最終更新日: 2023.04.10

BtoB営業を取り入れて業績の向上を図りたいが、自社サービスがBtoB営業に適しているか、あるいはさまざまなBtoB営業手法から何を選択していいのか、わからない方もいることでしょう。

そこでこの記事では、BtoB営業の成功例や注目されている営業手法、メリット・デメリットなどを紹介します。

BtoB営業とは

BtoB営業とは、企業を相手に実施する営業です。BtoBとはBusiness to Businessの略称で、企業間取引や法人営業とも呼ばれます。一方、BtoC営業は一般消費者に対して実施する営業です。

BtoB営業は、1件あたりの受注額が高い、クロスセルが望める、リードタイムが長い、決裁者とのアポイントが難しいといった特徴があります。成功すれば企業の業績の安定や向上につながりますが、その分BtoC営業と比べて難易度が高いと言えます。

BtoB営業で注目のThe Model

The Modelとは、セールスフォース・ドットコムによって提唱された手法です。The Modeとは、営業プロセスをマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4つの段階に分類し、それぞれの専門性を高めた営業モデルのことを指します。

新規開拓のための見込み顧客のリスト作成からターゲティング、商談アポイントの獲得、商談、提案、契約後のフォローなど、マーケティングからカスタマーサクセスまでを専門性の高い担当者で分業することによって、従来の営業モデルで問題視されていた個々の営業担当者の負担を軽減し、効率的な営業展開ができます。加えて、各営業プロセスの質を高めて、BtoB営業において最も重要とされる顧客生涯価値(LTV)を最大化できます。

BtoB営業では、The Modelの考えを取り入れることにより営業活動全体の成果につながるでしょう。また、営業プロセスの中で自社でカバーしきれない特定の業務を外注化したりツールで補ったりすることも重要です。

BtoB営業を活用する3つのメリット

BtoB営業の導入によって、次の3つのメリットが得られます。

  1. 売上の安定・向上につながる
  2. クロスセル・アップセルにつながりやすくなる
  3. 解約されにくい

それぞれについて解説します。

1.売上の安定・向上につながる

BtoB営業では、1つの受注が売上の安定や向上につながります。相手の企業規模に応じて受注金額も大きくなるためです。

BtoC営業では、1つの受注で売上の安定を図ることは難しいため、BtoB営業を導入する企業は少なくありません。取扱サービスの特徴やニーズを見定めてBtoB営業に取り組むことによって、売上の向上につながるでしょう。

2.クロスセル・アップセルにつながりやすくなる

BtoB営業で大手企業の受注を1つでも獲得できれば、他部署にサービスを展開できる可能性があります。営業先の人事部でコミュニケーションツールを提案して受注を獲得した場合、他の部署へ導入してもらえる可能性があるでしょう。組織の中で異なるコミュニケーションツールを使用すると、情報共有が行いづらく、プロセスが混乱する可能性があるためです。また、より使いやすく、複数の機能を求めて上位プランに変更される場合もあります。

これは、コミュニケーションツールのほか、請求システムや営業をサポートするツールなどに対しても同じことが言えます。ツールやシステムの統一による利便性を理解してもらうことで、さまざまな部署でサービスを導入してもらいやすくなるでしょう。

3.解約されにくい

BtoB営業で1度契約に成功すると、解約されにくいという特徴があります。解約するには、企業内での協議が必要な場合があり、時間や労力が必要になります。加えて、解約したサービスを補うために再度別のサービスの導入を検討し、選定するための手間もかかります。

契約を継続してもらえれば安定した売上につながるため、契約後も定期的にコミュニケーションを取り、顧客に寄り添いフォローすることが重要です。

BtoB営業を活用するデメリット

BtoB営業を活用するデメリットは、2点あります。

  • 決裁者アポイントの獲得が困難
  • 承認ルートが複雑でリードタイムが長い

2つのデメリットについて解説します。

決裁者アポイントの獲得が困難

BtoB営業では、決裁者アポイントを獲得するのが難しいでしょう。アプローチした相手の最初の担当者は、受付係や担当部署の一般社員など、決裁権を持っていない場合が多いためです。決裁者とは、サービスの導入や購入の決定権を持つ人物のことで、一般的には企業の部長以上の役職に決裁権が与えられています。

