プラスエンジニアリング株式会社

社長インタビュー記事

次世代ライフスタイルの実現に貢献する金属加工クリエイターの新しい挑戦

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1974年創業のプラスエンジニアリング株式会社は、完全受注生産による精密部品加工・特注部品加工に強みを持つ金属加工会社だ。多品種・少量生産で製作された部品は、最新のスマートフォンや自動車、医療機器をはじめとしてさまざまな世界最先端の日本の製品開発や生産に必要不可欠な存在になっている。今回は、代表取締役社長の鈴木重人氏に話を聞き、オーダーメイドのものづくりで産業界に貢献してきた同社の魅力に迫る。


代表者


代表取締役社長
鈴木重人

昭和56年4月   みずほ銀行(旧富士銀行)入行 
平成13年5月   郡山支店長
平成15年5月   コンプライアンス統括部渉外室長
平成18年2月   東京中央支店長
平成21年3月   プラスエンジニアリング株式会社 代表取締役社長就任

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国内トップメーカーの想いに応え、年間1万種類!


プラスエンジニアリングが手がける仕事は完全受注生産で、量産品の仕事には一切興味を示さない。世界で戦う国内トップメーカーから特殊な依頼のみを受ける、製造業界で異色の『特注品』と呼ばれる超精密な加工が施されたハイエンドカスタム部品に特化した企業だ。

「スマートフォンのようなハイエンド製品の品質を左右する特殊な部品が多く、大きさは最大でもA4サイズくらいまでの小さな部品製造に強みを持つ会社です。大量生産する必要がないものなので、1個から製造が可能です」

写真:多種多様な特注品の数々。それぞれが0.001mm精度で作られている。

会社の強みを話してくれた鈴木氏に、少ロットから可能な受注生産にこだわりを持つことになった背景を尋ねた。

「約10年間は機械部品の商社としてビジネスを展開してきました。しかし、根底にはものづくりをしたいという思いを持つ会社でしたので、1984年から十数年かけて仙台に工場を建てました」

技術力もなく、人材もいないところからのスタート。当初は量産の仕事を受注をしていたこともあったと言う。

「バブル崩壊と共に製造業界でコストダウンが叫ばれるようになり、多くの会社が海外に工場を移転する流れができていきました。そこで、我々は今の完全受注型の少量生産のスタイルに切り替えたんです」


かつて大手メーカーは、生産機械を自社で設計・製造をしていた。しかし、人件費を削るなどの企業努力をせざるを得なくなると、次第にアウトソーシングされることが多くなった。部品製造の大手企業は大量生産を請け負うことができるが、ロット数の少ない受注までカバーする余力はない。そこに勝機を見出したプラスエンジニアリングは、競合他社が手を出したがらない「特注品」の製造に特化する道を選んだ。

これまで1,000社を超える企業との取引実績をつくり、数多くのトップメーカーと年間約1万種類もの部品取引をする会社へと成長を遂げた。

「お客様と一緒につくるものづくり」とは


プラスエンジニアリングの仕事は、技術職・製造職・営業職と3つの職種によって支えられている。
製造現場には、製造の流れを設計・管理する生産技術の役割を担う『技術職』と、図面から部品へとカタチにする役割を担う『製造職』の人材がいる。鈴木氏は「知識や経験は必要ですが、柔軟な発想でものづくりを考え、楽しむ力が重要」と話す。

「製造は分業制で5人から10人程が各工程に分かれ、ひとつの部品をつくります。図面には穴の大きさや歪みの度合いなどの指示がありますが、作業手順は決められていません。仕上げる時間だけを決めて、作業にあたってもらっています」

作業工程は数時間単位で生産計画を立て、非常に高い生産性を達成している。

「金属の切削も、形状や状態を見極めてどこから削るのかを考えます。そうした金属の特性を掴みながら多品種の部品をつくるので、大量生産をする以上に考える量も多いのです」

職人のような技術力はもちろん、工程を円滑に進める思考力が求められることから、製造現場の社員を「職人」ではなく「エンジニア」と呼ぶ。

「手先が器用で、自分で考えながらものを作ることが好きな人が多い印象ですね。『つくる』ということに好奇心が湧くのならば、製造に向いている人だと思います」


では、営業職はどのようなことを大切に業務にあたっているのだろうか。

営業は東京本社と仙台事業所の2拠点に配置されており、一口に「営業」といっても様々な人材が働いている。東京本社の営業は、新規の顧客の開拓や会社の知名度アップを狙う広報活動が主体。発信が得意な人材がSNS運用や大規模展示会への出展企画などを通して顧客とのファーストコンタクトを取っている。

