最終更新日: 2023.09.27

インサイドセールスとは、見込み客に対して非対面で行う営業方法のことです。従来の方法では1人の営業担当者がすべての業務を担うため、営業活動や成果の属人化が懸念されます。しかし、インサイドセールスを導入すれば、複数の部署で情報を共有でき、属人化を防げます。また、見込み客(リード)の育成に専念できるため、より効率的に営業活動を進められるでしょう。

本記事では、インサイドセールスの概要やメリット、デメリットについて解説します。インサイドセールスの導入方法や成功させるポイントも解説しますので、導入を検討している方は参考にしてください。

インサイドセールスとは

インサイドセールスの基礎知識と、インサイドセールスと混同されやすい「フィールドセールス」と「テレアポ」との違いについて解説します。

インサイドセールスの概要

インサイドセールスとは、見込み客(リード)に対して非対面で行う営業活動、およびその部門のことです。手段としては電話やメール、Web会議ツールなどを利用します。従来行われていた営業方法とは異なり、訪問営業を行いません。新型コロナウイルスの流行によってリモートワークが広まったことから、導入を開始した企業が増加しています。

インサイドセールスでは、見込み客の育成に注力することが多い傾向があります。顧客に商材について詳しく説明し、購買意欲を高めてからフィールドセールスに引き渡すことが主な役割です。

フィールドセールスとの違い

フィールドセールスとは顧客の元に直接足を運び、契約を獲得する営業方法のことです。

従来の営業方法では、1人の営業担当者がリードのリスト作成から契約の受注までを行っていました。しかし、インサイドセールスを導入するにあたり、フィールドセールスと担当者を分ける分業型セールスモデルが普及しています。分業型セールスモデルでは、一般的に営業活動を以下の3つの分野に分けます。

  • マーケティング:ターゲット選定・リード獲得
  • インサイドセールス:顧客へのアプローチ・アポイント獲得
  • フィールドセールス:商談・契約

マーケティングで獲得したリードにインサイドセールスでアポ取りやプレゼンを行い、最終的にフィールドセールスによって受注につなげるというように、各分野に役割があります。

テレアポとの違い

テレアポとは、顧客との商談に向けてアポイント獲得のために電話をかける業務のことです。一方、インサイドセールスはリードの獲得や育成などを行い、自社内で設定している受注条件に合った商談先を獲得することです。つまり、テレアポはインサイドセールスの一種といえます。

テレアポは「何件に電話して、何件アポが取れたか」をKPI(目標)に設定することが多いです。そのため、最終的な売上や契約件数ではなく、短期間で効率よくアポを獲得することを目指して課題をブラッシュアップするのが一般的です。

しかし、インサイドセールスの場合は長期的に顧客の育成を行うため、短期間での検証はされません。顧客との関係性を構築するのが目的であるため、すぐにアポイントを獲得できない場合があります。

インサイドセールスの3つの役割

インサイドセールスの役割は、主に以下の3つです。

  1. 見込み客に優先順位をつける
  2. 見込み客との関係性を構築する
  3. フィールドセールスに情報を共有する

それぞれの役割について詳しく解説します。

1.見込み客に優先順位をつける

インサイドセールスでは、マーケティング部門が獲得した見込み客(リード)の中から、アプローチしていく企業の優先順位をつけます。

従来型の営業方法では担当者が1人ですべてを担うため、リードに優先順位をつけないことが多いです。そのため、ニーズを明確にできなかったり、受注率の低い顧客を優先的に営業したりといった効率の悪さが課題でした。

しかし、分業型のセールスモデルにすれば担当業務に集中できる環境が整うため、リードに対して優先順位をつけやすくなります。優先順位をつけることによって、受注率の高い顧客に絞って訪問営業をしたり、受注率の低そうな企業は電話やメールで関係構築したりといった対応ができます。

2.見込み客と関係性を構築する

見込み客と関係性を構築するのも、インサイドセールスの役割です。案件を受注するためには見込み客のニーズが顕在化するように、関係性を構築しなければいけません。顧客の元を直接訪問する機会がなくコミュニケーションが取りにくい面はありますが、接触方法を工夫し、よい関係性を築く必要があります。

