経営のノウハウを教わることなく、経営者のポジションに就いている方も少なくないでしょう。しかし、事業を存続させ組織を拡大させていくためには、経営者が企業のトップとして自信を持ってビジネスの舵取りをする必要があります。
そこでこの記事では、経営者について改めて確認するとともに、役割や身につけたいスキルや意識したいポイントなどを解説します。経営者を支援するサービスも紹介しますのでするため、ぜひ参考にしてください。
経営のノウハウを教わることなく、経営者のポジションに就いている方も少なくないでしょう。しかし、事業を存続させ組織を拡大させていくためには、経営者が企業のトップとして自信を持ってビジネスの舵取りをする必要があります。
そこでこの記事では、経営者について改めて確認するとともに、役割や身につけたいスキルや意識したいポイントなどを解説します。経営者を支援するサービスも紹介しますのでするため、ぜひ参考にしてください。
経営者とは、会社の経営の責任を持つ人です。意思決定の最高責任者、会社・事業の代表者として経営方針や経営計画を決定します。
経営者は、やりがいがある分、業績に対する責任が大きいです。特に中小企業はトップダウンの組織が多く、経営者の能力によって業績が決まることも多いです。経営者は会社の最高責任者であることを自覚し、顧客や社員などに利益を還元するために、事業の拡大や成長、売上・利益のアップを目指すことが求められます。
また、経営者には法的責任もあります。企業が第三者に損害を生じさせた、または役員等が会社に損害を生じさせた場合、その損害への賠償責任を負わなければなりません。会社や事業にトラブルが発生した際は、責任をとって社員の雇用を守ります。
「経営者」の呼び名について、会社法上は代表取締役、労働法上は使用者、会社組織上は最高経営責任者(CEO)や社長など、さまざまな役職で呼ばれます。
経営者の役割について、以下の3つを解説します。
経営者は、企業と社員が向かうべき方向に対して共通認識を持つために、経営方針を決定しなければなりません。
経営方針とは、経営理念の実現に向けた具体的な指針を示すもので、経営基本方針とも呼ばれます。経営方針を定めることにより、社員が目標を達成しやすくなります。また、行動における判断基準ができるため、組織力を高めることにもつながります。
具体的な経営方針を決めるにあたっては、まず現状を分析し、問題点や自社の強みを把握しましょう。それによって進むべき方向性が見えてきます。
経営方針の内容は、誰でも理解しやすい具体的なものである必要があります。難しい言葉や抽象的な表現は使わず、簡潔にしましょう。箇条書きでまとめるなど、企業全体に浸透する経営方針を作ることが大切です。
安定的な事業継続や事業拡大のためには、事業計画書が必要です。事業計画書とは、事業の内容についての可能性や採算性、具体的な進め方などを簡潔にまとめた書類です。
事業計画書を作成することにより、事業の目的・目標や今後の目標を可視化できます。
事業を客観的に見られるようになり、課題や改善策の発見につながります。事業について専門家に意見を求めるときなどにも役立つでしょう。
また、出資や融資、補助金を申請するときにも欠かせません。実現性が高く説得力のある事業計画書があれば、出資や融資の際に有利です。
作成にあたっては、以下のような項目を記載します。
計画を裏付ける資料をもとに、適切な事業計画を立てましょう。特に中小企業においては、事業推進も経営者が行う場合があります。自ら調査や営業活動を行い、社員とともに利益を上げることが求められます。
経営者には、会社の収支管理を通して、過不足を調整する役割もあります。運転資金がなければ、給与の支給や設備投資などの経営サイクルが回りません。支払いができず、会社が倒産する可能性もあります。
資金繰りを把握するには、前期繰越現金・当座預金、営業収支、財務収支、翌月繰越現金などの項目に沿って資金繰り表をつけましょう。資金繰り表は、金融機関から借入を行って資金調達をする場合にも必要です。金融機関の担当者は、資金繰り表を見て今後の収支を予測し、必要な資金を確認します。
会社を持続させ社員を守るためには、健全な資金繰りと計画的な資金調達によってキャッシュフローを安定させる必要があります。
経営者は事業の成績に対して責任があるため、リスクを回避して利益を伸ばすスキルが必要です。身に付けておきたい具体的なスキルとして、以下の5つを解説します。
経営者は、市場や人々の動向、トレンドなどの変化を、いち早く敏感に察知する先見性が必要です。トレンドの変化が激しい現代において、将来の見通しを立てることは難易度が高いです。しかし、常に情報を収集し変化に合わせて行動できる経営者であれば、時代の変化に対応できるでしょう。さらに、不測の事態においても対処できる可能性が高いです。
