最終更新日: 2023.09.27

販路開拓は、売上の向上に有効な手段です。新たな顧客層や新たな販売の場を開拓することは、企業の成長にもつながります。しかし、販路開拓をするには具体的にどのような方法があるのかわからず、悩むセールス責任者も多いでしょう。

この記事では、販路開拓の基本知識を確認した上で、販路開拓の正しい手順、販路開拓の方法、成功させるコツを解説します。

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販路開拓とは

販路開拓とは、自社の商品やサービスを販売する新たな方法や経路を活かし、顧客や売上を増やす手段です。「販路」は自社の商品やサービスを販売する経路のことで、「販路開拓」はこの販路を新たに見つけることを指します。

既存販路の予算を増やす「販路拡大」と同様、顧客や売上を増やす施策の1つです。BtoBにおける販路開拓は、メーカーなどの製造業なら新たな卸先、卸売業であれば実販売の店舗を開拓することにあたります。

販路開拓における3種類のチャネル

商品やサービスを販売する経路(ルート)のことを、マーケティングでは「チャネル」と呼びます。チャネルには以下の3種類があります。

コミュニケーションチャネル商品やサービスを顧客に認知してもらうためのチャネル例:新聞、雑誌、チラシ、テレビ、ラジオ、インターネット(SNS、Youtube)など
流通チャネル商品やサービスを顧客の手元に届けるためのチャネル例:物流業者(運送業者)、管理業者、卸売業者、問屋など
販売チャネル商品やサービスを顧客に販売するチャネル例:小売業や卸売業の店舗、ECサイトなど

コミュニケーションチャネルのSNSで情報を伝え、販売チャネルの実店舗や自社サイトへ誘導するなど、チャネル間の連携を考える必要があります。自社の商品やサービスとの親和性を考慮しながらチャネルの最適化を実施し、改善や見直しを行いましょう。

販路開拓の必要性

販路開拓は、主に以下のような理由から売上の増加につながると考えられます。

  • 新しいターゲット層が見つかる
  • 自社の商品やサービスとより相性のよい販路が見つかる
  • 顧客と接する機会を増やせる
  • 競合が気づいていない販路で独占的に売上を伸ばせる
  • リスクを分散できる

既存販路だけでは、契約が終了し売上が頭打ちになる恐れがあります。順調に売上を伸ばしていたとしても、将来にわたって売上を伸ばし続けるためには、新しい販路の開拓が重要です。

2020年版の中小企業白書によると、規模や業種を問わず6割以上の企業が「重要と考える経営課題」として「営業・販路開拓」と回答しています。また、他の課題を回答している企業に比べ、「営業・販路開拓」を課題として挙げる企業は赤字割合が高い傾向にあります。このことからも、販路開拓は売上(利益)向上に直結する課題であるといえるでしょう。

販路開拓の正しい手順

複数の選択肢から自社にあった販路を確実に開拓するためには、正しい手順で必要な販路や開拓方法を検討することが大切です。この項目では、その手順について詳しく解説します。

1.現状の把握と分析

まず、自社の現状を把握して分析します。どのような点を把握するべきかは以下の例を参考にしてください。

  • 自社の商品やサービスはどこが評価されているか
  • 競合他社の商品やサービスと何が違うのか
  • ターゲット層に対して価格は適正か
  • 既存顧客はどんな属性か
  • 顧客にはどんな悩みや課題があるのか
  • 流通経路は何と何があり、どのくらいの割合で売上に貢献しているか

このように、さまざまな視点から現状を知ることにより、自社の商品やサービスにあった新たな販路や気づいていなかった課題が見つかる可能性があります。

分析には、以下の4つの要素を組み合わせて戦略を考える「マーケティングミックスの4P」を活用するのもおすすめです。

Product(商品)商品やサービスの品質、パッケージ、デザインなど
Price(価格)コスト、利益率、商品やサービスの価格設定など
Place(流通)商品やサービスの流通経路、販売場所など
Promotion(プロモーション)広告宣伝や販売促進など認知・購入してもらうための手法

マーケティングでは、4Pの整合性が取れていることが重要です。例えば、40代の男性ビジネスマンをターゲットとした商品で、すっきりとしたパッケージデザインでありながら、可愛らしい印象の広告をInstagramやTwitterで出稿しても認知や購入・契約に至ることは難しいでしょう。

