リード獲得とは
リード獲得とは「リード・ジェネレーション(Lead Generation)」とも呼ばれ、将来的に顧客になりうるリード(見込み顧客)の情報を取得することを意味します。
リードはオフラインとオンラインのさまざまなマーケティング手法によって獲得されます。その後、育成や選別を経てアポイントを獲得するインサイドセールスや、受注を獲得するフィールドセールスへと引き継がれます。
なお、BtoBセールスにおけるリードの情報とは、メールアドレスや氏名、企業情報、部署名、役職といった個人情報のことを指します。どの情報を取得することをリード獲得と定義するかは、企業によって異なります。
BtoBセールスにおけるリード獲得の目的
リード獲得の目的は、新規顧客・受注件数を増やし売り上げを向上することです。リード獲得は、顧客に自社商品やサービスを購入してもらうためのファーストステップといえます。
売り上げの拡大には、既存顧客のリピートのほか、新規顧客をどれだけ獲得できるかが重要です。新規顧客の獲得にはリードと信頼関係を築き商談を成立させる必要がありますが、そもそもリードを獲得できなければ営業活動を行えません。特にBtoBセールスは、BtoCと比べてターゲットの母数が限られるため、リードを取りこぼさないことが鍵となります。
また、アポイントを獲得するには、自社商品・サービスについての興味や関心度合いが高いリード、または高められる可能性のあるリードが必要です。
リード獲得のための施策11選
リードを獲得する方法は以下の2つに分けることができます。
- オンライン施策(オンラインマーケティング)
- オフライン施策(オフラインマーケティング)
ここでは、それぞれの施策の特徴と具体的な方法を解説します。
オンライン施策
オンライン施策では、オンラインのプラットフォームを利用してターゲット層にアプローチします。日本全国あるいは全世界からリードを獲得できる可能性があり、効果測定を行いやすいというメリットがあります。
オンライン施策には次の5つがあります。
- コンテンツマーケティング
- Webメディアへの掲載
- SNSの利用
- プレスリリースの利用
- ウェビナー(オンラインカンファレンス)の開催
- 広告の出稿
それぞれについて解説します。
1.コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに有益なコンテンツをWebサイトで作成・配信することによってリードを育成し、購買に繋げる方法です。ターゲットとなるユーザー層がインターネットで情報収集する際に、自然検索で上位表示されるよう対策します。また、問合せにつながる流れを意識したコンテンツ作りが求められます。
自社のWebサイトがある場合はすぐに始められますが、サイトやコンテンツを上位表示させるには時間がかかる点に注意が必要です。
2.Webメディアへの掲載
他社が運営するWebメディア媒体に商材を掲載してもらうことも、リード獲得につながります。特に、他社のWebメディアと自社のWebサイトとで読者層や商材のターゲット層が異なる場合、自社サイトからはアプローチできないユーザー層に認知を広げられます。
また、読者に自社のターゲット層が多く含まれるWebメディアを選べば、大きな反響も期待できます。記事形式の紹介記事ならば、商材の特徴や魅力を十分に発信できるでしょう。
3.SNSの利用
TwitterやFacebook、Instagram、LINEなどのSNSを利用し、ターゲットに訴求します。ユーザーが気になる商材やサービスの情報を収集する際、SNSが利用されることも増えています。ユーザー同士が情報をシェアしたり拡散してくれるため、高いPR効果が得られる可能性があります。また、SNSに広告を出稿することも検討すると良いでしょう。
一方で、誤解を招くような表現や不適切な投稿により炎上してしまう可能性もあります。投稿内容のダブルチェックや、万が一の炎上時に備えたリスクマネジメントのフローをあらかじめ設定しておくことをおすすめします。
4.プレスリリースの利用
商品・サービスの内容や特徴をまとめて、プレスリリースで発信します。プレスリリースがきっかけで報道されたり記事化されることによって、ターゲット層に認知を広げることが可能です。
企業活動の内容や会社の知名度をアップする効果も期待でき、ブランディングに繋がりやすいでしょう。
