電話やネットを活用した営業活動が主流となる中、手紙を活用すると差別化できます。しかし、電話やメール、問合せフォームなどの手軽な営業手段に比べ、手紙を書いて送る作業には時間と労力がかかるため、営業に活用できていない方も多いはずです。
この記事では、営業担当者が手紙を活用するべき理由と、効果的な活用シーン、シーン別の例文を紹介しています。営業でなかなか成果が出せずに悩んでいるなら、ぜひ参考にしてください。
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電話やネットを活用した営業活動が主流となる中、手紙を活用すると差別化できます。しかし、電話やメール、問合せフォームなどの手軽な営業手段に比べ、手紙を書いて送る作業には時間と労力がかかるため、営業に活用できていない方も多いはずです。
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営業ツールがデジタル化していく一方で、手書きによる手紙は依然として効果的な営業手段です。手紙を活用すべき理由は主に3つあります。
企業には日々大量にメールが届くため、送った営業メールが件名だけ見て開封されずに削除されてしまうことは少なくありません。一方、手書きの手紙は開封しなければ内容が確認できないため、開封してもらいやすい傾向があります。手紙の宛名を決裁者にしておけば、決裁者に直接読んでもらえる可能性が高まります。
手紙で特別感を演出することによって、非接触でも信頼関係を構築しやすいという特徴もあります。手紙の文面はもちろん、手書きの文字、封筒や便箋からも真心が伝わるため、デジタルでのやり取りに比べ、こちらの人柄も伝えられます。
手紙は投函してから先方に届くまでに時間がかかるため、緊急の連絡には向きません。また、手紙を書いて出す作業に時間と労力がかかるというデメリットもあります。そのため、手紙だけで営業活動をするのではなく、効果的な場面に絞って上手に手紙を活用していくことが重要です。
タイミングを見極め営業先に手紙を送ることは、アポイントの獲得や顧客との関係構築につながります。手紙を活用すると効果的とされるシーンは、主に以下の4つです。
それぞれのシーンについて解説していきます。
新規顧客や既存顧客へ自社の商品やサービスの営業をする場合、手紙を活用すると効果的です。営業メールやテレアポは内容を確認する前に門前払いされることが多いですが、手紙であれば内容を確認してもらえる確率が高いです。また、手紙であれば決裁者に直接届く可能性が高いため、決裁者との商談のアポイントが獲りやすくなります。
特に新規顧客を開拓する場面では、先方との信頼関係が全くない状態から商談のアポイントを獲得しなくてはなりません。メールや電話より人柄を感じさせる手書きの手紙を活用すると、先方に興味を持ってもらいやすくなります。
企業から問合せをいただいた後や企業への訪問を行った後には、お礼の手紙を送ると効果的です。問合せや訪問後の対応は、成約につながるかどうかに影響します。丁寧なお礼の手紙を送ると、顧客の印象に残りやすく感謝の気持ちも伝わり、成約につながる可能性も高くなります。
もし成約に至らなかった場合も、お礼の手紙が先方の手元に残るため、きっかけがあれば先方から再び連絡がくることも考えられます。
手紙は郵送してから届くまでに時間がかかるため、問合せや訪問後はすぐにお礼のメールを送り、その後、改めて手紙を送ることをおすすめします。
契約が成立した後には、お礼の手紙を送ると効果的です。一度契約した顧客と良好な関係を保つことも営業の重要な仕事です。既存顧客に商品やサービスを利用し続けてもらうことや、自社の他の商材も導入してもらうことは、自社の業績アップにつながります。
成約後にメールや電話にてお礼を伝えることは一般的なビジネスマナーですが、手紙を送ればより一層、感謝の気持ちや今後もフォローしていく意思を伝えられます。
