受注確度とは、顧客が商品やサービスを発注する可能性のことです。営業活動を効率的に行うためには、受注確度が高い顧客に優先的にアプローチするのがポイントです。
しかし、受注確度の管理方法を間違えると、営業担当者ごとに確度の判断方法がバラバラになってしまい、管理の意味がなくなってしまうでしょう。
今回は、受注確度を管理する重要性や見極め方、受注確度を管理できるツールなどを紹介します。受注確度を高めるポイントも解説しているため、営業活動を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
受注確度とは、顧客が商品やサービスを発注する可能性のことです。営業活動を効率的に行うためには、受注確度が高い顧客に優先的にアプローチするのがポイントです。
しかし、受注確度の管理方法を間違えると、営業担当者ごとに確度の判断方法がバラバラになってしまい、管理の意味がなくなってしまうでしょう。
今回は、受注確度を管理する重要性や見極め方、受注確度を管理できるツールなどを紹介します。受注確度を高めるポイントも解説しているため、営業活動を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
「確度」という言葉は、ビジネスの現場でよく使われる表現の一つですが、その意味や使われ方は分野によって少しずつ異なります。ここでは、まず「確度」の基本的な意味を押さえた上で、営業やマーケティング、人事といった各領域での使われ方の違いをわかりやすく解説します。
ビジネス文脈における「確度」を正しく理解することで、会話や資料作成時の曖昧さをなくし、より的確な意思疎通が可能になります。
「確度」とは、本来「物事がどれだけ確実であるか」を示す言葉で、「確実性の度合い」を意味します。一般的には、ある予測や判断がどの程度の信頼性をもっているかを表現する際に使われる言葉です。
ビジネスシーンでは、「この案件は受注確度が高い」「この人材は採用確度が低い」など、結果の実現可能性を評価する際に広く活用されます。定量的なデータに基づく場合もあれば、担当者の経験に基づく定性的な判断として使われることもあります。
営業分野では、「確度」は特に「受注確度」を指して使われることが一般的です。これは、現在進行中の商談やリードが、どの程度の可能性で受注に至るかを評価する指標です。
たとえば、営業担当者が「この案件は確度80%です」と表現する場合、それは「受注に至る可能性が非常に高い」と判断されていることを意味します。受注確度は、予算の確保、決裁者との関係性、競合状況など複数の要因から総合的に判断されます。
営業活動においては、この確度の高低によって優先順位を決めたり、売上予測を立てたりする重要な材料となります。
営業活動の中で「確度」という言葉は頻繁に登場しますが、似たような意味で使われる他の用語と混同されることも少なくありません。ここでは、「営業フェーズ」「コンバージョン率」「ホットリード」などの用語と「確度」との違いを比較しながら、それぞれの使い分け方を明確にしていきます。言葉の定義を正しく理解することで、営業現場での意思疎通がよりスムーズになります。
「確度」と「フェーズ」は、営業プロセスにおいて密接に関わる概念ですが、意味は異なります。
「フェーズ(商談フェーズ)」は、営業プロセスの進行段階を表すもので、「初回訪問」「提案」「見積提出」「クロージング」など、時系列での状態を指します。企業によって細かな定義は異なりますが、営業活動のどの段階にあるかを把握するための基準です。
一方、「確度」はその商談が受注に至る可能性の高さを示す指標です。たとえば、フェーズが「見積提出」であっても、競合が多く担当者の反応が薄い場合は、確度は低く評価されることがあります。つまり、フェーズ=進行状況/確度=成約見込みと捉えると、両者の違いが明確になります。
「確度」と「コンバージョン率」も混同されやすい用語ですが、本質的には異なる概念です。
「コンバージョン率(CVR)」は、ある行動を起点として次のアクションに至った割合を数値で表すもので、主にマーケティングやWeb施策で用いられます。たとえば、LPの訪問数に対する問い合わせ数の割合など、過去の実績データに基づく定量的な指標です。
一方で「確度」は、現時点での営業案件やリードに対して、「今後どの程度の確率で成約するか」を判断するための未来予測的な指標であり、多くの場合は営業担当者の見立てやスコアリングに基づいています。
つまり、コンバージョン率は「事実にもとづく結果」、確度は「現在の感触にもとづく予測」と言えます。
「ホットリード」と「確度」も混在されやすいですが、こちらも異なる視点からの評価軸を持ちます。