テレアポやメール営業など通常考えられる営業方法では、決裁者アポイントの獲得を効率的に行えません。企業の規模が大きくなるほど、決裁者とのアポイント獲得の可能性は低くなります。

決裁者に直接提案できれば、受注獲得までがスムーズにいく可能性があります。そのため、決裁者に直接アプローチできるBtoB営業のやり方を把握しておくといいでしょう。

承認ルートが複雑でリードタイムが長い

大企業へアプローチすることもあるBtoB営業では、複雑な承認ルートによるリードタイムの長さがデメリットとなります。サービス導入の最終的な権限は決裁者にありますが、大企業では決裁者に至るまで複数の承認者が設けられていることが多く、中には稟議が必要な企業もあるからです。

リードタイムが長くなれば顧客の購買意欲が下がり、受注に至らないこともあります。リードタイムをできるだけ短くするには、一般の担当者との商談においても決裁者に届くような情報を盛り込んだ質の高い提案を行ったり、企業の購買プロセスを把握したりすることが重要です。

営業先のコーポレートサイトやSNSの調査などのマーケティング施策を実施し、顧客情報を蓄積・分析することによって、顧客情報や顧客の購買プロセスを把握しましょう。

BtoB営業の成功例10選

ここでは、BtoB営業の成功例10選を紹介します。企業の課題に対してどのようなBtoB営業施策を行ったのか詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1.Webコンテンツのブラッシュアップによって見込み顧客を獲得

ソフトウェア販売と、そのソフトウェアを活用する技術支援をパッケージとして提供するIT企業では、見込み顧客の獲得を目的に、自社サイトのコンテンツを拡充していました。PV数は増加したものの、見込み顧客の獲得にはつながりませんでした。

ページに訪れる人は多いものの、作成したコンテンツに興味を持つ人が少なく離脱率が高かったことが原因です。CV(コンバージョン)を獲得するためには、離脱率が高い箇所を特定して改善する必要がありますが、自社にはWeb担当者が少なく、ノウハウも蓄積されてなかったため、デジタルマーケティング会社にコンサルティングを依頼しました。

自社でノウハウの蓄積もしていくため、自社でマーケティング部署を新設し、コンサルティグのもとコンテンツを作成し直したところ、CVが増加し新規顧客が以前より獲得できるようになりました。獲得した新規顧客の20%はWeb経由でした。

コンテンツはただ作成するのではなく、顧客のニーズを分析して適切な箇所で行動喚起することが重要だとわかる事例です。

2.インサイドセールス導入による業務効率化でアポ獲得率が増加

クラウドセキュリティサービスを提供する企業は、十分な顧客分析や市情調査が行えていませんでした。ユーザーの増加やマーケットの拡張スピードに対して、既存の営業担当者ではリソースが足りなかったことが原因です。獲得できるはずの顧客を逃す状況が続いたため、既存の企業体制や営業手法を変える必要がありました。

そこで、フィールドセールスの一部の人員をインサイドセールスに割り振り、市場や顧客の動向を調査、分析し、明確化したターゲットのニーズに合った施策を立てたところ、商談アポイント件数の増加につながりました。フィールドセールスが減った分、アウトバウンド営業も減りましたが、顧客を詳しく調査、選別することによって営業の質が上がった事例です。

3.Webサイトの制作・運営の依頼によって商談アポイントを創出

プラスチック製品や建設資材の生産・販売を行うとある会社は、見込み顧客への電話によってアポイントを獲得し、クロージングに至るまでのプロセスを構築していました。しかし、たまたま相手にニーズのあるタイミングで獲得したアポイントしか案件化できず、営業効率の悪さに悩んでいました。

そこで、効率よく新規顧客を獲得するため、Webサイトの制作・運営をマーケティング会社に依頼すると、毎月1〜2件だった問合せが5件以上に増え、テレアポによるアウトバウンドだけでなく、インバウンドによる見込み顧客の獲得ができるようになりました。

Webサイトでは、問合せフォームの改善やサンプル請求のボタンを設置することによって、これまでよりも多くの顧客へサービスを認知してもらい、問合せのハードルが下がりました。加えて、サンプル請求があった顧客をトラッキングして、確度の高い顧客にアプローチできたことが成功の要因です。

