株式会社ふらここ
原 英洋
POSTED | 2015.06.04 Thu |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:卸売業・小売業 創立:15年以上 決裁者の年齢:60代 商材:BtoC |
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時代のニーズに合ったモノづくりで人形文化を継承する
業界に新風を吹き込み、未来の伝統を創造するTopics
株式会社ふらここ 社長 原 英洋氏のONLY STORY
自らが理想とする人形づくりを目指して。辿り着いた起業への道。
私が経営する株式会社ふらここは、雛人形と五月人形を製造・販売しています。はじめに、私が起業に至った、その経緯からお話いたします。
私は祖父の代から続く人形師の家系で生まれ育ち、自らも3代目として、会社経営に携わっておりました。しかし働く中で、当時の人形業界のあり方に、徐々に疑問を抱くようになったのです。
今でも人形業界は、作り手と売り手が完全に分離しており、人形専門店は、メーカーから雛人形や五月人形の各パーツを仕入れて、それを組み合わせて販売しています。それゆえ、それぞれのお店が販売している人形は、パーツの組み合わせが違うだけですから、お客さまは、お店を何軒か巡るうちに同じ様な見た目の人形に出会います。そのためお店側としては、最終的に値引きによってお客さまに買っていただくという売り方が定着化してしまいました。
また、お客さまから何か人形に対するご要望があっても、作り手と売り手が分離した業界構造であるため、なかなかお客様の声が商品に反映されないのです。
多くの人形専門店が、倒産、廃業していく中、私はそんな人形業界に対して希望を見失いかけていました。
しかしそんな折、転機が訪れます。それはお客さまの年齢層の変化でした。それまでは祖父母が人形を選んで孫に贈っていたのに対し、徐々に若いお母さまが購入決定権をもつようになりました。そうすると当然、買う人形の好みも変化します。当時は人形と言えば、細面で彫りの深い美しい顔が主流でしたが、若いお母さまが人形を選ぶようになってからは、幼い可愛らしい顔の方が人気を集めるようになったのです。
そのことに気がついた私は、職人たちに、人形制作の方向性を変えるべきだと進言しました。しかし、彫りの深い造形を作ることに誇りを持っている職人たちに受け入れてもらうのは簡単なことではなく、「お客さんに迎合するのか」と真っ向から反対されてしまったのです。
このような経緯を経て、ついに私は、自分の目指す人形づくりを実現するために、会社を離れることを決意しました。こうして、自分に賛同してくれる若い職人たちを集めスタートしたのが、株式会社ふらここです。
お客さまの声を反映することにこだわり抜いた人形づくり
株式会社ふらここでは、かわいらしい赤ちゃん顔の雛人形や五月人形を製造・販売しています。
現在では、人形を選ぶのは若いお母さまが中心です。こうした若いお母さまのご要望にお応えするため、弊社では社員の9割が女性社員で構成されています。それは性別が同じで年齢も近い女性社員の方が、お客さまのニーズをストレートに把握でき、より商品づくりに反映させやすいと考えたからです。
また、インスタグラム等のSNSを活用した若いお母さま向けの情報発信も、女性社員の大切な仕事です。
その他、品質の高い人形づくりに女性の力は欠かせません。
一般的に人形業界では、ひな祭りや端午の節句の直前に仕事が集中してしまい、短期間で急ぎ仕事をするため、どうしても人形の品質にムラが生じてしまいます。それに対して、私たちは人形発売の約2年前から企画に着手し、常に前倒しで仕事を進めることで、365日安定した生産を続けられる体制を作り上げました。人形は一つひとつ手作りであるため、機械のような100%の精巧さはありません。しかし安定した生産体制を作り、女性社員がきめ細かい仕事を行なうことで、品質が安定し、お客さまによりご満足いただける人形を提供することができています。
また、職人には敢えて8割方の完成度で製造を留めてもらい、最終仕上げは自社内で行うようにしています。整髪など微妙な調整が必要な作業は、やはり弊社の女性社員の方が細かく丁寧な仕事をしてくれます。こうして適材適所で仕事を進めることで、人形のクオリティは格段に向上しました。
このようなたゆまぬ努力により、平均クレーム率が約1割という人形業界で、弊社ではクレーム率はほぼゼロに近づき、昨年の11月1日には1日で635件のご注文をいただけたり、完売して購入することができなかった約1000人のお客さまが、お子さまの初節句を遅らせて1年待ってでも購入してくださるといった、半ば「非常識」ともいえる程のご支持をいただいています。
伝統のバトンを次の世代へ。未来永劫、人々が人形文化を楽しむために。
今後とも、よりいっそうお客さまの声を反映した人形づくりを心掛けていきたいと考えています。そのための1つの取り組みとして、現在、お客さまが自由に人形のパーツを組み合わせることができるカスタマイズシステムを構築中です。より選択肢の幅を広げることにより、お客さまのご満足度も更に向上できると考えています。
しかし、こうした取り組みを成功させるためには、それぞれのパーツの在庫管理や、生産ラインの整備等、克服しなければならない課題がたくさんあるため、そうした課題を一つひとつ解決し、今後5年のうちに事業体制を整えていく計画です。
私たち株式会社ふらここの使命は、この伝統ある人形文化を、次の世代にしっかり継承していくことだと考えています。ひな祭りも端午の節句も1000年を超える歴史をもっていますが、その陰には、常に伝統を守りつづけてきた人達の存在がありました。こうした方々のお陰で、私たちは今でも人形文化を楽しむことができています。
そうした志を引き継ぎ、人々の想いを大切に汲み取りながら、いかにお客様に喜んでいただける人形を作り続けることができるか。そして、人形を飾ってわが子の成長を祝っていただくことで、人々がいつまでもひな祭りや端午の節句を楽しめるようにすることが私たちの存在意義だと考えています。
そして、一緒に働いてくれる仲間も大募集中です。私たちの想いに共感してくださった方には、ぜひ一度、弊社の門戸を叩いていただければとても嬉しいです。あなたも、伝統のバトンを未来へ繋ぐ立役者になりませんか。
私たちはこれからも、時代のニーズに合ったモノづくりに積極的に取り組み、未来の伝統を創造し続けていきたいと考えています。