例えば、電話やメールで小まめにやり取りして顧客が抱える問題にいち早く気付ければ、信頼の獲得につながります。インサイドセールスで顧客とよい関係が築ければ、フィールドセールスでの商談もスムーズに進むでしょう。

3.フィールドセールスに情報を共有する

関係性を築いた顧客の情報をフィールドセールスに共有することも、インサイドセールスの重要な役割です。例えば、以下のような情報を共有します。

  • 見込み客に関する基本情報
  • 見込み客から聞き出した情報
  • 見込み客の情報を確認した日付

顧客のニーズが高まった時点でフィールドセールスに情報を共有しなければ、契約獲得のチャンスを逃してしまいます。適切なタイミングで商談に持ち込むためには、日々のヒアリングから得た顧客の情報を社内で共有し分析することが成功の秘訣です。

インサイドセールスの種類

インサイドセールスは、「SDR」「BDR」の2種類に大別できます。ここでは、それぞれの概要について紹介します。

SDR(Sales Development Representative)

SDRとは反響型営業のことで、過去に取引のある企業やインバウンドによって獲得した見込み客に対して行う営業方法のことです。例えば、ホームページから問合せがあった場合に最初のアプローチを行うのがSDRとされています。

SDRによる接触が顧客との関係性を構築する第一歩となるため、担当者のコミュニケーション能力やヒアリング力が重要といえるでしょう。また、顧客の購買意欲が低下しないうちに適切なアプローチを行わなければいけないため、スピード感を持って業務を遂行する必要があります。

BDR(Business Development Representative)

BDRとは新規開拓型営業のことで、電話やメールなどで自社から営業活動を行う方法です。SDRは顧客からのアプローチから関係性を構築するのに対して、BDRは自社からアプローチをします。

BDRのターゲットとなり得る企業は、主に以下のとおりです。

  • 積極的に売り込んでいきたい企業
  • アクションを起こさなければ、つながりを得にくい企業
  • 認知を獲得しづらい企業

BDRはSDRとは異なり、事前に得られる顧客情報が多くありません。そのため、企業調査を念入りに行ったり、計画的な営業戦略を練ったりする必要があります。なお、アプローチ方法としては企業の代表番号に電話をかけたり、IR情報から調べた決裁者にメールや手紙を送ったりするのが一般的です。

インサイドセールスを導入するメリット4つ

インサイドセールスを導入するメリットは、主に以下の4つです。

  1. 効率的に営業活動を行える
  2. コストの削減につながる
  3. 人材が確保しやすい
  4. 属人化を防げる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

1.効率的に営業活動を行える

インサイドセールスを導入するメリットの1つ目は、効率的な営業活動を行えることです。インサイドセールスは内勤業務であるため、活動範囲やエリアを限定する必要はありません。移動時間も必要ないため、顧客とのコミュニケーションにより時間をかけられます。

また、インサイドセールスの段階で見込み客の育成を行えるため、フィールドセールスでの成果も上げやすくなります。成果につながりにくい顧客へ労力を割くことがなくなり、より多くの顧客に効率的に自社の商材をアピールできるようになるでしょう。

2.コストの削減につながる

インサイドセールスを導入するメリットの2つ目は、コストの削減につながることです。先ほども紹介したとおり、インサイドセールスは内勤営業であるため移動時間や移動費などは発生しません。費用対効果の高い営業活動を目指してインサイドセールスを導入した企業も多いです。

3.人材をが確保しやすい

インサイドセールスのメリットの3つ目は、人材の確保のしやすさです。従来の飛び込み営業にはネガティブなイメージを持たれがちです。多くの企業に足を運ぶ必要があるため、苦労の多い業務だと考える人もいるでしょう。実際に飛び込み営業をしても門前全払いとなることは多く、成約率は低い傾向があります。

しかし、インサイドセールスであれば、オフィスに通えない距離に住んでいても勤務できます。遠方の顧客に対しても、わざわざ訪問する必要がないため、働く場所を選びません。つまり、インサイドセールスなら、居住地に関わらずスキルのある担当者を採用することができます。そのため、人材不足の解消にもつながるでしょう。

