BtoB営業において、決裁者のアポ獲得は受注につながる最も有効な手段です。決裁者とのアポをより効果的に獲得するには、ツールを活用するといいでしょう。しかし、それぞれの営業手法に応じたツールやその活用法がわからず、導入を悩む人もいるはずです。
この記事では、決裁者アポ獲得に有効な営業手法や各営業手法の促進するツールの活用法、おすすめのツール12選を紹介します。
BtoB営業において、決裁者のアポ獲得は受注につながる最も有効な手段です。決裁者とのアポをより効果的に獲得するには、ツールを活用するといいでしょう。しかし、それぞれの営業手法に応じたツールやその活用法がわからず、導入を悩む人もいるはずです。
この記事では、決裁者アポ獲得に有効な営業手法や各営業手法の促進するツールの活用法、おすすめのツール12選を紹介します。
決裁者アポの獲得に重要なのは、決裁者との接点を創出することです。ツールを活用して決裁者との接点創出に有効な手段は、次の3つです。
それぞれについて解説します。
フォーム営業とは、企業のホームページに設置してある問合せフォームを利用した営業手法の1つです。ターゲット企業のホームページを検索し、問合せフォームからテキストでサービスや商品を提案します。
本来、問合せフォームは、カスタマーサポートや新規顧客の獲得のために設けられており、送信したメッセージは内容を確認された後、担当部署に振り分けられるのが一般的です。
しかし中小企業では、会社の代表などが直接チェックしている場合もあり、決裁者アポを獲得する有効な手段とされます。フォーム営業ツールを活用すると、フォーム営業を効率化できます。
手紙営業では、決裁者宛に手紙を送付してアプローチを図ります。多くの競合他社が実施するテレアポやメールと差別化できることに加えて、大企業の受付や窓口担当などを経由せず、直接決裁者に届けられます。名宛された手紙を本人以外が開封するケースは、多くないためです。
顧客によって封筒やハガキなどを使い分けたり、特徴のある切手や筆ペン、万年筆などを使って手紙を作成したりすることによって、反応率を高めます。
ターゲットとなる決裁者を選定し、最適なタイミングで質の高い提案を行うためにはABMツールが有効です。
ABMツールとは、顧客情報を統合管理した上で属性付与や分析を行い、ターゲットを明確にして売上の最大化を支援するツールです。ターゲットを選定する際は、業種や企業規模のほか、企業方針やDXツールの導入傾向などの細かい検索機能によって、自社にとって価値の高い顧客を判断できるAMBツールもあります。
企業の営業活動を代行する営業代行サービスを活用すれば、決裁者アポの獲得を効率的に遂行できます。営業代行会社には、営業経験やスキルが豊富なプロのスタッフが在籍しており、企業のデータや営業ノウハウも会社に蓄積されています。決裁者のアポ獲得につながる質の高い営業活動を代行してくれるでしょう。
サービス内容は代行会社によって異なり、新規開拓やリードナーチャリング(見込み顧客の育成)、商談・交渉、カスタマーサポート(既存顧客のフォロー)など、営業のあらゆるプロセスを代行しています。営業プロセス全て代行する会社もあれば、一部を請け負う会社もあります。
自社でツールを導入・運用するのが難しい場合、ツールを活用したノウハウを提供してくれる営業代行会社に依頼するといいでしょう。
フォーム営業を促進するには、テキストの送信を自動で実施できるフォーム営業ツールを活用しましょう。営業をかけたい企業のホームページの検索、問合せフォームへのテキストの作成、送信、といった一連の作業をツールの機能によって効率的に行えます。
さらに、反応率が高い企業を自動で抽出してリスト化する機能や、送信したテキストを比較して効果測定をする機能の活用によって、フォーム営業の質も高められます。
複数のターゲット企業に、1件ずつ手作業でメッセージを入力するのは、人的コストがかかります。フォーム営業ツールの活用によって、作業負担を減らして送信件数を増やせるうえ、人的コストカットにもつながります。
フォーム営業ツールは、営業リストを自動的に作成するタイプのツールとフォーム投稿に特化したツールの2種類に大別できます。
両者の特徴や比較のポイントなどを以下でそれぞれ紹介します。
営業リスト自動作成タイプでは、ターゲット企業を自動的に選定してリスト化します。営業リストの作成方法はツールによってさまざまです。
インターネット上から収集した企業情報を元に作成するツール、独自のデータベースを元に作成するツール、既存の営業リストと組合せて作成するツールなどがあります。また、業種や取扱サービス、エリアなどの選定の際に指定する条件もツールによって異なります。
データベースに登録されている企業数や設定できる条件を導入前に確認しておくといいでしょう。特に、企業の詳細情報をどこまで設定できるかを詳しく確認しておきます。決裁者アポの獲得には、詳細情報が必要になるためです。