成約した後はできるだけ早くお礼の手紙を送りましょう。当日、もしくは翌日に投函することが理想的です。問合せや訪問後のお礼と同様に、まずメールでお礼を伝えておき、改めて手紙を送ると丁寧な印象を与えられます。
担当者が異動や退職するときには、前任者が顧客に挨拶の手紙を送りましょう。現代ではメールにて挨拶を済ませることも多いですが、担当の変更は相手との関係性が希薄になりやすいタイミングです。そのため、顧客と後任の営業担当者との信頼関係を保てるように手紙を郵送することをおすすめします。
異動や退職する前任者から、これまでお世話になってきたお礼と共に後任者を紹介すれば、顧客は新しい担当者へきちんと引き継ぎされるのだとわかり、安心できます。
関係性構築を目的に手紙を書きましょう。でしょう。
ここからは実際に手紙を書く時の例文を、シーン別に紹介していきます。そのまま使うのではなく、送る相手に合わせ文面を適宜変更して使用してください。
まずは、新規開拓で送る手紙の例文を示します。先方は自社のことを何も知らない状態で手紙を読み始めるため、手紙を送った経緯や自社の紹介を冒頭で説明し、相手の警戒心を解くことが重要です。売りたい商材の説明は長々とせず、関係性構築を目的に手紙を書きましょう。
拝啓 (時候の挨拶)、貴社ますますご繁栄のことと心からお喜び申し上げます。 初めまして。突然のお手紙となり申し訳ございません。 私、株式会社□□の△△と申します。 貴社のホームページを拝見し、今後の課題解決に弊社がお力添えできるのではないかと思い、ご連絡差し上げております。 弊社では、事業を効率化させる◯◯というサービスを提供しております。これまで導入した○社では、業務効率が平均◯%上がったという実績があります。弊社のサービス導入が、きっと貴社のお役に立てると存じます。ぜひ一度、直接お話をお伺いできる機会をいただけませんでしょうか。 ご多忙のところ恐れ入りますが、◯月◯日◯◯時頃、弊社の△△よりお電話を差し上げます。 その際に、貴社のお困りごとなど詳しくお伺いができますと幸いです。 何卒、よろしくお願い申し上げます。 敬具 |
既存顧客に手紙を送る場合は、関係性に合わせた挨拶をするのがポイントです。例えば「平素は格別のご愛好をいただき」というフレーズは、現在取引をしている企業には適していますが、久しく取引がなくなっている企業には適しません。
取引の経験はあるけれどしばらく取引がない企業には「ご無沙汰しております。以前は弊社の〜をご利用いただきありがとうございました。その後、お困りのことはございませんでしょうか」などと近況を探るフレーズから書き出すようにしましょう。
拝啓 (時候の挨拶)、平素は格別のご愛顧を頂き厚くお礼申し上げます。 本日は弊社からご面談のお願いをしたく、お手紙を差し上げております。 弊社では〇月に新サービス〇〇をリリースいたします。このサービスは請求業務を代行するもので、業務効率化やコスト削減を実現します。このサービスを導入いただければ、貴社で現在かかっている請求作業の工数を大幅に減らせる可能性がございます。 ぜひ、〇〇様と一度お話しさせていただく機会をいただければと存じます。 〇月〇日〇〇時にご連絡致しますので、その際にご面談が可能な日程をお伺いできますと幸いです。 お忙しいところ大変恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 末筆になりますが、貴社のますますのご活躍を心からお祈り申し上げます。 敬具 |
訪問・商談後に送る手紙の例文を紹介します。商談後にはすぐに手紙を送り、顧客に「契約後にも手厚くケアしてくれる企業だ」という印象を与えましょう。例文は訪問して商談した場合の文面となっていますが、一部を変更してオンラインでの商談の後に送る手紙としても使えます。
