蓬莱グループ合同会社おもてなし便
椎名 芳治
POSTED | 2019.04.01 Mon |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:飲食・サービス 創立:11〜14年 決裁者の年齢:60代 商材:その他 |
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究極の“おもてなし”運送で人と社会に貢献
業界を発展させたい、その想いから運送の魅力を発信Topics
今回のインタビューは、軽自動車を使った運送を行う蓬莱グループ合同会社おもてなし便の椎名氏にお話を伺います。展開する事業内容や、起業に至るまでの経緯、今後の展望について語っていただきます。
蓬莱グループ合同会社おもてなし便 代表取締役 椎名 芳治氏のONLYSTORY
他とは違うおもてなしを届けるドライバー
–まずは合同会社おもてなし便が手がけている事業内容について、お聞かせください。
椎名氏:弊社は軽自動車を使った運送業を行なっています。具体的には法人や個人のお客様がご指定される場所に、ご要望の品物を、決められた時間内にお届けするサービスを展開しています。
–多くの同業他社がいらっしゃいますが、その中で御社の強みはどういったところにあるとお考えですか。
椎名氏:接客のクオリティ向上に力を入れているところですね。私は異業種からこの業界に入ったのですが、客観的に物流業界を見た時、もっと改善できる点があるということに気が付いたんです。それが接客の質でした。
例えば、私たちは荷物を一軒ずつお届けするので、その際に何か一つ“おもてなし”を置いていくことを徹底しています。具体的には、お客様のお宅のドアを閉める時は両手で閉める、サインをもらう時は自分からボールペンを出す、などです。
些細なことですが、そういったことを意識していただき、しっかりとした接客をおもてなしとして届けています。
–そのような質の高い接客を徹底するために、どのような取り組みを行なっていますか。
椎名氏:一番大きいものとして新人研修が挙げられます。その新人研修ではまず座学でドライバーとしての仕事や電話対応のやり方だけでなく、どうやったらうまくいくかという成功法則の部分を運送に例えてお話しします。
そのほかにも、ドライバーさん自身の人間観、つまり感性を磨くような研修もしています。
–感性を磨くとは、どのような研修でしょうか。
椎名氏:いろんな動画を見てもらい、それぞれ思ったことや感じたことを議論せず、受講したドライバーさん同士で伝え合ってもらうんです。
当たり前のことですが、同じものを見ても、人それぞれ思い方は違います。「人がどう思うか」というところを深く掘り下げて考えることで、お客様の気持ちを汲み取っ突たサービスにつながると考えているんです。
–御社の事業運営にあたって、一番大切にしていることを教えてください。
椎名氏:一番大切にしていることは信頼関係です。それはお客様だけでなく、弊社とドライバーさんとの関係のことでもあります。
私は誰と出会うか、誰とご縁があるかで人生は変わると思っています。その中でいただいたご縁なので、信頼関係をしっかり作る。それが強固になればなるほど、ビジネスも上手くいくと考えています。
人や社会へ恩返ししたい、異業種からの挑戦
–起業に至るまでの経緯を教えてください。
椎名氏:もともと私は高校卒業して調理師をしていました。結構大きな会社だったのですが、そこに18年勤め、料理長をやっていたこともあります。
その後、ある方が投資をしてくださって、飲食店を経営する立場になったんですが、オーナーが辞めることになり、私がお金を借りてお店を運営することになりました。しかし、48歳の時に転機が訪れて……。
–どのような転機があったのでしょうか。
椎名氏:実は脳梗塞になったんですね。2カ月ほど入院して現場復帰をしましたが、利き腕である右腕に麻痺が残り、例えば歯を磨く、字を書くなど細かい動きができなくなりました。そのまま右手をかばって仕事をしていたのですが、身体への負担が大きくなってしまい、50歳の時に調理の仕事は辞めました。
しかし、仕事は辞めましたが借金は残っている状態でした。収入を得るために働くとしても、50歳では雇用される門扉が非常に狭い。なおかつ、私には右腕に後遺症が残っているので普通に働くことはできない。ならば自ら事業を立ち上げるしかないと思ったんです。
その時に、思いついたのが自分の好きな車の運転を行うドライバー職でした。ドライバーであれば、右腕を酷使しなくても仕事ができる。そう気がつき、さまざまなドライバーの面接へ行く中で、軽自動車運送の業務委託システムを知り、衝撃を受け、この事業を立ち上げたいと思うようになりました。
–なぜ、衝撃だったのでしょうか。
椎名氏:自分がやったらやっただけお金になる。つまり自分で収入を決めることができたからです。また、男女平等で経験も必要ありませんし、リストラや定年もありません。
軽貨物輸送であれば、自分でも困っている人たちの役に立てるかもしれないと思い、2013年の2月にドライバーから始め、その年の12月におもてなし便として法人化しました。
運送業界のイメージを変えたい
–長期的な目標について教えてください。
椎名氏:長期的には運送業界を変えるような立場になりたいと思っています。というのも、世間的にはドライバーという仕事のイメージは正直よくないと思うのです。
しかし、実際ドライバーとして働くと、収入もよく、自分で自分の収入を決めることもできる、とても魅力的な仕事だと思っています。働く側もうれしいですし、お客様にも喜んでいただける。
この魅力的なドライバーの仕事を盛り上げるような、運送業界を作るような会社になりたいですね。
–そのために、ここから1、2年のうちにどういった取り組みをしていきたいと考えていますか。
椎名氏:やはり、多くの人にドライバーという仕事の魅力を知ってもらえるような取り組みをしていきたいですね。
弊社は未経験の方を多く採用しているんです。なので、これまでも運送業界に携わっていない方にも魅力が伝わるように説明会を開いたり、それをYouTubeに投稿したりしていました。今後もこの取り組みを継続していき、さらに別の取り組みも展開していきたいと考えています。
–ありがとうございます。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
椎名氏:運送業界は安定成長している非常に仕事がある業界なので、見方を変えれば、運送業を会社として、また別事業として考えてもいい業界だと思うのです。実際に赤字だったけれど、運送業を始めてV字回復した会社がいくつもあります。
これをご覧になっている方々の中で、何かお役に立てることがあれば、ぜひご連絡ください。お待ちしております。
執筆=山田
校正=笠原