株式会社セラン

佐々木 孝司

バイリンガルお姉さんとの放課後を我が子に!

人生の選択肢を広げる「ロールモデル」と出会える
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株式会社Selan 社長 樋口 亜希氏のONLY STORY


株式会社セラン
~代表取締役 樋口 亜希(ひぐち あき)様~
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1989年生まれ。
北京大学国際関係学部卒業。
2、3歳の時に中国・武漢、10、11歳の時にアメリカ・ボストン、
18歳~23歳まで5年間、中国・北京で過ごす。
リクルートホールディングス、リクルートキャリアを経て、
株式会社Selan代表取締役就任。
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可愛いわが子が将来グローバルな視点を持つことができるよう、幼いうちからできる限り環境を整えてあげたいと考える親が増えている。

実際、幼少期の体験がもたらす影響は大きい。ただ、その環境づくりのためにどのようにすればよいのか。英会話に通わせるにも時間は限られる。自身の仕事の都合もある。先生のレベルもおぼつかない。果たして、本当に英語が上達するのだろうか。

こうした親の不安を見事に解消し、子どものやる気を引き出す新たなビジネスモデルを築いた女性がいる。自身の経験をもとにした「英会話家庭教師」と「お迎え」の融合が、子どもの未来を思い描く親のニーズと見事に適合し、評判をよんでいるのだ。
株式会社Selanの樋口亜希社長にお話をうかがった。

「留学生のお姉さん」と過ごした幼少期


樋口社長は幼いころから高校生まで、留学生の「お姉さん」たちがいる中で育ってきた。父は大学に、母はテレビ局に勤める共働き家庭。激務をこなしながら子育てするために時間は限られている。

その中で、両親が思いついたのは大学の学生寮に求人の張り紙を出すという案だった。「うちの娘2人を迎えに行って、家で面倒を見てくれる人募集!」

それも、あえて留学生を対象にしていた。母は中国出身でもあり、子どもたちにグローバル感覚をもってほしいと考えていたという。

月曜日から金曜日まで、曜日ごとに毎日違う国の「お姉さん」たちがやってきて、姉妹を保育園にお迎えし、家で家事から宿題のフォローまでしてくれた。これが姉妹の異文化交流の始まり。

3歳から18歳まで続いたこの環境が、世界に目を向ける契機となり、自然と語学に興味を持つようになった。この「お姉さん」たちは生活の一部であり、家族だったという。

「今から考えると、この仕組みは皆がハッピーになるものだったと思います。私たちは楽しみながら語学を教えてもらえましたし、世界も広がりました。私や妹が留学するという選択肢を持ったのも、この経験があったからだと思います。両親にとっても、家事やお迎えといった負担が軽減できましたし、お姉さんたちにとっては日本語上達のための近道でした。」


小学生のときに父の仕事の都合でアメリカのボストンに移り住んだのも、大きなターニングポイントだったという。

多民族国家であるアメリカでは、自分が生まれ育った国・アメリカへの誇りはもちろん、それぞれが自身のルーツや文化への誇りを持っていた。それらのアイデンティティーが共存することを知ったのだ。

アメリカという多民族国家の強さと魅力を幼いながらに感じると同時に、中国の血が流れながらも中国にネガティブなイメージを抱いている自分に気づくことになる。

中国を否定することは、自分を半分否定すること。
人と違ってこそ「私」なんだと思うようになったという。

自身のアイデンティティーを確かめるため中国へ


さらに大きな転機は、日本の大学受験でのつまずきだった。当時得意だった英語と世界史ばかりに没頭し、苦手科目が克服できず、結局すべり止めの大学に入学することに。

しかし、「今再チャレンジしなかったら、一生後悔するかもしれない」と、大学を再受験することを決めた。

「せっかく再チャレンジするのであれば、選択肢は、国内に限らなくてもいいのでは」当初予定していた1年の中国留学。中国のアグレッシブさとハングリー精神が大きな魅力に感じ、行って1週間で「この環境に身を置いてみたい」という気持ちになっていた。

「北京大学を受験しよう」

自分のアイデンティティーを確認するために与えられた機会だったのかもしれない。「自分」にもう1度挑戦する決心をした。

退路をたつため、日本の大学を辞めて、中国で猛勉強を始めた。あいさつ程度しかできない中国語で北京大学に挑むのは無謀だったが、無謀なことに挑戦するのは面白かった。1日15時間の猛勉強を9ヶ月間続けたという。

何度もストレス性胃炎で入院しながら、結果見事合格することができた。

それでも、困難は終わらない。9ヶ月勉強した程度の中国語では、授業に全くついていけない。試験前は地獄だった。教科書の内容を1文字もたがえず丸暗記したり、クラスメイトの助けを借りてなんとか乗り切った。

