最終更新日: 2023.09.22

テレアポやメール営業では競合他社との差別化が難しく、新規顧客の獲得が思うようにいかない企業は多いのではないでしょうか。新規顧客を獲得するには、特別感を演出できる手紙営業がおすすめです。

しかし、電話やメールのほか、チャット、オンライン商談ツールなど、デジタル化が進む時代に手紙営業が本当に有効なのか、疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。この記事では、手紙営業のメリットや、事例を元にした活用法と文例を紹介します。手紙営業の導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

手紙営業を活用する3つのメリット

手紙営業とは、手紙を郵送して企業の担当者や決裁者にアプローチを図る営業手法です。手紙営業を活用して得られるメリットは、次の3つが挙げられます。

  1. 開封率が高い
  2. 決裁者に届きやすい
  3. 自社のイメージを印象づけられる

それぞれのメリットについて解説します。

1.開封率が高い

手紙営業は、メールと比較すると開封率が高い傾向があります。封筒を開封するまで、内容を確認できないためです。担当者や決裁者の名前を宛名にしたり、封筒や切手にこだわったりといった工夫をすれば、さらに開封率が高くなるでしょう。

非対面での営業が主流になりつつあるなか、テレアポやメールでの営業手法に飽きている決裁者や担当者は少なくありません。特にメールは件名からある程度の内容を推測できるため、受信者は開封せずに放置する場合もあります。

しかし、内容を確認してもらえなければ商談のアポは獲得できません。開封率の高い手紙営業を活用することによって内容を見てもらいやすくなり、アポ獲得の可能性が高まります。

2.決裁者に届きやすい

宛名を決裁者にすることにより、ターゲットである決裁者に直接届く可能性が高くなります。テレアポは受付担当者から決裁者につないでもらえない場合が多い一方、宛名を決裁者にした手紙は放置されたり捨てられたりする可能性が低いためです。決裁者に手紙を読んでもらえれば、成約に直結するアポ獲得につながります。

3.自社のイメージを印象付けられる

テレアポやメールなど形として残らない営業手法とは異なり、手紙営業は手紙が手元に残るため、自社の存在を印象付けられます。メールや電話で自社のアピールをしても、相手に内容を伝えて覚えてもらうことは難しいですが、手元に手紙が残れば数多くの顧客を抱える企業の担当者や決裁者に覚えてもらいやすくなります。

また、手紙と同じく文字で伝えるメールと比較した場合、手間のかかる手紙の方が誠意が伝わりやすいです。便箋や封筒、切手にこだわり、筆ペンや万年筆を使用して宛名や本文を手書きすると、より丁寧な印象を持ってもらえ商談のアポ獲得につながるでしょう。

手紙営業の成功事例を元にした活用法

実際に手紙営業に取り組んでいる企業は、どのような成果を上げているのでしょうか。ここでは、手紙営業の成功事例を元にした活用法を5つ紹介します。

  1. メール営業から手紙営業に変更して決裁者とのアポ獲得
  2. 営業リストや文面も含めて手紙営業を導入したことによる販路拡大
  3. 手紙営業は潜在顧客だけでなく顕在顧客にも有効
  4. 自社サービスの魅力を伝えることによる成約数の向上
  5. テレアポからの脱却による商談アポ獲得数・成約件数の向上

1.メール営業から手紙営業に変更して決裁者とのアポ獲得

大手企業に対してシステムやソフトウェアの改善提案を提供するコンサルティング事業を行う企業は、メール営業から手紙営業に変更し成約率を向上させました。

サービスの特性上、社内システムやソフトウェアの大規模な入れ替えになることもあるため、通常の担当者ではなく決裁者との商談が必要です。しかし、決裁者のアポ獲得は難易度が高く、メールでの営業に限界を感じていました。

そこで、手紙営業を導入して決裁者を狙ったアプローチをしたところ、手紙の送付件数は20件ほどと今まで送付していたメールと比べ少ないにもかかわらず、決裁者との商談アポを5件獲得しました。

