受注と売上は、ビジネスを行う上で頻繁に耳にする言葉です。しかし、それぞれの意味が曖昧ではっきりと使い分けできない人もいるでしょう。
そこで本記事では、受注と売上の違いについて解説します。それぞれを管理する目的やメリットなども解説しているので、併せて参考にしてください。
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受注と売上高の違い
受注は顧客から商品の製造や納品を依頼されることで、売上とは、商品の製造や納品を行ったことにより得た報酬のことです。まずは、受注と売上高について以下で詳しく解説します。
受注とは
受注とは、顧客から商品の製造や納品を依頼されることです。例えばA社から「自社ブランドの化粧品を1万本製造してもらいたい」と依頼が来たら、化粧品1万本分の仕事を受注したことになります。
ここで注意すべきは、受注がそのまま売上につながるわけではないということです。受注は仕事の依頼が来ただけで、納品が完了するまでにキャンセルされる可能性があります。つまり受注は、売上が発生する見込み状態のことを指すと考えてもいいでしょう。
売上高とは
売上とは、商品の製造や納品を行ったことにより得た報酬のことです。例えば先ほどの例にならって化粧品を1万本製造して、顧客から1,000万円入金された場合、この1,000万円が売上となります。
ただし、何らかの事情でキャンセルされたり、反対に予定よりも多く受注したりする可能性もあるでしょう。そのため受注と売上は別に考えることがポイントです。
受注と売上を管理する目的
前述の通り、受注と売上は意味が異なることから、それぞれを適切に管理しなければいけません。どちらか一方のみを管理しても、事業をうまく展開することは難しいでしょう。
ここでは、受注と売上を管理する目的について解説します。
受注管理する目的
受注管理とは、受注から商品の出荷までを適切に管理することです。基本的には、以下のような内容を管理します。
- 見積書の作成
- 注文書の確認や入力作業
- 在庫の確認
- 納期の確認や調整
- 受注伝票や注文請書の作成
受注管理を適切に行わなければ、商品を注文通りに顧客に販売できません。例えば納期を把握していないと、いつ商品を納めればいいか迷ってしまいます。また在庫を確認しないまま商品を製造すると、過剰に在庫を抱える原因ともなるでしょう。
顧客からの依頼にきちんと答えるためには、受注管理は欠かせません。曖昧にしてしまうと、失注する恐れもあるでしょう。
売上管理する目的
売上管理とは、各年度の売上金額を正しく把握することです。年度初めに掲げた目標や前年度実績と比較したり、原価率を明らかにしたりします。
事業を展開していると、常に売上金額が右肩上がりになるとは限りません。以前よりも売上が落ちたり、伸び悩んでいたりする場合は、どこに問題があるのかを検証する必要があります。そこで過去の売上管理データと比較すると問題点が浮き彫りになるでしょう。
売上が伸びない要因は契約件数の減少以外に、以下のようなケースも考えられます。
- 営業担当者が契約を獲得するために販売額を下げている
- サブスクリプションサービスを販売している場合であれば解約件数が増加している
売上が上がらない原因を突き止められれば、どのように改善していけばいいかが見えてきます。
また、改善点だけでなく、売上が増加した要因を検証できるのもメリットです。日頃から売上を管理しておき、データを蓄積することが重要です。
受注と売上をシステムで管理する4つのメリット
受注と売上に関する情報は、システムで管理するのがおすすめです。その理由は主に以下の4つです。
- 人為的なミスを防げる
- データを連携できる
- 顧客の満足度を向上できる
- 紙の削減につながる
それぞれのメリットについて解説します。
1.人為的なミスを防げる
受注や売上に関する情報をシステムで管理すると、人為的なミスを防げます。システムであればデータを自動処理してくれるため、入力ミスなどが起こりづらいです。誰が対応しても素早く情報を処理できるため、属人化を防いだり人件費を削減できたりするでしょう。
一方、紙で受注管理を行っている場合、さまざまな情報を手で記載していく必要があります。アナログな作業は人為的なミスが起こりやすく、トラブルの元になりやすいのがデメリットです。さらに業務が集中する時期には、担当者の負担も大きくなるでしょう。
2.データを連携できる
データを連携できるシステムを利用すれば、効率よく受注管理や売上管理を行えます。1度入力した情報は必要な箇所に反映されるため作業効率がアップします。生産性がアップできれば、コアな事業に注力することも可能となるでしょう。
アナログで情報を管理する場合、各データを照らし合わせながら必要な情報をまとめなければいけません。同じ情報を何度も入力する手間も発生するため、担当者の負担も大きいでしょう。
3.顧客の満足度を向上できる
