新規事業の立ち上げ時に関門となるのが、アイデア出しです。良いアイデアを出せなければ、新規事業を成功させることは困難です。新規事業のアイデアには、常識や既存事業にとらわれない新規性、ビジネスとして成り立つための収益性、顧客から選ばれるための解決性の3つの要素が求められます。
今回は、新規事業のアイデア出しに悩んでいる方に向けて、良いアイデアを出すための方法やポイント、アイデア出しに使える6つのフレームワークを紹介します。
新規事業の立ち上げ時に関門となるのが、アイデア出しです。良いアイデアを出せなければ、新規事業を成功させることは困難です。新規事業のアイデアには、常識や既存事業にとらわれない新規性、ビジネスとして成り立つための収益性、顧客から選ばれるための解決性の3つの要素が求められます。
今回は、新規事業のアイデア出しに悩んでいる方に向けて、良いアイデアを出すための方法やポイント、アイデア出しに使える6つのフレームワークを紹介します。
新規事業を立ち上げるためには、どのような領域で事業を展開するのか、ビジネスモデルはどうするのかなど、アイデアを出す必要があります。
事業として成立させるためには、以下の3つの要素を満たすアイデアを考えましょう。
ここでは、新規事業のアイデアに求められる3つの要素を解説します。
新規事業のアイデアでは、新規性が欠かせません。既存の事業や競合他社の商品・サービスに類似したアイデアを出しても、事業を成功させることは困難でしょう。
価格による差別化は取り組みやすいものである一方、価格競争で利益が圧迫され、組織の弱体化を招くことがあります。
これまでの事業や商品・サービスにはない、新規性や独創性があるアイデアを生み出すことが大切です。
新規事業をビジネスとして成立させるためには、収益性があるアイデアかも重要なポイントです。収益性は、アイデアを経営層にプレゼンして承認を得る際にも、厳しくチェックされるポイントです。
いくら目新しいアイデアであっても、十分な需要を見込めない、コストがかかりすぎる場合は、利益につながらないため事業として成立しません。
新規事業は黒字化するまでに時間がかかります。中長期的に収益を得られる仕組みを考え、説明できるよう事前に準備しておきましょう。
顧客の課題を解決できるかどうかも、顧客のニーズに関わる重要なポイントです。
新規性と収益性を追求するだけでは、誰からも求められない商品やサービスになり、顧客からの支持は得られないでしょう。
顧客が抱える課題や悩みを解決できるアイデアであれば、多くの顧客から選んでもらえるため、新規事業を成功させやすくなります。
新規事業のアイデア出しの際は、ブレインストーミングを活用するのがおすすめです。ブレインストーミングとは、新しいアイデアを出すために会議で用いられる「集団発想法」の1つです。複数人で自由にアイデアを出し合うことで、効率よく多くのアイデアを集められます。
ブレインストーミングは、立場や性格が異なる10人以下のグループで行うのが理想的です。アイデアを書き出せるよう、ホワイトボードや付箋、筆記用具を用意しましょう。
まずはテーマを設定し、10分程度の時間制限を設けて、参加者から自由にアイデアを出してもらいます。アイデア出しの時間が長すぎると、参加者の集中力が切れてしまいます。時間を意識することで、効率的にアイデアを出すことができます。
アイデアを出してもらった後は、15〜20分ほどかけてアイデアをまとめます。ここで使えるのがKJ法です。KJ法については、記事後半で紹介します。
ここでは、新規事業のアイデアを出すためのポイントを5つ解説します。
アイデアを出す際は、質より量を意識しましょう。事業として成り立つか、成功するかなどを考えて完璧なアイデアを出そうとすると、難航してしまうためです。
少数の質の高いアイデアから考えるよりも、まずは多くのアイデアを集めてブラッシュアップする方が成果は得られやすくなります。
質より量を意識して、思いつくままにアイデアを出しましょう。
自社目線だけではなく、客観的に考えることも大切です。
新規事業について考える際、どうしても自社目線で考えてしまいがちです。もちろん、自社の成長につながるか、自社にとって利益があるかなどを意識してアイデアを出すことも欠かせません。
