最終更新日: 2025.12.08

1on1ミーティングを導入したものの、何を話せばいいか分からない、形式的になっているという悩みを抱えていませんか。本記事では事前準備から実施、フォローアップまで具体的な進め方と、すぐに使える質問例やテーマを解説します。効果的な1on1で部下の成長を支援しましょう。

1on1ミーティングの基本を理解する

効果的な1on1ミーティングを実践するには、まず基本的な定義と目的を正しく理解することが重要です。評価面談との違いを明確にし、何のために実施するのかを把握しておきましょう。

1on1ミーティングとは何か

1on1ミーティングとは上司と部下が1対1で行う定期的な対話の場です。週1回から月1回程度の頻度で、1回15分から30分程度の時間を設定して実施します。

評価面談が年に数回の実施で上司が主導するのに対し、1on1は高頻度で部下が主役となる点が大きな違いです。面談者は直属の上司が担当することが一般的ですが、部門長やメンターが実施するケースもあります。

もともとアメリカのシリコンバレー企業で始まった手法で、日本でも近年多くの企業が導入しています。リモートワークの普及により対面コミュニケーションが減少したことも、1on1導入が加速した背景の一つです。

重要なのは1on1が部下のための時間であるという認識です。業務の進捗報告や指示出しの場ではなく、部下の成長を支援し、悩みや課題を解決するための対話の場として位置づけることが成功の鍵となります。

1on1ミーティングの目的

1on1ミーティングの最大の目的は部下の成長を促進することです。定期的な対話を通じて部下が抱える課題を早期に発見し、解決をサポートします。

業務上の悩みだけでなく、人間関係やキャリアに関する不安など、日常業務では相談しにくい内容も話せる場を提供することで、部下の心理的安全性を高めます。モチベーションの低下を防ぎ、離職リスクを減らす効果も期待できます。

また上司と部下の信頼関係を深めることも重要な目的です。定期的に向き合う時間を持つことで、お互いの理解が深まり、日常のコミュニケーションも円滑になります。

さらに組織全体の課題を解決する手段としても機能します。個々の部下が成長し、能力を最大限発揮できる環境を整えることで、チーム全体のパフォーマンス向上につながるのです。1on1は単なる面談ではなく、組織力を高める戦略的な投資と言えるでしょう。

1on1ミーティングの効果的な進め方

1on1ミーティングを成功させるには、事前準備から事後フォローまで一連の流れを体系的に進めることが重要です。各ステップでのポイントを押さえて、効果を最大化しましょう。

事前準備で成否が決まる

1on1ミーティングは事前準備なしに臨むと、雑談だけで終わってしまったり、具体的な成果が得られないまま時間切れになる恐れがあります。準備を怠らないことが成功の第一歩です。

まず1on1を始める段階で、上司と部下の間で目的を共有しておく必要があります。なぜ1on1を実施するのか、どのような効果が期待できるのかを丁寧に説明し、部下の理解を得ましょう。形式的な義務として捉えられてしまうと、本音を引き出すことは難しくなります。

次に話すテーマを事前に決めておきます。ここで重要なのは、テーマは部下自身が考えるということです。1on1の主役はあくまで部下ですから、部下が話したいこと、聞いてほしいことをトピックとすべきです。

部下が考えたトピックは、ミーティング前に上司と共有します。事前にテーマを知っておけば、上司も心構えができ、必要に応じて情報を準備できます。また日時や場所の設定も忘れずに行い、双方がしっかり時間を確保できるよう調整しましょう。

実施時の基本的な流れ

実際のミーティングは大きく3つのブロックに分けて進めます。30分の1on1を想定した場合、アイスブレイク5分、メインセッション20分、クロージング5分が目安となります。

最初のアイスブレイクでは、部下が話しやすい雰囲気を作ることが大切です。いきなり本題に入るのではなく、軽い雑談や心身の状態確認から始めましょう。「最近どう?」「体調は大丈夫?」といった何気ない会話が、その後の本音を引き出す土台となります。

メインセッションでは事前に共有されたテーマについて、部下から話してもらいます。上司は傾聴に徹し、部下の話を遮らずに最後まで聞くことが重要です。必要に応じて質問を投げかけ、部下自身が答えを見つけられるようサポートします。

クロージングでは次回までの具体的なアクションを決めます。ミーティングの最後には必ず「課題解決のために何をすべきか」という行動計画にたどり着くことを共通認識としましょう。次回の日程も忘れずに設定し、継続的なサイクルを確立します。

記録の残し方とフォローアップ

1on1は実施して終わりではありません。ミーティング後には記録を残し、次回以降に活かすことが重要です。記録なしでは話した内容を忘れてしまい、継続的な成長支援ができなくなります。

記録には話したテーマ、部下の状況、決定したアクション、次回のテーマなどを簡潔にまとめます。詳細すぎる記録は作成の負担になるため、ポイントを押さえた簡潔な形式が望ましいでしょう。

