月岡秀彰
POSTED | 2017.07.21 Fri |
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TAGS | 従業員数:51〜100人 業種:医療・介護・健康 創立:15年以上 決裁者の年齢:50代 商材:BtoC |
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”鍼灸”というコンテンツを基に新たな価値を創造
美容鍼灸を入り口に鍼灸のユーザー層を増やすTopics
株式会社ITi 社長 月岡秀彰氏のONLYSTORY
欧米で評判の日本の鍼灸技術を多くの人に体験してほしい
以前私はテレビ番組の企画や制作の業務を行っていました。
某テレビ局の情報番組で新しい美容法を紹介するという企画が持ち上がり、リサーチをすることになりました。
様々な美容法につきましてリサーチを進める中で、『美容鍼灸』というキーワードに出会いました。
今でもあまり耳慣れない言葉ですが、当時は一般の方々にはほとんど知られていないものでした。
そこで美容鍼灸の施術を提供されていらっしゃる鍼灸師の先生方を調べて、10名以上の方々を訪問させて頂き、お話を伺ってきました。
私自身、それまで鍼灸について全くと言っていいほど知識はなく、なんとなく、痛そう、熱そう、怖そう、お爺ちゃん先生が行っている、できるだけ受けたくない最終手段のもの、などといったイメージを持っていいました。
しかしそのイメージはあっという間に覆されました。
先生方からお話を伺いましたのは2010年9月の事でしたが、当時から日本人の鍼灸師の技術の高さは世界でも知られておりました。
特に欧米の富裕層の方々の間では、日本人の鍼灸師さんに施術をしてもらうというのがステータスになっているということでした。
タイのホアヒンというエリアに、主に欧米の富裕層の方々が利用する滞在型のスパがあります。
利用者はこちらのスパ施設で2週間~数か月間滞在し、医師の監修の下、管理された食事と様々な健康・美容のプログラムを受けて身体を健康な状態に整えていきます。
こちらのスパ施設には世界中から様々な施術のトップ技術者が集められており、その中で鍼灸の施術者として、私がお会いしました日本人鍼灸師の先生が招へいされていました。
鍼灸は中国で発祥したものですが、日本人の手先の器用さや、またおもてなしの心が活かされた丁寧な施術が世界各国の方々にとても好評なのです。
しかしその評判は日本国内ではほとんど知られておらず、そして鍼灸の受療率はわずか7%未満と非常に低い状態とのことでした。
しかし、受療率が低いということは、逆に言えば伸びしろが非常に大きいという事です。
幸い、私はメディア関係の業務を行っておりましたので、鍼灸の情報をメディアの方々にお届けしていくことができる状況でした。
日本の皆様に、鍼灸の素晴らしさ、鍼灸を活用することで得られるメリットを広く知って頂きたいと考え、鍼灸師の先生方にご協力を頂きまして2010年12月に会社を設立、鍼灸の業務を始めました。
美容鍼灸で鍼灸の窓口を広げる
例えば、肩が凝って頭痛までするといった時に、ほとんどの方が、薬を塗ったり飲んだりしてその痛みを無くそうとされるのが現状です。
しかしそれは多くの場合、痛みを感じなくしているだけで根本原因の改善にはつながっていないのです。
そのため薬の効果が切れるとまた痛みが出てくるのです。
鍼灸では根本原因の解消をしていくことができるのですが、現状では、肩こり・頭痛だから鍼灸を受けに行こうと考える方は少ないのです。
身体のお悩みと鍼灸が結びつかないため、鍼灸を受けようと発想して頂くことができないのです。
しかし、『美容鍼灸』というと、そのネーミングから美容のために鍼灸が活用できるというストレートなメッセージをお伝えすることができます。
これまでとは全く違った目的で鍼灸を活用できるため、新たなユーザー層を開拓することができます。
鍼灸は怖い・痛いといったイメージがありますが、女性は美しさのためであれば多少の事は我慢できるようです。
痛い美容施術はたくさんあるのです。
また美容鍼灸は、効果が施術前・施術後で見た目ではっきりと分かること、さらにお顔に鍼が沢山刺さっている画はインパクトがあるため、メディアで取り上げられやすい施術でした。
美容鍼灸は多くのメディアにお取り上げ頂けるようになり、これまで鍼灸を受けた事が無い方々にもご興味をお持ち頂くことができ、実際に施術を受けて頂くことができるようになりました。
私どもが運営しています治療院では、ご来院下さいますお客様の8割程の方は鍼灸が初めての方です。
この数字は、他の鍼灸院さんでも同様の状態とお聞きしました。
美容鍼灸により、新たな鍼灸のユーザーが開拓できていると確信をしています。
また、美容鍼灸といっても、多くの治療院さんではお顔への鍼の施術だけではなく、身体の治療も一緒に行います。
肌荒れやむくみなどの美のお悩みの多くは、その原因が内臓の不調や肩こり等から来ている場合があります。
それら根本原因を改善することにより、美容の効果を高めるとともに健康な体にしていくことができるのです。
これまで肩こりを自覚されていらっしゃらなかった方が、美容鍼灸の施術を受けたことによって肩こりが治り、その時に初めて自分の身体というのは本来こんなに楽だったんだと体感されるような方もいらっしゃいます。
そしてその後は体のメンテナンスで通って頂けるようになる方もとても多いです。
美容鍼灸が鍼灸の入り口になり、鍼灸のファンになって頂ける流れができています。