自社の商品やサービスを4Pの視点で改めて見直すことによって、商品の品質やデザイン、価格、流通、プロモーション方法が適切であるかを把握し、適切な改善策を実施できる可能性があります。

2.ターゲットの明確化

次に、自社の商品やサービスのターゲットを明確にします。相性のいいチャネルを精査しやすくするためです。

ターゲットを明確にするには、ペルソナを設定することが有効です。BtoBセールスでは、最終的に企業が顧客となります。商談のキーパーソンとなるのは担当者であるため、企業ペルソナと担当者ペルソナを分けて設定しましょう。企業ペルソナの要素は、業界や業種、企業規模や本社の所在地(エリア)など、担当者ペルソナの要素は、年齢やポジション、業務における目標や悩みなどが考えられます。

また、ターゲットを明確にする場合は「STP分析」がおすすめです。STP分析は、以下の3つの軸を分析することによってターゲットを決める手法です。

Segmentation(セグメンテーション)市場を細分化する
Targeting(ターゲティング)細分化した市場の中から狙う市場を絞る
Positioning(ポジショニング)自社の立ち位置を見極める

セグメンテーションで、年齢、性別、地域、業種や企業規模などを軸に市場を細分化し、ターゲティングで、市場が小さすぎないか成長見込みがあるかなどを確認して狙う市場を絞り込みます。そして、ポジショニングで、競合に対して自社がどのように勝負するかを明確にします。

STP分析を行うと顧客やニーズを整理できます。訴求内容や商品・サービスの強みがわかり、ペルソナを具体的にイメージしやすくなるでしょう。

3.販路開拓の方法の検討と実施

最後に、販路開拓の方法を検討し、実施します。インターネットを通しオンラインで行う場合とオフラインで行う場合があり、それぞれ複数の方法が存在します。販路開拓の方法を多く知っているほど、販路の選択肢は増えます。

以下に販路開拓の方法を紹介しているため、自社の商品やサービスに合う方法を検討してみてください。

オンラインで行う販路開拓の方法

この項目ではインターネットを活用するオンラインの販路開拓の方法を紹介します。

自社サイトの運用

自社サイトを開設し、自社の商品やサービスを紹介する方法があります。近年では、オウンドメディアと呼ばれる、自社サイト内で運営するブログを開設する企業も多いです。

商品やサービスの特徴や強み、競合との比較などを紹介するコンテンツを制作することにより、自社に興味を持った見込み客を集客でき、新規問合せにつながる可能性があります。見込み客の悩みを解決するなど、有益なコンテンツを発信し続けることが重要です。

自社サイトを活用する際は、コンテンツの質を意識すると同時にSEO対策を実施しましょう。SEO対策とは、特定のキーワードで検索したときに上位表示させる施策のことです。見込み客が自社サイトにたどり着きやすくするために、SEO対策は必要不可欠です。また、幅広いキーワードで上位表示できれば、潜在顧客の獲得にもつながります。

自社サイトが集客につながるまでは時間を要しますが、良質な自社サイトを作り上げられれば、自ら営業をすることなく長期にわたって見込み客の獲得が見込めます。

インターネット広告の活用

インターネット広告とは、検索エンジンやサイトやSNS、動画といったWeb媒体に広告を出稿する方法で、デジタル広告、オンライン広告などとも呼ばれます。同じ広告でも、テレビCMや新聞広告と比べ、コストを抑えて認知や売上の拡大が期待できます。

また、長期間の運用が重要となる自社サイトの運用と異なり、スピード感を持って運用できるのが特徴です。インターネット広告は内容の差し替えが容易であるため、継続的に効果を分析し、内容を改善していくことが可能です。

また、細かなターゲティング設定や効果測定により、成果を出すためのPDCAを回しやすいのも特徴の1つです。ただし、成果を出すためには、Webマーケティングの経験と知識が必要です。

SNSマーケティングの実施

近年、企業はTwitterやFacebook、Instagram、YouTubeなどのSNSを活用した情報発信を積極的に行うようになっています。SNSでの広告配信は年齢性別、興味がある分野などでターゲットを絞って配信できるため、ターゲットに合わせたブランディングがしやすい傾向があります。また、SNSは情報がシェアされて拡散されやすいため、認知を広げるのに効果的です。

