二宮伸夫

皆様は、私ども株式会社トラストインフィニティーが提供する「東京コンシェルジュ」という総合不動産サービスをご存知でしょうか？

私は慶應義塾大学を卒業し、国内外の金融機関で様々な業務を経験したのち、ご縁もあって、上場絵画販売会社に入社させていただきました。

その会社は、当時民事再生となっていた高級リゾートホテル（タラサ志摩ホテル＆リゾート/三重県鳥羽市）を取得し、大手ホテルチェーンに運営を委託していました。しかしながら当初は経営状態が改善せず、株主からもその事業の継続については厳しい意見を頂いていました。そこで自社運営に切り替えることになりました。

私は入社して以来、社長室長・総務部長・経営企画室長・IR責任者等を任されていたのですが、私の恩師の一人でもある社長から「お前がやれ！」といきなりそのホテル事業の再生を任されました。

そうして未訪の地に単身乗り込んでいったわけですが、ホテル事業は全くの未経験。分からないことの連続でした。ただ分からないからこそ、大胆な改革もできたのだと思います。

事業再生のポイントは、効率化をテーマに、やるべきことを全て一気に同時に行うこと。一部業務の外部委託も含め、セクショナリズムが強いホテルにおいて、全てを内製化し、組織横断的な人事異動とマルチジョブを断行。私自身も客室に泊まり込み、休みなくただひたすら効率化を追求する毎日でした。

しかし、効率化一辺倒では当然上手く行くはずもなく、すぐに壁に直面しました。それでもなんとか赤字を食い止めなければという一心で、効率化だけを考え、そして実行している中で、あるお客様からこう言われました。

「あなた自身がもっと楽しんでもっと遊ばないと」

その意味が最初は理解できなかったのですが、ホテル業というサービス精神を現場で学ぶうちに、「仕事は楽しみながらしないと、いいパフォーマンスを生まない」ということに徐々に気づいていきました。お客様からの言葉は、「楽しむことと楽しんでいただくことは表裏一体」という意味だとようやく分かったのです。これは、「おもてなし（表なし）の心」の本質にも通じることでもあります。

突き詰めて考えれば、

「お客様とスタッフが接するところの両者の満足度をあげること以外に、サービス業における採算性・成長性の向上はない」

ということ。

このことが、少しずつですが肌感覚で分かる様になってきました。

意識が変わると、ホテルの中に様々な変化が生まれてきました。

例えば、幸いにもホテルに泊まりこんでの仕事でしたので、日々の食事はホテルのレストランでスタッフと共にいただくことにしました。ただ食事をするというだけでなく、お客様目線で食事をしてみる。そうすると、これは美味しいからお客様にも喜んでいただけるなとか、こんなサービスはどうだろうと、新しい発想が湧いてきます。そういう事は仕事でもあり、同時に楽しみでもあると、スタッフ共に実感することができました。

この「自分たちも楽しみながらお客様にも楽しんでいただく」という考え方によって、タラサ志摩を一年で黒字化させることに成功しました。その後も業績を伸ばし、無事再生を果たしました。今もなお日本を代表するスパリーゾートホテルとして運営されています。

その後、私は東京のホテルマネジメント会社の社長に就任し、軽井沢のリゾートホテルの事業再生、沖縄久米島のリゾートホテルと東京のビジネスホテルの開業等を行って参りました。

そんな中で、マンスリーマンション事業を譲っていただける機会に恵まれました。ただ実態は大赤字。また新しい分野にチャレンジできるというわくわく感でのみで引き受けました。ホテル事業と似たところもありますが全くの別物。しかしながら「楽しみながらお客様にも楽しんでいただく」ということで、その窮状は打破できるとの思いで携わっていきました。幸いにも多くの素晴らしい新しいスタッフとも出会え、また彼らの活躍もあって、その事業も再生させ、さらには事業規模も短期間で10倍にすることができました。

こうして未知の分野の事業を成功してきた経験から、「自分自身ももっと自由に、そしてお客様にもっと満足し、また喜んでいただきたい」そのような思いが強くなってきました。