4.営業代行の活用によって新規事業の立ち上げに成功

SaaSのサービスを提供するとある企業は、新しい営業体制を構築できずに悩んでいました。営業担当者の退職によって販売シナリオの設計や営業手法の立案、提案資料など、営業活動に必要な開発力が不足していたためです。

新規事業立ち上げに必要な営業ノウハウはありませんでしたが、営業開発担当者によるビジネススキームの構築は進んでいたため、営業代行に依頼して同分野の立ち上げ経験のある専門の担当者のサポートを受けました。

すると、ターゲット選定からリードの獲得、商談アポ獲得まで効率的に実施できるようになり、営業プロセスの構築や営業ノウハウの蓄積がスムーズに進むようになりました。オンライン商談ツールやSFA(営業支援)ツールを活用したことによって、進捗のリアルタイムな共有、営業活動の可視化がスムーズになったためです。

BtoB営業の新規事業の立ち上げにおいても、実績のある営業代行の活用は有効だと言えます。

5.Webサイトからの資料のダウンロードによって売り上げが向上

複合機やプロジェクター、ウェブ会議システムなどITソリューションを取り扱う会社は、フィールドセールスを中心に営業を展開していました。しかし、取扱製品の数の多さに対して紹介する営業担当者が不足しているうえ、顧客の購買行動は変化しているため、デジタルの活用による新しい営業プロセスが必要とされていました。

同社のBtoC向けのWebサイトは以前から充実していましたが、BtoB向けのWebサイトには力を入れていませんでした。そこで、Webサイト上に資料のダウンロードボタンを設置し、Webコンサルティング会社によるSEO知識やステップメールの活用法などを学ぶ研修を行いました。すると、各製品の問合せは前年よりも2倍以上増加し、売上も20%以上向上しました。

フィールドセールスを中心に行っていた頃よりも個々の業務量は減少し、人材不足の解消にもつながりました。

6.インサイドセールスとSFAツールの導入により業務プロセス可視化

とある建設会社は、競合の増加によって受注数が低迷していたため、営業力を強化する必要がありました。しかし、営業活動は担当者個々のスキルに依存している傾向があり、若手社員へノウハウを共有できていませんでした。部署内で顧客情報が共有できていないことや、営業活動を可視化するシステムが社内になかったことが原因です。

そこでインサイドセールスとSFAツールを導入し、各顧客を契約状況ごとにセグメントで分け、進捗管理を行いました。すると、案件の進捗状況が容易に整理できました。セグメント分けした情報を基に、顧客に優先順位をつけて顧客情報を可視化したところ、ニーズに沿った提案ができるようになりました。加えて、若手社員はSFAツールを使ってベテラン社員のテレアポ数や訪問数、提案商材数などの行動を確認でき、ノウハウを共有できました。

会社名や所在地、電話番号、担当者名、役職などの基本情報のほか、顧客との接触履歴がひと目で把握できるSFAツールは、インサイドセールスを成功させるのに効果的です。

7.展示会で獲得していた見込み顧客をWebと蓄積したデータでリカバリー

電子機器や医療機器、産業ロボットなどの制御システムを取り扱うとある会社は、見込み顧客の獲得に悩んでいました。これまでは、展示会で集めた名刺から営業リストを作成して、テレマーケティングやメルマガ配信でアポイントを獲得していましたが、新型コロナウイルスの影響によっては展示会が行えなくなったためです。

そこで、非対面でも見込み顧客を獲得できるようにWebコンサルティング会社にウェブマーケティングの強化を依頼しました。既存のWebサイトを分析し、離脱するポイントを修正したうえで、資料ダウンロードボタンを設置しました。加えて、蓄積してきた営業リストやノウハウなどを活用し、パターン化していたメルマガを改良して配信しました。すると、問合せやCVの件数が新型コロナウイルス拡大以前よりも向上しました。

BtoB営業で新しいプロセスを構築する際、これまで蓄積してきたデータを活用することによって、効率的に促進できることもあります。

8.マーケティング部署の立ち上げによるWeb施策でPV・CVが向上

システム・ソフトウェアエンジニアリングを提供するとある会社は、さらなる業績の拡大を目的としていましたが、人的リソースが不足していました。そのため、従来、人の手で行っていた展示会やセミナーによるリード獲得だけでなく、Webを活用したデジタル営業の強化が求められていました。