5.ウェビナー(オンラインカンファレンス)の開催
オンライン会議のツールを使ってWeb上でセミナーを開催するウェビナー(オンラインカンファレンス)もあります。セミナーに申し込みや参加してもらい、リードを獲得します。
ウェビナーとは、ユーザーが求めるコンテンツをウェブセミナー形式で展開することです。ウェビナーは、新型コロナウイルスの影響により非対面で開催できるセミナーとして注目されている手法です。
参加者は会場へ足を運ぶ必要がないため、気軽に参加してもらえることがメリットです。インターネット環境さえ整えば実施できるため会場を予約する必要がなく、コストも抑えられます。
6.広告の出稿
Web上に広告を出稿してリードを獲得する方法は、スピーディに出稿でき即効性が期待できます。Web広告は紙媒体と異なり数値による効果測定がしやすいことや、出稿しながら広告文やデザインを変更できることが特徴です。
ターゲティングを細かく設定して予算も決められるため、結果に応じてチューニングしやすい方法です。そのため、Web広告では結果を細かく分析して設定を微調整していくことがポイントになります。
リードを獲得するための広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。これから始める方にもわかりやすく解説していますので、ぜひ読んでみて下さい。
オフライン施策
インターネットをあまり利用しない人へのアプローチには、オフライン施策が有効です。特に自社のターゲット層の年齢層が高い場合に、オフライン施策が効果的な場合が多い傾向です。
オフライン施策の注意点として、オンライン施策と異なり反響を計測しにくいことが挙げられます。オフライン施策がきっかけで問合せに至ったリードを確認できるよう、効果測定の仕組みを整えておくと良いでしょう。
オフライン施策には次の5つがあります。
- セミナー・展示会への参加
- 新聞・雑誌への広告掲載
- 交通広告への出稿
- DMの送付
- 飛び込み営業
それぞれについて解説します。
1.セミナー・展示会への参加
セミナーや展示会では、自社商材のパンフレットやカタログを配布し認知を広められます。
その場で相手の不安や疑問を解消できるため、自社商品の魅力が伝わりやすいでしょう。直接コミュニケーションを取れるため、名刺を交換できるのもメリットです。
一方で、その際のコミュニケーションによってはマイナスの印象を与えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
2.新聞・雑誌への広告掲載
新聞や雑誌に広告を掲載すれば、新聞や雑誌を購入するユーザーに訴求できます。新聞は信頼性が高く、社会的な影響力が大きいメディアです。雑誌は、年齢層や趣味嗜好など自社のターゲット層が購入者に含まれる雑誌を選んで広告を掲載できます。
とはいえ、新聞や雑誌への広告の出稿はインターネット広告のような細かなターゲティングが難しく、出稿を依頼してから実際に掲載されるまで時間がかかるのがデメリットです。
新聞は、エリアを限定して広告を出稿することもできます。また、新聞広告の費用は、サイズや配置場所、全国版か地方版かでも異なります。例えば主要新聞でエリアを限定すれば、小さな枠で1回あたり30〜60万円程度で掲載できます。
雑誌広告は、媒体、掲載場所やサイズ、フルカラーかモノクロかなどで費用が異なり、50〜250万円が相場といわれています。
3.交通広告への出稿
交通広告とは、電車やバス、飛行機、タクシーなどの乗り物や駅構内に掲出できるポスターや看板、ステッカー、中吊り広告などの広告全般のことを指します。露出が高く、多くの人に訴求できるのがメリットです。
通勤途中や移動の際に自然と目に入ります。目に留まるデザインや気になるキャッチコピーなどにより、自社のWebサイトなどに誘導できる可能性があるでしょう。また、最近では液晶やLEDによるデジタルサイネージも普及しており、スライドや動画など視認性の高い情報発信が可能です。
4.DMの送付
DM(ダイレクトメール)の郵送やファクシミリの送信によってリードを獲得することもできます。いずれも紙媒体でユーザーに届ける点は同じですが、送付方法が異なります。
ファクシミリは、電話回線を使って送付します。コストは抑えられますが白黒での送信のため、情報が限られます。郵送の場合、カラー印刷したチラシやカタログのほか、商材によってはサンプルを同封でき、伝えられる情報が多くなりますが、その分、印刷代や郵送費などのコストがかかります。