こうして生まれたのが、株式会社トラストインフィニティーです。

この社名には「オーナー様とお客様（実際に不動産を利用される方）、そしてスタッフの双方の信頼と信用の輪を無限に広げていく」という決意を込めました。

また、「事業を成功させること」には醍醐味はありますが、ただ単に事業の成功だけではなく、関わる業界に、また社会に貢献していきたいという思いも強くなってきました。

不動産業界は、ホテルでの業務と同じように役割分担がとてもはっきりしています。例えばオーナー様の代理である管理会社は、オーナー様の利益を第一に考えます。この時にお客様の利益は二の次です。どうしても不動産業界は、オーナー様の立場が上、お客様の立場が下という構図になりがちです。どちらも同じお客様だとすれば、差があることはおかしいことです。私はこの構図を変えたいと思っています。

株式会社トラストインフィニティーは、オーナー様が求めていることは全部やる、お客様が求めていることも全部やる。どちらかの意向に傾くのではなく、双方が満足し、対等な関係を築けるような価値を創造していく会社を目指しています。これこそがまさに総合不動産サービス業です。

まず率先して私どもが、不動産業から総合不動産サービル業へと進化していきます。結果、不動産業界そのものが発展していく。偉そうな言葉に聞こえるかもしれませんが、これこそが我が社の目指しているところです。

私たちがまず手掛けてきたことは、「東京コンシェルジュ」というマンスリーマンション事業です。

不動産業とホテル業のちょうど中間に位置するマンスリーマンション事業において、これまで経験してきたものを活かし、利用されるお客様の満足度の高い、そして質の高い快適な空間とサービスを提供しております。まさにこの事業こそが、不動産オーナー様とその不動産を利用されるお客様双方の満足を両立しうる総合不動産サービスの基本モデルであると考えています。

現在は東京23区を中心に約300物件を展開しています。東京オリンピックへ向けて、さらに物件数もペースを上げて増やしていきたいと考えています。まだまだ大手の会社に比べて規模は小さいかもしれませんが、品質の面では負けていないと自負しています。

例えば、地震に強い建物であることや防災設備が完備されている物件のみを提供し、お客様の安全を確保することはもちろんのこと、セキュリティーも一定以上の条件を確保しています。備品に関しても、トイレットペーパーひとつ、快適な睡眠のための羽毛寝具ひとつ、こだわり抜いて選んでいます。また、必要とする生活用品もお客様一人一人の個別のニーズに合わせて提供出来る体制を敷いています。そして、どうしたらもっとお客様に喜んでいただけるか、どうしたらもっとオーナー様の大切な不動産を生かしていけるのか、徹底したサービス精神でさらにそのレベルを高めるための努力を続ける毎日を社員と共に過ごしています。

また、スタッフの教育にも力を注いでいます。ホテル業務経験者を中心に、ホテル並みの心細やかな対応、丁寧な接客を心がけています。東京での滞在や生活に慣れていらっしゃらない方も多いので、単なる物件情報の提供だけでなく、ご利用期間全てに渡るライフサポートをすることを心掛けています。その姿勢でお客様と接すると、お客様の喜んでいただいている様子を肌で感じることも出来ることが、我々の励みでもあり、喜びでもあります。

これから日本は人口が減少していくにも関わらず、マンションやアパートが大量に建築されています。すると空き家が増えていくのも当然です。そうなると不動産の価値も低下してしまうでしょう。これでは日本の発展はありません。

私は、不動産の価値は、築年・構造・駅からの距離・間取りということだけで決まるものではないと思っています。その不動産をどのように扱うか、またお客様にどの様に使ってもらうかによって、価値が決められると考えています。適切な方法で、丁寧に高い品質で管理を行う我々の業務は、不動産の価値を高めていくことにも繋がります。そして、これからの不動産の価値は、もっともっと変化していきますし、また変化させることも出来ると考えています。

ホテル業で培った力で、株式会社トラストインフィニティーは不動産としての価値も高めていく、そうすることが日本の経済のためになるのではないか、私はそう考えています。

私自身はもとより、スタッフ全員が「自分たちも楽しみながら、お客様に楽しんでいただく」気持ちを大切にしながら仕事に取り組んでいくことを通じて、ともに成長していければと思っています。

そして将来的には、ビジネスホテルやリゾートホテル事業にも携わっていきますが、まずは株式会社トラストインフィニティーが提供する総合不動産サービス「東京コンシェルジュ」が、より良い社会作りにも貢献出来る存在となれるよう、スタッフと共に「不断の自己改善」の道を歩いて参ります。