監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
EC・D2C・通販業界は意思決定が速く、決裁者マッチングと相性の良い領域です。
データ志向の決裁者に響く提案づくりと、業界特有の注意点をまとめました。

EC・D2C・通販会社が決裁者マッチングを活用する際の注意点を解説します。データ志向の決裁者に響くROI・KPIベースの提案づくり、繁忙期を避けた商談設計、会員属性から見るサービス選定のポイントをまとめました。
監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
EC・D2C・通販業界は意思決定が速く、決裁者マッチングと相性の良い領域です。
データ志向の決裁者に響く提案づくりと、業界特有の注意点をまとめました。
事業の意思決定が速く、外部パートナーの導入にも積極的なこの業界は、決裁者マッチングと相性が良い領域です。
EC・D2C企業は少人数で事業を回すケースが多く、代表や事業責任者自身が発注を判断します。
決裁者と直接話せれば、検討から導入までのスピードが格段に上がります。
集客、CVR改善、リピート施策、物流、CS、システムなど、ECの課題は幅広く存在します。
決裁者との対話で複数の課題を引き出せれば、提案の幅が一気に広がります。
EC業界の決裁者は数字でシビアに判断します。
感覚的な提案では信頼を得られません。
「CACをいくら下げる」「LTVをどう伸ばす」「ROASをどこまで改善する」など、定量的な期待値を提示しましょう。
具体的な数値根拠があるほど、決裁者の検討は前進します。
EC事業者は施策の検証を重視します。
最初から大型契約を迫るより、小さく試して成果を見せる導入設計のほうが、決裁のハードルを下げられます。
EC・D2C・通販ならではの事情を理解しておかないと、ミスマッチや機会損失を招きます。
セール直前は決裁者の集中力が事業オペレーションに向きます。
商談は繁忙期の前後を狙い、施策の準備期間に合わせて提案することが効果的です。
EC・D2C・通販の事業者がどの程度会員にいるか、自社商材との親和性を見極めましょう。
EC・D2C企業は組織が小さく、代表やCOOが販促から物流まで横断して見ているケースが珍しくありません。
誰がどこまで決めるのかを理解しておくと、提案の粒度を相手に合わせられます。
業界特有の前提を三つ挙げます。
数万円から数十万円の範囲であれば、その場で判断が下りることもあります。
最初から年間契約を持ち出さず、1か月の試験導入から入るほうが決まりやすくなります。
試験導入の期間中に何を確認するのかを先に合意しておくと、本契約の判断がスムーズになります。
広告、MA、CRM、物流、レビュー管理と、複数のサービスが既に稼働していることがほとんどです。
既存のツールと何が重複し、何を置き換えるのかを最初に整理すると、検討の土台がそろいます。
置き換えではなく上乗せになる提案は、運用の負担が増える点も正直に伝えておきましょう。
連携できるサービスの一覧を用意しておくと、その場での確認が一度で済みます。
広告費が売上の2割を超える事業では、費用の増加に対する感度が非常に高くなります。
増える売上ではなく、増える粗利で説明すると、判断の軸に乗ります。
原価率や送料の負担を聞き取ったうえで試算を出せば、提案の精度が一段上がります。
単発の施策で終わらせず、事業の成長に沿って取引を広げる視点が必要です。
成果が数字ですぐ見える業界だからこそ、振り返りの設計が関係を決めます。
商談後に取るべき動きを整理します。
導入後の効果を月に一度そろえて確認する場を設けます。
数字を一緒に見る関係になれば、次の課題が自然に共有されるようになります。
成果が出なかった月こそ、原因の仮説を持って臨むと信頼が深まります。
大型セールの直前は新しい取り組みを止める企業が多く、提案のタイミングとしては不利です。
セール後の振り返り時期こそ、改善提案が通りやすい時期になります。
セール中は問い合わせを控え、終了後すぐに結果を踏まえた提案を届けると印象に残ります。
新しいラインの立ち上げは、外部に依頼する範囲を見直す機会になります。
商品計画を早い段階で共有してもらえる関係を目指すと、提案の幅が広がります。
立ち上げ時期の3か月前から相談に入れれば、企画段階から関われるようになります。
既存商品で出した成果を示せることが、新商品を任せてもらう前提になります。
数字で判断する相手だからこそ、準備の粗さがそのまま結果に出ます。
商談で起きやすい 四つの失敗を整理します。
いずれも事前の確認で避けられるものです。
同じ略語でも、事業者によって指している範囲が違うことがあります。