また、企業からのDMは「広告」と認識され、コストをかけて送付しても見てもらえない可能性があります。そのため、開封したくなるような工夫や地域を絞って送付することなどを検討しましょう。
5.飛び込み営業
飛び込み営業は、アポイントなしで直接企業を訪問する営業方法です。
新規開拓をする際は、営業先の企業についてのリサーチやプレゼン資料の用意など事前に多くの時間がかかります。しかし、飛び込み営業であればスピード感を持ってリードを獲得できます。また、担当者と面会ができなくても、場合によっては担当者の所属部署や名前がわかることもあるでしょう。
一方で訪問可能件数には限度があり、すぐ担当者に会えない可能性も高いです。そのため、効率が悪く成果につながりにくい点がデメリットです。
リード獲得の施策を選定する際のポイント
リード獲得の施策には、オンラインとオフラインそれぞれに複数あります。自社にあった施策を選ぶにはどうすれば良いのでしょうか。この項目では、施策を選定する際のポイントをお伝えします。
ターゲットを明確にする
まず、ターゲット層を明確にします。ターゲットによって効果的なリード獲得の施策は異なるためです。
ターゲットを明確にするには、できるだけ具体的な人物像(ペルソナ)を描くと良いでしょう。性別、年齢、職業、悩み、趣味などペルソナを細かく設定することによって、日常の行動範囲、移動手段、情報収集に活用するメディアなどを想像でき、効果的な施策を選びやすくなります。
リード獲得単価を意識する
リードを獲得するうえで重要なのが「リード獲得単価」です。リード獲得単価とは、リード獲得1件あたりにかかる費用のことです。リードを獲得する施策によって費用が異なるため、当然ながらリード獲得単価も異なります。
リード獲得単価はできるだけ低くしたいと考えがちですが、低い単価で多くのリードを獲得できたとしても、受注につながらなければ目的は達成できません。求めるリードの質とリード獲得単価のバランスを考慮することが重要です。
リード獲得単価の算出方法はこちらの記事で解説しています。
リード獲得の目標数を設定する
選定した施策で獲得するリードの目標数を設定します。設定した目標を達成可能な施策を選定できるからです。目標数を達成するため、複数の施策を並行して実施することもあるでしょう。
目標数を設定すると、効果測定も行いやすくなります。目標数と結果に大幅な乖離がある場合、選んだ施策と自社商材の相性が悪いと判断できます。この経験を次回以降の施策の選定に活かせば、効率的な施策の選択につながるでしょう。
リード獲得後のアプローチ方法を考慮する
リード獲得後に行うインサイドセールスで、リードに対し、どのようにアプローチしていくかも考慮しておきましょう。SNSでコミュニケーションを取るのか、テレアポで情報を提供していくのかなど、インサイドセールスの方法はさまざまです。
リードとインサイドセールスで実施する施策との相性を考慮して戦略を立てると、リード獲得後も効果的なアプローチができるでしょう。
効率的なリード獲得に役立つツール
リード獲得を効率的に行う方法として、営業ツールの導入があります。営業ツールとは、営業活動に関わる業務プロセスを支援するツールです。リード獲得につながる営業ツールとして、以下の5つを紹介します。
- CMSツール
- SEOツール
- MAツール
- ウェビナーツール
- 広告運用ツール
1.CMSツール
CMSとはコンテンツ・マネジメント・システムの略で、Webサイトのページの作成や編集を簡単に行えるツールです。通常、Webページを作成するにはHTMLやCSSなどの専門的な知識が必要ですが、CMSを導入することにより、テキストを入力するだけで作成できます。
簡単にWebページを作れるため、効率的に自社サイトのページを増やせます。コンテンツマーケティングの実施においておすすめのツールです。
2.SEOツール
SEOツールは、Webサイトを検索結果の上位に表示させるために分析や調査を行います。SEOツールには、タイトルやHTMLなどに問題がないか診断する内部診断機能、検索頻度の高いワードを選定できる機能、キーワードごとの自社サイトの検索順位や競合サイトの検索順位をモニタリングできる機能などがあります。