仙台事業所の営業は、既存の取引先から届く個別設計品の要望に対して、製造できる状態にして受注し、実工程へと流れをつくっていく。設計図の数値だけではわかりにくい課題を見つけ出し、加工の知恵を駆使して機械に実装できる部品にするために調整を図る。これらは「前捌き」と呼ばれる作業だ。知識力が必要で、取引先、社内調整などコミュニケーションは多い。

「営業は、お客様との接点を楽しみながら仕事をしたい人に向いている職種ですが、その仕事内容は多様。ここ数年の取り組みでいろんな人材が活躍できる準備が整ってきました。はじめは金属加工に関する知識に自信が持てず、営業が務まるのかと不安になる方もいるかもしれませんが、当社では研修を通した人間関係育成やロケーションの工夫で、製造現場に直接技術的なことを尋ねやすい環境になっています」

ものをつくる上で悩みを抱えて、助けを求める企業は多い。どんなものができるのか不安を取り除く、『前捌き』を丁寧に行うことを徹底している。


「私たちのものづくりの根底には『お客様と一緒につくる』という考えがあります。お客様にとってみれば部品ひとつが特別なものです。最善を尽くしてご提供したいので、一緒にいいものをつくりあげる姿勢で常に挑んでいます」

未来をつくる人材を本気で育てる


営業職や技術職は、必ずしも機械工学の専門家である必要はない。大事なのは、コミュニケーションをやめないということだ。お客様にとって最適なものを常に思考し、提案することを大切にしてきたからこそ、取引先からの信頼も厚い。

プラスエンジニアリングの仕事は、各職種の存在によって形作られていることがよくわかる。必ずしも最初から技術やビジネス経験を求めないと言い切る背景には、異なる職種が共存できるコミュニケーション方法を追求する姿勢に加え、社内における技術・知識の習得支援制度がある。

年間1万種類もの部品製造を可能にする人材の育成方法についても尋ねた。


製造職は、3年で技能検定2級取得を目標として外部講師による講習や円滑に業務を遂行するために役立つOJTを実施している。

技術者向けの就学支援制度として、入社2年目から東北能力開発大学校という技術者養成学校での生産技術養成コースが受講できる。受講料は全額会社が負担し、2年間の受講期間中も同社の給料は減額することなく支払われる手厚いサポートをしている。

「実務経験を通して技術を学ぶこともできるわけですが、日々、製造をしながら基礎から技術を伝えるというのは社内だけでやりきるには限界があると判断しました。技術力のある人材が育つことは会社にとって財産になります。そこを会社としてサポートをしているのです」

入社3年目以降は、厚生労働省が実施する国家技能検定の受験を推奨しており、2級や1級などの合格級に応じて技能給が支給される。

国家検定種目のない社内検定制度もあり、こちらも技能給が支給される。技術力が向上していけば、基本給とは別に最大で11万円の支給を受けられるのは、技術への関心を高める上で社員一人ひとりが技術力を向上させるきっかけになる。

「社内には業界ではレジェンド級とされる『特級』の人材が4人、1級や2級を取得した人は30人程います。つくることが好きであれば、最初は知識がそれほどないとしても次第に力をつけていける環境づくりをしています」


営業担当は、研修期間のうち5か月程度は仙台工場で過ごすと言う。製造現場の社員とコミュニケーションをとりながら、技術的なポイントを少しずつ習得していく。工場にいる期間を有効活用できれば次第に加工の知識は身につき、のちの営業活動にも大いに活きる。

「お客様にとって部品一つひとつが特別なものです。営業も製造現場も、最終的にお客様に喜んでいただけるものをつくるということに変わりはありません。そのために、製造現場と営業の連携は大変重要だと思っているので、営業担当も工場での研修期間を設けています」

入社3年目以内の若手社員が示した新たな可能性



技術や経験は脈々と受け継がれ、さまざまな取り組みに挑戦する若手社員も現れはじめた。そのひとつが研修終了後の本配属から間もない、当時入社3年目(理系出身)の社員が行った取り組みだ。

「自社独自のアイデアで発信を強化したいから知恵を貸してほしい、と伝えてみたところとある若手社員が手を挙げてくれました。彼は学生時代に野球に打ち込んでいた経験から、大学時代や当社の研修で得た知識・技術を活かして野球場の外野フェンスの模型を設計したんです」


模型は1万分の35の縮尺で忠実に再現されており、どの球場であればホームランが出やすいのかが一括して比較できるようになっていると言う。プラスエンジニアリングにとって突飛な取り組みのようだが、若手社員の経験と発想は世の中の注目を浴びることとなった。

