株式会社ONIBUS
坂尾 篤史
POSTED | 2020.07.03 Fri |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:卸売業・小売業 創立:9〜10年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoC |
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人と人をつなぐ、サステナブルなコーヒーショップ
オフィスに毎月コーヒーを届けるサブスクリプションもTopics
今回のインタビューは、“コーヒーで、人と人をつなぐ”をコンセプトに現在6店舗の「ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)」を展開している株式会社ONIBUSの坂尾氏にお話を伺います。
「美味しいコーヒーをオフィスに届けたい」という想いから、BtoB向けに福利厚生のコーヒーサービスをスタートさせた坂尾氏に、事業を行う上でのこだわりや事業に込める想いを語っていただきました。
株式会社ONIBUS 社長 坂尾 篤史氏のONLY STORY
【経歴】
1983年生まれ。オーストラリアでカフェの魅力に取りつかれ、約一年のバックパックを経て帰国後、バリスタ世界チャンピオンの店でコーヒーの修業。焙煎やバリスタトレーニングの経験を積み、2012年に独立。奥沢に『ONIBUS COFFEE』をオープン。現在は都内に5店舗、ベトナムホーチミンに1店舗を運営。
トレーニングやワークショップなど行いながらアフリカや中米のコーヒー農園に積極的に訪れ、現地との持続的な取引を大切にしながら、素材のトレーサビリティを明確にする活動を積極的に行う。
素材の背景が感じられる美味しいコーヒーを
–まずは、株式会社ONIBUSの事業内容をお聞かせください。
坂尾氏:弊社は現在都内で5店舗、ベトナムホーチミンで1店舗カフェを運営しています。
その他、事業者へのカフェコンサルティングやコーヒー豆の卸売を展開したり、新たなBtoB事業としてオフィスへのコーヒー提案やサブスクリプション契約による福利厚生のコーヒーサービスを行っています。
–事業を運営するにあたって、こだわりはありますか。
坂尾氏:現在、あらゆる分野でトレーサビリティ(素材の背景)やサステナビリティ(持続可能性)が重要視されていますが、弊社もそういったものをなるべく明確にしていきたいと考えており、透明性が高く素材の背景を感じられる美味しいコーヒーをお届けしています。
たとえば、実際にエチオピア、ルワンダ、ホンジュラスといったアフリカや中南米の国のコーヒー農園へ直接コーヒー豆を買い付けに足を運び、持続可能な取引を行うよう心がけています。
また、保育所などを運営しているコーヒー農園には、売上の数%で文房具などを寄付する活動も行っております。
–BtoB向けのコーヒーサービスを始められたきっかけについて教えてください。
坂尾氏:僕の周りで「オフィスで飲むコーヒーが美味しくない」「食が疎かになりがち」といった話を耳にしたことがきっかけですね。
「毎日飲むコーヒーぐらいは透明性のあるよい物をお届けしよう」と思い、オフィスを対象にコーヒーの提供を始めたのが今回のBtoB向けサービスです。
–御社の強みや特徴について教えてください。
坂尾氏:素材のクオリティを大切にしており、常にトップグレードのコーヒーをお客様に提供できるような体制ができていることが強みですね。
たとえば、一般的な個人のコーヒーショップですと農園には大体オーナーさんしか行きませんが、弊社の場合はそれぞれの国ごとに担当者を決め、担当者がコミットしながら高品質なコーヒーの獲得に力を入れています。
また、各店舗ではコーヒーを淹れたあとの「コーヒーかす」を農家さんと一緒に堆肥化して、培養土として店頭で販売しています。このような工夫により、社会貢献やサステナブル(持続可能な)な取組みについて口頭で説明しなくても、お客様に伝わる店舗づくりを行っています。
そのほかにも、海外のトップバリスタやロースターを日本に招いて、業界向けにセミナーやイベントを開催するなど、いろいろな活動をしている点が弊社の特徴ですね。
人とのつながりや出会いによって今がある
–ONIBUSを立ち上げた経緯について教えてください。
坂尾氏:以前バックパッカーとしてオーストラリアに行った際に、そこで出会ったコーヒーが非常に美味しくて、そのコーヒーショップでの体験やコーヒーの美味しさを日本でも伝えたいと思い、帰国後に飲食店に勤めていました。
しかしその後、2011年の東日本大震災をきっかけに「自分で行動を起こすためには、自分の場所があった方が動きやすい」と思い、お店を出すことに決めました。
–トレーサビリティを明確にする活動や、持続的な取引を大切にされているのも、何かきっかけがあったのですか。
坂尾氏:それも震災が大きく影響しています。原発のことがあって、食の透明性や政治の透明性が言われるようになる中で、自分が扱う商品もより透明性を高めていく必要があるのではないかと強く感じたことがきっかけですね。
なるべく原産地に足を運んで生産者に会い、どういった状況なのかを明確にするよう努めています。
–起業後、特に印象に残っていることはありますか。
坂尾氏:バックパッカーのときも、震災のときも、お店を出してからも、自分がやっていることを発信していく過程でいろんな方たちとの出会いや助けがあったことがどれも印象に残っています。
とくに創業当初の頃、初めて取材をしていただいた方とはその後もプライベートでも懇意にしていただく機会があり、その方との出会いがきっかけとなってコーヒーの素材を真剣に考えるようになりました。
弊社の社名であるONIBUSはポルトガル語で「公共バス」という意味なのですが、弊社も人と人をつなぐバスのように、人とのつながりや出会いによって今に至っているだと思います。
ONIBUSの存在で街の価値を高めたい
–今後の目標を教えてください。
坂尾氏:店舗数では、今後3年間で10店舗まで増やすことを目標に掲げています。現在は従業員数が24名ですが、その頃にはアルバイトを含めて60名ぐらいになっていると思います。
また、各国のコーヒー農園で働く方々はまだまだ貧しいのが現状なので、ゆくゆくはサポートできる組織づくりを考えていきたいですね。
–今後のビジョンについても教えてください。
坂尾氏:引き続き、“コーヒーで、人と人をつなぐ”というONIBUSのコンセプトを大切にしていきたいです。
そしてこれからもトレーサビリティ(素材の背景)やサステナビリティ(持続可能性)を大切にしていくことで、お客様がコーヒー以外の暮らしについても考える場を作り、ONIBUSの店舗があることによって街の価値が高まるような活動を行っていきたいと思います。
–ありがとうございます。では最後に、メッセージをお願いします。
坂尾氏:これまで僕たちは店舗での運営がメインでしたが、今後はオフィスをはじめBtoB向けのサービスにも力を入れていきたいと思っています。
オフィスで美味しいコーヒーを飲みたいとお考えの企業様や、会社の近くに弊社がある企業様は、店舗とのサブスクリプション契約もございます。また福利厚生に使っていただくこともできますので、ぜひご検討ください。
執筆=山田
校正=米山