最終更新日: 2023.09.26

代理店企業のアポ取りは、競争が激しく難易度が高い傾向があります。なかなかアポが獲得できず、悩む担当者もいるでしょう。

アポイントの取得は、ただ顧客に電話をかけるだけでなく、顧客との関係構築、顧客の課題理解、自社の価値提案など、さまざまな要素が組み合わさった結果で生じます。

この記事では、広告代理店の営業担当者がアポイントを取得するために意識すべきことや心構えを解説します。

広告代理店のアポ取りが難しい理由

広告代理店業界のアポ取りが難しいとされる理由は複数あります。主な理由を以下に挙げます。

  • 商品やサービスの差別化が難しい
  • 数多くの広告手法とそれぞれのベネフィットを理解する必要がある
  • 顧客市場が幅広く、さまざまな業界を理解する必要がある
  • サービスの変化が速い
  • デジタル化が進行しない市場もあり、アナログな手法を覚える必要もある
  • 既に広告代理店と契約を結んでいる企業が多い

広告業界は競争が激しく、似たようなサービスに溢れているため他社との差別化が難しいです。トレンドの変化も早い傾向があります。広告代理店のアポ取り担当者は、マスのニーズに合わせて変化するサービスをキャッチアップしつつ、幅広い市場や顧客ニーズを理解し、それぞれに合った提案をしなくてはなりません。そのためには、入念なリサーチと準備が必要です。

アポ取りは、新規獲得における最初のステップであり、その重要性は高いです。だからこそ、アポ取りの難しさを理解し、適切な対策を練らなくてはなりません。

代理店業界のアポ取りのポイント

代理店業界のアポ取りのポイントは以下の9つです。

  • 広告の知識を身につける
  • 顧客の業界知識を身に付ける
  • 顧客リストを精査する
  • 入念なリサーチを行う
  • 顧客のヒアリングを徹底する
  • 顧客それぞれに適したアプローチをする
  • トーク内容を記録する
  • 社内で情報共有する
  • アプローチのタイミングを工夫する

それぞれを解説していきます。

広告の知識を身に付ける

自社の製品やサービスの価値を伝えるためには広告の種類、それぞれの特性と効果、最新の広告トレンドなどを身につける必要があります。広告全般に関する知識を持つことによって、顧客のニーズに最適な解決策を提案し、信頼関係を築くことができます。

まずは、自社が提供している広告の特性を理解しましょう。以下のようなポイントを意識して把握するとよいでしょう。

  • 動画、画像などの配信形態
  • リーチできるユーザー属性(年齢や地域、職業等)
  • 業界ごとの平均ユニークユーザー数
  • 業界ごとの平均リピートユーザー数
  • 業界ごとの平均CVR(コンバージョン率)、CPA(顧客獲得単価)等の指標
  • 出稿広告数
  • 出稿までの工数

その上で広告手法のトレンドを追うことも重要です。広告業界の専門メディアや情報サイトや競合他社の動向を定期的にチェックしておきましょう。日常生活の中でも常にどのような広告が打たれているのかを意識しておくと、よりマスに寄った視点で広告業界の動向を理解できます。

顧客の業界知識を身に付ける

顧客の業界に関する知識は、その顧客が直面している課題やニーズを理解するために重要です。業界知識を身に付けることによって、顧客の視点から考え、よりパーソナライズされた提案を行えます。

顧客の業界知識を身につけるためには、以下の方法が有効です。

  • 毎日、顧客の業界についてのニュースを読む
  • 顧客企業の関係者と直接会話をする
  • SNSで専門家の発言を確認する

また、業界の調査を行う際には、以下のポイントに着目するとよいでしょう。

業界全体の動向業界全体の成長動向、主要な競合他社、マスのニーズなど
業界全体の課題業界全体の顧客獲得、社会情勢への対応等での課題
業界全体の広告活動の傾向業界でどのような広告活動が行われることが多いか

例えば、ホテル業界にアプローチする際、円安で外国人宿泊者数が増えている現状を把握すれば、ホテルを検索する海外顧客向けのリスティング広告を出稿するなどの提案ができます。

顧客リストを精査する

アポ取りを始める前に、顧客リストを精査しましょう。業界動向の変化や年次の経過につれて、リストに入っている企業がターゲット外になっていたり、逆に新しくターゲットとなる企業が増えたりします。また、連絡先など顧客情報の変更もあるかもしれません。

リストを更新するときは以下のような情報に着目するとよいでしょう。

  • 連絡先(電話番号やメールアドレス)が正しいか
  • ターゲットになる企業かどうか
  • 受注見込みのある企業かどうか

事前にリストを整理しておくことによって、見込みの薄い企業に電話をかけることがなくなり、業務効率化につながります。また、業界や企業の課題に分けてリストを作っておくとテレアポをする際に楽になります。