BtoBセールスにおいても、SNSの活用は有益です。例えば、YouTube動画を活用すれば、言葉だけでは表現が難しい自社の専門技術や製品について、わかりやすく紹介できます。

SNSの特徴や手法を理解してPDCAを回すために、専任の担当者を置き継続して運用するとよいです。

メール営業の実施

メール営業は、配信リストさえ準備ができれば、すぐに取り組める販路開拓の方法です。

メールを受信した見込み客は、好きなタイミングで開封でき、内容を繰り返し検討することができます。

ただし、見込み客へは様々な企業から日々営業メールが送られてきていると予想されるため、メールを開封し中身を熟読してもらうハードルは高いでしょう。開封率が上がるようにタイトルを工夫したり、ポイントがわかりやすく伝わるよう意識したりすることにより、メールを読んでもらえる可能性が上がります。加えて、適切なタイミングでメールを配信することも重要です。

ウェビナーの開催

近年は、リード獲得を目的としたセミナーをインターネット上で行う「ウェビナー」が注目されています。

実際にセミナーを開催する場合は、会場の確保、参加者集め、チラシなどの販売促進ツールの用意に時間とコストがかかります。対してウェビナーは、インターネット環境があれば開催でき会場への移動もないことから、参加者を集めやすい方法です。一度に数千人規模で参加者を募れ、遠方の見込み客へもアプローチできるため、認知拡大に有効な手段といえます。

デメリットは、参加者の反応がわかりにくかったり通信トラブルが発生したりする可能性がある点です。質疑応答の時間をしっかり確保したり、事前にインターネット環境のテストを実施してトラブルを防いだりといった工夫をするとよいでしょう。

​​オフラインで行う販路開拓

インターネットを介さず、オフラインで行う販路開拓の方法もあります。以下に具体的な方法を紹介します。

ハガキやダイレクトメールの送付

ハガキやダイレクトメールは相手の手元に残るため、必要な時期に改めて見返してもらえるメリットがあります。また、郵送の場合は商品のサンプルを同封でき、オンラインでは伝えきれない情報も届けやすいでしょう。

ただし、開封されなければ中身を確認してもらえないため、目に留まりやすいハガキやレターセットを使用するなどの工夫が必要です。宛名と差出人を手書きすることも、開封率のアップにつながります。

また、宛名を適切な人物に設定することも重要です。在籍企業・役職・部署名・氏名などの顧客データを常に最新の状態にしておきましょう。

飛び込み営業の実施

飛び込み営業とは、アポイントを取らず相手を訪問する営業方法です。

予告なく訪問するため、担当者が不在だったり、受付で門前払いされたりするリスクが高いです。しかし、直接会うことにより、相手に安心感を与えられる場合もあります。また、商品やサービスによっては、資料とともに実物を見せながら説明できるため、購入・導入後のイメージを持ってもらいやすいです。

テレアポの実施

テレアポは、飛び込み営業と異なり、移動時間なく多くの見込み客にアプローチできます。口頭で自社や自社の商材の説明を行うため、トークスキルが必要とされる手法です。

電話を掛ける際には、相手の顔が見えない分、会話のテンポや音量に気を配りましょう。事前にトークスクリプトを用意して練習を重ねておくと、電話口でも上手に自社商品の魅力を伝えられるでしょう。

また、多忙な時期に何度も電話をかけてしまうと、印象を悪くする可能性があります。事前に見込み客である相手の状況を調べ、余裕のある時間を狙って架電しなければなりません。

イベントやセミナーへの参加

展示会、商談会、見本市などのイベントや、セミナーへの参加も、販路開拓につながる可能性があります。

参加した場で出会ったビジネスパーソンとの名刺交換によって、見込み客(リード)を獲得できます。それだけでなく、商談のアポイントの獲得や、商談につながる人脈作りができる可能性もあります。また、その場で相手の不安や疑問を解消できるため、自社の商品やサービスのアピールがしやすいでしょう。

イベントやセミナーに参加する人は、内容に興味があることがわかっています。自社の商材と相性のよいイベントを選ぶことにより、顧客となる可能性が高いビジネスパーソンと出会えます。

