監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
商談獲得は、アポの件数より決裁者と会えているかという質が成果を左右します。
代表的な10の方法と獲得率を高めるコツ、自社に合う選び方をまとめました。

商談獲得の代表的な方法10選を、テレアポやフォーム営業から展示会、セミナー、決裁者マッチングまで特徴と注意点つきで解説します。獲得率を高める4つのコツと、商材単価や検討期間に応じた選び方も紹介します。
監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
商談獲得は、アポの件数より決裁者と会えているかという質が成果を左右します。
代表的な10の方法と獲得率を高めるコツ、自社に合う選び方をまとめました。
商談獲得とは、見込み顧客と自社の商品・サービスについて具体的な提案や意見交換を行う場を設定することを指します。
似た言葉に「アポ獲得」がありますが、両者は厳密には異なります。
アポ獲得が「会う約束を取り付けること」自体を指すのに対し、商談獲得は「導入や購買の検討につながる質の高い対話の機会を得ること」を意味します。
つまり、情報収集目的の担当者と会うだけのアポをいくら積み上げても、受注にはつながりません。
商談獲得を考える際は、単なる件数ではなく「検討確度の高い相手と、意思決定に関与できる立場の人と会えているか」という質の視点が不可欠です。
この「質」を左右する最大の要因が、後述する「決裁者に会えているかどうか」です。

商談獲得の具体的な方法を見る前に、なぜ今、商談獲得の難易度が上がっているのかを整理しておきましょう。
原因を理解しておくことで、自社に合った打ち手を選びやすくなります。
テレアポや飛び込み営業といった従来型のアウトバウンド手法は、接続率・アポ率ともに低下傾向にあります。
リモートワークの定着により代表電話に担当者がいないケースが増え、迷惑メールフィルタの精度向上により営業メールも届きにくくなりました。
数をこなせば一定の成果が出る時代は終わり、量に依存した営業活動は営業担当者の疲弊も招いています。
BtoBの買い手は、営業担当者に会う前にWebで情報収集を済ませ、比較検討をある程度終えてから問い合わせをするようになりました。
つまり、買い手の検討プロセスの大部分が「営業に会う前」に進んでしまうため、売り手が接点を持てるタイミングが後ろ倒しになり、接点を持てた時点ではすでに競合が本命になっているケースも珍しくありません。
早い段階から見込み顧客との接点を持ち、想起される存在になっておくことの重要性が増しています。
たとえ商談を獲得できても、相手が情報収集段階の担当者である場合、稟議の過程で話が止まってしまうことが多くあります。
BtoBの意思決定には複数の関係者が関与し、最終的な判断は経営者や役員などの決裁者が下します。
担当者経由の商談は、決裁者に価値が正しく伝わらない「伝言ゲーム」のリスクを常に抱えており、商談化しても受注までのリードタイムが長期化しがちです。
だからこそ、最初から決裁者と直接つながる商談獲得手法が注目されているのです。
アポ獲得率は、獲得したアポイントの数を、働きかけた件数で割って出します。
問題になるのは分子ではなく、何を分母に置くかが会社ごとにばらついていることです。
下表のどれを分母にするかで、同じ活動でも数字が何倍も変わります。
| 分母の置き方 | 何が分かるか |
|---|---|
| リストの件数 | リストそのものの質。当たる前の見立てが合っていたか |
| 架電や送信の件数 | 手数に対する効率。かけた回数あたりの収穫 |
| 接触できた件数 | 話せた相手に対する決定率。トークの出来が表れる |
| 決裁者に接触できた件数 | 窓口を抜けたあとの決定率。提案の刺さり方が表れる |
改善したいのがリストなのかトークなのかで、見るべき分母が変わります。
分母をそろえずに他社の数字と比べても判断には使えません。
ここからは、商談獲得の代表的な方法を10個紹介します。
それぞれの特徴、メリット、注意点を理解し、自社の商材や体制に合った組み合わせを検討しましょう。
リストに対して電話をかけ、アポイントを打診する最も古典的な手法です。
即日から始められ、ターゲットを狙って直接アプローチできる点がメリットです。