しかし、視点が偏ってしまうと、同じようなアイデアばかりが集まってしまう恐れがあります。顧客や競合企業、業界外など、客観的な目線で考えることで、これまでとは違うアウトプットを出せるでしょう。
既存事業やアイデアをベースに考えることもポイントです。
新規事業のアイデアというと、完全に新しいものを生み出さなければならないと考えている方も多いでしょう。しかし、既存のアイデアを組み合わせ、既存事業に新たな要素を付け加えることで、新たなアイデアにつながるケースも多く見られます。
ゼロから新しいものを生み出すことは難しいため、まずは既存の事業やアイデアをベースに考えましょう。
価値を提供できるアイデアを出すためには、日頃から感じている不満や不便をメモしておくのがおすすめです。
「こうであったらよいのに」「どうにかならないのかな」と感じているものがあれば、その解決策を考えることで、新規事業のアイデアにつながることがあります。
他社の成功事例から、新規事業のアイデアにつながる発想を得られることもあります。
もちろん、他社の事例をそのまま真似するだけでは不十分です。事例の中で足りない部分や弱点がないかを分析し、それをカバーできるアイデアを考え、差別化を図る必要があります
また、他社が成功した要因を分析し、ビジネスモデルの設計に役立てることも大切です。
ここでは、新規事業のアイデアを出す際に使えるフレームワークを6つ紹介します。
マンダラートは、9×9のマスにキーワードを記入し、マスを埋めていくことで発想を広げていくフレームワークです。マス目が仏教に登場する曼荼羅(マンダラ)模様に似ていることから、マンダラートと名付けられました。
マンダラートでは、中央のマスに達成したい大目標や解決したい課題などを記載します。そして、周囲の8マスすべてに関連する語句(中目標)を思いつくままに記載しましょう。これで、中心の9マスが完成します。
中目標1 | 中目標2 | 中目標3 |
中目標4 | 大目標(テーマ) | 中目標5 |
中目標6 | 中目標7 | 中目標8 |
次に、周囲の8マスに記載した中目標の中から1つを選択し、別の9マスの中心に記載します。そして、その周囲に中目標に関連する小目標(具体施策)を記載してください。
小目標(具体施策) | 小目標(具体施策) | 小目標(具体施策) |
小目標(具体施策) | 中目標1 | 小目標(具体施策) |
小目標(具体施策) | 小目標(具体施策) | 小目標(具体施策) |
これらを繰り返すことで、達成したい目標や解決したい課題から、具体的なアクションにまで落とし込んで考えられるため、思考がまとまりアイデアが思いつきやすくなります。
マンダラートは、以下のようなケースに適したフレームワークです。
最近では、マンダラートのアプリも登場しています。アプリなら、テンプレートを利用して簡単にマンダラートに取り組めます。アイデアを思いついた時に、すぐに入力できるのも便利です。
SCAMPER(スキャンパー)法は、アイデア発想法として有名な「オズボーンのチェックリスト」を改良したフレームワークです。
7つの質問に回答していくことで、既存のアイデアを膨らませたり、そこから派生して新たなアイデアを量産できたりします。
SCAMPER法における7つの質問は、以下の通りです。
項目 | 質問例 | |
1 | Substitute(代用する) | 何かで代用できないか? |
2 | Combine(組み合わせる) | 何かを組み合わせて新しい価値を生み出せないか? |
3 | Adapt(応用する) | 既存のアイデアや成功事例をほかに応用できないか? |
4 | Modify(修正する) | 既存の商品やサービスを修正して、新たな価値を生み出せないか? |
5 | Put to other uses(転用する) | ほかの使い方はできないか? |
6 | Eliminate(取り除く) | あえて機能やプロセスを削除することで、新たな体験につながらないか? |
7 | Reverse,Rearrange(組み替える・再構成する) | 順番やパターンを入れ替えて新たなものが作れないか? |
SCAMPER法は、もとにしたい既存のアイデアがある際に役立つフレームワークです。
核となるアイデアをいくつか用意した状態で取り組み、アイデアを発展させましょう。