入念なリサーチを行う

業界知識以外でも、可能な限り顧客のリサーチを行いましょう。その際には、以下のような事象に着目するとよいでしょう。

顧客企業の取り組みSNS運用やメディア運営、広告出稿状況
同業界での広告出稿企業リスティングやGoogle検索結果で上位に表示されている企業
過去の商談履歴同業界での商談の履歴、過去のアポイント情報

これらの情報を用いることによって、顧客に対してより有益で説得力のあるトークを展開できます。例えば、顧客の過去の取り組みの成果を出して、それについてヒアリングを行い、課題を整理した後に、同業界での広告の取り組みから、施策を提案することができます。

顧客のヒアリングを徹底する

顧客それぞれの状況を理解するには、徹底したヒアリングが欠かせません。ヒアリングを元に顧客の現在の状況、課題、目標、期待などを正確に理解することができます。

ヒアリングをうまく行うためには、以下のポイントを意識しましょう。

オープンクエスチョンを使用する5W1Hを元にした質問で、相手の会話を引き出す
傾聴力を磨く顧客が話しているときには丁寧に聞き、適切なタイミングで相槌を打つ
顧客の悩みへの理解を示すヒアリング中に顧客の悩みを理解し、共感することによって理解を示す

また、ヒアリングは質の高いコミュニケーションの基盤でもあります。コミュニケーションが上手くいき、自社への期待と信頼が高まると、今後の受注率向上や、長期的な関係性の構築に貢献します。ただ情報を収集するだけでなく、顧客との対話を通じて信頼関係を深めるために重要な要素です。

顧客それぞれに適したアプローチをする

ここまでのポイントである業界理解、顧客リサーチ、ヒアリングで得た情報を元に、それぞれの顧客に最適なアプローチをすることが求められます。顧客のニーズや課題は時と共に変化するため、固定したアプローチ方法ではなく、顧客の声を反映した臨機応変な施策を提案することが重要です。

しかし、ヒアリング内容に合わせて施策を生み出す高いスキルや、ノウハウが必要になります。自社内でロールプレイングを行うことによって、提案力を鍛え、さまざまな状況に対応できるようにしておきましょう。また、過去の失注を振り返って問題点を見つけ出し、今後の営業活動での改善に役立てましょう。

企業によって、適する営業手段は異なります。テレアポ、メール、ウェビナーなど複数の手段を駆使して顧客との接点を増やすことは、アポ率の向上につながります。

トーク内容を記録しておく

アポ取りのアプローチや商談が終わった後には、その内容をすぐに記録しましょう。商談内容の記録は成功・失敗に関わらず、自分のパフォーマンスを評価し、改善するための参考材料となります。また、記録された情報は将来的に同じ顧客と再度接触する際の貴重な参考資料となるので、チーム内で共有すると貴重なナレッジとなります。Google documentなどのクラウド型ドキュメント管理システムに記録しておくと、共有が楽になるでしょう。

記録しておくべき商談内容は、以下のような項目です。

  • 顧客の取り組んでいること
  • 顧客の過去の集客・広告の取り組み
  • 顧客の課題
  • 顧客のニーズ
  • 提案内容
  • 受注・失注要因

これらは文書のみの記録ではなく、会話データを残しておくのが望ましいです。後で会話を聞き返すことによって、話し方や聞き方、提案内容におかしな点がないかを確認し、今後の改善に活かすことができます。

社内で情報共有する

社内に蓄積された知識やノウハウを共有することは、アポイント率を向上させる上で非常に有効です。特に経験を積んだ社員は数多くの顧客と接触し、それぞれの業界や企業の課題や反応についてさまざまな情報を持っています。代理店は顧客数や顧客業界がとても多く、有用な情報を入手するのが難しいため、社内に情報を蓄積していくことが非常に重要になります。それぞれの営業担当者が持っている情報は顧客の生の声であり、アプローチの戦略や提案内容を考える上で大きく役に立つでしょう。

アポ取りや商談のトーク内容は、社内で共有しましょう。それぞれの社員が自身の強みと弱みを認識し、自己改善に取り組むため貴重な機会になります。また、ツールを活用しながら営業プロセスを社内で見える化すると、顧客情報が簡単に共有でき、社員同士で営業方法を参考にしたり、トラブル時に引き継ぎがスムーズにできたりといった利点があります。

