監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
事業を広げたいのに、資金調達の方法が多すぎて何から手をつけるか迷うことはないでしょうか。
この記事では、12の手段の一覧、融資と出資の違い、相手への打診の例文を解説します。
資金調達の方法一覧|12の手段を4つに分ける
資金調達の方法は、お金の性質で分けると全体像がつかめます。
12の手段を4つの分類に並べます。
| 分類 | 主な手段 | 返済 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 借りる(デット) | 日本政策金融公庫の融資/銀行融資(保証付き含む)/自治体の制度融資 | 必要 | 運転資金・設備資金 |
| 出資を受ける(エクイティ) | ベンチャーキャピタル/エンジェル投資家/事業会社・CVC/株式投資型クラウドファンディング | 不要(株式を渡す) | 急成長を狙う事業・赤字先行の投資 |
| 返済不要の制度 | 補助金/助成金/購入型クラウドファンディング | 不要 | 新事業・設備投資・雇用の拡大 |
| 資産・取引を使う | ファクタリング/リース・資産の売却 | 不要(手数料や売却損) | 入金までのつなぎ・手元資金の確保 |
返済の有無と経営への影響で分ける
最初に考えるのは、返済が必要なお金か、株式と引き換えのお金かという点です。
融資は返済が必要でも経営権が残り、出資は返済不要でも持ち株比率が下がります。
株式は一度渡すと買い戻しが難しく、意思決定にも影響します。
黒字化の見通しが立つ事業は融資、赤字を先行させて伸ばす事業は出資から検討してください。
調達までの期間と手間も比べる
手元に入るまでの期間は、手段ごとに大きく異なります。
急ぐ資金ほど手段が限られるため、入金時期から逆算して選ぶことが分かれ目です。
ファクタリングは早い一方、補助金は採択後に事業を実施してからの後払いです。
半年先までの資金繰り表を作り、いつ・いくら必要かを先に書き出してください。
借りる・もらう方法|融資と補助金・助成金
多くの中小企業にとって、資金調達の土台は金融機関からの融資です。
融資の3つの窓口と、返済不要の制度の使い方を順に見ていきます。
創業期は日本政策金融公庫から相談する
決算の実績がない創業期は、民間の銀行から融資を受けにくい時期です。
政府系の日本政策金融公庫は創業融資に積極的で、最初の借入先になりやすい存在です。
無担保・無保証人で使える制度もあり、事業計画と自己資金の準備が審査の中心です。
自己資金の出どころを通帳で説明できる状態にしてから申し込んでください。
銀行融資は信用保証協会と自治体の制度で広げる
民間の銀行は、まず信用保証協会の保証が付いた融資から取引を始めるのが一般的です。
保証付きで借りて約定どおり返す実績を積むと、保証なしの融資へ進みやすくなります。
自治体の制度融資では、利子や保証料の一部を自治体が負担する場合があります。
相談の際は、決算書と資金の使い道、返済の見通しを1枚にまとめて持参してください。
補助金・助成金は後払いを前提に組む
補助金と助成金は返済が不要で、自己負担を抑えて投資できる手段です。
どちらも原則として後払いのため、支払いをいったん立て替える資金が必要になります。
補助金は公募と審査があり、助成金は雇用などの要件を満たせば受給しやすい制度です。
融資とセットで計画し、採択前に発注した経費は対象外になる点も確認してください。
出資を受ける方法|VC・エンジェル・事業会社
出資は、資金と一緒に相手の知見や人脈も得られる手段です。
相手の種類ごとに、期待されることが異なる4つの手段を並べます。
ベンチャーキャピタルは成長と上場を前提に選ぶ
ベンチャーキャピタル(VC)は、成長企業に投資する専門の会社です。
VCは上場や売却による回収を前提とするため、大きく伸びる事業計画が必要です。
まとまった金額を調達できる代わりに、取締役会への参加など経営への関与も増えます。
投資先の業種や段階を調べ、自社と合うVCに絞って面談を申し込んでください。