定義をそろえてから数字の話に入ると、認識のずれによる差し戻しを防げます。
相手が使っている呼び方に合わせるだけでも、会話の速度は上がります。
EC事業者には日々多くの広告代理店やツールベンダーが接触しています。
「どこと比べて、何が違うのか」に一文で答えられる状態にしておく必要があります。
機能の差ではなく、どの課題に強いかで語ると伝わりやすくなります。
食品や化粧品は表示や保管の規制があり、アパレルは返品率の扱いが他と大きく異なります。
扱う商材によって前提が変わることを最初に確認すると、提案のずれを防げます。
自社倉庫か外部委託かによっても、実行できる施策の範囲は変わります。
導入後に何をどう測るかを決めないまま始めると、成果の評価が感覚論になります。
測る指標と計測方法を提案の段階で用意しておくと、検証の合意が早く取れます。
既存の計測環境で足りない部分があれば、その準備も含めて工数を見積もります。
この業界は事業の成長も方針の変化も速く、関係を保つには継続的な調整が欠かせません。
取引を続けるうえで意識したい点を整理します。
いずれも短期の成果よりも、事業の段階に合わせる姿勢が問われます。
立ち上げ期は認知獲得、成長期はCVR改善、拡大期はリピートと物流が主要な課題になります。
相手が今どの段階にいるかを確認してから提案の内容を決めると、ずれが起きません。
段階が変わるタイミングは、新しい提案を持ち込む好機でもあります。
少人数の組織ほど、担当が兼務や異動で変わる頻度は高くなります。
経緯や取り決めを文書で残し、いつでも共有できる状態にしておくと、引き継ぎで関係が切れずに済みます。
決裁者と直接の接点を保っておくことも、関係を維持する備えになります。
同じ業界の他社が何をしているかは、EC事業者が常に気にしている情報です。
自社の提案と関係のない情報でも、役に立つものを届ける姿勢が信頼につながります。
守秘義務に触れない範囲で、市場全体の傾向として共有するのが適切です。
EC事業は在庫に資金が固定されるため、支出のタイミングが判断に影響します。
月額と初期費用のどちらを抑えたいかを先に確認すると、提案の形を相手に合わせられます。
分割払いや成果連動の選択肢があるなら、早い段階で示しておきます。
モール中心の事業者は集客よりも価格競争と手数料、自社EC中心の事業者は集客とCVRが主な課題になります。
どちらを主戦場にしているかで、響く提案はまったく変わります。
両方を運営している場合は、どちらの比率を伸ばしたいのかを確認しておきましょう。
EC事業者は購買履歴や配送先といった個人情報を大量に扱っています。
データをどこまで預かるのか、どう保管するのかを提案書に明記すると、法務確認で止まりにくくなります。
委託先を使う場合は、その体制まで含めて説明できるようにしておきます。
事業責任者が交代した直後は、既存の取引も含めて見直しが入るのが普通です。
これまでの成果を数字でまとめて渡すと、継続の判断材料になります。
新任の責任者が何を優先しているかを早めに聞き取り、提案の軸を合わせ直しましょう。
EC・D2C・通販会社にとって決裁者マッチングは、意思決定の速い事業責任者へ直接アプローチできる強力な営業手段です。
成果の鍵は、ROIやKPIといった定量的な言語で語り、スモールスタートで検証を促す提案設計にあります。
一方で、繁忙期の商談タイミングや商材ごとの規制・物流要件、競合の多さといった業界特有の事情を踏まえなければ、機会を逃しかねません。
会員属性と自社商材の親和性を見極めたうえで、データ志向の決裁者に響く準備を整えることが成功につながります。
A. 少人数体制で代表や事業責任者が発注を判断するため、検討から導入までが速いからです。
判断が速い分、商談の場で導入の条件や費用をすぐに示せるよう準備しておきましょう。
A. CACやLTV、ROASなど定量的な期待値を数値根拠つきで示す提案です。
数値の根拠となる事例や前提条件もあわせて示すと、提案の説得力が高まります。
A. EC事業者は検証を重視するため、小さく試して成果を見せる設計のほうが決裁のハードルは下がります。
小さく始めて成果を確認できれば、その後の本格導入につなげやすくなります。
A. セールや年末商戦などの繁忙期を避け、施策の準備期間に合わせるのが効果的です。
相手の繁忙期を事前に確認しておくと、打診の時期を判断しやすくなります。
A. 成長中のD2CブランドやEC事業者が会員にいるか、自社商材と需要がかみ合うかを確認します。
運営会社に会員の業種や事業規模を確認し、自社の提案に合う相手と出会えるかを見極めましょう。
この記事の監修者
平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。