最終更新日: 2023.10.19

経営者は多忙にも関わらず、本から知識を得るケースが多い傾向にあります。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツは、年間50冊以上の本を読み、多くの書評も書いていることで有名です。インターネットが普及し、情報に簡単にアクセスできる時代でも、成功している経営者は読書家が多いと言われています。

この記事では、経営者が本を読むメリットや経営本の選び方を解説します。おすすめの本15選も紹介するので、経営力を高めたい方は参考にしてください。

Table of Contents

経営に必要な「地頭力」はどう鍛える?

読書は、困難な課題や難局を乗り越えるのに役立つ「地頭力」を鍛えることができます。地頭力には、基本となる「知的好奇心」「論理思考力」「直感力」に加えて、以下の3つの力が必要です。

  • 抽象化思考力:具体的な経験を一般化し、別のものに適用する力
  • フレームワーク思考力:全体から考える力
  • 仮説思考力:結論から考える力

上記3要素は、本を読むことで鍛えられます。読書によって、未知の出来事に対し、仮説を立てた上で問題を見出す力が養われるでしょう。

経営者が本を読むメリット

多忙な経営者がわざわざ時間を割いて本を読むのは、ただ知識を得ることが目的ではありません。ビジネスリーダーとして、以下のようなメリットがあるためです。

  • 経営センスが磨かれる
  • 洞察力が身につく
  • 自分なりの判断基準が持てる

経営センスが磨かれる

日々本を読むことで、経営センスが磨かれます。経営センスは、経営において必要な感覚や能力で、スキルとは異なります。経営センスを身につけるためには、実際に経営の経験を積む必要がありますが、実践するのは困難なケースが少なくありません。読書をすることで物事を論理的に考える力や思考力が身につき、経営センスが磨かれるでしょう。

洞察力が身につきやすい

本を読めば、さまざまな思想やアイディアに触れ、洞察力を身につけることができます。先人たちのビジネスへの向き合い方や、成功・失敗事例などを吸収し、自身のビジネスに活かせる場合もあるでしょう。また、ビジネスシーンにおいて物事や人の本質を見通し、的確に対応できます。

自分なりの判断基準が持てる

日々本を読むことで教養が身につき、自分なりの判断基準が持てるようになります。同じ本でも、読み手によって受け止め方は異なるケースがあるでしょう。読書は、自分なりの価値観を確かめたり、答えを見出したりできます。そのため、ビジネスリーダーとして、自分の考えや信念、判断基準を形成するのに役立つでしょう。

経営本の選び方

インターネット上や書店には、数え切れないほど多くの本が出版されています。経営に関して、どのような本を選べば良いか、迷う人は少なくないでしょう。自社の経営に活かすためには、目的に応じ、以下5つのポイントを絞って選ぶことが大切です。

  • 経営の基礎が学べる本を選ぶ
  • 経営戦略など実践に活かせる本を選ぶ
  • 過去の失敗・成功事例から学べる本を選ぶ
  • 経営者や著者で選ぶ
  • ベストセラーから選ぶ

詳しく見ていきましょう。

経営の基礎が学べる本を選ぶ

経営本を選ぶ際、なにから読めば良いか分からない方は、経営の基礎が学べる本がおすすめです。

経営の基礎が学べる本を選べば、ビジネスの基本概念や原則、マーケティング理論などを理解するのに役立ちます。経済学や会計、マーケティングなどの基本的な知識を得られ、事業の持続的な成功基盤を築くことができるでしょう。

経営戦略など実践に活かせる本を選ぶ

自社を成長させたい方は、経営戦略など実践に活かせる本を選ぶと良いでしょう。

学んだ理論を実際の状況に応用し、戦略的な思考を身につけたり、経営者としてのリーダシップスキルを磨いたりすることが可能です。時代の変化に対応する戦略を練る際、役立つでしょう。

過去の失敗・成功事例から学べる本を選ぶ

新ビジネスの立ち上げ時や、経営の危機を乗り越えたい方は、過去の事例から学べる本を選ぶのがおすすめです。

事例本は、過去の失敗や成功経験を通じて、学びの機会を提供してくれます。実際にあった他社の経験から学び、自社の経営を俯瞰的に捉えることにも繋がるでしょう。自社の課題を見出し、対策を講じる際の参考となるはずです。

経営者や有名な著者で選ぶ

経営者としてのあり方を身につけたい方は、有名な企業の経営者や専門家の本を選ぶことで、学びを得られます。

数々の成功を治めてきた有名な経営者や専門家たちは、豊富な経験と知識を身につけています。企業としての実績もあり、信頼性の高い情報を提供してくれる可能性が高くなります。一流の経営に触れることで、経営者としてのあり方や思考法が身につけられるでしょう。