システムを活用して情報をうまく管理できるようになると、顧客の満足度を向上できます。なぜならデータを自動で入力したり、人為的なミスを防いだりすることで業務を効率よく進められるからです。
例えばシステムを導入したことで情報を管理する手間が省けると、その分コアな事業に注力でき、納期を短縮できるかもしれません。すると結果的に顧客の満足度は向上して、自社の評価もアップするでしょう。
4.紙の削減につながる
システムの活用は、ペーパーレス化に役立ちます。例えばFAXで仕事を受注していたり、注文書を紙で管理していたりする企業は珍しくありませんが、システムを導入すると、受注管理や売上管理をオンライン上で行えるため、紙を大幅に削減できます。紙で管理していたときに発生していたコストも削減できるでしょう。
また紙を使用しないことで、保管場所を確保する必要もなくなります。オンライン上でデータを管理することで、すぐに過去の情報を閲覧できるのもメリットといえるでしょう。
受注と売上の管理におすすめのツール2種
受注管理と売上管理におすすめのツールは以下の2種類です。
- 営業支援システム(SFA)
- 顧客管理システム(CRM)
それぞれのツールについて解説します。
営業支援システム(SFA)
営業支援システム(SFA)とは、営業に関する情報を管理するツールのことです。主な機能は以下の通りです。
- 顧客情報の管理
- 商談の進捗状況の管理
- 見積書や受注書の作成
- 営業日報の記録
営業支援システムを導入すると、受注に至るまでの進捗状況を把握できます。すると、なぜ受注に至らなかったのかなどを分析することも可能です。さまざまな情報をわかりやすく管理できるため自社の問題に気付くことができ、結果的に売上の向上も見込めるでしょう。
顧客管理システム(CRM)
顧客管理システム(CRM)とは、顧客に関する情報をまとめられるツールのことです。顧客の情報を一元管理することで関係性を向上させて、より良い事業を展開していけるようになります。管理できる主な情報は以下の通りです。
- 顧客の氏名や住所、電話番号
- メールや電話などのコミュニケーション履歴
- 見積書や請求書の管理
- 購入履歴
- 商談履歴
顧客管理システムを導入すると顧客の情報を蓄積できるため、今までどのような取引を行ってきたかがすぐに把握できます。すると必要に応じて適切な提案ができるため、顧客の満足度もアップするでしょう。
Q&A受注と売上に関するよくある質問
受注と売上に関するよくある質問をまとめてみました。受注と売上をより深く理解する際の参考にしてください。
Q:受注高と売上高とは何ですか?
A:受注高とは顧客から注文を受けた金額のことです。今は手元に入っておらず、将来的に自社の売上として入金される可能性があります。一方、売上高とは正式に受注され、納品まで行った売上総額のことです。
例えば顧客から200万円の受注依頼を受けて、実際に納品したのが150万円分だった場合、受注高は200万円、売上高は150万円となります。つまり、受注高と売上高は必ずしも同じではない点に注意が必要です。
Q:受注と発注の違いは?
A:受注とは、顧客から商品の製造や納品を依頼されることです。反対に発注とは、取引先に商品の製造や納品を依頼することです。つまり受注と発注は正反対の意味を持ち、互いが存在することによってビジネスは成り立っています。
Q:売上と利益の違いは?
A:売上とは、売り上げた金額のことです。一方利益とは、仕入れにかかったコストなどを差し引いて手元に残った金額のことを指します。
例えば、取引先に商品を納めて200万円振り込まれ、原材料費などを引いたら150万円手元に残ったとしましょう。この場合、売上は200万円、利益は150万円となります。
なお、利益にはいくつかの種類があります。一般的なものは以下の3つです。
- 売上総利益:売上から販売原価を引いた利益のこと
- 営業利益:企業が主たる事業で稼いだ利益のこと(売上から販売原価と一般管理費を引いたもの)
- 経常利益:企業が事業行って得た利益のことで、不動産の処分で得た営業外収益や為替による損失などの本業以外の営業外損益を含む(営業利益に営業外収益を足し、営業外費用を引いたもの)
それぞれの意味を理解した上で正しく管理することが大切です。
まとめ|受注と売上の違いを理解しよう
受注と売上の違いは以下の通りです。
- 受注とは、仕事の依頼を受けること
- 売上とは、売り上げた金額のこと
受注は取引が完了する前であるため、今後キャンセルされる可能性があります。一方、売上は商品の受け渡しが完了していることから取引後のことを指します。
受注と売上は適切に管理しないと、スムーズに業務を進められず顧客の信頼を失うことにつながる点に注意が必要です。また過去のデータを蓄積することで、自社の問題点も見えてくるでしょう。
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