株式会社日興エボナイト製造所
遠藤智久
POSTED | 2017.03.07 Tue |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:50代 商材:BtoB |
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“古くて新しい素材“エボナイトで今注目!
国内唯一のエボナイト素材メーカー、飛躍する3代目Topics
株式会社日興エボナイト製造所 代表取締役 遠藤 智久氏のONLYSTORY
世界最古の成型樹脂「エボナイト」
エボナイトというのは、一般に広まった世界最古の成型樹脂と言われています。
東南アジアの熱帯地方で採れる天然ゴムを原料に、硫黄と混合して加熱することで硬くしたものがエボナイトです。
1839年にアメリカの発明家チャールズ・グッドイヤー氏によって発明されました。日本で言えば江戸時代には作られていた樹脂なので、どれだけ歴史のある素材なのかを感じていただけるのではないかと思います。
工作機械での切削加工や金型での成型もできるため、ペンや木管楽器のマウスピース、過去にはやかんの取っ手や電球のソケット、ボウリング球など、生活に欠かせない合成樹脂として多くのものに使われていました。また、磨くと漆塗りのような美しい艶が出ますので、高級万年筆や喫煙具などにも使われてきました。
祖父が北海道から東京に出てきた際には数多くのエボナイト工場があり、祖父はその中の一つの工場に就職し、ウデや知識を磨き、1952年に日興エボナイト製造所を創立いたしました。
しかし昭和40年頃から石油系プラスチックが台頭し、エボナイトの需要はどんどん低下。周囲のエボナイト屋さんは廃業を余儀なくされていきました。1998年に跡取りとして入社した私は、こうした状況に強い危機感を覚えました。追い討ちをかけたのが、3本あった事業の柱のうち、2本の下請け業務がどんどん縮小していったことです。
もはやエボナイトで食べていくしかない。
工場も家族経営で、平均年齢は上がる一方。先細りは見えていました。
荒川区主催の経営塾に参加し、経営革新計画を立て、脱下請け、直接消費者に商品が届くBtoCへのシフトを掲げました。それからナイフのハンドル材やギターピック、オーディオなど、一般ユーザー向け商品の開発に取り組むようになっていったのです。
「日本に1社しかないエボナイト素材メーカー」という肩書きが、オンリーワンの価値へと変わった瞬間でした。
自社ブランド「笑暮屋」で急成長!
現在は、従来のエボナイト素材の製造・販売に加え、2009年から自社ブランドとして「笑暮屋(エボや)」を立ち上げました。
万年筆やボールペンなど、エボナイトの特性を生かしたオンリーワンの商品を製造し、「笑暮屋」のWebショップや直営店舗にて販売を行っています。
笑暮屋
主力商品である「エボナイト万年筆・ボールペン」は、葛飾区の文具の職人さんたちと共に作り上げていった商品です。本来エボナイトの色は黒褐色ですが、顔料を練り込むことカラー化に成功、万年筆の素材としておしゃれなマーブルエボナイトを開発し、最初は削りの轆轤(ろくろ)職人さんの元へ持って行きました。元々葛飾区には筆記具を製造する職人さんが多い地域で、そこからパーツごとの職人さんたちとコラボができたんです。
出来上がった万年筆を毎年開催されている荒川区産業展に出品してみた所、1本6万円という高価格にも関わらず、2日間で5本も売れました。マーブルのおしゃれさはもちろん、しっとりと手に馴染む感じも非常に好評でしたので、早急に生産体制を整え一般販売を開始しました。2011年には、三越日本橋本店が開催する万年筆イベント「世界の万年筆祭り」からもお声がけいただき、出店させていただきました。
当初は、切削加工を外部の職人さんに依頼していたのですが、現在は技術を伝承・蓄積し内製化を進めています。昨年末にはNC旋盤を導入。熟練工の技能を数値化し安定供給を図り、増加する発注に早急に対応する体制を整えました。切削は機械、磨きは職人さんのウデでという形で、ご満足いただける商品づくりに取り組んでいます。
区も業種も超えた若手後継者の交流を応援!
私は荒川区の未来を担う若手経営者、後継者の育成のために創設された「あすめし会(明日の飯のタネを作る会)」の代表幹事も務めています。
ここでは勉強会、交流会、展示会の共同出展等の事業を自主運営しておりますが、荒川区以外の23区にいる小規模企業の若手経営者とのネットワークづくりを目指した「下町サミット」という交流会もスタートさせました。業種を超えて交流し、仲良くなったところで事業の紹介をしあえれば、ビジネスが上手く回っていくはずだという考えから始めた交流会です。先日10回目を迎え、墨田区では過去最大の175名のご参加をいただきました。
また、Facebookではサミット参加者だけが参加できる、「東京24区」という非公開のグループページも立ち上げました。23区の異なる業種の経営者たちが垣根を取っ払い、一つの新しい区となる。そんなイメージで名づけたグループで、普段はこちらで情報交換などを行なっています。
「下町サミット」は、最終的に23区全てで開催する予定ですので、23区で頑張る若手経営者、後継予定者の方々には是非ともご参加いただければと思います。「下町サミット」でネットワークを広げ、「東京24区」の「区民」になってください。みんなの力を融合させて、東京から世界の経済を動かしていきましょう!