「ホットリード」は、マーケティングやインサイドセールスの文脈で用いられ、「今すぐにでも提案・商談が可能な見込み顧客」を指します。顧客の行動履歴や関心の高さをもとに分類され、「ホット(熱い)」「ウォーム(普通)」「コールド(冷たい)」と温度感で区分されるのが一般的です。
一方、「確度」は商談に入った後の話であり、その案件がどれだけの可能性で受注できるかを営業側の視点で判断します。
つまり、「ホットリード」は営業に渡す前の有望な見込み客、「確度」はすでに商談中の案件の成約見込みといったフェーズの違いがある点に注意が必要です。
営業活動において、受注確度を管理することが非常に重要です。受注確度を適切に管理することには、以下のようなメリットがあります。
それぞれについて解説します。
顧客ごとの受注確度を管理することにより、優先的にアプローチする顧客が明確になります。その結果、効率よく受注率を高められます。
営業にかけられる時間は限られており、すべての顧客にアプローチしようとすると、1社あたりにかけられる時間は減ってしまいます。自社商品やサービスに興味がない顧客や、そもそも課題を抱えていない顧客に対してアプローチしても、受注できる可能性は低いでしょう。受注確度が低い相手にアプローチする時間や労力を、自社商品・サービスに強い興味を持っている見込み客に割く方が、効率よく受注につなげられます。
顧客ごとの受注確度が明らかになれば、顧客に応じて適切なアプローチ方法を検討できます。
営業で成果を上げるためには、顧客の状況に応じて提案内容やアプローチの頻度などを変えることが必要です。以下のように、受注確度によってアプローチの方法や頻度を調整しましょう。
このように、受注確度を管理しておけば、それぞれの顧客への営業活動の方向性が定まります。
受注確度を管理すると、営業活動の見通しが立ち、計画を立てやすくなります。
例えば、受注確度が高い顧客との商談が多い週は、テレアポやメールなどのアポイント取得業務をストップし、商談準備に専念できるようなスケジュールを組めます。逆に、受注確度が低い顧客との商談が多い週であれば、新規のアポイント獲得に時間を割いたり、ルート営業に取り組んだりするべき、と判断できるでしょう。
受注確度は、営業活動で成果を出すための、無駄のない適切な計画策定にも役立ちます。
受注確度を管理することにより、正確な売上予測や目標設定が実現します。現在アプローチしている顧客のうち、何割が受注につながるかを予測できるため、より正確に売上を予測できるでしょう。
また、売上予測の精度が向上すれば、現実的な目標を設定しやすくなるのもポイントです。受注確度に基づいて、アポイント獲得数や商談数、受注率といったKPIを見直し、上方修正・下方修正ができます。その結果、目標達成のためにKPIをどのように設定するべきか、改めて検討できます。
受注確度は、営業活動の優先順位付けや売上予測を正確に行う上で非常に重要な指標です。しかし、実際の現場では確度の判断や管理がうまくいかず、営業成果の低下やミスリードにつながっているケースも少なくありません。このセクションでは、受注確度の管理でありがちな失敗と、それに対する具体的な改善策を紹介します。
受注確度を「高・中・低」などでランク分けしていても、その基準が明確でないまま個人の感覚で判断してしまうと、精度の低い予測になってしまいます。営業担当者によって「確度70%」の意味合いがバラバラであれば、マネジメントの意思決定にも影響を及ぼします。
改善策としては、BANT条件(予算・決裁権・ニーズ・導入時期)などの具体的な項目をもとに数値化やスコアリングを行い、「確度〇%」の定義を社内で統一することが重要です。
営業活動が忙しいと、顧客との商談内容や状況の変化がツールに反映されないまま放置されがちです。その結果、「確度が高いと思っていたが実際には失注済だった」などのミスが起き、報告資料や売上予測にもズレが生じます。
これを防ぐには、CRMやSFAツールなどを活用し、日々の商談内容を簡単に記録・更新できる仕組みを整えることが有効です。また、更新を習慣化させるために、営業日報や週次ミーティングで情報を確認するルールも併せて運用すると良いでしょう。
営業メンバー間で受注確度の定義や判断基準が共有されていないと、確度に対する認識にズレが生まれ、チーム全体の活動が非効率になります。ある担当者にとっての「確度80%」が、別の担当者にとっては「まだ五分五分」と感じられるなど、評価のブレが予測の精度に悪影響を及ぼします。
そのためには、チーム内で共通の判断基準やスコアリング表を整備し、定期的に見直すことが不可欠です。ロールプレイやケーススタディを通じて、確度評価の目線合わせを行う研修も効果的です。