鍼灸をもっと身近に、もっと手軽に、もっと安心なものに
より沢山の方々に、鍼灸で健康・美容を増進してより豊かな生活をして頂けるようになるために、(社)日本鍼灸協会を設立しました。
鍼灸師の為の業界団体はいくつかあるのですが、当教会では、徹底して鍼灸の利用者目線で、「鍼灸をもっと身近に、もっと手軽に、もっと安心なものにする」ための活動をしていきます。
他社様との協業により新たな価値を創造
鍼灸院で一般的に利用されている枕は、固めのもの、またはタオルを巻いているものが多いのが現状です。
しかし、お客様は時間の経過とともに不快を感じてしまいす。
鍼灸の施術では、できるだけリラックスした状態で受けて頂くことが重要です。
その状態が鍼灸の効果にも影響を及ぼします。
現在高級羽毛寝具メーカー様のお力添えを頂き、お客様が心地よい環境で鍼灸の施術を受けて頂くことができる枕を開発しています。
ベッドに横になった瞬間に、まるで羽毛に吸い込まれるような心地よい感覚と鍼灸の施術のしやすさを両立した、究極の鍼灸院用枕です。
またその鍼灸院向けの枕と並行して、ご家庭用の枕の開発を行っています。
睡眠は健康と美容にとても重要です。
質の高い睡眠を得て頂けますように計算しつくした最高の枕が完成しつつあります。
ようやく試作が完了した段階ですが、テストでご使用頂きましたお客様にはとても好評で、自分の為、そして家族のために買いたいという方もいらっしゃいます。
最高級の羽毛を使用しました枕ですのでお値段は一般的な商品より高くなりますが、羽毛は寿命が50年と言われておりますので、長期にわたりご利用頂くことができます。
この商品は丸洗いができて、なおかつ打ち直し(枕のリノベーション。羽毛を取り出して洗い直し、新たなカバーに入れて再生させます)ができるものにしました。
■『美容鍼灸サプリメント』の開発
美容鍼灸と相性の良いサプリメントを、北海道薬科大学の准教授の方にご協力を頂きまして開発を進めています。
■『食べるお灸』の開発
『食べるお灸』というものを作っています。
これは栄養士の資格も持っている鍼灸師が考えたもので、ヨモギを使った食品です。
お灸に使うもぐさはヨモギから出来ているのですが、このヨモギはハーブの王様と呼ばれるほどとても栄養価が高く、末梢血管拡張作用があります。
こちらを食品流通コンサルタントの方、アレルギー対応・低糖質商品を開発しているパティシエの方、そして食品工場の方にご協力を頂き商品化を進めております。
こちらの商品は2017年8月に香港にて開催されます「Food Expo 2017」に出品、世界各国の方々にご紹介させて頂きます。
さらに食べるお灸を発展させましたメニューをカフェやレストランにてご採用頂き、沢山の方々にご提供頂いております。
お灸は熱い、怖いといったイメージをお持ちの方も多くいらっしゃいます。
まずは、食べておいしい『食べるお灸』から、お灸に関心を持って頂けるようになることが狙いです。
鍼灸師さんの活躍の機会が増え、国民の皆様の健康増進に寄与していく
先日、“4”と“9”で「しんきゅう」と読めるということで、4月9日を鍼灸の日に制定して(社)日本記念日協会に登録しました。
2017年4月9日、鍼灸の他団体様、鍼灸関連メーカー様、鍼灸の専門学校様等沢山の方々にご協力を頂き、メディア向けの鍼灸PRイベントを開催しました。
鍼灸はテレビ・雑誌など多くのメディアに取り上げて頂けるようになってきました。
しかしまだまだ鍼灸の受療率は伸びていません。
むしろ下がっているというデータもあります。
もっともっと沢山の方に鍼灸の良さを知って頂き、日々の健康と美容の増進にご活用して頂けるようになるために、今後は鍼灸師さんをサポートして行く活動も行っていきたいと考えています。
■鍼灸院向け英語での問診セミナーを開催
鍼灸を利用される方の中には、海外からいらっしゃいますお客様も増えてきています。
お客様に、言葉に困らずに気兼ねなく利用して頂けますよう、現在英会話学校さんと相談して、鍼灸院の為の英語での問診セミナーを企画しています。
社内でも英語対応セミナーを行っていますので、それをきちんとプログラム化して沢山の鍼灸院さんにご提供させて頂きたいと考えています。
■鍼灸院向け広報・PRセミナーを開催
また鍼灸の情報をより多くの方々にお伝えするために、PR会社の方やテレビ番組ディレクターさん等にご協力を頂き、広報・PRの方法を鍼灸師の皆様に学んで頂ける勉強会・セミナーを開催していきたいと考えています。
■他社様と協業をさせて頂き、新たな鍼灸院向けサービスを開発
現在は、自社の店舗の数をどんどん増やして行くというより、既にあるインフラを利用して、これまで私が培ってきましたノウハウやネットワークを多くの鍼灸師の方々に活用して頂くという形で、とにかく鍼灸師さんが活躍できる機会を増やし、その結果、国民の皆様が健康な毎日をお過ごし頂けることにつなげていきたいと考えております。
そのために、鍼灸院に対して商品やサービスをご提供されていらっしゃいます会社様がありましたら、ぜひコンタクトを取らせて頂きたいと思います。
鍼灸師さんの活躍の機会が増え、国民の皆様の健康増進に寄与していくために、ぜひとも一緒にお取組みさせて頂きたいと思います。
病気になってから病院に行くのではなく、鍼灸で病気にならない身体を保って頂きたい。
病気にならなければ毎日が幸せに過ごせることに加え、医療費の抑制にもつながってみんながハッピーになれるはずです。
☆取材・記事作成・構成=佐藤、北村、川角、佐久間