ベストセラーから選ぶ

幅広い視点を身につけたい方は、ベストセラーから選ぶのも1つの手段です。

ベストセラーは、多くの読者に支持されており、一般的な価値観や実用性が高い傾向があります。経営者として人を動かすためには、幅広い視点を身につける必要があります。広く受け入れられたベストセラーから、必要な情報に絞って選ぶのも有効です。

経営者におすすめの本15選

経営者におすすめの本15選を紹介します。

はじめの一歩を踏み出そう:マイケル・E・ガーバー著

「はじめの一歩を踏み出そう」は、マイケル・E・ガーバー氏による起業家向けの本です。起業家の成功に必要なステップと考え方を解説しており、ビジネスを始める際のポイントが明確になるでしょう。

ビジネスアイデアの発見から実現までのプロセスや、成功するためのマインドセット、効果的な戦略立案などが詳しく説明されています。特に、小さな事業を大きく成長させる方法や、効率的なシステムの構築についてのアドバイスが参考になります。

編集部のおすすめポイント

起業のリスクを最小限に抑えながら、着実なステップを踏んで成功を目指すための指針が示されています。そのため、スタートアップの起業家や、既にビジネスを始めた人々にもおすすめです。

人を生かす組織:D・カーネギー著

「人を動かす組織」は、リーダーシップや人間関係の築き方を指南する1冊です。実生活のエピソードを交えながら、相手を尊重し理解するコミュニケーションの重要性を強調しています。

感謝の意を示し、人々の名前を呼ぶことで信頼感を構築する方法や、批判的な態度を避けて相手を前向きにするテクニックなど、具体的な内容を紹介しています。実践的なアプローチと心理学的な見解が組み合わさり、対人関係の向上に役立つ一冊だといえるでしょう。

編集部のおすすめポイント

具体的なストーリーや実例を通じて、人々の協力と信頼を得るコツを学べるため、経営者におすすめの1冊です。ビジネスやプライベートの場面で応用可能なヒントが満載で、組織の中で良い対人関係を築くための指南書となるでしょう。

マネジメント 基本と原則:P・F・ドラッカー著

「マネジメント 基本と原則」は、経営学の父と言われるピーター・ドラッカーによって書かれた名著です。経営における基本原則とアプローチを解説し、経営者やビジネスリーダーにとって、有益な内容が詰まった1冊です。

ドラッカーは、本の中で、組織内の関係性やコミュニケーションの重要性について述べています。顧客のニーズや市場変化に敏感であることなど、経営の基本となる思想や戦略などを学べるでしょう。

他にも、ドラッカーの著書として、経営者として成功するための基本的な条件やスキルなど、経営者像を解説した「経営者の条件」があります。

編集部のおすすめポイント

本の中で、顧客志向のアプローチの必要性、本質的な価値提供が「経営の鍵」であると述べられています。また、効率の良さや短期的な利益を求めるのではなく、長期的で持続可能な経営を重視する姿勢など、経営者にとって、基本的な原則を学ぶのにおすすめの1冊だと言えるでしょう。

永守流 経営とお金の原則:永守重信著

「永守流 経営とお金の原則」は、永守重信氏による経営哲学と財務戦略の名著です。銀行との付き合い、取引先の見極め方など、中小ベンチャーや大企業問わず、経営とお金の原則を学べるでしょう。

著者の実践的なアプローチと深い洞察により、経営における基本原則やリスク管理の重要性についての学びが深まります。また、お金の使い方や資本配分についての知識も共有されており、リターンを最大化するための戦略的な思考に触れられます。

編集部のおすすめポイント

永守氏の実例を交えた説明は、創業時、株式上場、海外展開など、ビジネスの各シーンでの意思決定に役立つでしょう。ビジネスとお金に関する洞察を深めるために、おすすめの1冊です。

ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現:フレデリック・ラルー著

「ティール組織」は、フレデリック・ラルー氏による組織論の書籍です。「ティール」とは、人類の歴史における組織の進化を色の波長で表現したもので、「ティール(進化型)組織」は、世界各地で現れつつある、全く新しいマネジメント手法を採用する組織のことを指します。

ティール組織は、経営者やマネージャーがマイクロマネジメントを行わなくても、各部署や従業員が適切な意思決定を下すことができます。稲盛和夫氏のアメーバ経営との共通点も見られる、新たな組織形態の一つです。