手紙を送る前には市場調査をしてターゲットを選定し、各大手企業の部長以上の決裁者と思われる人物に手紙を送付しています。各決裁者の経歴などの情報を詳しく調べ文面を適切にカスタマイズしたことによって、決裁者との商談アポ獲得から最終的には成約に至りました。

2.営業リストや文面も含めて手紙営業を導入したことによる販路拡大

とある情報通信企業は、新規販路開拓を目的として手紙営業を導入しようとした際に、何から始めていいのかわかりませんでした。元々は紹介営業により顧客を獲得していたため、自社に顧客リストやノウハウが蓄積されていなかったためです。

そこで、まず顧客リストや文面を作成して、200社を対象に手紙営業を実施したところ、新規顧客との商談アポを7件獲得できました。自社サービスの特徴や顧客のニーズを確認して理解を深め、各企業に適切な文面を作成して送付したことによって、これまでには獲得できなかった新たな顧客との成約につながりました。

3.手紙営業は潜在顧客だけでなく顕在顧客にも有効

サービス・小売業向けにコンサルティングを行う企業では、新しい新規顧客の獲得方法を模索していました。人手不足により新規獲得営業に取り組めず、既存顧客のリピートに頼っていたためです。対策として開催したセミナーもホームページやメールによる案内しか実行しておらず、思うように集客できていませんでした。

手紙営業を導入し、見込み顧客にセミナーの案内を郵送したところ、多くの参加者を集めることに成功しました。加えて、過去の開催セミナー参加者にも手紙でアプローチし、数件が成約につながりました。

4.自社サービスの魅力を伝えることによる成約数の向上

人材派遣事業を主に提供する企業は、テレアポやメールで営業を行っていましたが、成約になかなか結びつかないことが課題でした。営業先の顧客にはすでに競合他社の人材が派遣されていたことや、自社に在籍している人材の魅力がうまく伝わっていなかったことが原因です。

手紙営業を導入したところ、新規顧客の成約件数が向上しました。手紙を準備する際には、まず、自社サービスや在籍する人材の特徴、魅力を再確認したうえで明確な資料にまとめました。その後、顧客に合わせて内容を変えながら文面を調整し、それぞれの顧客にとって適切な手紙を送付しました。これによって顧客が自社に在籍する人材の特徴を把握しやすくなり、成約につながったと考えられます。

5.テレアポからの脱却による商談アポ獲得数・成約件数の向上

とあるWeb制作会社は、テレアポによるアポ獲得数が伸び悩んでいました。営業担当者が膨大な数のテレアポの対応に追われ、顧客分析に手が回らないといった業務不効率が原因です。

そこで、ターゲットを厳選して手紙でアプローチする営業手法に変更しました。すると、アプローチ数はテレアポよりも少なくしたにも関わらず、商談アポ獲得数と成約数が共に向上しました。手紙で競合他社と差別化できたことによって、顧客に興味を持ってもらいやすくなったのです。

手紙営業の文例

ここでは手紙営業の文例を、新規開拓と既存顧客に送る2つのパターンに分け紹介します。手紙営業を自社で行う際の参考にしてください。

新規顧客に対しての手紙営業の文例

新規顧客開拓に手紙営業を活用する場合、まず自分が何者かを述べ、その上で提供するサービスやサービスによって得られるメリットをしっかり伝えることが重要です。

【文例】

「ご面会依頼の件」

拝啓
(時候の挨拶)、時下ますますご繁栄のことと心からお喜び申し上げます。

面識もないまま、お手紙を差し上げますことをお許し下さい。
私は株式会社〇〇の△△と申します。
貴社のホームページを拝見し、今後の新規開拓事業について、弊社であればお力になれるのではないかと思い、ご連絡差し上げました。

