経営者は、経営方針の策定や資金調達、資金繰り、人材育成など、幅広い仕事を担う、責任あるポジションです。会社の将来は経営者にかかっており、従業員の行く末も左右する重責を伴っているという覚悟が必要です。
経営者を志す方は、仕事内容や役割について正しく理解し、必要な資質を身につけられるよう努力しましょう。
今回は、経営者が行う8つの仕事と役割、必要な資質と、成功するために心がけるべきポイントを解説します。
経営者は、経営方針の策定や資金調達、資金繰り、人材育成など、幅広い仕事を担う、責任あるポジションです。会社の将来は経営者にかかっており、従業員の行く末も左右する重責を伴っているという覚悟が必要です。
経営者を志す方は、仕事内容や役割について正しく理解し、必要な資質を身につけられるよう努力しましょう。
今回は、経営者が行う8つの仕事と役割、必要な資質と、成功するために心がけるべきポイントを解説します。
会社のトップとして経営判断を行う経営者は、会社を存続・発展させるため、さまざまな仕事を行わなければなりません。
まずは、経営者が担当する主な仕事内容を8つ、紹介します。
経営者には、経営方針を策定し、全社に示すことが求められます。
経営方針は、会社が事業を展開する上で必要となる指針や行動原理、考え方を具体的に示したものです。経営方針の策定は経営理念を実現するための手段であり、経営戦略や従業員の行動を決める重要な役割を果たします。
資金調達を行い、事業を立ち上げ成長させるために必要な資金を確保するのも、経営者の仕事です。資金がなければ、事業を進めることはできません。
融資や株式の発行、補助金、クラウドファンディングなどを活用して、必要な資金を調達する必要があります。
資金調達の方法によって、メリットやリスクはそれぞれ異なります。経営者が会計や資本政策に関する知識を持ち、メリットとデメリットを勘案した上で、適切な資金調達方法を選択しましょう。
経営者は、責任を持って資金繰りを行う必要があります。
資金繰りとは、会社の収支を管理し、過不足を調整することです。資金繰りが悪化すると、資金不足に陥り、従業員や取引先、融資元などに支払いができなくなってしまいます。その状況が続けば、黒字であっても倒産に追い込まれるリスクもあります。
会社や従業員の雇用を守るためには、経営者が日頃からキャッシュフローを意識して、常に収支を管理することが重要です。
経営資源の配分も、経営者の仕事の1つです。
経営資源とは、ヒト・モノ・カネ・情報を指します。限られた経営資源をフル活用して成果を上げるためには、どの部門に従業員を何人配置するか、予算をどのように割り振るかなど、経営資源を適切に配分することが必要です。
人材を雇用し、育成していくことも、経営者の重要な仕事です。
経営者の力だけで、会社を大きく成長させ続けることは困難です。経営理念を理解し、自社にとって必要な能力を備えた人材を確保する必要があります。
また、人材育成を行い、必要なスキルを持った従業員を増やすことも求められます。
会社は顧客や社会が抱える課題を解決する商品やサービスを世に送り出し、人々の生活を便利にするという使命を背負っています。その活動が結果として利益を生み出し、永続的な企業活動や事業拡大の礎となります。
経営者は、会社や市場全体を見て、どのように事業を拡大させるかを検討する役割を担います。市場や競合他社の様子、顧客ニーズなどを正しく理解し、経営戦略に基づいて必要な事業を考えましょう。
従業員の労働環境の整備も欠かせません。
会社は、従業員がいることによって成り立っています。利益だけを追い求めるのではなく、従業員が働きやすい環境を整えることが大切です。具体的には、福利厚生の充実や、成果を上げている従業員を正当に評価できる評価制度の構築などが挙げられます。
労働環境を整備し、従業員が快適かつモチベーション高く働ける会社を作り上げましょう。
自社の成長のためには、信頼できる取引先やビジネスパートナーを見つけ、関係を構築することが必要です。
自社にとってメリットがある相手か、本当に信頼できる相手なのかなどを見極め、アライアンス先を探すことが求められます。