エンジェル投資家は創業初期の応援者として探す
エンジェル投資家は、創業初期の会社に自己資金で出資する個人です。
金額は小さくても、経営経験や人脈まで含めて支援してくれる点が強みです。
多くは経営者や元起業家で、紹介や経営者の集まりで出会います。
資金だけでなく、どの経験に力を借りたいかを伝えてから相談してください。
事業会社とは資本業務提携として組む
事業会社やCVCからの出資は、資金と一緒に販路や技術を得られる手段です。
相手の事業との相乗効果を示せると、出資と取引が同時に進みやすくなります。
一方で、競合他社との取引が制限される条件が付く場合もあります。
出資の打診より先に、取引先として組める余地を経営者同士で話してください。
クラウドファンディングは支援者づくりと兼ねる
クラウドファンディングは、ネット上で多数の個人から資金を集める方法です。
購入型は商品の予約販売として、需要の確認と資金集めを同時に行えます。
株式投資型は少額の出資を多数から募る仕組みで、株主の管理が必要になります。
目標額に届かないと資金を受け取れない方式もあるため、募集条件を確認してください。
資産・取引を使う方法と注意点
手元の資産や売掛金を使えば、借入を増やさずに資金を用意できます。
2つの方法と、組み合わせるときの注意点を挙げます。
ファクタリングは手数料を比べて短期で使う
ファクタリングは、入金前の売掛金を専門の会社に買い取ってもらう方法です。
入金が早い反面、手数料が融資の金利より高くなりやすく、常用には向きません。
売掛先に通知する3社間の方式は、通知しない2社間の方式より手数料が低い傾向です。
大口の入金待ちなど、期間が限られたつなぎ資金として使ってください。
リースや資産の売却で手元資金を残す
設備を購入せずにリースにすると、まとまった支払いを月々の費用に分けられます。
使っていない不動産や設備を売却すれば、借入を増やさずに資金を確保できます。
設備を売却してリースで使い続ければ、事業を止めずに資金化できます。
売却損や総支払額の増加も含めて、税理士と試算してから判断してください。
資金調達を成功させる視点|相手との関係を先につくる
資金調達の成否は、必要になってから動くか、前から関係があるかで大きく変わります。
調達を早めるための2つの視点を挙げます。
必要になる前から金融機関や投資家と接点を持つ
資金が足りなくなってから初めて相談すると、条件が厳しくなりがちです。
業績が良い時期から決算報告に通い、借りられるうちに関係をつくってください。
金融機関には返済の確実さを、投資家には成長の大きさを中心に伝えます。
半年に1回は、取引のある金融機関と主要な投資家に近況を共有してください。
決裁者と直接つながる場を併用する
出資や資本業務提携の相手は、紹介や偶然の出会いに頼ると数が限られます。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
12年・8,000名以上の決裁者が集まる場で、提携や出資の相手と出会えます。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
資金調達の方法は12の手段があり、借りる・出資・返済不要・資産活用の4つに分けて考えます。
融資は返済が必要でも経営権が残り、出資は返済不要でも持ち株比率が下がります。
創業期は日本政策金融公庫、その後は保証付き融資で銀行との取引実績を積みます。
出資はVC・エンジェル・事業会社で期待されることが異なるため、事業の伸び方に合う相手を選びます。
どの方法でも、必要になる前から金融機関や投資家と関係をつくった会社ほど調達が早く進みます。
提携や出資の相手を広く探すなら、決裁者と直接つながる場も選択肢に入れてみてください。
よくある質問
Q. 資金調達の方法にはどんな種類がありますか
A. 借りる・出資を受ける・返済不要の制度・資産や取引の活用の4つに分かれ、主な手段は12あります。
融資、VCやエンジェル投資家からの出資、補助金・助成金、ファクタリングなどが代表的です。