日頃から、市場調査をし、現況を把握することが大切です。事業内容を市場の需要と結びつけることにより、必要なサービスが見えてくるでしょう。また、将来のリスクを予測できれば、必要な時に戦略の転換を行い事業の持続的な成長を目指せます。
計画的に行動する実行力があると、経営基盤が強固になる可能性が高いです。目標を現実化する力が乏しいと、事業活動が停滞してしまいます。アイディアがあっても実行力がなければ、結果を残すことができません。
社員が少ない中小企業では、経営者が現場で指示を出す場合も多いはずです。先頭に立って業務の改善活動を行い、推進しなければならないこともあるでしょう。経営者に実行力があるかどうかは、ビジネスの結果に大きな影響を与えます。新しい道にチャレンジしていく姿勢やフットワークの軽さのほか、トラブルやクレームなどの問題に対しても適切に対処して、解決することが求められます。
実行力を身につけるために、普段から目的を持って行動するとよいでしょう。実行力とは目的に向かって計画を立てて行動することです。やるべきことの優先順位をつけ、実行後は結果を振り返るようにすると、実行力が磨かれます。
経営者には、さまざまな人と円滑なコミュニケーションをとる能力が求められます。社員や役員に会社の方針を深く理解してもらうためには、自らが現場の状況を把握し、積極的にコミュニケーションを取る必要があります。
現場の社員と信頼関係が築けていると、社員のモチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。
また、社外とのコミュニケーションも重要です。経営者が自社の価値やビジョンを積極的に社外に発信することによって、企業のPRができます。さらに、経営者同士のつながりを持つことにより、ビジネスチャンスの獲得につながります。株式会社である場合は、株主とコミュニケーションをとって経営方針を理解してもらい、投資を継続してもらう必要があります。
コミュニケーション能力を鍛えるために、日頃から結論から話すこと、相手が理解できるように具体例を交え伝えることを意識しましょう。また、一方的に話すのではなく相手の話をよく聞くことも大事です。
会社経営は、経営者の最終判断によって形作られます。経営者の判断力が正しければ、会社の発展につながります。そのため、経営者はスピード感を持って客観的な判断をしなければなりません。
客観的な判断とは、事実やデータに基づいた判断のことです。日時、月次、四半期などの時間軸で比較した数字、取引先の市場、景気と物価の動向など、判断指標となる情報を持っておくことが大切です。感情や一部の情報だけで判断しないよう、注意しましょう。
物事を俯瞰的に捉えることに加え、根拠や経験的な裏付けが多いほど客観性が強くなります。日頃からさまざまな人から意見をもらうように努めましょう。特に自分と異なる意見に耳を傾けると、判断の選択肢を広げられます。
論理的思考力とは、体系的かつ合理的に物事を考えられる力です。
経営者は、社員や取引先など年齢も立場も違うさまざまな人材に自分の考えを伝えたり、合意を得たりしなければなりません。そのためには、筋道を立てて考え、理由や根拠を明示する論理的思考力が必要になります。
多くの選択肢から優先順位を決めて実行していくときや、売上に影響がある要素を把握して効率的に目標を達成する方法を考えるときなどにも、論理的思考が役立ちます。
論理的思考力を身につけるには、自分の考えを批判的にとらえるように意識すると効果的有効です。主観にとらわれなくなり、物事の本質を捉えるための訓練になります。当たり前と思っていることに疑問を持つと、論理的に考察する力が鍛えられます。
経営者が事業を成功させるために意識したいポイントとして、以下の3つを解説します。
経営について数字で考えることが重要です。売上や資金などのお金、成果を計るKPIなど、ビジネスと数字は切り離すことができません。
事業の要は、資金をどこでどう使うかです。現状、どこにいくらかけているのか、いくら入ってくるのか、利益はいくら出るのかを数字で把握し、資金の使い方を検討しましょう。
経営状況を把握するには、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の数字を読み解きます。数字を見た上で「利益が減少しているが、それは先行投資をしたためで翌年以降利益が伸びる可能性がある」など、表面上の数字以外の情報も踏まえながら思考しなければいけません。
また、対外的に数字を使うことも意識しましょう。数字を使うことにより、他社員や社外への目標の共有が容易になります。
ビジネスにおいては、人脈が欠かせません。
人脈を広げることによって、さまざまな価値観や考え方を取り入れることができます。多くの人と接して知識や価値観をアップデートできると、自社に求められるニーズを確認でき、新規事業のヒントが得られることもあります。