基本的には、業界や業種、資本金、従業員数などの基本的な情報は設定できますが、中にはコールセンターを内製化している企業やDX導入の進捗、コンプライアンスなど、ビジネス動向まで指定できるツールもあります。細かい条件が設定できれば、ターゲットを絞ってより確度の高い営業リストが作成できます。
問合せフォーム営業の営業リストの作成やターゲット選定を効率的に行うには、営業リスト自動作成タイプを選択するといいでしょう。
自社に蓄積した営業リストがある場合は、フォーム送信特化タイプを活用するといいでしょう。フォーム送信に特化したツールは、送信する内容を精査し、反応率や返信率の向上に役立つ機能を備えます。ABテストの実施によるテキストの成果分析やテキスト作成サポートによって、精度の高いメッセージを送信します。
フォーム送信特化タイプを選ぶ際は、メール配信機能の有無を確認しましょう。問合せフォームを設置せず、メールアドレスのみを記載する企業もあるためです。メール配信機能があれば、メールアドレスを自動検知してメッセージを送信できます。中には、送信時刻の設定や営業時間外の送信設定もできるツールもあるため、反響率の高いタイミングを狙って送信できます。
フォーム送信特化タイプは、フォーム内容の分析やテキストサポートで質を高めて、決裁者のアポ獲得を促進するのに有効です。
ここでは、おすすめのフォーム営業ツール9選を紹介します。
「APOLLO SALES」は、問合せフォームのリスト作成やフォーム営業に加えて、メール営業もできるフォーム営業ツールです。ターゲット企業の条件を指定すると、インターネット上にある企業情報を自動で収集し、日々アップデートされる企業のデータベースを確認のもとに、常に最新の営業リストを作成できます。
重要なキーパーソンの異動や企業方針の転換などの情報を素早く把握できるなど、決裁者のアポ獲得において有効な情報収集を効率よく行えます。
また、リストの購入や作成が不要なうえ、スムーズな運用を図るために専任の担当者によるコンサルティングを受けられるなど、サポートも充実しています。既存の企業リストをCSV形式でインポートし、新たに取得した企業情報と現状の営業活動を連携できるため、顧客管理も効率的に行えます。
Google Chromeの拡張機能を使用してフォーム営業を効率化する「Ultra FORM」は、問合せフォームの手入力作業を自動化してスピーディに送信するといった、フォーム送信に特化したツールです。
名前やメールアドレス、問合せ内容などの基本情報以外にも、件名や会社名のフリガナ、URL、役職など通常の問合せフォームで考えられる項目はほとんど自動入力できるため、決裁者名を指定したうえでの適切なテキスト送信もスムーズです。
ほかにも、URLがいつ誰にクリックされたかわかる効果測定機能やクリックするだけで入力パッドが表示される機能、ABテスト機能などを備えます。複数回訪問したサイトのフォームへの自動入力だけでなく、初めて訪れたサイトのフォームも自動入力できることによって、人的コストの削減と営業効率の向上にも寄与します。
「HIROGARU」は、入力支援ツール「Formin」によるフォーム営業支援のほか、営業リストの作成や投稿済みのフォームの記録、送信したフォーム内容の反響確認など、フォーム営業全般をサポートします。
Google Chromeの拡張機能として提供される「Formin」は、入力項目全ておよび項目ごとの自動入力、ペースト入力などに対応します。複数のタイプの原稿を登録して、相手に合わせて送信できます。テキストの直接入力にも対応しているため、決裁者に合わせた文章の送信もスムーズに行えます。
オプションサービスとして、郵送DM用のリスト作成やおよそ100メディア以上へのプレスリリースの送信もできます。フォーム送信先の企業に合ったフォーム内容なのかを、確認しながらスムーズに投稿するのに有効です。
「SalesNow Form」は、営業戦略立案やターゲティング、アポ獲得までを営業支援する「SalesNow」のフォーム営業ツールです。
156項目から条件を設定して企業を絞り込み、問合せフォームに自動送信したり、名前や住所などの基礎情報と問合せ内容をスピーディに設定したりできます。送信設定した全ての企業に関して、送信日時や送信の可否、電話番号などの情報をCSVでダウンロードして、テレアポリストなどに活用することもできます。
「SalesNow」に備わる300万件以上の企業データベースから、代表者名および代表者のSNSなどの細かい情報を確認できるため、決裁者アポを獲得率の高いタイミングで営業をかけられます。
「ホットアプローチ」は、全国470万社以上の企業データベースからターゲット企業を選定し、最適なフォームの送信をサポートします。国税庁や経済産業省の情報をもとに作成した信頼性のある企業データから、業界やエリア、ビジネス情報、連絡先の有無(住所、電話、問合せフォーム、メールアドレスなど)などの条件を指定して、アプローチリストを作成できます。