弊社はコストカットシステムで100社以上とのお取引で実績を上げております。導入企業様では運営費用20%カットし、作業効率を25%上げたケースもございます。弊社システムの活用により、貴社の今回の事業展開にもお力になれるものと存じます。

つきましては、弊社のシステムについてご案内の機会を頂きたくご連絡差し上げた次第です。
大変お忙しい中とは存じますが、貴社における新規事業の一助となれば幸いに存じます。
◯月◯日◯時頃に弊社の△△よりご連絡致しますので、ご面会の可否をご回答頂けますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具

既存顧客に対しての手紙営業の文例

自社に対して認識のある既存顧客に手紙営業を行う場合、自社についての紹介は不要です。自社の紹介部分は省き、提供するサービスについて端的に伝えます。

【文例】

「新商品のご案内について面談のお願い」

拝啓
(時候の挨拶)平素は格別のご愛顧を頂き厚くお礼申し上げます。

さて、本日は弊社から〇月に発売予定の新商品△△につきまして、ぜひとも〇〇様と一度お会いして、詳細をご紹介させて頂きたくご連絡を差し上げました。

お忙しいところ大変恐縮ではございますが、〇月〇日〇〇時頃にご連絡致しますので、ご面談の可否をご回答頂けますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具

手紙を書く際の重要なポイント

手紙を書く際は以下4点に注意します。

  • 冒頭に要件がわかる題名をつける
  • 時候の挨拶を忘れずに記載する
  • 自社情報と目的を端的に伝える
  • 自社サービスを明確に伝える

この項目ではそれぞれについて解説します。

冒頭に用件がわかる題名をつける

手紙の冒頭には、用件がわかりやすいように題名をつけます。新規顧客に対しては「ご面会依頼の件」と、既存顧客に対しては「〇〇というサービスのご案内」というように、一目で用件がわかる題名をつけることによって手紙の意図が伝わりやすくなります。

題名の記載がなく本文ばかりが長いと、開封されたあとに目を通してもらえないこともあるため、冒頭の題名を工夫し最後まで手紙を読んでもらえるようにしましょう。

時候の挨拶を忘れずに記載する

時候の挨拶とは、挨拶状や手紙などのはじめに書く季語を使った文章です。暑い季節や寒い季節などの際、相手の健康を気遣う意味もあります。顧客へ送る手紙には、時候の挨拶を忘れずに記載しましょう。各季節の時候の挨拶は以下を参考にしてください。

1月新春の候・寒冷の候
2月立春の候・梅花の候
3月早春の候・春分の候
4月桜花の候・仲春の候
5月新緑の候・薫風の候
6月入梅の候・向暑の候
7月盛夏の候・炎暑の候
8月残暑の候・晩夏の候
9月初秋の候・新秋の候
10月仲秋の候・紅葉の候
11月晩秋の候・向寒の候
12月師走の候・歳末の候

参考:時候の挨拶・季節の挨拶》1月~12月の季節の言葉と例文 – 便利・わかりやすい【マナーとビジネス知識】

自社情報と目的を簡潔に伝える

挨拶の後には、自社情報と目的を端的に伝えます。業種や提供するサービス、顧客が得られるメリットを明確にすると共に、顧客のことをどこで知ったかわかるエピソードを盛り込むと相手の警戒心を緩和できます。「ホームページのコラムを読み、貴社のサービスのサポートをしたいと思った」など、熱意が感じられる文面で目的を伝えると信頼が得られるでしょう。

多くの情報を長々と記載し過ぎると、読んでいる途中で飽きられる可能性があるため、要点をまとめて簡潔に書きましょう。

自社サービスのメリットを具体的に伝える

自社サービスについては手紙の後半でわかりやすくまとめます。具体的な実績や事例を用いることにより、サービスや商品についての特徴や顧客が得られるメリットが伝わりやすくなるでしょう。

顧客と同業種の企業にサービスを提供した実績を記載すると、より具体的なイメージが伝わります。ホームページや資料に盛り込まれている情報以外の数値化された具体的なデータを使用すれば、相手の興味を引きやすくなります。

