本橋 聡

私はもともとサラリーマンの家庭で育って、自分もサラリーマンとして働いていたんです。ですので最初は、自分が会社を作るとは思っていませんでした。

最初の転機は、26歳のときに保険業界に転職したことでした。サラリーマンとして安定して仕事をしていくのもいいけれど、一度しかない人生だから、何か大きなことにチャレンジしたいと思ったのです。

保険業界を選んだのは、人生設計のお手伝いをするという使命に共感したからです。またフルコミッションの世界なので、頑張ればまるでプロ野球選手のようにどんどん稼げる点も魅力的でした。

そんな野望を抱いて転職したものの、一人前になるまではサラリーマン時代に比べても全然稼げませんでしたね。お昼は100円のおにぎり1個、みたいな時期もありました。それでもお客様に支えていただきながら研鑽を積んで、保険代理店を仲間と共同で設立するまでになりました。

当初は個人向けの保険をご案内していたのですが、お会いするお客様の中に、経営者の方がたくさんいらっしゃったんです。しかもみなさん、起業後の経営に苦労されていたんですね。こうしたお客様のサポートをしたいという想いから、中小企業のリスクマネジメントをきちんとできるように、法人向けの営業も始めました。

とはいえ、保険で解決できることももちろんあるのですが、そうでないこともたくさんあると思うようになりました。経営者の方が一番悩んでいるのは、実はキャッシュフローなんです。高額な人件費をかけて財務担当者を雇用するのは、大企業でないと難しい。でも、中小企業こそ、財務に明るい優秀な人材が絶対に必要なんです。それなら僕が経営者に寄り添って財務をサポートする参謀になろうと考えて、コンサルティング会社の設立に至りました。

当社のサービスをひとことで表すと、プロフィットマネジメントとリスクマネジメントのハイブリッド型企業サポートです。キャッシュフローの改善や利益・収益力を上げるコンサルティングと、保険を使ったリスクマネジメント。この両方ができる会社は皆無でしたから、これは自分にしかできない仕事なんだという使命感がありましたね。

さらに、僕のノウハウやアイディアをある程度標準化して利用できるようにすれば、もっと多くの企業様のご支援ができる。そう考えて開発した研修プログラムが『戦略うどん屋さん経営ゲームⓇ』です。

キャッシュフローや経営について、座学のセミナーはたくさんあります。でも、一方的に聞くだけでは実践につなげにくい。だから『戦略うどん屋さん経営ゲームⓇ』では、ゲームという形式を採り入れました。「キャッシュリッチな会社」というゴールに向けて、うどん屋さんの経営をシミュレーションしながら、自分の意思決定が利益やキャッシュフローにどう影響するかを体感してもらうんです。

このプログラムには、経営者向けと社員向けの2つがあります。経営者向けプログラムでは、銀行との資金の打ち合わせをどのようなロジックで行うか、といった点までを含めたかなりリアルな「経営」を学びます。社員向けプログラムは人材育成の一環として、現場にも経営的感覚や利益意識を持って行動してもらうようになることで強い会社を作る、ということを目標にしています。

『戦略うどん屋さん経営ゲームⓇ』は、全国の商工会議所や大手企業での研修などを通じて、開講から1年で1,600人を超える方に受講していただきました。おかげさまで、『ビジネスクラスセミナー』（セミナーポータルサイト）では総合人気ランキング12回連続第1位、という評価をいただいています。