拝啓 時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 先日は突然の訪問にもかかわらず、貴重なお時間を割いていただき誠にありがとうございました。 貴社の事業への取り組みについて直接お話をお伺いし、大変な刺激と感銘を受けました。 先日ご提案させていただいた弊社サービス◯◯が、貴社の抱える課題を解決し、さらなる事業拡大にお力添えできると考えております。近日中にお見積もりをお送りいたしますので、ぜひ、導入をご検討いただけますと幸いです。 また、先日のご説明の中でご不明点、ご質問がございましたらいつでもお問合せくださいませ。 今後とも格別のお引き立てを宜しくお願い申し上げます。 敬具 |
成約後に送る手紙の例文を紹介します。丁寧な手紙を送り顧客と強固な信頼関係を築くことにより、顧客とつながりのある企業へ自社を紹介してもらえる可能性があります。
拝啓 貴社、ますますご発展のこととお慶び申し上げます。 この度は、たくさんの企業の中から弊社とご契約をしていただき、誠にありがとうございました。 今回ご契約をいただきましたサービスは◯◯という点において、貴社のお役に立つことが可能です。貴社が目標とされている◯◯を達成するために、私を含め弊社一丸となって尽力して参ります。ご不明点がございましたら、どのようなことでも構いませんので、なんなりと私△△までお申し付けください。 また、今回、〇〇様にご商談の機会をいただき、細かな心遣いに大変感謝をしております。今後とも何卒、末長く宜しくお願い申し上げます。 感謝の気持ちを込めて、お手紙にてお礼のご挨拶とさせていただきます。 敬具 |
異動や退職の挨拶で送る手紙の例文を紹介します。担当者が変更となっても顧客と自社が良好な関係であり続けるために、いつから誰に担当者が引き継がれるのか、今後のスケジュールを記載して先方を安心させましょう。また、例え顧客と気軽な関係になっていたとしても、異動や退職の挨拶はきっちりとした丁寧な文面で書きます。
拝啓 貴社におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 さて、私事で恐縮ですが、一身上の都合により、◯月◯日をもちまして退職させていただく運びとなりました。 ◯◯様にいつも温かいお言葉を頂戴いたしましたこと、深く感謝しております。特に、弊社サービス「◇◇」を導入させていただく際には、大変お世話になりました。次の職場でも貴社とお仕事をさせていただいた◯年間の経験を糧に、精進して参ります。 今後は同じ課の△△が、貴社の担当を努めさせていただきます。近日中に△△からも挨拶のご連絡を差し上げます。 略儀ながら、書面をもちましてご挨拶申し上げます。 末筆になりましたが、◯◯様のご健康、ご多幸を心からお祈り申し上げます。 敬具 |
ここからは、手紙を書く際に注意すべき点について解説をします。よい印象を与えたくて書いた手紙が逆効果とならないよう、以下3つの点に注意しましょう。
シチュエーションによって、手紙とハガキのどちらが効果的かは変わります。一般的にビジネス書類は封書で送ることが常識とされていますが、以下の5つの連絡はハガキで送った方がよいとされています。
ハガキは封書の略式であるため、基本は親しい相手に送るものです。面識のある相手への暑中見舞いや年賀状は、ハガキで送ると親しみを感じさせる効果があります。贈答品へのお礼などを取り急ぎ送る場合も、封書ではなくハガキで問題ありません。お礼に関しては、あとから封書、電話、対面などで追加で連絡することが望ましいでしょう。
一方、面識のない相手にいきなりハガキを送るのはマナー違反です。最初の挨拶は丁寧に封書で送りましょう。また、既存顧客への連絡も契約内容などに触れるものは、外部から閲覧できないよう封書にするのがマナーです。
手紙を書くときは、相手に合わせて内容を変えることがポイントです。誰に対しても同じ文章を送っていては、相手の心を動かすことはできません。
しかし、手紙は書いて郵送する作業にリソースが必要であるため、全ての文面を相手に合わせて変えていると膨大な労力がかかります。そのため、ある程度のテンプレートを作った上で、先方の情報に合わせて変更するパートを設けておくとよいでしょう。