4.属人化を防げる

メリットの4つ目は、属人化を防げることです。属人化とは、ある業務について特定の人しか進捗状況や情報を把握できていない、または対応できない状態のことを指します。営業活動であれば、誰がどこに営業しているかわからない、どのようなアプローチをしているのかわからないといった状況のことです。

従来の営業方法では1人ですべてを担っているため、属人化が起きやすいとされています。しかし、インサイドセールスを導入すればすべての情報がフィールドセールスと共有されるため、属人化が起きる可能性は低くなります。

インサイドセールスのデメリット3つ

インサイドセールスのデメリットは、主に以下の3つです。

  1. 部署間での連携が必須である
  2. 顧客と信頼関係を築くのが難しい
  3. 営業の難易度が上がる

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

1.部署間での連携が必須である

インサイドセールスは、マーケティング部門やフィールドセールス部門との連携が必須です。フィールドセールス部門とスムーズに情報共有できなければ、適切なタイミングで商談に持ち込むのは難しくなります。

見込み客の購買意欲が薄れてから社内で情報共有し顧客へのアプローチを行っても、受注につながる可能性は低くなるでしょう。そのため、顧客や営業に関する情報は、一元管理できる体制を整えておくことが重要です。

2.顧客と信頼関係を築くのが難しい

インサイドセールスの場合、顧客と直接顔を合わせるわけではないので、信頼関係を構築するのが難しいです。たとえWeb会議ツールを利用したとしても、フィールドセールスの方が信頼関係を築きやすいでしょう。

顧客からの深いニーズを聞き出せなければ、相手にとって魅力的なアプローチはできません。直接会わない分、Web会議や電話、メールなどで頻繁にコミュニケーションを取る必要があるため、信頼を得るのに時間がかかります。

3.営業の難易度が上がる

インサイドセールスは、フィールドセールスよりも営業の難易度が高くなります。顧客と対面することなく営業活動を行うため、自社の商品やサービスの情報が伝わりづらいことも珍しくありません。例えば、インサイドセールスで香りや感触といった情報を顧客に伝えるのは難しいでしょう。インサイドセールスに向かない商材の具体例は以下のとおりです。

  • 高級車や宝飾品の販売
  • オーダーメイドの商品

またメールやチャットなどを使った営業方法では、相手の顔のみならず声もわからないため、顧客の反応を見ながら臨機応変な対応をするのが困難です。そのため、直接対面して営業を行うよりもコミュニケーション能力が必要とされるでしょう。

インサイドセールスを導入するための4ステップ

ここからは、インサイドセールスを導入するまでの流れを解説します。各ステップを参考に、インサイドセールスを取り入れてみてください。

1.担当する範囲を決める

まず、インサイドセールスが担当する範囲を明確にします。従来の営業方法では、1人の営業担当者がすべての業務を担っていました。そのため、属人化に陥いる企業も少なくありません。

インサイドセールスには「見込み客(リード)の育成」という明確な目的が存在しています。この目的に即したインサイドセールスの業務と、契約獲得を目的としたフィールドセールスの業務と役割を分けることにより、お互いがそれぞれの業務に集中できます。

ただし、インサイドセールスとフィールドセールスの担当範囲を明確にしていなければ、営業活動の進捗にも影響を与えることになるでしょう。

2.所属部門を決定する

担当範囲を決めたら、インサイドセールスの所属範囲を決めます。よく該当する部門が以下の3つです。

  • マーケティング部門
  • 営業部門
  • インサイドセールス部門

マーケティング部門が担当した場合、見込み客(リード)の獲得から一貫した対応が可能であるため、リードの特徴を把握しやすくなります。しかし、新規リード獲得にリソースを取られる点に注意が必要です。

営業部門が担当した場合、インサイドセールスからフィールドセールスを一貫して行えるため、リードとより深い関係を築きやすくなります。顧客側からしても、担当者が変わらないことで安心感を得やすいでしょう。しかし、基本は営業担当者が1人で顧客対応することになるため、属人化しやすい点に注意が必要です。