経営者は、会社のトップとして経営判断を行うほか、リーダーシップを発揮して会社をまとめる、社員の雇用を守るなど、さまざまな役割を担う存在です。
ここでは、経営者がどのような役割を担う存在であるかを理解できるよう、ピーター・ドラッカーとヘンリー・ミンツバーグが提唱する経営者の役割について見ていきましょう。
「マネジメントの父」として知られるピーター・ドラッカーは、「経営者の職務は、効果的であること、なすべきことを成し遂げるということが期待されている」と述べています。
経営者の役割として挙げているのは、以下の3つです。
経営学者のヘンリー・ミンツバーグは、経営者が担う役割として、大きく対人関係・情報伝達・意思決定の3つを挙げています。さらに、細かい10の役割があると提唱しています。
ジャンル | 経営上の10の役割 | 詳細 |
対人関係 | 儀式代表者 | 法律上や社会上、会社を代表する |
対人関係 | リーダー | リーダーシップを発揮し、会社全体や部門のトップとしてメンバーをマネジメントする |
対人関係 | リエゾン | 人と人とを結びつける |
情報伝達 | モニター | 社内外の情報を収集する |
情報伝達 | 周知伝達役 | 情報をメンバーに提供・共有する |
情報伝達 | スポークスマン | 外部に自社の情報を伝達する |
意思決定 | 起業家 | 組織変革を実現する |
意思決定 | 障害処理者(トラブルシューター) | トラブルを解決する |
意思決定 | 資源配分者 | 経営資源を効率よく利用できるよう、資源をどのように配分し、投入するかを決める |
意思決定 | 交渉者 | 組織の利益を確保できるよう、交渉を行う |
経営者は、多くの仕事に責任を持ち、難易度の高い仕事をこなさなければなりません。
経営者には、以下のようなスキルや資質が求められます。
複雑な意思決定を求められる経営者には、高い論理的思考力が必要です。多くの選択肢の中から、やるべきこと・やらないことを取捨選択したり、優先順位を決めたりするためには、論理的思考力が欠かせません。
従業員や顧客、取引先、株主などと信頼関係を構築するためには、コミュニケーション能力が必要です。
従業員と円滑なコミュニケーションをとれれば、従業員の意思や要望を取り入れた経営を行いやすくなり、従業員が働きやすい雰囲気を作り出せます。労働環境が整備されれば、従業員が最大限パフォーマンスを発揮できるようになるでしょう。経営方針を従業員にうまく伝達でき、現場にうまく落とし込めるのもメリットです。
また、社外に対して自社のビジョンや価値を発信し、自社の魅力を理解してもらうためにも、コミュニケーション能力が求められます。
経営者には、とるべき行動を素早く決める決断力も必要です。
経営者が決断しなければ、従業員が動くことはできません。経営者の判断が遅れると、ビジネスチャンスを逃し、競合他社に差をつけられてしまうでしょう。
また、成功する見込みがないと判断したらすぐに撤退できる決断力も重要です。
経営者には、時代の流れを読み、将来を予測する先見性も必要です。トレンドがめまぐるしく変化し、先行きが不透明である現代では、時代を先読みし、時代の変化に素早く対応することが求められます。
先見性があれば、不測の事態にも素早く対応でき、競合と差をつけられるでしょう。
成功する経営者は、知的好奇心が強く、新たな情報や知識を積極的に吸収しようとする傾向にあります。ビジネスに直接影響しない知識であっても、ジャンルを問わず貪欲に吸収しようとするのです。
また、新しい情報や技術に拒否反応を示すのではなく、それを前向きに受け入れて、ビジネスに活用できないかを考える柔軟性も求められます。
さらに、現状に満足するのではなく、常に高みを目指してスキルを磨こうとする勤勉さも、経営者には必要です。
ここでは、経営者として成功するために心がけることを3つ紹介します。
経営者を志す方は、「経営者になること自体がゴールではなく、あくまでもスタートにすぎない」ということを意識しましょう。