例えば、顧客の事業内容や目玉のサービスについて触れた記述を入れたり、以前のやり取りを踏まえたお礼や近況のお伺いを記載したりすることで、オリジナルな手紙になります。
顧客に伝える内容は、間違いがないよう正確に書きましょう。間違った内容を送付してしまうと、トラブルが起きたり不信感を抱かれたりする原因となります。特に顧客の会社名や担当者名に誤りがあると失礼に当たるため、注意が必要です。
メールであれば文章を全て書き終わった後でも、送付前であれば簡単に情報を訂正できます。しかし、手紙は文章を書いた後に一部だけを修正することができず、書き直す必要があります。まずはパソコンで文面を作り、相手の情報や自社のサービス内容に誤りがないか、誤字・脱字がないかをしっかりとチェックしてから、便箋に書き始めましょう。
最後に、営業で手紙を利用する効果を最大化するコツを紹介していきます。
以下の3つのコツを押さえて、成果につながる手紙を書きましょう。
手紙の文面は挨拶を書く前文、用件を書く主文(本文)、最後の結びをする末文の3つのパートで構成されます。メールの場合、挨拶を「いつもお世話になっております」というフレーズで済ませることが多いです。
しかし、手紙の場合は「拝啓」という頭語に続き「(時候の挨拶)、貴社におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます」と相手を思いやる言葉を前文に書きます。
時候の挨拶とは、季節や天候に合わせた書き出しの言葉のことです。以下の表のように気候に合わせさまざまなフレーズがあるため、適宜相応しいものを記載しましょう。
春 | 桜花の候、春暖の候、新緑の候、梅雨の候、など |
夏 | 盛夏の候、猛暑の候、残暑の候、初秋の候、など |
秋 | 秋冷の候、霜降の候、晩秋の候、深秋の候、など |
冬 | 小寒の候、大寒の候、余寒の候、初春の候、など |
時候の挨拶を集めた辞典などもあり、手紙を書く機会が多い方は一冊持っておくと便利です。また、「拝啓」という頭語は「敬具」という末語とセットで使用することも忘れないようにしましょう。
忙しいなか手紙を読んでくれる相手のために、用件はわかりやすく端的にまとめましょう。
前文で挨拶を記載した後は、以下の内容を手短に書くと、こちらの意図が先方に伝わりやすいです。
自社の商品・サービスを紹介したい場合、細かな説明よりも先方にとってどのような導入メリットがあるかを端的に記載することが重要です。詳細の説明は、商談のアポイントが獲れたら改めて行いましょう。
内容だけではなく、文章の書き方にも気を遣いましょう。不適切な接続詞を使っていたり、句読点がなかったりする文章は、読んでいて非常にわかりにくいです。下書きの時点で同僚や上司に読んでもらい、わかりやすい文章であることを確認してから便箋に清書をすることをおすすめします。
顧客へ送る手紙は、文面はもちろん封筒の宛名と差出人まで全て手書きすることが望ましいです。印刷すれば時間や労力は短縮できますが、手紙の特別感が損なわれます。手書きすることにより、人柄や熱意を先方へ伝えられます。
手紙を書く筆記用具にも格があり、ボールペンより万年筆や筆ペン、毛筆の方が格が高いとされています。そのため、手書きの手紙は万年筆や筆ペンで書きましょう。どの筆記用具を用いた場合も、読みやすいよう丁寧に書くことが重要です。
手書きの手紙を書くには、時間や人員などのリソースが必要です。費用対効果を考え、場合によっては手紙の代行業者に依頼することも検討するとよいでしょう。
手紙は顧客との関係を構築するために有効な手段の1つです。手紙を上手に活用できれば、営業成績の向上につながります。特に大手企業に日々、大量の営業メールが届いているため、メールを送っても内容を確認してもらえるとは限りません。大手のアポ獲りをしたい場合は、手紙を送ることで興味を持ってもらえる可能性があります。