膨大な事例調査から導き出した、変化の激しい時代に対応した組織論を紹介しており、グローバル企業から医療・介護組織まで、さまざまな事例を取り上げています。

編集部のおすすめポイント

「ティール組織」の実践例や成功事例が多数盛り込まれ、理論だけでなく、自社組織にどう適用させれば良いか、具体的に理解できるでしょう。さまざまな問題を抱える現代社会において、従来の組織管理に違和感を感じている方におすすめの一冊です。

頭のいい人が話す前に考えていること:安達 裕哉著

「頭のいい人が話す前に考えていること」は、ビジネスパーソンやリーダーに向けた実践的なアドバイスを提供する1冊です。安達裕哉氏は、日本を代表する経営コンサルタントの一人です。自身の豊富な経験をもとに、ビジネスの現場で役立つ考え方や行動ポイントを解説しています。

本書には実際のビジネスケースや成功事例も取り上げられているため、事例を参考にしながら、自身の経営戦略を練ることができるでしょう。

編集部のおすすめポイント

どの内容も具体的で、本質をついており、理解が深まりやすくなっています。実践に移しやすく、習慣化することで、状況に合わせたアプローチを学べるでしょう。

ビジョナリーカンパニーZERO:ジム・コリンズ著 ビル・ラジアー著

「ビジョナリーカンパニーZERO」は、経営学者ジム・コリンズとビル・ラジアーによって執筆された書籍です。スタートアップや、中小企業をゼロから偉大な企業にするためのアプローチを、体系的に解説しています。

成功企業の事例を分析し、背後にある要因や戦略に焦点を当てて解説しているため、自身の組織や戦略を見直す際の指針となるでしょう。

編集部のおすすめポイント

本書は、成功事例を背景として、優れたリーダーシップや組織文化の構築についても解説しています。具体的な戦略や思考についても述べられているため、ビジネスシーンに適用する方法を学べるおすすめの1冊だと言えるでしょう。

新版 社員をサーフィンに行かせよう:イヴォン・シュイナード著

「新版 社員をサーフィンに行かせよう」は、アウトドアブランドとして有名なパタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードによる1冊です。イヴォン・シュイナードは、自身も登山やフィッシングを楽しむアウトドア人にして、強い哲学をもつ人物として慕われています。

地球環境問題に対する取り組みで知られるパタゴニアの先進的な取り組みは、米国でも注目を集めています。企業の環境/CSR担当者、NPO、サステナブルな働き方を模索する、意識の高い若手個人ビジネスパーソンへの訴求パワーは、さらに増しています。責任ある企業としての地位を確立するまでの歩みを学べるでしょう。

編集部のおすすめポイント

地球環境問題は、今後も取り組みが必須の世界的な問題です。パタゴニアの先進的な経営書である本書は、これからの時代を率いる経営者にとって、読んでおいて損はない1冊だと言えるでしょう。

失敗の科学:マシュー・サイド著

「失敗の科学」は、オックスフォード大学を主席で卒業したジャーナリストによる1冊です。医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツチームなど、あらゆる業界の失敗構造を読み解きます。

本書では、失敗の事例を紹介するだけでなく、失敗から学習する組織、学習できない組織の違い、成果をもたらすためのマインドセットまで、深く学べます。

編集部のおすすめポイント

失敗はなぜ起こるのか、あり得ない失敗が起きた時の反応など、事例をベースに解説されており、組織におけるリスク対処法を学ぶにはおすすめの一冊です。

稲盛和夫の実学:稲盛和夫著

「稲盛和夫の実学」は、著書である稲森和夫氏の経営哲学やビジョンについて、詳しく解説しています。稲森氏は、京セラを設立し、その経営哲学や人間性によって、日本の経済界に大きな影響を与えた人物です。

組織のあり方や価値観、信念など、稲森氏の思想について深く学べます。また、実際の経験や成功事例なども含まれ、経営者としてのリーダーシップのあり方も理解できるでしょう。

編集部のおすすめポイント

京セラを創立した稲森氏の経営哲学や信念に基づく1冊でもあり、自身の経験をベースに実践的な指針が記載されています。そのため、自社の経営戦略に活かせるでしょう。

経営者になるためのノート:柳井正著

「経営者になるためのノート」は「ユニクロ」創始者である柳生正氏による書き込み型の書籍です。「自分で完成させていくノート」がコンセプトの1冊は、読み進めながら、欄外に自分なりの考えや気付きを書き留めておけます。