事業計画に賛同してもらえる人材とつながることができれば、業務提携に発展するなど事業拡大が期待できます。専門知識のない分野に進出していく際に、ノウハウを持つ人材や企業のサポートが受けられれば大きな助けとなるでしょう。
また、経営者との人脈を作っておくと、経営課題の解決につながる場合があります。経営者同士で助け合えるコミュニティがあることは、リスク管理にもなります。
どの人脈がどんな縁を運んでくるかわかりません。目先の利益だけにとらわれず、広く人脈作りを行うことを意識しましょう。
長期的に経営を成功させるには、社員から信頼を得ることが不可欠です。経営者と社員の間に信頼関係があれば、会社の資産である優秀な社員を失うリスクを回避できます。また、社員は信頼できる経営者のもとで働くことによって、高い生産性を保てます。一人ひとりの生産性が高くなれば、企業全体の生産性も上がります。
信頼を得るには、まずは自分から相手を信頼しましょう。社員に期待することを示し、ベストな行動を促すと、相手のモチベーションを高められると期待できる可能性が高いです。また、全てを経営者自身が決定するのではなく、現場に決定権を持たせる業務を作ることもおすすめです。社員の声に耳を傾け、意見をも取り入れましょう。
社員が経営者を信頼し自由に働ける環境であれば、新しいアイディアが創出される可能性も高まります。それによって、風通しのいい組織を築けます。
経営者は企業における意思決定の最高責任者であり、さまざまな決断をしなければなりません。課題に直面し悩むこともあるでしょう。そのような場合には、以下のような経営者を支援する機関やサービスを利用することをおすすめします。
特徴 | 経済産業省が管轄する機関で中小企業の経営支援を行う |
事業規模 | 小規模、個人事業主 |
成長ステージ | 創業期、成長期、安定期、衰退期 |
費用 | 商工会議所:商工会議所によって異なるが年会費がかかることがほとんど商工会:中小企業であれば、おおむね1ヶ月あたり1,000~2,000円程度 |
URL | 商工会議所https://www5.cin.or.jp/ccilist商工会https://www.shokokai.or.jp/?page_id=1754 |
商工会議所と商工会は、中小企業の経営支援を行います。利用することにより、資金調達の手段や企業向けに提供されているさまざまな制度について知ることができます。無担保・保証人なしで融資を受けられる小規模事業者持続化補助金の申請が可能で、福利厚生制度等事業者支援サービスなども展開しています。
商工会議所は経済産業省政策局、商工会は経済産業省中小企業庁が管轄します。どちらも多くの企業をサポートしてきた経験やノウハウがあるため、創業したての企業には心強い存在となるはずです。
両者の違いは、組織の規模や事業内容にあります。
商工会は町村部にあり地域に根付いた活動がメインで、小規模事業者や個人事業主を対象として経営改善普及事業を中心に行なっています。商工会議所は国際交流や国際化支援など、商工会より規模が大きくなります。
町村地域で交流を深めたい場合は、商工会がおすすめです。一方、海外進出なども視野に入れている場合は、商工会議所を利用しましょう。
特徴 | 中小企業政策の実施機関として、成長ステージや経営課題に応じた支援メニューで中小企業の成長をサポートする |
事業規模 | 中小企業 |
成長ステージ | 成長期、安定期 |
費用 | 支援メニューによって異なる |
URL | https://www.smrj.go.jp/ |
中小機構は、経営基盤の強化として、専門家によるアドバイス、事業再構築に関する相談、緊急事態での事業継続を可能とする計画策定支援などを行っています。また、商品ブラッシュアップや販路開拓の支援など新事業創出も行っています。販路拡大のためのイベントも開催しているため、実施予定を確認しておくとよいでしょう。
中小機構では、経営に関するさまざまな課題に無料で何度でも専門家に相談できます。Webフォームや対面、電話などから連絡手段を選ぶことができる点が便利です。問合せ専用のWebフォームがあるため、そこから連絡すると事前に自社の情報を共有できてスムーズです。
特徴 | 都道府県等が行う中小企業支援事業の実施体制の中心として、各都道府県等に設置されている |
事業規模 | 中小企業 |
成長ステージ | 創業期、成長期、安定期 |
費用 | 各支援センターによって異なる。イベントの中には参加費が無料のものもある。 |
URL | https://www.chusho.meti.go.jp/soudan/todou_sien.html |
都道府県等中小企業支援センターは、中小企業を対象として総合的な経営支援、生産性の向上、新事業展開、創業の促進などを行っています。具体的な活動内容は、都道府県内の企業が外部の法人や個人からアドバイスを得る機会の創出や、製品改良、改善計画にかかる費用の助成金支給などです。