受注確度の判断ミスや情報管理の抜け漏れは、属人化している業務フローに原因があるケースが大半です。個人の経験や勘に頼らず、誰でも再現可能な営業プロセスを設計することが、ミスを減らす第一歩です。
そのためには、受注確度の定義を文書化したガイドラインを作成し、SFA・CRMなどのツール上でも一貫性のある入力項目・選択肢を設定しておくことが重要です。さらに、マネージャーによる定期的なレビューやフィードバックの機会を設けることで、制度が形骸化せずに定着します。
ここでは、受注確度を見極めるための方法を、以下の2ステップで紹介します。
まずは、受注確度を判断する基準を設けましょう。基準を設けないと、人によって判断にばらつきが生じてしまうためです。
受注確度を判断する基準として一般的に用いられているのが、BANT条件です。BANT条件は、法人営業における基本的なフレームワークと呼ばれており、以下の4つを指します。
BANT条件は、「この4つの条件が揃わなければ、法人営業では成約に至らない」と言われているほど、重要な条件です。そのため、BANT条件を満たしているかを基準に、受注確度を判断するのが効果的です。
基準が定まったら、案件ごとに受注確度を決め、受注確度の高さごとにランクを付けましょう。以下は、ランク付けの例です。
ランク | 受注確度 | 満たしているBANT条件 |
A | 90%以上 | 3つ以上 |
B | 50〜70%以上 | 2つ |
C | 20%以下 | 1つ以下 |
ランクを付けることにより、どの案件がどのくらいの受注確度なのか、視覚的に理解しやすくなります。
ランク付けの際は、各ランクの定義を定めることも欠かせません。「ランクAに該当するのはBANT条件を3つ以上満たしている案件」というように定めておけば、ランク付けの属人化を防げます。
受注確度を管理するためには、ツールを利用するのが有効です。中には、情報を入力すれば自動で受注確度をスコアリングしてくれる、便利なツールも存在します。
ここでは、受注確度を効率的に判断・管理できるツールを3つ紹介します。
SFA(Sales Force Automation)ツールは、案件管理や顧客管理などの営業管理を効率化できるツールです。「営業支援ツール」や「営業管理ツール」とも呼ばれています。
SFAツールは、商談から受注に至るまでの進捗をデータで管理できるのが特長です。顧客の情報や商談履歴、案件の進捗などを効率よく管理できるため、受注確度を判断する際に役立ちます。
SFAツールには、進捗の管理の他にも日報管理や予算実績管理、スケジュール管理機能などが搭載されており、営業活動に関するあらゆるデータを蓄積できるのが魅力です。
例えば、以下のような場面でもSFAツールが活躍します。
受注確度の見極め以外にも営業効率化に幅広く役立つため、導入しておくと便利です。
MA(Marketing Autmation)ツールは、見込み客(リード)の獲得・育成から商談に至るまでのプロセスを効率化できるツールです。MAツールを使うと、受注確度ごとのリードをスコアリングでき、適切なコンテンツを自動で配信できます。Webサイトへの訪問履歴やメールの開封状況、リンクのクリック率などから、受注確度が高いリードを自動で判別してくれます。
MAツールを活用すると受注確度が高いリードに優先的にアプローチできるため、質の高い商談を増やせます。
また、獲得したリードに継続的にアプローチし、受注確度を高めるリードナーチャリングを行う際にも、リードの属性に応じたメールを自動で配信できるMAツールが役立つでしょう。
メールを使ったマーケティングや営業活動を強化したい場合には、MAツールの活用が効果的です。見込み客(リード)の受注確度や興味関心に合わせてメールを配信する「セグメントメール」や、事前に設定した内容・順番通りにメールを配信する「ステップメール」などを効率的に送信できます。
メールへの反応もデータで分析できるため、顧客に読んでもらえるメールを作成したい場合にもおすすめです。
CRM(Customer Relationship Management)ツールは、顧客情報や商談履歴、購入履歴など、顧客に関するあらゆる情報を一元管理できるツールです。「顧客関係管理システム」とも呼ばれます。
商談の内容やカスタマーサポートとのやり取り、過去の購入履歴などをデータで蓄積できるため、受注確度を見極める際に役立ちます。
また、商談で得た顧客の要望や問合せ内容などを記録し、社内で共有できるため、円滑な顧客対応を実現できます。適切な対応で顧客満足度を向上できれば、将来的に導入を検討してくれそうな顧客との関係性強化につながるでしょう。