一方で接続率の低下により、成果を出すには質の高いリストとトークスクリプトの継続的な改善が欠かせません。
企業サイトの問い合わせフォームから提案文を送付する手法です。
電話よりも担当者に届きやすく、低コストで始められる一方、送信先企業がフォーム営業を禁止している場合もあるため、文面の質と送信先の選定に注意が必要です。
保有リードに対してメールで情報提供を行い、商談打診につなげる手法です。
一斉配信だけでなく、開封やクリックといった行動データをもとにしたセグメント配信を行うことで、商談化率を高められます。
既存顧客やパートナー、知人からの紹介で商談を獲得する手法です。
紹介経由の商談は信頼が担保された状態で始まるため、受注率が圧倒的に高いのが特徴です。
ただし紹介の発生は偶発的で、件数をコントロールしにくいという課題があります。
この「紹介の再現性のなさ」を仕組みで解決するのが、後述する決裁者マッチングサービスです。
展示会に出展し、来場者と名刺交換をして商談につなげる手法です。
短期間で大量のリードを獲得できる反面、出展コストが高く、獲得したリードの多くは情報収集段階であるため、その後のフォロー体制が成否を分けます。
自社でセミナーやウェビナーを開催し、参加者を商談へ引き上げる手法です。
課題意識が明確な参加者が集まるため、リードの質が高い傾向にあります。
集客力が成果を左右するため、テーマ設計と告知チャネルの確保が重要です。
オウンドメディアやブログで見込み顧客の課題解決に役立つ情報を発信し、検索経由で問い合わせを獲得する手法です。
一度上位表示されれば継続的にリードを生む資産になりますが、成果が出るまでに半年から1年程度かかるため、中長期の取り組みとして位置づける必要があります。
XやFacebook、LinkedInなどで情報発信や交流を行い、関係性を構築したうえで商談につなげる手法です。
売り込みではなく価値提供を通じて信頼を積み上げるアプローチであり、経営者個人の発信が商談を生むケースも増えています。
リスティング広告やSNS広告で自社サービスを訴求し、資料請求や問い合わせを獲得する手法です。
即効性がある一方、広告費をかけ続けなければリードが止まるため、他のストック型施策と組み合わせることが望ましいでしょう。
経営者や役員といった決裁者同士をつなぐプラットフォームを活用し、最初から意思決定権者と商談を組む手法です。
担当者止まりの構造的な課題を根本から解決できるため、高単価商材や検討期間の長い商材と特に相性が良い方法です。
詳細は後の章で詳しく解説します。
どの方法を選ぶにしても、共通して押さえるべきポイントがあります。
ここでは商談獲得率を高めるための4つのコツを紹介します。
「誰の、どんな課題を、どう解決するのか」が曖昧なままアプローチ数を増やしても、商談化率は上がりません。
業種・企業規模・役職・抱えている課題を具体的に定義し、その相手に刺さるメッセージを設計することが出発点です。
前述の通り、担当者経由の商談は停滞リスクが高いため、可能な限り決裁者本人との接点を狙いましょう。
決裁者は課題と予算の両方を把握しているため、商談の初回から本質的な議論ができ、意思決定のスピードも格段に速くなります。
問い合わせをくれる「今すぐ客」は市場のごく一部にすぎません。
現時点でニーズが顕在化していない「そのうち客」と継続的な接点を持ち、信頼という関係性資産を積み上げておくことで、相手のタイミングが来た瞬間に第一想起される存在になれます。
売り込みではなく、有益な情報や人脈をGIVEし続ける姿勢が、半年後・1年後の商談を生み出します。
アプローチ数、接続率、商談化率、受注率といった各プロセスのKPIを計測し、どこに課題があるのかを特定しましょう。
商談の「数」だけでなく、決裁者商談比率や商談からの受注率といった「質」の指標も併せて追うことが重要です。
10の方法を紹介しましたが、すべてに取り組む必要はありません。
自社に合った方法を選ぶ基準は、主に「商材単価」「検討期間」「リソース」の3つです。
商材単価が低く検討期間が短い商材であれば、Web広告やフォーム営業など、量を確保しやすい手法が向いています。
一方、商材単価が高く、検討期間が長く、意思決定に経営層が関与する商材の場合、担当者向けに量を追う手法は非効率です。