アプローチのタイミングを工夫する

アポを獲得するためには、顧客へアプローチするタイミングが重要です。顧客が広告を考えている時期に接触することによって、受注率を増やすことができます。

タイミングを考えるには、以下のような要素に着目するとよいでしょう。

  • 顧客企業の新製品情報
  • 季節性の高い商品の把握
  • 海外の顧客事情
  • 業界内での新サービスの発表
  • 競合他社の動向

例えば、農家の広告出稿を受注したいときに、収穫・発売の時期を考え、そのタイミングに併せて広告を打つなどの工夫ができます。

また、一度失注した企業でも、定期的なフォローアップにより再受注できる可能性があります。間隔を空け、必要とされているタイミングで再度アプローチするのも有効です。

代理店のアポ取りに役立つ営業ツール

営業ツールを使うことによって、アポイントを取得しやすくなります。また、業務を効率化することによっても、間接的にアポイント向上につながる場合があります。

以下では3つに分け、アポ取りに役立つ営業ツールを紹介します。

  • CRM・SFAツール
  • MAツール
  • SNSやビデオ会議ツール

CRM・SFAツール

広告代理店業界の営業では、案件の進捗や複数の顧客や見込み客との関係を管理するために、CRM(Customer Relationship Management)・ SFA(Sales Force Automation)ツールを使用することが一般的です。この2つのツールは、どちらも営業部内でのチームプレイを効率化します。顧客情報、商談の進捗状況、営業メンバーの行動履歴など、さまざま情報をリアルタイムで共有しつつ、チームで同一顧客へアプローチし、同じ目標を共有できるようになります。

また、SFAとCRMの違いは以下のようなものです。

CRM(顧客管理ツール)顧客情報や問合せ履歴、反応履歴を蓄積し、顧客との関係を管理する
SFA(営業支援システム)営業メンバーの行動や商談の進捗状況、結果を蓄積・共有し、チーム間での営業業務を効率化する

例えば、CRMツールにて見込み客の接触履歴や反応などの顧客情報を管理することによって、営業担当者はそれぞれの顧客のニーズや関心に合わせたアプローチができます。また、SFAによって営業の進捗をチーム内でリアルタイムで共有できます。

MAツール

MA(Marketing Automation)ツールは見込み顧客の育成の自動化や、顧客情報の管理の効率化を図ることができるシステムで、メルマガを自動化することにより、アポイント取得に役立てることができます。アポイント取得のフォローアップや、失注した見込み顧客への資料送付など、アポイント獲得のためにメールが担う役割は大きいです。とはいえメールを手入力で送っていると多大な時間を使ってしまいます。

MAツールを使えば、顧客ごとに最適化されたフォローアップメールを自動的に送信できます。メールを送付する時間を減らし、テレアポや顧客分析に充分な時間を当てることができます。また、メールの送信タイミングや内容はCRMツールの情報を基に設定できるため、顧客の反応や状況に応じた適切なフォローアップが可能です。

SNSやビデオ会議ツール

SNSやビデオ会議ツールなど外部とのコミュニケーションツールは、新規アポイント取得のために効果的です。

Twitter、YoutubeなどのSNSで情報を発信し、顧客の興味を喚起することによって、見込み客の獲得が期待できます。このようにSNSは、顧客とコミュニケーションを取り見込み顧客を育てたり、自社のノウハウを発信して信頼性を高めたりといった使い方が可能です。特に代理店業界では、広告の種類や効果、市場動向など広告やマーケティングに関する情報を発信すれば、集客につながるでしょう。

Zoomを始めとするビデオ会議ツールは商談時に使うことも多いですが、ウェビナーや交流イベントの開催など、集客の手段として利用されることもあります。特にウェビナーは自社のノウハウ発信や専門家の講演で、信頼性を高めつつ、顧客と直接対話したり、メールアドレスを収集したりと多彩な使い方ができます。

代理店の営業は顧客ニーズを掴むことが重要

ここまで、代理店の営業担当者がアポ獲得するために、意識すべきことや心構えを解説しました。代理店業界でのアポイントは広告手法の増加や、マスのニーズの変化などさまざまな要因から難易度が高いと言えます。特に顧客市場が幅広く、それぞれのニーズを理解し、最適な提案をすることがアポイント獲得のために重要な条件となります。

顧客の業界に関する知識は、その課題やニーズを理解し、パーソナライズされた提案を行うために欠かせません。その上で、ヒアリングを通して顧客の現状を理解し信頼関係を構築して、ニーズに合った提案をすることによって初めて受注につながります。

代理店業界のアポ獲得で成果を上げるためには、ツールの利用が有効です。記事で紹介したツールをぜひ導入してみてください。また、アポイントのフィードバックや顧客分析も、成果を上げるための重要です。

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