決裁者アポ獲得において重要なビジネス動向を把握するため、データベースだけではなく検索条件も豊富です。海外進出企業や合併会社、コンプライアンス推進企業、DX導入•関連企業など、狙った業界の決裁者にフォーム営業ができます。
また、複数ある雛形からテキストを選定後、およそ3分で500社もの企業にメールを送信できるほか、テキストの中に含めた行動ログを把握できるURLによって、自社ホームページにアクセスした企業を検知するシステムもあります。アクセスした企業やアクセス数もわかるため、ターゲットに優先度を付けるなど、営業に活かせます。
AIによるターゲット企業の自動分析が可能な営業フォームツール「GeAIne(ジーン)」では、自社に適した受注確度の高い営業リストを作成や豊富な検索条件によって、決裁者のアポ獲得のための細かいターゲティングができます。
分類した受注リストをアップロードすると、GeAIneがAIによるおすすめ企業分析機能によって企業の関連情報を自動で収集・解析し、自社に適した営業リストを作成します。また、予約送信機能で、休日や就業前など反響率の高い日時を狙って送信することによって、フォーム営業による決裁者アポ獲得を効率的に実施できます。
直感的でわかりやすいUIが採用されているため、ツールの操作や運用もスムーズです。
SEARCHROOMは、フォーム営業を行うために必要なリスト作成に特化したプラットフォームです。50万社以上の企業データから、AIがターゲット企業を検索・分析して営業リストを作成します。
「SEARCHROOM For Sales」と「SEARCHROOM For M&A」の、2つのプランがリストの用途別に用意されています。フォーム営業向けのプランである「For Sales」は、1万社以上の財務状況データを表示させるだけでなく、将来の予測データを収録する機能もあります。こうした機能の活用によって、ターゲット企業の決裁者の動向をいち早く察知して営業できます。さらに、ランキング機能を使えば、自社に合う企業を自動で選定してくれるため、優先順位を付けて効率的にアプローチできます。
リード獲得に特化した機能を持つ「Lead Dynamics」は、AIの活用によってフォーム営業を支援するツールです。問合せ項目への入力やCSVファイルのセット、送信、結果確認など、フォーム営業を実施する上で必要な機能は1つのアカウントですべて利用できます。
機械学習技術によりさまざまな企業の問合わせフォームを理解する「Lead Dynamics」のAIは、営業担当者が実際に行っているようなリアルな問合わせを実行できます。それぞれの決裁者に刺さるフォーム送信ができることに加えて、NGワードなどを設定することでモラルを保ちながらフォーム営業を行えます。企業のイメージダウン対策にもなるでしょう。
また、直感的に操作できるUIと複数のサイト分析やノウハウを蓄積したAIで、誰でも簡単にツールを活用できます。
「Listers form」は、無制限で問合せフォームに自動入力・自動送信できるフォームマーケティングツールです。自社が保有するリストの活用のほか、医療・医薬業界や飲食業界、マーケティング業界、製造業界などのさまざまな企業リストを有料で活用できます。
フォーム営業に不慣れな場合は、問合わせ文面の作成サポートやフォーム営業ノウハウ、文面サンプル集を活用することによって、決裁者に伝わりやすいテキストが作成できます。加えて、営業を断る記載を自動で検出する機能もあります。
フォーム営業では、サービスの趣旨とは異なった企業への送信が課題となります。または、フォームからのメッセージをよく思わない企業もあるため、自動検出機能によってイメージダウン対策も行えます。7日間無料体験で実際に試してから導入を検討するのも1つの手段です。
フォーム営業では、過度な提案、もしくは営業先に全く関係のないテキストを送信することによって、企業イメージの低下につながります。一斉送信機能を利用すれば手間は省けますが、営業リストの選定が甘かった場合、ターゲットとは異なる企業にメッセージが届くこともあります。さらに、短期間に何度も提案されると不快に感じられることもあるため注意が必要です。
こうしたリスクを軽減するには、既存の取引企業やNGワードの登録、最近送信した企業への再送信を防止する注意喚起、営業を禁止する事項の感知機能などのクレーム防止機能を持つ「Lead Dynamics」「Listers form」などを活用するといいでしょう。
ABM(Account Based Marketing)とは、企業や団体の決裁者などをターゲットに設定し、案件獲得数の最大化を目的とするBtoB営業手法の1つです。
ABMツールでは、蓄積した顧客情報を分析したあと、選定したリードの中から自社のサービスや製品に適切な企業をさらに深く選定できます。商品やサービスごとに管理されていた取引履歴を企業単位で統合し、売上高や資本金、従業員数、役職、決算月などの属性情報を加えて緻密に管理する機能を持ちます。