記録はメールやチャットで部下と共有するか、1on1専用ツールに入力していつでも閲覧可能な状態にします。記録を共有することで、部下も自身の成長を振り返ることができ、次回への意識も高まります。

次回の1on1までの間、決定したアクションの進捗を適宜確認しましょう。困難に直面していないか、サポートが必要ないかを把握し、必要に応じてフォローします。このフォローアップが、1on1の効果を日常業務にまで広げる重要な要素となるのです。

1on1で話すべきテーマと質問例

何を話せばいいか分からないという悩みは、1on1を実施する多くの人が抱える課題です。ここでは具体的なテーマと、すぐに使える質問例を紹介します。

信頼関係を築くためのテーマ

最初は信頼関係の構築を優先し、部下が安心して話せる雰囲気を作ることが大切です。プライベートな話題も含め、人となりを理解することに焦点を当てましょう。

「趣味の〇〇は最近やっていますか」「週末はどう過ごしましたか」といった気軽な質問から始めます。家族や健康状態についても、押し付けがましくならない範囲で聞いてみるのも良いでしょう。

心身の状態を確認することも重要です。「最近疲れていませんか」「何か困っていることはありますか」と声をかけることで、部下の小さな変化にも気づくことができます。特にリモートワークでは表情が見えにくいため、意識的に状態を確認する必要があります。

また「今日特に話したいことはありますか」「最近気になることはありますか」とオープンに尋ねることで、部下が自由にテーマを選択できるようにします。この自由度が、1on1を部下のための時間として機能させる鍵となるのです。

業務に関するテーマ

業務に関する対話では、進捗管理ではなく経験から学ぶことを重視します。部下が日々の仕事から成長できるよう、内省を促す質問を投げかけましょう。

「今取り組んでいる仕事で、うまくいっていることは何ですか」「逆に困っていることはありますか」と現状を確認します。うまくいっている点を聞くことで、部下の強みを認識させ、自信につなげることができます。

失敗や課題があった場合は、「なぜそうなったと思いますか」「次はどうすれば改善できそうですか」と問いかけます。責めるのではなく、一緒に考える姿勢を示すことが重要です。失敗を学びの機会として捉える文化を作りましょう。

「この経験から何を学びましたか」「他の場面でも活かせそうですか」といった振り返りの質問も効果的です。経験を抽象化し、他の状況にも応用できる教訓として定着させることで、成長が加速します。業務報告で終わらせず、必ず学びにつなげることを意識してください。

キャリアと成長に関するテーマ

中長期的な視点での対話も1on1の重要な役割です。部下が将来のキャリアを主体的に考え、必要なスキルを習得できるよう支援しましょう。

「3年後、5年後にどうなっていたいですか」「今の仕事を通じてどんな力をつけたいですか」とキャリアビジョンを引き出します。明確なビジョンがない部下には、「どんな仕事に興味がありますか」「尊敬する先輩はどんな人ですか」と具体的なイメージを持てるよう促します。

「理想の姿に近づけていると感じますか」「そのために今何が必要だと思いますか」と現状とのギャップを認識させます。部下自身が成長課題を特定することで、主体的な学習意欲が生まれます。

「新しく挑戦してみたいことはありますか」「どんなスキルを伸ばしたいですか」と成長への意欲を確認しましょう。可能であれば、その希望を実現できる機会を提供することで、モチベーションを大きく高めることができます。キャリアの話は時間をかけて丁寧に行うことが大切です。

1on1で必要となるスキル

効果的な1on1を実践するには、いくつかの基本スキルを習得する必要があります。これらのスキルは訓練によって誰でも身につけることができます。

傾聴スキルの重要性

1on1で最も重要なスキルが傾聴です。単に耳で聞くだけでなく、部下の感情や真意を理解しようとする姿勢が求められます。

傾聴の基本は、相手の話を最後まで遮らずに聞くことです。話の途中で自分の意見を挟んだり、結論を急いだりせず、部下が考えを整理しながら話せる空間を作ります。沈黙を恐れず、部下が次の言葉を探す時間を待つことも大切です。

非言語コミュニケーションにも注意を払いましょう。適度なアイコンタクト、うなずき、相槌などで「しっかり聴いている」というメッセージを伝えます。スマートフォンやパソコンは閉じ、部下に集中する姿勢を示すことが信頼関係構築につながります。

また相手の言葉を繰り返したり、要約したりすることで理解を深めます。「つまり〇〇ということですね」と確認することで、誤解を防ぎながら対話を深めていくことができます。傾聴は全てのコミュニケーションスキルの土台となる、最も重要な要素なのです。

質問スキルで思考を促す

効果的な質問は部下の思考を促し、気づきを引き出す強力なツールです。質問の仕方次第で、部下の思考の深さや方向性が大きく変わります。

「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンではなく、「どう思いますか」「なぜそう考えたのですか」といったオープンクエスチョンを多用しましょう。開かれた質問が、部下の思考を広げ、深い対話を生み出します。