その後、問題なく授業を受けられるようになり、専攻していた外交学の勉強に没頭した。3年時には単位を取り終え、4年生になってからは、自分の寮の部屋にカフェを開いたり、日本のファッションショーを開催したりと様々なことに挑戦して楽しんだという。


それでも、中国で就職しようとはまったく思わなかった。日本で生まれ育った樋口社長にとっては、日本のアイデンティティーのほうがより強かったということだろう。

帰国後リクルートに就職し、仕事をこなす一方で社外イベント運営を手伝ううちに、自身の興味のある分野がはっきりしてきたという。

自分の人生において「グローバル」「教育」「キャリア」の3つが重要なキーワードであることに気づいた。

「何かしたい」という想いは膨らむ一方で、「何がしたいのか」は分からずにいた。モヤモヤしたまま仕事をする訳にはいかないと、退路を断つため仕事を辞めて、自分の進む道を考える時間をもったという。

「自分の心に忠実に生きるのがいちばん幸せなことだと思いますし、それが誰かのためになったら最高だなって。まずは自分のしたいことを見つけようと、様々な人にインタビューを始めました。
“アイデンティティー”をテーマに話を聞いているうち、今の自分に大きな影響を与えているのは、小さい頃に触れ合った「留学生のお姉さん」だということに気づいたんです。“お迎えシスター”は私の原体験がもとになって生まれたサービスなんです。」

20年後、子どもたちに感謝されるサービスを


現在、樋口社長が展開している「お迎えシスター」は、2歳から9歳の子どもをバイリンガルの先生がお迎えに行き、一緒に帰宅したのち英語のレッスンをするというサービス。

お迎えに行くことと英語レッスンのサービスが両立することで、お姉さんが子どものロールモデルとなるのをコンセプトとして掲げている。

お姉さんへの憧れをうまく活用し、モチベーションをあげることができるうえに、年代的にも親とのクッション役にもなる。お迎えシスターは、単に英語のレッスン、もしくは子どものお迎えをするのではなく、憧れの存在ともなる「ロールモデル先生」と子どもをひきあわせる場を提供するサービスなのだ。

サービスを利用した両親から「娘の将来像を見せてもらった」といった声がよせられることもあるという。

「海外経験3年以上であるバイリンガルの女子学生の中からさらに厳選されたお姉さんが先生になるので、発音の矯正などはもちろん、先生自身がどうやって語学を習得したのかという経験とノウハウを共有できるのが強みなんです。

レッスンを通して、子どもに早いうちからロールモデルとの出会いを提供することで、より多くの選択肢を持てるような環境を作っていきたいと考えています。

私自身の経験もあって、このサービスを考えついたとき、子どもたちが将来ご両親に感謝する姿がとてもリアルに想像できました。20年後、子どもたちが喜ぶサービスをつくりたい一心で立ちあげたサービスです。」

子どもが「英語はもういやだ」と感じてしまってはいけない。意欲的に英語を学んでもらうためのモチベーション維持が、英語教育のうえでいちばん難しいところだ。

日本と同じように母国語が英語でない人が海外にもたくさんいるが、多くの人たちは成長する過程で、英語を上手く話せるようになるという。それは、幼少期から「とにかく話す」教育を受けていることに大きく関係する。

そういった環境作りのために「お迎えシスター」を取り入れてもらいたいという。

退路を断ってでも前に進む気持ち


樋口社長の「亜希」という名前は、「アジアの希望になるように」という両親の想いが込められているという。

幼いころからこのミッションをどう遂行できるかと考えていたという樋口社長。現在の夢は、「お迎えシスター」をアジア中の子どもたち体験してもらうことだ。

「アジア中の子どもたちにロールモデルとの出会いのきっかけを作っていきたいと考えています。これは私の人生をかけたミッションかもしれません。

私の経験から、子どもたちには『何かやりたいという気持ち』を大切にしてもらいたいと思っています。

そのためのロールモデルとの出会いでもあります。将来的には英語に限らず、サッカーやかけっこなど新たなジャンルや男性のロールモデルなども検討しています。

子どもと大学生、将来のロールモデルとの出会いということを考えると、様々な展開が可能だと考えています。

また、長期的には、アジアを跨ぐ奨学金制度を作りたいと考えています。日本は、他の先進国と比べてまだまだ奨学金制度が少なく、そのせいで夢を諦めてしまう子どもも多くいます。

私は、子どもが強い思いを持った段階から一生を通して受けられるアジア圏の奨学金を立ちあげたいと考えています。

資金面だけではなく、ネットワークやノウハウなどもサポートできる仕組み作りをしたいですね。そのためにも、幼児向けの、グローバル人材輩出を可能にする学校立ち上げも目指しています。」

自分のアイデンティティーを大切にすること。そのアイデンティティーを人のために生かせるよう、退路を断ってでも進んでいくこと。樋口社長から子どもたちが学ぶことは多い。

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