従業員を増やさずWebを活用した営業を促進するため、Webコンサルティング会社に依頼し、マーケティング部署を構築したところ、およそ5年でWebサイトのPVは8倍以上、CVは10倍ほど向上しました。Webサイトの製品紹介コンテンツのブラッシュアップや、SEO視点でのコンテンツ制作、MA(マーケティング・オートメーション)ツールの活用などによって、見込み顧客を獲得できるようになったのです。加えて、商談を創出するためにオンラインセミナーを実施したことによって、顧客育成ができたことが要因です。

この事例からは、営業の人員が増やせなくてもデジタル施策を実施することで、業績の拡大につながることがわかります。

9.SFAツールの導入による引き継ぎや情報共有の効率化

通信教育や教材販売などの教育サービスを提供する企業は、営業力をさらに強化するための改革を実行するにあたり、営業現場における情報の集約に関する課題を抱えていました。同社ではジョブローテーション制度を導入しており、定期的に部門異動が行われる一方で、営業情報を引き継ぐ仕組みがありませんでした。

同社が取り扱うサービスにおいて、精度の高い営業活動の量が売上に影響を与えるため、データを活用した効率的な営業活動の仕組みづくりが必要でした。

そこで、SFAツールを導入したところ課題だった情報の引き継ぎが容易に行え、営業情報の属人化を解消できました。営業に関する情報がツール内で一元管理され、情報を可視化できるようになったことに加えて、外回り営業の際にもスマートフォンアプリで情報の入力ができるようになったため、情報共有がスピーディーになりました。

社内の情報共有を効率化し、営業活動の属人化を防ぐためには、SFAツールの活用が有効です。

10.質の高い営業代行の活用で確度の高い商談アポイントを創出

シフト勤怠管理ツールやチャットボットを提供する会社は、受注数が伸びずに悩んでいました。以前から活用してきたテレアポ代行によって商談数自体は多かったものの、受注につながる質の高いアポイントが多くありませんでした。アポイントの獲得数で報酬が決まる「成果報酬型」で営業代行を契約していたことが1つの要因として考えられます。

そこで、月額固定報酬型の営業代行会社を利用し、手紙営業と架電を組み合わせるなど、複数のアウトバウンド営業を実施しました。すると、アポイント獲得数増加や受注につながる質の高いアポイントが獲得できるようになりました。また、質の高い顧客の獲得に成功したことによって、アップセルやクロスセルの実現にもつながりました。

BtoB営業には決裁者マッチングサービスがおすすめ

決裁者アポイントの獲得が難しいBtoB営業を効率的に行うには、決裁者マッチングサービスを利用しましょう。決裁者マッチングサービスとは、企業の決裁者とのアポイントを仲介するオンライン上のサービスです。決裁者同士はもちろん、企業同士をマッチングして営業を支援します。

決裁者マッチングサービスは基本的にスマホからも操作できるため、相手へのアプローチやマッチング後の決裁者とのやり取りがスピーディーに行えます。営業活動の工数を削減して、効率的に新規開拓したい企業におすすめです。

決裁者とつながるには「チラCEO」の活用を

決裁者とつながり確度の高いアポイントを獲得したい場合は、「チラCEO」にご相談を。チラCEOとは、決裁者とのマッチングサービスを展開するプラットフォームである。IT・情報を中心に、広告・マーケティング、人材、卸売、建築・不動産、飲食・店舗、製造、医療など、幅広い企業の決裁者が登録している。

会いたい決裁者にメッセージやリクエストを送信したり、求めるニーズをタイムラインで送受信できたりするほか、決裁者に直接プレゼンできる登録者限定イベントもある。6,000人を超える登録者の中からターゲット企業の決裁者とマッチングできれば、BtoB営業の成功につながるだろう。

BtoB営業を推進して業績の向上を図ろう

BtoB営業を促進できれば、業績の向上や安定につながる。承認ルートが複雑でリードタイムが長くなることや決裁者アポイントの獲得が難しいことがデメリットとなるが、TheModelを参考に、自社に合った営業プロセスを構築することによって、成功につながるだろう。紹介した成功例を参考に、さまざまな営業施策を実施するといい。

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