経営者を目指していると、経営者というポジションにつくことがゴールだと勘違いしてしまいがちです。しかし、大切なのは、経営者としてどのように経営判断を下し、会社を成長させるかです。経営者になった後も、そのポジションにあぐらをかくのではなく、日々努力を続けることが求められます。
中間管理職としてミドルマネジメントを経験した方が経営者になる場合は、トップマネジメントとミドルマネジメントの違いを理解することが必要です。
経営者が行うトップマネジメントとは、経営戦略の策定や、重要な経営判断を下すことなどです。
一方、ミドルマネジメントは、経営者の決定を現場が行う具体的な業務に落とし込む役割を担います。経営層と現場の橋渡し役と言えます。
ミドルマネジメントの経験があるからといって、同じように会社経営を行おうとすると失敗してしまうでしょう。トップマネジメントとミドルマネジメントの違いを理解し、経営者としての自覚を持って仕事に取り組むことが欠かせません。
経営者として成功するためには、従業員との信頼関係構築を重視しましょう。
いくら経営者が正しい判断をしても、従業員がそれを受け入れて動いてくれなければ、判断通りに事業を進めることはできません。
経営者が従業員をないがしろにして経営を進めてしまうと、従業員が経営者のことを信頼しなくなり、経営判断を聞き入れてくれなくなるでしょう。経営者のもとで働くモチベーションが低下し、人材が離反してしまう可能性もあります。
日頃から従業員との信頼関係構築に努め、従業員に信頼してもらえる経営者になることが大切です。
ここでは、経営者の仕事についてよくある質問を3つ紹介します。
A.役員は、会社法では取締役、会計参与、監査役の総称のことを指します。役員は使用者、従業員は労働者であり、役員は従業員には該当しません。
一方、執行役員は、取締役に代わって会社の業務を執行するポジションです。役員が決定した経営方針や事業計画を、実際の業務として執行します。
執行役員は、役員という名称がついているものの、会社法に定められている役員には含まれず、従業員に該当します。執行役員の設置は義務づけられておらず、会社の裁量で、自由に導入できるのがポイントです。
Q2.経営者に必要な資質を身につける方法は?
A.経営者に必要な資質を身につけるためには、常に学び続ける姿勢を持ち、本やセミナーなどから積極的に情報を収集することが大切です。
また、自分に足りない資質を持つ人材を探し、自分の欠点を補完する、という選択肢もあります。特に、性格を大きく変えることは困難です。例えば、慎重ゆえに決断力が不足している場合は、大胆に決断できる人材を見つけ、経営層に配置するとよいでしょう。
A.経営者になるためには、起業する、フランチャイズに加盟する、経営者から事業を引き継ぐ、新規事業を立ち上げてスピンアウトする、などさまざまな方法があります。
自分で一から会社を作りたい場合は、起業して法人を設立しましょう。思い通りの経営ができる一方、事業計画書の作成や登記申請、資金調達など、やるべきことは多岐にわたります。事業が軌道に乗るまで時間もかかるでしょう。
一からの起業に自信がない場合は、フランチャイズに加盟するのがおすすめです。本部のブランドやノウハウなどを利用できるため、事業を軌道に乗せやすいというメリットがあります。
現在勤めている会社の経営を行いたい場合は、現在の経営者から事業を引き継ぎ、新たに経営者になるのも選択肢の1つです。会社の制度や風土などを理解しており、従業員とも信頼関係を構築できているため、比較的スムーズに経営を行える可能性があります。
また、新規事業を積極的に立ち上げている会社であれば、新規事業を別会社として独立させ、そのトップになるという方法もあります。
経営者が行う仕事は、主に以下の8つです。
経営者は、会社のトップとしてさまざまな仕事を行う立場です。経営者として仕事をこなすのは容易ではなく、高い論理的思考力やコミュニケーション能力、決断力などが求められます。
経営者を目指している方は、経営者の仕事が決して楽ではないことを理解した上で、経営者に必要な資質を身につけることが大切です。
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