創業や事業の運営に関して無料で相談できるため、事業を立ち上げる際には利用することをおすすめします。特許に関する相談や会社登記・契約書の作成などに関する相談、取引に関する相談(調停手続き)などが可能なため、法的な専門家に相談したい場合にも役立ちます。
特徴 | 事業戦略・経営支援につながるサービスを展開している |
事業規模 | 金融機関によって異なる |
成長ステージ | 成長期、安定期、衰退期 |
費用 | 金融機関によって異なる。サービス利用料、紹介手数料、成約手数料などがかかる。 |
URL | 金融機関によって異なる |
金融機関は金融支援はもちろん、経営計画の策定支援、M&Aや事業継承、事業のマッチング支援、企業再生など幅広く行います。ただし、銀行によって対応できる案件規模が異なり、小規模すぎる案件は対応できないことがあります。
金融機関は、創業支援相談の受付もしていますが、成長期や安定期の事業者支援、衰退期の再生支援などのサービスが多いです。事業承継や財務コンサルティングや株式上場を展望する場合の株式上場支援(IPO)なども展開しています。
特徴 | 決裁権を持つ経営層とつながることができる |
事業規模 | サービスによって異なる |
成長ステージ | 創業期、成長期、安定期、衰退期 |
費用 | サービスによって異なる。月額費用がかかるものや成果報酬型のものなどがある。 |
URL | サービスによって異なる |
ビジネスマッチングサービスは、商談相手やビジネスパートナーを探せすことができます。企業情報やエリア、業種などの条件から、ニーズを確認した上で相手に連絡が取れるので、効率的に自社の求める相手とつながれます。新しい事業を立ち上げるためのノウハウが知りたい、新規顧客を獲得して事業を拡大させたい、経営について相談したいなどさまざまなフェーズで利用できます。
経営者に直接アプローチし、効率的にマッチングしたい場合におすすめです。BtoB営業では一般的に、決裁者との商談までに見込み客(リード)をリストアップし、テレアポなどでアポイントを獲得し、担当者と商談をする、といった長い道のりを経なければなりません。一方、ビジネスマッチングでは気になるビジネスパーソンに直接アプローチでき、商談の機会を得られる可能性があります。初回から決裁者へ営業を行うことができ、最短で契約を獲得することも目指せます。
チラCEOは経営者同士をつなぐプラットフォームです。登録は審査制で決裁者のみが利用でき、事業紹介や情報交換の場として活用することによって、継続的な関係を築ける人脈作りが可能です。
マッチング後は、つながりを長く保つことを意識しましょう。すぐに契約に至らなくても、課題に直面したときに思い出してもらえれば、将来的にビジネスパートナーとなる可能性があります。また、関係性が深くなれば、経営者から自社に合う人材を紹介してもらうことも期待できます。
経営者の間で自社の評判が上がれば、商談の機会を得られるチャンスが増えるとことも考えられます。経営者同士の人脈作りに、ぜひチラCEOを活用してみてください。
ここでは経営者の役割に関して、よくある質問を2つ紹介します。
A.経営の責任を負うのが経営者で、任期中の結果責任を求められるのが社長です。
社長であり経営者である人物も多いですが、社長と経営者は厳密には異なります。経営者は事業を継続させ組織を運営していかなければなりません。
A.最も重要なことは、経営方針を決めることです。
経営方針は、企業の基本的な方向性を示すものです。進むべき方向性が明確になると、目標を達成しやすくなります。また、取引先にも考え方を示せると、信頼を得られやすいです。またさらに、採用活動においては経営方針が求職者の応募の決め手となり、考えに共感した人材の採用が期待できます。
経営者は自身の役割や責任を確認し、事業の存続と成長に向けて邁進しなければなりません。そのためには、経営者として弱点と思われる点があれば、それを補うためのスキルを習得するべきですしましょう。その上で、事業を成功させるために以下のポイントを押さえておきましょうくとよいです。
また、経営者はやりがいがある分、責任も大きいです。経営支援を行う機関やサービスをうまく活用することをおすすめします。
経営者を支援する決裁者同士の経営者マッチングサービス「チラCEO」では、あらゆる業種の決裁者とのつながりが持てます。決裁者との交流により、新規顧客の開拓、継続的な売上基盤の構築、事業の検証・開発、経営意思決定の加速など、経営・事業推進の中で生じるあらゆる課題の解決を目指すことができます。各分野の専門家に相談したい場合や、事業の進め方を相談したい場合などにも活用できます。お気軽にお問合せください。