このタイプの商材では、紹介営業や決裁者マッチングのように、信頼を起点として決裁者と直接つながる手法が最も費用対効果に優れます。
また、社内の営業リソースが限られている場合は、テレアポ代行などのアウトソーシングや、商談設定までを支援してくれるマッチングサービスの活用が現実的な選択肢になるでしょう。
ここまで見てきた課題、すなわち「担当者止まり」「紹介の再現性のなさ」「そのうち客との接点維持」をまとめて解決できる手法が、決裁者マッチングサービスです。
決裁者マッチングサービスとは、経営者・役員クラスの決裁者が登録するプラットフォーム上で、条件の合う決裁者同士の商談をセッティングできるサービスを指します。
なぜ商談獲得において決裁者マッチングがおすすめなのか、理由を4つ紹介します。
決裁者マッチングでは、商談相手が最初から経営者や役員です。
予算や経営課題を把握している相手と直接議論できるため、担当者経由で起こりがちな伝言ゲームや稟議での停滞がなく、意思決定までのリードタイムを大幅に短縮できます。
紹介経由の商談が強いのは、信頼が担保された状態で始まるからです。
決裁者マッチングは、プラットフォームや運営による仲介・推薦を通じて、この信頼担保の構造を仕組みとして再現します。
偶発的な紹介を待つのではなく、狙ったターゲット企業の決裁者との商談を計画的に獲得できる点が、従来の紹介営業との大きな違いです。
決裁者とのつながりは、今すぐの商談だけでなく、中長期の関係性資産にもなります。
すぐに案件化しなくても、決裁者コミュニティの中で情報交換や相互紹介といったGIVEを重ねておくことで、相手のニーズが顕在化したタイミングで真っ先に声がかかる存在になれます。
タイミングを理由に失注した相手とも、決裁者同士の関係として接点を維持できるのは大きな強みです。
決裁者マッチングサービスの多くは、条件に合う決裁者の探索からアポイント調整までをプラットフォームや運営がサポートしてくれます。
テレアポ部隊やマーケティングチームを持たない企業でも、少ないリソースで質の高い商談を獲得できるため、スタートアップや中小企業にも適した手法といえます。
サービスを選ぶ際は、登録している決裁者の数や層、自社のターゲット業種との親和性、マッチングの仕組み(データベース型か伴走支援型か)、料金体系を比較検討するとよいでしょう。
本記事では、商談獲得の方法10選と、商談獲得率を高めるコツ、自社に合った手法の選び方を解説しました。
買い手の購買行動が変化した今、担当者向けにアプローチの量を積み上げるだけの商談獲得は限界を迎えつつあります。
これからの商談獲得の鍵は、「できるだけ早く決裁者と直接つながること」と「そのうち客と関係性資産を築くこと」の2点です。
この2つを同時に実現できる手法が決裁者マッチングであり、特に高単価・長期検討型のBtoB商材を扱う企業にとっては、最も費用対効果の高い選択肢となり得ます。
まずは自社の商材特性と現在のボトルネックを整理したうえで、決裁者マッチングサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
A. アポ獲得は会う約束を取ること、商談獲得は検討につながる質の高い対話の機会を得ることです。
アポの件数だけを追うと確度の低い面談が増えやすいため、検討につながったかどうかもあわせて確認しましょう。
A. アウトバウンドの反応率低下と、買い手が営業に会う前に比較検討を終える購買行動の変化が要因です。
そのため、量を増やすだけでなく、買い手が求める情報を提供し、決裁者との接点を作る工夫が必要です。
A. 商材単価が低く検討期間が短いなら量を追う手法、高単価で長期検討なら決裁者と直接つながる手法が適します。
複数の方法を試す場合も、まずは自社の商材に合う方法を一つか二つに絞り、成果を確認しながら広げましょう。
A. 稟議で止まりやすく、決裁者に価値が伝わらない伝言ゲームのリスクを抱えます。
担当者との商談から始める場合も、早い段階で決裁者に同席してもらえるよう依頼しておくと停滞を防げます。
A. 有益な情報を提供し続けて関係性を維持すると、相手のタイミングで第一想起される存在になれます。
定期的に情報を届ける仕組みを作っておくと、担当者が替わっても関係を継続しやすくなります。
この記事の監修者
平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。