株式会社セールスヴィガー
大西 芳明
POSTED | 2020.05.26 Tue |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:IT・情報通信業 創立:9〜10年 決裁者の年齢:60代 商材:BtoB |
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業界を超えて営業スキル向上を目指す「営業LIVE」
可視化データをもとに営業支援ソリューションを提供Topics
今回のインタビューは、企業へ営業アセスメントおよびソリューションを提供する株式会社セールスヴィガーの大西氏にお話を伺います。営業での企業を選ばれた理由や、営業マンのためのイベント「営業LIVE」、これからの営業の在り方などについて語っていただきました。
株式会社セールスヴィガー 社長 大西 芳明氏のONLY STORY
【経歴】
立命館大学卒後、湯浅商社株式会社(現ユアサ商事株式会社)から株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)に中途入社、多くの企業のマーケティング、採用、育成など様々な企業の経営をサポート。リクルート初のインターネット事業など新規事業の立ち上げを担う。15年在籍。
株式会社リクルートを退社後、パソナ、スタッフサービスなど数社にて役員、関連会社の代表として経営を担う。同時に2005-2007年 東京大学 渉外部 非常勤職員
2007年、楽天株式会社にて取締役 CEO補佐として代表の三木谷浩史氏をサポート、兼務で経営企画室室長、採用育成部部長を歴任後、楽天市場事業やクーポン事業の管掌役員を務める。
2015年、株式会社セールスヴィガー設立 代表取締役 就任
営業に特化した独自のサーベイを実施
–株式会社セールスヴィガーの事業内容からお伺いします。
大西氏:弊社は営業支援事業を運営しています。
具体的には、まずは企業の営業職自体の営業力や営業管理職のマネジメント力、営業TOP層の戦略性や組織風土醸成、採用などの問題点について、営業に特化したさまざまな視点から分析する弊社独自のサーベイ(調査)を実施していきます。
その結果を可視化し、関係者への聞き取りを加味したアセスメント(計算的評価)を顧客に提供するとともに、それぞれの状況や目標に応じた研修、営業戦略構築、採用支援などのソリューションを提供しています。
また、弊社独自の企画として「営業LIVE」という日本初の営業イベントを定期的に開催しています。このイベントは、あらゆる業界の営業に関わる人材が会社の枠を越えて交流することで、営業のスキルや知識、モチベーションの向上を図るものです。
2020年1月の開催で19回目を迎え、多いときには50社近い企業様から200名以上の方々にご参加いただいています。
–「営業LIVE」の効果はどのようなものでしょうか。
大西氏:営業のスキルは、研修やOJTでは習得できない、また伝えられないといった部分もやはり多いため、模範となる優秀な営業マンから経験談やスキル、ナレッジなどを臨場感あふれる会場で直接聞けることは、得るものの多い貴重な体験になります。
開催後のアンケートでも、「他の世界の営業を知ることができた」「大変参考になり、刺激を受けた」などの回答が多く寄せられおり、このイベントを開催する意味や意義を感じています。
–事業を運営する上で、大切にしている思いをお聞かせください。
大西氏:独りよがりにならず、自分のこと以上に相手を思い、行動し、そして結果を出すことが営業にとって最も大切なことだと考えています。相手とは、顧客となる企業の担当者だったり経営者だったり、時には企業そのものを指します。
また、企業にとって営業とは、顧客を獲得し信頼関係を深めることであり、経営そのものでもあります。私自身も営業の最前線に立ってきた経験があり、常に営業という仕事の素晴らしさを感じていました。
営業を通じて人との出会いや信頼が互いの企業に利益をもたらし、自分自身も成長できることに大きなやりがいを感じています。これが大切にしたい想いでもありますね。
自分の過去を分析し、「営業」に想いが至る
–起業に至る経緯をお伺いします。
大西氏:父親の事業を見て育ったため、子どものころから起業志向を持っており、できれば40歳までには企業をしたいと思っていました。
大学卒業後、15年ほどの会社勤めを経て39歳の時に起業できたのですが、上場審査が始まってから多くの問題・課題が発生し、解決のメドが立たずに破産措置を取らざるを得ませんでした。
以後、自分は何がしたいのか、何を喜びとして仕事に向かい合いたいのかと思い悩む日々が続きましたが、自分の過去を徹底的に分析することで「営業の仕事」に自分の未来を見つけ、再チャレンジに至りました。
–「営業の仕事」を選んだのはなぜですか。
大西氏:私にとって営業が素晴らしい仕事であるにもかかわらず、「営業は苦手」「営業はつらい仕事」と受け取る若者や、営業の仕事にせっかく就いても成果を出せないという人が多くいる状況を見聞きしていたのがきっかけでした。
それを見て、私はいずれ「職業としての営業の社会的ステータスを上げる」ことに取り組みたいと思うようになったんです。そこで、私の立ち上げるサービスが社会や企業、あるいは組織や個人など、世の中のすべてに対して豊かさを提供し、元気を与えることを願って、二度目の起業をしました。
時代やテクノロジーの変化で手法は変わっても、人の心の在り方、営業の本質は変わらないものです。昔ながらの気合と根性の営業ではなく、成果のための営業の要素を明確にし、営業がいかに企業にとって不可欠であるかを明示できれば、自信と誇りを持って営業に従事することができると思っています。
営業の資格制度確立と専門教育機関設立
–今後の事業目標をお尋ねします。
大西氏:引き続き「職業としての営業の社会的ステータスを上げる」ことに対して、より注力して取り組みたいと考えています。
弊社のサービスは確実に成果を挙げているため、今後は活用された企業や個人のデータが蓄積されていくことになります。このデータをもとに、営業という職に関してひとつの基準値を定め、営業や営業管理職向けの資格制度の確立を目指したいです。
また、営業の世界は未だに属人的であり、気合と根性、OJT指導が中心となる風潮があります。私はそれを打破し、資格制度確立と合わせた営業の仕事の体系化と、学術的指導ができる専門教育機関の設立も目指しています。
このような長期的な目標を実現させるために、まずこの2、3年で会社の基盤をしっかりとつくっていきたいですね。
–最後に、読者へのメッセージをお願いします。
大西氏:経営者様には、「御社の営業担当者は本当に顧客から必要とされていますか」と問い掛けたいですね。
営業は単に物やサービスを売る係ではなく、顧客の役に立つかどうかが会社の利益に直結すると言っても過言ではありません。「この営業マンは役に立ってくれる」と顧客に感じてもらえるような営業マンを採用、あるいは教育する視点が重要ですので、改めて考えていただきたいと思っています。
学生さんに対しては、営業は面白い仕事で、人を成長させる仕事だと伝えたいです。また、「自分で経験していない職業に優劣をつける先入観を持ってはならない」ともアドバイスしておきたいですね。
執筆=増田
校正=米山