと思った時、やはり受け取り手目線から見るとその情報はニーズにこたえるような内容では正直ないケースが多いかと思います。

そのような中で、社会や人々のニーズにこたえるようなプレスリリースにするために、企業は具体的にどのような施策を行っていけば良いのでしょうか。

江口:難しい問題ですが、そこについてはたしかに、「何万PV突破しました」をそのままの文言だけで伝えてしまうと、中々取り上げてもらえないと思います。

その上で、具体的な施策の話をすると、例えば1つの手法として、『なぜ今伸びているのか』というような背景を語ることによって、企業の一方通行のメッセージではなくなるかと思います。

そうした背景は社会現象とマッチしていることが多く、また社会で起きていることというのは、元々皆さんが関心を持ちやすいことだったりするので、そのような見せ方をしてあげると受け取り手目線になるかと思いますね。


【プレスリリースは質重視か頻度重視か】
平野:それでは、今プレスリリースの見せ方についてお伺いさせて頂きましたが、次に配信する頻度についてお伺いさせて頂ければと思います。ベンチャー企業や中小企業がPRしていくとなった場合、頻度重視でどんどん数を出していく方が良いのでしょうか。それとも、質重視である程度自信のあるリリースに絞った方がいいのでしょうか。

江口:理想は質も量もなのですが、まずは出せるタイミングの時に失敗を恐れずにどんどん量を出していくことからスタートするのが良いと思いますね。まず一回で大きなブレイクスルーを起こすというのは現実的には厳しいところがあるので、継続的に情報を出していくことがとても大事になっていくと思います。

また、継続的に情報を出すメリットとしては、今メディアが注目していなくても、後から発見されるパターンもあるからです。まずは小さくでも始めていき、知ってもらうための入り口を増やすことが大切だと思いますね。継続的に情報の量をどんどん出していくことが、ベンチャー・中小企業の場合とても大事だと思います。

平野:実際に企業がリリースを出す時期としてはいつが良いのでしょうか。

江口:セオリーでいくと、発信のタイミングはサービスをローンチするその日に、意味を持たせて発信することができたら話題になりやすいと思いますね。

平野:ということは、プレスリリース日から逆算して事業開発に落とし込むというのも有益そうですね。

江口:そうですね。たとえばPR TIMESはPRカレンダーというものを用意していて、そのカレンダーにはその日が何の日かという記念日が書かれているんですね。それを見てもらって、自分たちの会社だったらこの記念日にあわせて何か情報開発をしていこう、と目標タイミングを設定することができるんです。なので、リリース配信を出すことを前提に事業開発のペースをつかんでいくというやり方は、ベンチャー企業等ではよくやられていますね。

平野:ありがとうございます。では最後に、中小企業、ベンチャー企業でこれから広報をしている方々に向けてアドバイスをお願いします。

江口:私からのアドバイスは2点です。1点目は、一気に一本のプレスリリースで話題をつくるというのはなかなか難しいので、継続的な情報発信を行うことから自社を知ってもらう取り組みを始めるべきだということです。そうすることでおのずと良い結果が返ってくると思います。

そして2点目は、読者目線ということです。生活者ファーストで社会が知りたいことに関連付けて、自社の言いたいことをうまく載せていくと、受け入れてもらいやすくなります。中小企業・ベンチャー企業にとって、PRは本当に大切になってくるため、ぜひPRをうまく活用し、事業の発展につなげていってもらえればと思います。

平野:江口様ありがとうございました。

江口:こちらこそ、ありがとうございました。

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