模型の完成をSNSなどで発信したところ、緻密なつくりが注目され、地元のテレビ局などマスコミ各社に取り上げられたり、仙台の大型スポーツ用品店で2週間の展示が開催されたりするなどの大きな反響があった。

「こうした若手社員の発想は面白いですよね。私は知恵を貸してほしいと言っただけでしたが、ここまで広がるとはいい意味で驚きました」

今年採用した新入社員(文系出身)には、SNSの投稿を任せている。広告研究会に所属していた在学中の経験と若手としての創造性・行動力が垣間見える。鈴木氏自身も日々驚かされたり関心したりと、社員たちの活動に可能性を感じていると言う。若手社員が仕事に楽しみながら向き合っていることに嬉しさを感じているようだ。一人ひとりの社員がプラスエンジニアリングにとって大切な人材であることも伝わってくる。


「当社の強みや大事にしたいことはぶらすことなく、いい『ゆるさ』を大事にしています。私だけの頭で考えても凝り固まってしまっているので、若手社員の柔軟性や発想力は会社の未来をつくっていく上でも大切にしたいですね。そして、新しく加わってもらう社員と共に、変化の激しい時代に対して柔軟に対応しながらものづくりの世界の未来をつくっていきたい」

時代と暮らしの発展に伴い、数多く寄せられる取引先からの要望に、多角的に捉えて行動できるような多様性に寛容な人材を今後も増やしていきたいと考えている。

次世代ライフスタイルを作るクリエイターとしての挑戦


プラスエンジニアリングの展望について尋ねた。

「まず、培った技術力を活かしてサービスを拡大させ、業界内のステータスを上げていきたいですね。今後はアライアンスを組むことも検討しながら、要望に応えていけるように領域を広げていきたいと思っています」

製造業界はかねてより非常に厳しい業界であると言われてきた。そこには下請け企業の技術者たちの高齢化や後継者不足などが要因とされているからだ。しかし、現在は円安が進んでいる中で日本でものづくりを行い、輸出をしている企業はチャンスでもあると捉えている。

「製造業として厳しい状況もあると思いますが、一方で生産上の機密をうまく守りながら国内生産で世界に誇れる商品を持つ企業は絶好調だったりもする。ビジネスの内容や製造場所によって、状況の良し悪しは二極化している状況なのだと思っています。当社の主要顧客である電子部品メーカーなどは決して悪い状況ではありません。

当社は部品製造を手がけているため完成品としてなかなか世の中の目に触れないものをつくっていますが、決してフィールドは狭くありません」


プラスエンジニアリングのつくる部品は、さまざまな企業が独自性やこだわりを持って製品をつくるにあたり、必要不可欠な部品を提供している。

印象的だった実績のひとつは、おむつの製造に使用される機械の部品を提供したことだったと、鈴木氏は話す。

「おむつには、止着材というテープがついていると思います。しっかりと留めるためには、テープに糊を均等に塗布する必要があり、その糊をつける機械の先端に使われる部品を当社で製造しました。当社の技術が想像していなかった業界で活かされているということに、面白さを感じましたね」

ものづくりの醍醐味は、新しいものを創造する技術開発の一翼になれるということだろう。

プラスエンジニアリングがつくる精密機械加工部品は、一般的に消費者の目に触れる機械は少ないものの、あらゆる分野でつくられる製品の細かなこだわりの中に活かされている。小さな加工部品が、世の中を一変させる。ものづくりの醍醐味を感じられる会社だ。

編集後記


「人々の生活は世の中の企業が支えている。就職活動をしていた頃、幾度となくそう諭されたのを覚えている。ただ一方で、当時その言葉に納得できたことは一度もなかった。実感が湧かなかったのだ。
月日が経ち、社会の一員として働く日々に慣れてきた。今、筆者が“働きがい”を感じる瞬間が2つある。1つは、成長を実感できる瞬間。もう1つは、周囲に対して胸を張れる成果や結果を残せた瞬間だ。大小や他者との比較は必要ない。昨日の自分よりもできることが増えているか。今日、周囲に自慢したくなるような成果を残せたか。ただそれだけでいい。

プラスエンジニアリング株式会社には、そうした瞬間を多く味わえる環境がある。積み上げてきた信頼と実績があるからこそ得られるチャンスがある。

新しい暮らしと時代を作る最先端の現場で未来を作るクリエイターのマインドセットを得られれば、将来のキャリアも大きく、自然と開けていくだろう」

株式会社オンリーストーリー 編集長
山崎 貴大

取材・執筆=草野 明日香
企画・編集=山崎 貴大
撮影=吉田 達史

プラスエンジニアリング株式会社について

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