良質なコンテンツ作りやWebサイトの運営には欠かせないツールと言えるでしょう。コンテンツマーケティングを実施する場合は、導入を検討したいツールです。
3.MAツール
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、新規顧客の獲得から商談までのプロセスを効率化し、マーケティング活動をサポートするツールです。ネット広告やSNSと連携し、データに基づいて広告内容をチューニングするといった改善ができるため、リード獲得率の向上が期待できます。
また、さまざまな施策で獲得したリードを一元管理し、さらにリードの優先順位をつけられるため、成約までのプロセスの効率化も可能です。
4.ウェビナーツール
ウェビナーをスムーズに進めるために、ウェビナーツールは必須と言えます。ウェビナーツールには、録画機能、コメント機能、アンケート機能、画面共有機能、大人数配信機能などが搭載されています。最大接続人数によって複数の料金プランが用意されていることが多いです。開催するウェビナーの規模に合ったプランがあるサービスを選ぶと良いでしょう。
5.広告運用ツール
広告運用ツールでは、GoogleやYahooなどに出稿する広告を一元管理できます。それぞれの広告アカウントにログインして運用する手間が省けるため、作業時間を短縮できます。
広告入札の最適化や必要なデータの分析、レポート作成をサポートする機能もあり、Web広告の運用改善を目指してPDCAを効率的に回せます。また、SNSと連携して広告運用できるものもあるため、施策に合わせてサービスを選びましょう。
リード獲得ツールについて、こちらの記事でより詳しく解説しています。おすすめのツールの紹介もあるので、読んでみて下さい。
リード獲得後に行うべきこと
獲得したリードを顧客にするためには、その後の施策が重要です。この項目では、リード獲得後に行うべき施策を3つ紹介します。
1.リードナーチャリング
「リードナーチャリング」とはリード育成のことです。中長期にわたってリードとコミュニケーションを取って購入意欲を高め、受注につながるように育成していきます。特に取引の金額が大きくなることが多いBtoBセールスでは、リードナーチャリングが非常に重要です。
BtoCビジネスの場合、商品やサービスによっては興味を持った段階で購入に至ることがありますが、取引の金額が高額になることが多いBtoBセールスでは即決が難しく、検討する時間が必要です。その間に、メルマガの配信やセミナーの開催などで情報を発信し、メールなどで相手とコミュニケーションを取ることが欠かせません。
獲得段階では受注見込みが低かったリードでもリードナーチャリングによって購買意欲を高められれば、成約につながります。リードの取りこぼしを防ぐのに、リードナーチャリングは非常に重要な施策だと言えます。
2.リードクオリフィケーション
「リードクオリフィケーション」とは、成果を最大化するために受注確度の高い見込み顧客を絞り込む一連のプロセスのことです。リードクオリフィケーションを行う際は、獲得したリードを属性や興味関心ごとにセグメントし、それぞれのセグメントごとにスコアリング(点数化)する方法が一般的です。
スコアリングによって数値化するとリードの状態を可視化でき、定量的にリードを分析できるため、最適なアプローチ方法を選定できるようになります。また、受注見込みが高いリードを優先してインサイドセールスやフィールドセールスに引き継げるため、タイミングを逃すことが少なくなり、効率的な営業活動が実現します。
3.獲得したリードの分析
獲得したリードと成約できたか、実績を把握することも重要です。どのような条件のリードが受注につながりやすいのかを詳細に分析することにより確度の高い商談を創出でき、効率的に売り上げを上げられるでしょう。また、新たに獲得すべきリードの方向性がわかれば、次回以降のリード獲得も効率的に行えます。
顧客や営業活動の情報を部署の垣根を越えて一元管理していると、リードの分析をしやすいです。さらに、リピーターや大口契約などにつながった優良顧客を洗い出すことができれば、新たなリードの獲得にも役立つでしょう。
効率的にリード獲得を行って受注率を高めよう
利益を上げるには、質の高いリードを効率よく獲得することが重要です。リードの獲得方法にはさまざまな方法がありますが、ターゲットを明確にしリード獲得単価や目標獲得数を定めておくなど、事前準備もしっかり行うと自社に合った施策を見つけやすくなります。