経営者としての新しいアイディアや戦略を記載することで、思考の整理に繋がります。また、自己評価を行い、自身の強みや課題を把握し、経営者としてのスキルアップやリーダーシップ向上にも役立つでしょう。

編集部のおすすめポイント

ただのノートではなく、ビジネスをする上での本質を学びながら、自身の考えや気づきを書き留めておける点がユニークな1冊です。

一倉定の社長学:一倉定著

「一倉定(いちくらさだむ)の社長学」は、事業構造を根本から強化するための戦略の立て方や、社長の仕事の核心を解説した経営本です。一倉氏は、日本の経済学者であり、経営学や財務の分野で著名な研究者です。

一倉氏の情熱的な信念が詰まった「社長学」シリーズは、1冊10,000円以上と決して安価ではありません。しかし、時代が変わっても「経営のバイブル」として、傍に置いておいて損はないでしょう。

編集部のおすすめポイント

徹底して実践現場主義と顧客第一主義を貫き、多くの経営者が生涯の師と仰いだとされ「社長の教祖」と呼ばれています。社長学シリーズは全5巻あり、一倉氏の社長としての信念・思想を学べるでしょう。

京セラフィロソフィー:稲盛和夫著

「京セラフィロソフィー」は、京セラ創業者である稲森和夫氏による「生き方」の指南書です。稲森氏は「人間として何が正しいのか」という、普遍的な判断基準を自分自身に問いながら「京セラ」という企業を成長させてきました。

「会社とはトップの器以上にはならない」など、稲森氏の経営理念や信念などを、深く学べる1冊だと言えるでしょう。

編集部のおすすめポイント

「京セラフィロソフィー」を読むことで、事業や会社を発展させ続けるための経営理念や行動指針となるだけでなく、素晴らしい人生を送るための考え方の基準も得られる1冊です。

イノベーションのジレンマ:クレイトン・クリステンセン著

「イノベーションのジレンマ」は、クレイトン・クリステンセンによって書かれた経営書です。クリステンセン教授は、持続的イノベーションと破壊的イノベーションの性質の違いを認識し、新たな成長事業を生み出す方法論を提唱しています。

本書では、優れた企業戦略をもつ巨大企業が、なぜ失敗するのか、さまざまな事例とともに分析しています。事例はやや古いものの、失敗から解決に導くための理論や方法を学べるでしょう。

この書籍の優れたポイントは、企業が最も合理的だと考えられる選択を行っているにも関わらず、それが衰退に向かう転換点だったということを、実際の出来事に基づいて説明していることです。経営の意思決定を行う上で、参考になるでしょう。

編集部のおすすめポイント

大企業が破壊的イノベーションに直面した際、取るべき施策を学ぶのに良い1冊です。破壊的イノベーションとは何か、技術の進歩はどのようにして起こるか、などが詳細に書かれており、学びが深まるでしょう。

ザ・ゴールー企業の究極の目的とは何か:エリヤフ・ゴールドラット著

「ザ・ゴール」は、エリヤフ・ゴールドラット氏のビジネス小説であり、生産性向上のための理論を提唱しています。「全体最適」と呼ぶ考え方に基づき、経営をいかに立て直すか、ゴールドラット氏の実経験に基づき、小説風に書かれているため読み進めやすいでしょう。

問題解決のためには、ゴール共有、信念を貫くこと、洞察力など、経営における重要な示唆も与えてくれます。

編集部のおすすめポイント

本書では、たとえを多用し、全体最適化のための具体的な思考プロセスが事細かに記載されています。製造業に限らず、ビジネスや経営以外にも応用できる1冊です。

目的に応じた経営本を選び、成果向上に役立てよう

本記事では、経営者が本を読む目的や得られるメリットを解説するとともに、おすすめの経営本を紹介しました。

  • 経営本を読むことで経営センスが身につき、自分なりの判断基準が持てる
  • 経営本は、自社の経営方針や目的に応じ、ポイントを絞って選ぶことが大切

経営本は、経営者だけでなく、サポートする立場にある人にも多くの気付きと知識を与えてくれます。今回紹介した経営本の中から、自社の状況に合わせ、経営に役立つ本を選んでみてください。

弊社オンリーストーリーでは、決裁者同士をマッチングする経営・営業支援のプラットフォーム「チラCEO」を提供しています。チラCEOに登録している6,000人以上の決裁者は、審査を通過した社員数5名以上の企業に限定しています。自社とマッチした決裁者に出会い、売上向上に繋げたい方は、気軽に問合せてください。

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