なお、インサイドセールス専門の部門を新規で立ち上げる方法もあります。立ち上げ当初は多くのコストやリソースを必要としますが、リードの育成に専念できるのがメリットです。

3.人材を選定する

所属部門を決めたら、人材を選定します。インサイドセールスに選定する人物は、フィールドセールスやマーケティングに関する知識や経験を持っている人材にしましょう。また、フィールドセールスやマーケティングとの連携が不可欠であるため、それぞれの部門の内情をわかっている人だと業務を進めていきやすいです。

例えば、以下のような人はインサイドセールスに向いています。

  • 非対面でのコミュニケーション能力が高い
  • 何事もポジティブに捉えられる
  • チャレンジ精神を持っている
  • 業務やタスクの処理能力が高い
  • 事実ベースで情報共有ができる

4.KPIを設定する

人材が確保できたら、インサイドセールスにおけるKPIを設定しましょう。KPIとは、設定した目標に対して、各プロセスが適切に達成できているかを測るための指標のことです。インサイドセールスのKPIでよく使用される項目は、以下のとおりです。

  • 電話をかけた回数
  • メールの開封率
  • 受注率・受注数
  • 商談化率・商談化数

KPIを設定するときは、案件の受注数だけではなく、各プロセスに注目することが重要です。例えば「新規見込み客を300人選出する」「40件の商談を勝ち取る」「5件の受注につなげる」と各プロセスでKPIを設定すれば、どこに課題があるかを可視化できます。

また、目標があることにより社員のモチベーションアップにつながる点も、各プロセス毎にKPIを設定するメリットです。

5.顧客の情報を一元管理する

インサイドセールスを開始できる状況が整ったら、顧客情報を一元管理できる環境を整備しましょう。顧客情報を一元化できれば、マーケティングやフィールドセールスで得た情報も併せて管理できます。

なお、情報の一元化には営業支援ツールを使用することをおすすめします。ツールを使用することにより、各担当者が得た情報を過不足なく登録でき、チーム全員で即時に共有できるからです。

インサイドセールスを成功させるポイント2つ

インサイドセールスを成功させるポイントは、主に以下の2つです。

  • 役割分担を明確にする
  • 定期的に振り返りを実施する

1.役割分担を明確にする

インサイドセールスを成功させるポイントの1つ目は、役割分担を明確にすることです。フィールドセールスとの役割が明確になっていないと、スムーズに営業活動できません。なお、役割分担のやり方は「プロセスによる分担」「エリアによる分担」の2種類が一般的です。

プロセスによる分担の場合、ニーズの低い見込み客に対してはインサイドセールスで見込み客(リード)の育成やアプローチを行います。その後、案件化できるようになれば、フィールドセールスに担当を交代する形で営業を進めましょう。

一方、エリアによる分担は、自社から近いエリアをフィールドセールスが担当し、遠いエリアのアプローチをインサイドセールスが担当します。エリアを分担することで、移動時間や交通費の削減につながります。

2.定期的に振り返りを実施する

インサイドセールスを成功させるポイントの2つ目は、定期的に振り返りを行うことです。

日々業務に追われていると「KPIを達成したら終わり」になってしまう企業は少なくありません。しかし、「なぜKPIは達成できたのか」「どうしてKPIは達成できなかったのか」などを振り返ることによって、今後の課題が見つかり、より良い営業活動につなげられますを行えます。KPIに関する振り返りだけではなく、業務の改善点が見つかれば修正することも重要です。

例えば「インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎ方法を見直したい」との声があれば、より情報を共有しやすい方法を模索するといいでしょう。「業務に問題点はないか」といった視点を大事にすることによって、インサイドセールスの成功にもつながります。

インサイドセールスを導入してみよう

インサイドセールスは、非対面で営業活動を行うことから、効率よく営業活動を進めていけます。フィールドセールスのように現場に足を運ぶ必要がないため、遠方にいる見込み客にも営業しやすいでしょう。

また、インサイドセールスとフィールドセールスを分業すれば、それぞれが特定の業務に集中できるため、営業の成果も上がりやすくなります。

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