新聞や雑誌への広告掲載

新聞や雑誌への広告掲載によって、普段あまりインターネットを利用しないターゲットにアプローチできます。

インターネット広告と異なり、新聞や雑誌への広告掲載は費用が高く、出稿まで時間がかかります。しかし、新聞は信頼性が高く、雑誌は読者層に親しまれているため、ネット広告とは異なるメリットがあります。

インターネット広告と比べ細かなターゲティングは難しいですが、それぞれの新聞や雑誌の読者層を分析し、掲載する媒体を工夫することによって大きな反響が期待できます。

BtoBセールスで販路開拓を成功させるコツ

この項目では、BtoBセールスにおいて、販路開拓を成功させるコツを4つ紹介します。

BtoBセールスの特徴を知る

BtoBセールスは、一般消費者を対象とするBtoC(Business to Consumer)のセールスと違い、以下のような特徴があります。

  • 顧客が不特定多数ではなく限定的である
  • 顧客は商品やサービスについて知識がある傾向にある
  • 導入目的が戦略の実現であり結果が重視される
  • 意思決定に関わる人が多く、時間を要する

これらの特徴を知った上で、販路開拓を考える必要があります。

例えば、顧客が限定的であることを踏まえ、成約すれば高い利益が狙える企業に絞って優先的にアプローチしていくことも1つの方法です。

また、既存顧客からの紹介で販路を開拓できる可能性も大きいため、継続的なフォロー体制を整え、関係性を強化しておくことも重要でしょう。

O2Oマーケティングを検討する

O2Oとは「Online to Offline」の略で、O2OマーケティングはWebサイトなどのオンラインから実店舗などのオフラインへと顧客を誘導する施策のことです。オフラインからオンラインへ誘導する方法も含まれます。

具体的には、メルマガでセミナーに誘導したり、実店舗で商品を確認して購入は自社サイトで行うよう誘導したりする施策を指します。

販路開拓の方法として、オンラインでの方法とオフラインでの方法を紹介しましたが、どちらか一方に偏ることなく両方を組み合わせることによって、より多くの見込み客と接点を作れ、取りこぼしを防げます。

助成金や行政サービスを利用する

販路開拓に掛ける予算を十分なものにするために、公的機関による補助金や助成金を利用するのもよいでしょう。

省庁のほか、各都道府県等中小企業支援センター、商工会議所や商工会などの公的機関は、販路開拓に伴う費用をサポートする制度を設けています。また、自治体による補助金や助成金を利用できる場合もあります。

このような公的機関による補助金や助成金は、基本的に返済の必要がありません。定められた条件を満たし、審査に通れば利用できます。販路開拓のプランに対し予算が不足している場合は、該当する制度がないか、確認してみることをおすすめします。

ただし、各制度において申請受付期間や助成対象期間などが定められており、申請要件や申請方法が異なります。また、申請すれば必ず利用できるわけではありません。経営計画や資金計画、製品開発の場合は成果物の提出が求められるなど、審査基準を満たすには詳細な計画や適正な達成目標が必要です。

外部サービスを利用する

社内で販路開拓を推進する余裕がない場合や、ノウハウ不足に陥っている場合は、営業支援サービスの利用によって課題解決につながると考えられます。費用はかかりますが、知識や経験、人脈を有する支援会社に依頼することにより、売上向上につながる新たな販路の獲得に成功する可能性が高いです。長期的な視点で見ればコスト削減になり、結果的に費用対効果が高められると期待できます。

また、第三者が分析することにより、自社では気づかなかった最適な販路開拓の手法が見つかる場合があります。実行まで依頼すれば、社内のリソース不足を補うことにもなるでしょう。販路開拓は、スポットではなく専任部署で常に行うことが理想ですが、専任がいない組織の場合は代行サービスの利用をおすすめします。

販路開拓を成功させて売上を向上しよう

販路開拓は、売上を増加させる方法の1つです。既存販路で売上が伸び悩んでいる場合、新たな販路の開拓が重要です。販路開拓には、オンラインで行う方法とオフラインで行う方法があります。この記事で紹介した方法の中から、自社の商品やサービスにあった方法を組み合わせて、実践してみてください。

中小企業などでは、販路開拓に人員を割く余裕がない場合もあるでしょう。また、ノウハウ不足で販路開拓に難航する企業も珍しくありません。その場合は、社外サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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