ただし、始めから商材を売り込みすぎると印象が悪いため、あくまでも相手の利益を最優先し、信頼関係の構築に努めることが重要です。各顧客に適したシンプルな資料を準備しておきましょう。

手紙営業を活用する際の注意点

手紙営業を活用する際には、次に紹介する3つの点に注意します。

  • ターゲットを明確にする
  • できるだけ定型文を使用しない
  • 手紙とハガキを使い分ける

それぞれについて理解し、手紙営業の効力をより高めましょう。

ターゲットを明確にする

手紙営業を活用する際は、市場調査を実施してニーズを把握したうえターゲットを明確にしましょう。自社サービスのターゲットとなる決裁者や、決裁者につながる担当者の見極め次第で手紙の開封率、成約率は異なります。

封筒にはターゲットの名前と、「重要」などと目に留まる文言を記載すると開封率が上がるといわれています。手紙が届くタイミングで電話を入れると、より開封されやすくなるでしょう。

できるだけ定型文を使用しない

できるだけ定型文を使用せず、相手に合わせたオリジナルの文面を作成します。企業の決裁者や担当者は、量産されている定型文を見飽きている可能性があります。そのため、顧客に合わせた文章を書いて定型文と差別化し、自社に興味を持ってもらいましょう。

テンプレートがあれば手紙を作成する手間がかからず、多くの見込み客に容易に送付できますが、開封されなければ意味がありません。手間を惜しまず作成する手紙だからこそ、熱意や誠意が伝わるような工夫が必要です。

また、文面以外でも封筒や切手、筆ペン、万年筆などを使用して、他社と差別化することが重要です。

手紙とハガキを使い分ける

手紙営業には封筒を使うのが一般的ですが、場合によっては直に内容が確認できるハガキを使用します。たとえば、接点のある顧客への年賀状や暑中見舞いなどの場合、すぐに内容が確認できるハガキを利用するのが一般的です。ハガキに手書きの挨拶を加えるなどの工夫によって、先方からの信頼が深まる可能性があります。

ただし、商談の内容など大切な情報が含まれている場合は必ず封筒に入れ、第三者に見えないように配慮しなければなりません。また、初見でハガキを使用すると失礼だと思われる可能性があるため注意が必要です。各顧客との関係性や内容に応じて使い分けましょう。

手紙営業は外注がおすすめ

数多くの企業にアプローチする場合や決裁者に直接届く手紙営業を導入する場合には、外注がおすすめです。代行企業に依頼することにより、プロの担当者が手紙の代筆や送付先の選定、手紙の開封促進、商談促進などを代行してくれます。

しかし、宛名と本文を全て手書きで依頼すると、費用は高くなります。一方、全て印刷にすると手間と費用はかかりませんが、DMとの差別化が難しくなるため、使い分けが重要です。手書き風ロボットを導入している代行企業を選ぶなど、予算も踏まえながら工夫するとよいでしょう。

営業手紙の代行会社は手紙の文面作成から郵送まで全てを任せられるタイプや、一部の業務のみを外注できるタイプがあります。会社によってサービスの強みは異なるため、事前に詳しく調べて企業の状況に合わせて最適な外注先を検討しましょう。

手紙営業を導入して新規顧客を獲得しよう

手紙営業を導入することによって、新規顧客の獲得や成約率の向上につながります。既存のテレアポやメールなどの営業手法とは異なり、決裁者に届く可能性や開封率が高く、顧客に関心を持ってもらう有効な営業手法です。ターゲットを明確にしてオリジナリティのある手紙を作成し、決裁者アポを獲得しましょう。自社で手紙営業を書く際は、今回紹介した文例や手紙を書くポイントを参考にしてください。

アポ取りの難易度が高い大手企業にアプローチする場合や、決裁者に直接届く手紙営業を導入したいなら、外注をおすすめします。

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