一方、ゼロからアイデアを生み出すのには適していません。
KJ法は、アイデアをカードや付箋に書き、それをグルーピングすることで、アイデアを整理・言語化する手法です。
まずはブレインストーミングを実施し、そこで出た意見やアイデアをカードや付箋に書き出していきます。それをグルーピングし、グループの関係性を明らかにできるよう、グループごとに位置関係を並び替えましょう。グループごとに丸で囲ったり、矢印を使って相関性を表したりすることで、視覚的にわかりやすく整理できます。
KJ法は、新たなアイデアを出すというよりは、アイデアを整理する際に活用できる手法です。また、膨大な情報を論理的かつ視覚的にわかりやすく整理できるため、チーム内で情報を共有する際にも役立ちます。
KJ法によって大量のアイデアを整理することで、そこからさらに画期的な新たなアイデアや、課題の解決方法が見えてくることもあります。
マインドマップは、1つのテーマを設定し、そこから派生するようにアイデアを書き出していく手法です。
マインドマップを用いることで、テーマを深掘りしてアイデアを広げられます。自分の思考をマインドマップとして表すことで、思考を可視化し、スムーズに考えられるようになるのもメリットです。
マインドマップは、SCAMPER法と同様に、1つのアイデアから発展的にアイデアを量産するのに適した手法です。
一方、ゼロからアイデアを出したい場合や、既存の事業やアイデアにとらわれない、斬新なアイデアを出したい際にはあまり向いていません。
リーンキャンバス(Lean Canvas)は、アイデアを9つの要素ごとに分析し、検証できるフレームワークです。ビジネスモデル分析に使われる「ビジネスモデルキャンバス」を、新規事業向けに作り直したものです。
以下の9つについて分析し、アイデアを検証しましょう。
ロジックツリーは、課題をツリー状に分解していくことで、課題の全体像を把握し、原因や解決策を特定するためのフレームワークです。
ロジックツリーには、以下の3つがあります。
ロジックツリーは、新規事業によって解決したい課題がある時に効果的なフレームワークです。課題を解決するためにはどのような商品やサービスを提供すればよいか、そのアイデアで本当に顧客の課題は解決できるのか、などを論理的に考えられるため、アイデア出しやアイデアの選定などに役立ちます。
最後に、新規事業のアイデアについてよくある質問を2つ紹介します。
A.アイデアがなかなか思いつかない時は、セミナーや講演会、経営者が集まるコミュニティに参加するのがおすすめです。
さまざまなジャンルのセミナーや講演会に参加することで、新規事業のヒントになる新たな知識を吸収できる可能性が期待できます。講師やほかの参加者と知り合いになれば、そこからビジネスチャンスを広げられることもあるでしょう。
また、経営者が集まるコミュニティに参加して情報交換をすることで、新規事業のアイデアをもらえる場合もあります。
自社のメンバーとだけ話し合っていても、既存事業にとらわれない、革新的なアイデアを出すことは難しいでしょう。アイデア出しに行き詰まったら、積極的に外部の力を借りるのが有効です。
A.ブレインストーミングを成功させるためには、出てきたアイデアをほかのメンバーが批判しないことがポイントです。
アイデアを批判してしまうと、発表者が萎縮してしまい、自由にアイデアを出せない雰囲気になってしまいます。どのようなアイデアも歓迎する姿勢を見せ、活発に発言できる場を作り出すことが大切です。
新規事業立ち上げにあたって良いアイデアを出すためには、以下のポイントを押さえましょう。
新規事業を成功させるためには、新規性はもちろん、十分な収益を確保でき、顧客の課題を解決できるアイデアを考案する必要があります。
アイデア出しに行き詰まったら、外部のセミナーや経営者コミュニティに参加するのもおすすめです。特に、同じ経営者と積極的に交流することで、会話からアイデアが思い浮かぶ可能性が期待できます。新規事業の立ち上げ経験が豊富な経営者から、アドバイスをもらえることもあるでしょう。
多くの経営者と交流して新規事業のヒントを得たい方は、経営者マッチングサービスの活用がおすすめです。決裁者マッチングサービス「チラCEO」なら、オンライン上で気になる経営者とマッチングし、直接アプローチできます。