「どうすればできると思いますか」という未来志向の質問も効果的です。「なぜできなかったのか」と過去を問い詰めるのではなく、「次はどうすれば成功できるか」と前向きな思考を促します。この違いが部下のモチベーションに大きな影響を与えるのです。

質問のタイミングも重要です。部下が考えている最中に次々と質問を浴びせるのではなく、適度な沈黙を許容します。考える時間を与えることで、より深い気づきが生まれることも多いのです。焦らず部下のペースに合わせることが、効果的な質問スキルの鍵となります。

承認と共感を示す

部下の話を聞いた後、適切に承認と共感を示すことが重要です。承認は部下の存在や努力、成長を認め、言葉で伝える能力を指します。

「よく頑張ったね」という漠然とした褒め言葉よりも、「あの提案は独自の視点があって素晴らしかった」と具体的に伝える方が効果的です。何が良かったのかを明確に示すことで、部下は自分の強みを理解し、さらに伸ばしていくことができます。

結果だけでなく、プロセスも認めることが大切です。「結果は出なかったけど、あの取り組み方は良かった」と努力や工夫を認めることで、部下は次回への意欲を保つことができます。

また部下の感情に共感を示すことも忘れてはいけません。「それは大変でしたね」「その気持ち、分かります」と感情を受け止めることで、部下は理解されていると感じます。ただし同情ではなく、あくまで対等な立場での共感であることを意識しましょう。承認と共感が、1on1を心理的に安全な場にするのです。

1on1を成功させる重要なポイント

効果的な1on1を実践するには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。これらを意識することで、よくある失敗を避けることができます。

部下を主役にする

1on1は部下のための時間であることを常に意識しましょう。上司が一方的に話す場ではなく、部下が主体的に話す場として設計することが重要です。

理想的な1on1では、部下の発言量が上司を上回ります。上司の役割は話すことよりも聴くこと、そして適切な問いかけをすることです。自分ばかり話していると感じたら、一度立ち止まって部下の意見を引き出すよう意識しましょう。

テーマ設定も部下に任せます。上司が話したいことを一方的に押し付けるのではなく、部下が今関心を持っていることや困っていることを優先します。部下の関心に沿った対話だからこそ、深い気づきや学びが生まれるのです。

また部下の考えを尊重し、すぐに否定しないことも大切です。たとえ上司と異なる意見でも、まずは受け止めて理解しようとする姿勢を示しましょう。部下が安心して自分の考えを話せる環境を作ることが、1on1成功の鍵となります。

定期的に継続して実施する

1on1は一度や二度で効果が出るものではありません。定期的に継続することで、はじめて大きな成果が生まれます。

週1回から月1回程度の頻度で実施するのが理想的です。間隔が空きすぎると、部下の状況変化を把握できず、効果が薄れてしまいます。研究によると、1on1の頻度が高いほど目標達成度も高くなることが分かっています。

忙しい中でも時間を確保し、1on1を優先することが管理職の重要な役割です。安易にリスケジュールせず、約束した時間は必ず守りましょう。上司がリスケを繰り返すと、部下は「自分は優先度が低い」と感じ、やる気を失ってしまいます。

継続することで上司と部下の信頼関係はさらに深まります。一貫した姿勢で関わり続けることで、部下は「この上司は本気で自分の成長を考えてくれている」と感じるのです。粘り強く継続することが、1on1成功の秘訣と言えるでしょう。

アクションプランを明確にする

1on1の最後には必ず、次回までの具体的なアクションを決めることが重要です。対話だけで終わらず、行動につなげることで実際の成長が実現します。

「次までに何をしますか」「いつまでに取り組みますか」と部下自身に決めさせることがポイントです。上司が指示するのではなく、部下が自分で決めたアクションだからこそ、実行への意欲が高まります。

アクションは具体的で測定可能なものにしましょう。「頑張る」といった抽象的な目標ではなく、「〇〇について△△さんに相談する」「□□のスキルを週3回練習する」といった明確な行動に落とし込みます。

次回の1on1では、前回決めたアクションの進捗を確認することから始めます。このサイクルを回すことで、1on1が単なる対話の場ではなく、継続的な成長を生み出す仕組みとして機能するのです。アクションプランの設定と振り返りが、1on1の効果を最大化する重要な要素となります。

まとめ

1on1ミーティングの成功は、事前準備と継続的な実施、そして適切なスキルの活用にかかっています。部下を主役にし、傾聴と質問を通じて気づきを促し、具体的なアクションプランへとつなげることが基本的な流れです。

信頼関係の構築、業務の振り返り、キャリア支援など多様なテーマを扱いながら、部下の成長を長期的に支援していきましょう。形式的な面談ではなく、真の対話の場として機能させることで、組織全体のパフォーマンス向上につながります。今日から実践できるポイントを取り入れ、効果的な1on1ミーティングを実現してください。

ENICXO
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