決裁者に対して直接アプローチを実施する手紙営業では、企業だけでなく決裁者の動向が重要です。ABMツールには、名寄せや属性の自動付与、専門家によるコンテンツ作成、プロファイリング機能などの機能が搭載されたものがあります。こうしたABMツールの機能を活用することによって、最適なタイミングで最適な商材を提案でき、アポ獲得率の向上につながります。
おすすめのABMツールは、次の3つです。
それぞれについて紹介します。
SPEEDAは、560業界のおよそ1,000万社の企業情報が集約されたデータベースを活用できるプラットフォームです。営業リストの作成においては、人材需要が高い企業や一人当たりの利益が高い企業、オフィス移転需要が高い企業、高成長企業など、さまざまなシナリオから検索できます。
専属アナリストによる業界のオリジナルレポートや業界主要企業の財務データの活用によって、トレンドや企業の業績、状態などをスムーズに把握して、確度の高い決裁者の絞り込みができます。業種や企業規模でスクリーニングした上、最適なタイミングでサービスの提案が行えます。
BtoB向けの顧客戦略プラットフォームFORCASは、受注につながりやすい顧客を可視化し、売上の最大化を効率的に支援します。顧客分析・企業リスト作成や名寄せ機能、Salesforce連携・MA連携、データ入力効率化、企業リサーチなど、マーケティングに特化した機能を持ちます。
既存のリストをアップロードすると、自動的に名寄せを実行してデータの重複を防止したり、共通する特徴や傾向を自動的に分析して企業の傾向を把握したりできます。決裁者リストの整理や分析に有効です。
また、データ入力効率化機能では、Salesforceでのリードや取引先登録を大幅に簡略化し、正確な企業情報を入力できます。会社名や企業ドメインを入力するだけで、FORCASの企業データベースから候補企業が提案され、その中から選択するだけで簡単に取引先を作成できます。
uSonarは、全国の事業拠点を網羅した法人マスタデータを搭載しており、取引先はもちろん名刺、仕入先など社内におけるあらゆる顧客データの統合を支援します。SFAツールやMAツールなどと連携させることによって、顧客データを誰の目にもわかりやすく整理して効率的な営業を促進します。
名寄せや法人情報のメンテナンス、属性付与などは全て自動で行えます。企業情報だけでなく店舗や支店、工場といった事業所単位でのデータベースを管理して、資本関係を可視化させた上でセグメント分けすると、ターゲットとなる決裁者情報をより明確にできます。その上で、シナリオを設定し提案することによって、決裁者アポの獲得につながるでしょう。
ABMツールを導入する際には、他営業ツールとの連携の可否やデータの蓄積に時間がかかる点に注意しましょう。ABMツールは、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)、SFA(営業支援)などのツールと連携・統合することによって、より効果を発揮します。事前に既存のツールと連携できるかを確かめておきましょう。
ただし、導入してすぐに成果につながるとは限りません。企業で蓄積してきた顧客情報や取引実績など、データの整理と分析によって成果を発揮するため、時間がかかることがあります。また、部門間で連携を図って営業組織全体で運用するのに、体制変更を求められることもあります。
人的リソース不足や企業の構造上で連携をうまく図れない場合など、自社でツールを導入・運用するのが難しければ、営業代行を活用しましょう。
営業代行には、テレマーケティングやインサイドセールス、クロージングに特化したタイプなどさまざまな会社があります。中には、独自の企業データやノウハウが蓄積されたツールを持ち、決裁者アポ獲得に有効なフォーム送信や手紙営業をスムーズに実施してくれる会社もあります。
企業の取扱サービスや特性に合った営業代行会社に依頼することによって、営業リストをはじめから作る手間を省き、決裁者アポ獲得の効果的な施策を実施できるでしょう。
営業代行を選定する際は実績や営業スタッフの質などをよく確認しましょう。自社と同業種での実績があれば、蓄積した企業データやノウハウがあるといえます。
加えて、営業代行会社のスタッフは自社の顧客と接することもあり、自社の営業方針や企業風土にそぐわない場合はイメージダウン、顧客満足度が低下につながりかねません。営業代行会社の教育・管理体制がしっかりしているかどうかも併せてチェックするといいでしょう。
決裁者アポを獲得できれば、自社サービスの魅力を直接アピールできます。テレアポや訪問販売などのアウトバウンド営業においてハードルが高い決裁者への提案を効率的に行うには、フォーム営業や手紙営業などの営業手法を用いて、それぞれに合ったツールの導入を検討しましょう。
フォーム営業ツールやABMツールを活用することによって、決裁者アポ獲得を図る営業の質が向上します。自社でツールを導入・運用するのが難しい場合、こうしたツールを導入している営業代行を検討するのも1つの手段です。