小野貴庸

私は、あることを機に歯科医師を志しました。それは、妻が大学病院でインプラントの手術をしてきたこと。

妻にとって悩みの種だった歯が、インプラントでキレイになったのを見て、歯医者ってすごいなと思いましたね。そして、こんな風に自分でも歯を治療できるようになれたらと思い、歯科医師に興味を抱くようになりました。

当時は違う業界で仕事をしていたのですが、専門性の低いものだったため、一生の仕事にするには難しいと考えていました。そこで、半年くらい仕事と並行して勉強をして、明海大学の歯学部に入学しました。

色々な分野がある歯科医師の中で、私が興味を持ったのは口腔外科でした。交通事故などで強い衝撃などを受けると、歯や顎の骨が損傷を受けてしまいます。そうした外傷を患った患者さんや、歯茎をガンに侵された患者さんの手術をするのですが、これは、患者さんの一生を左右しかねない難しいもの。
「患者さんのためになんとかしたい！」という強い思いで手術に取り組む歯科医師の「本気」に、心揺さぶられましたね。

東京医科大学病院の口腔外科に入局してから、毎日多くのオペをこなし、７年経つ頃には、スペシャリストへの道を駆け上がっていました。
それはやりがいのある毎日でしたが、一方で、より身近な人たちのために自分の知識や経験を活かしたいと思うようになったんです。そして、オーラルプロポーションクリニック（以下OPC）を開業しました。

私たちは、「患者さんが、治療した先にどうなりたいのか」ということを常に考え、一人ひとりのニーズを叶えることを目的に、とことん向き合います。よく、30分単位で予約を入れている歯科医院がありますが、うちではあり得ませんね。それでは、一度でできることが限られてしまって、患者さんは何度も通院しなくてはならなくなりますから。

私たちは、患者さんの症状やご要望にあわせて、診療時間を決めます。
ご相談だけで数時間かけることもありますし、重度の患者さんの場合は、丸一日その方のために使うこともあります。その時その時の患者さんの気持ちや状態に入り込んで対応させていただいています。

また、通常であればインプラントなどでのみ使われる点滴無痛麻酔（静脈内鎮静法）を、通常の歯科治療でも使用しています。さらに、歯科業界では導入している医院がほとんどない全身麻酔にも対応しています。麻酔予約などもなく、いつでも遠慮なく使って頂ける体制が整っています。これは、忙しい毎日の中でも、少しでも早く、楽に治療して欲しいという思いからです。

歯と言うのは、その人の人生が現れる場所です。若い頃に自分を犠牲にして必死に頑張って来た方や、多忙で歯医者に行くような時間がとれなかった人、歯を食いしばって頑張ってきた人など、人生を懸命に生きている方ほど、歯のメンテナンスが後回しになりやすい。

そんな方々がようやく自分のために時間を使って治療に来られたのですから、治療のためとは言え、不快な思いをして頂きたくないんです。
麻酔で寝ている間に、全ての治療を終えられればこんなに楽なことはありませんし、来院するまでの時間も含めて考え、短期間で完治できれば、貴重な時間をもっと自分のために有効に使えるようになる。
これは、他の歯科医院にはない強みだと思いますね。

私が描いているのは、私自身も、スタッフたちも、患者さんも、みんなが満足し、成長できる組織作りを行う事です。現在通ってくださっている患者さんの中でも、ニーズはそれぞれ違います。

たとえば、小さな子どもを連れて行きやすいところが良いとか、キッチリ丁寧に対応してくれるところが良いとか、逆にフランクな雰囲気の方が良いとか、色々ご要望はあるんですね。
今後は、異なるコンセプトを持ったクリニックを増やしていって、そうしたニーズにたくさん答えていけるグループ体制を整えていきたいです。

これは、スタッフたちに対しても同じですね。一人ひとりのライフステージや、周囲の環境によって、彼らが働きたい環境と言うのは変わっていきますから、スタッフたちのニーズに対しても、グループ内で対応できるようにしたいと思います。

将来的には、歯科を軸に、介護、福祉、保育などの分野もやっていきたいですね。家族以上に長い時間一緒に過ごしているスタッフたちですから、適材適所で託せるように育成し、何らかの形でつながりながら、グループ全体で成長していければ良いなと思います。