CRMツールは、カスタマーサクセスやルート営業にも活用できます。受注後も、CRMツールを活用して継続的にフォローすることにより、将来的なアップセルやクロスセルにつながるでしょう。顧客単価を高められれば、売上を効率よくアップさせられます。
さらに、顧客とのやり取りや寄せられた要望などを蓄積できるため、施策の改善や新たなサービス開発にも役立ちます。
ここでは、受注確度を高めるために、営業担当者が意識すべき3つのポイントを紹介します。
BANT条件は、顧客に直接質問しないことが大切です。顧客からヒアリングするものというよりは、商談の中でディスカッションし、一緒に決めていくものです。
例えば、商品やサービスの導入についてまだ本格的に検討していない顧客に、「予算はありますか?」と質問しても、現実的な予算についての意見を引き出すのは困難です。
また、見込み客が商品やサービスの価値を理解していない状態で予算を聞いた場合も、「予算オーバー」と言われてしまうでしょう。一方、商品やサービスに、価格以上の価値があることをわかってもらった後であれば、顧客が予算を少し高めに設定し直す可能性があります。
このように、BANT条件を直接聞き出しても、そこで得られる回答が正しいとは限らず、受注確度を適切に判断できない場合があります。商談の中で、何を優先するのかを顧客と一緒に整理しながら、BANT条件について確認することが大切です。
顧客の課題を解決できる提案ができれば、自社の商品やサービスに価値を感じてもらえ、受注確度を高められます。
顧客の課題の中には、顧客自身が理解している顕在的なものだけでなく、理解できていない潜在的なものも少なくありません。商談で十分なヒアリングを行い、顕在的・潜在的な課題を把握することが大切です。そして、自社の商品・サービスがどのように課題解決に貢献できるかをアピールし、商品・サービスの価値を実感してもらいましょう。
顧客にとって価値のある情報を積極的に提供し、信頼してもらうことも欠かせません。いくら商品やサービスの魅力を語っても、営業担当者として信頼されなければ、契約にはつながらないでしょう。
商談のたびに顧客が求める有益な情報を提供できれば、その業界やサービスに対して知見があることが伝わり、信頼を獲得できます。
顧客の情報を収集し、どのような情報を提供するべきかをよく検討した上で、商談に臨むことが大切です。
最後に、受注確度についてよくある質問を2つ紹介します。
A.受注確度は顧客が発注する可能性、商談フェーズは営業活動のプロセスです。
受注確度は、記事でご紹介してきた通り、顧客が自社商品を発注する可能性を示す言葉です。一方、商談フェーズは、営業活動のプロセスやステップのことを指します。例えば、アポイントの獲得や商談、クロージング、契約などは、商談フェーズの1つです。
営業活動においては、受注確度と商談フェーズの双方を管理し、結果の分析・改善を行いましょう。
A.アポ取りの段階で、受注確度を基準に顧客リストに優先順位をつけましょう。
そして、自社の商材に興味がなさそうな相手にも無理矢理アポイントを獲得していないか、今一度見直してください。そもそも興味がない相手と商談を設定しても、受注にはつながらず、時間の無駄になってしまいます。
受注確度が高い案件を増やすためには、アポイントを獲得する段階で、ある程度受注につながりそうかを判断する必要があります。あまりにも見込みがない相手は、リストから外し、アプローチをやめるのが懸命です。
また、決裁者に直接アプローチし、商材の魅力をアピールできれば、受注確度を上げられます。決裁者との商談をセッティングできるよう担当者にお願いしたり、決裁者に直接アプローチできるマッチングサービスを活用したりするのが効果的です。
受注確度を管理する重要性は以下の通りです。
受注確度は、BANT条件のような、組織内で統一した基準をもとに見極めましょう。SFAツールやMAツール、CRMツールを活用すると、さらに効率的に管理できます。
受注確度を管理するだけでなく、受注確度を高められるよう工夫することも大切です。徹底したヒアリングとディスカッションで信頼を獲得し、顧客の課題を解決できる提案をしましょう。
受注確度を高めるためには、決裁者に直接アプローチできると効果的です。決裁者マッチングサービス「チラCEO」を利用することにより、気になる決裁者に直接アプローチして、アポイントを獲得できます。審査制で、決裁者のみが登録できるため、安心して利用できるでしょう。詳細は、以下よりお問合せください。
完全審査制のため、以下のフォームより打ち合わせ日、必要事項をご記入ください