最終更新日: 2024.03.06

経済産業省の2017年版「中小企業白書」によると、新規事業展開に成功して、かつ収益化できている企業はわずか約14%です。新規事業を立ち上げても、多くの企業は失敗しています。新規事業の立ち上げには多くのコストがかかるため、投資対効果を出す戦略を立てて事業を拡大する必要があります。

そこで本記事では、新規事業の戦略を策定する流れや必要な要素について解説します。戦略策定に役立つフレームワークも紹介しているため、これから新規事業を立ち上げるという方はぜひ参考にしてください。

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新規事業の戦略を策定する流れ

ここでは、新規事業の戦略を策定する流れを説明します。

  1. 目的や目標を設定する
  2. 現状分析を行う
  3. 方向性を決める
  4. 実現可能性を評価する
  5. 施策を策定する

それぞれの段階について解説していきます。

①目的や目標を設定する

初めのステップは、目的や目標を設定することです。目的が明確でなければ、事業の進行中に方針がブレてしまい、その結果目標達成が困難となる可能性があります。

目的だけではなく、目的を達成するための具体的な定量目標と期限を設定することも重要です。たとえば、「●年後に売上○○円を達成する」という具体的な数値目標を立てることにより、事業の進行中に達成度を確認しやすくなります。

事業関係者のモチベーションを維持し、資金の出し手を納得させるためにも曖昧な目標は避け、具体的な数字を設定しましょう。

②現状分析を行う

現状分析では、外部環境や内部環境を分析して、市場における自社の立ち位置を明らかにします。自社の強みや弱みがわかるため、効果的な戦略を立てやすくなります。

事業戦略を策定する中でも特に重要な段階であり、適切に情報を収集して分析できなければ、戦略が破綻する恐れがあります。

③方向性を決める

現状分析の結果を基に、自社が顧客に対して提供できる独自の価値を特定します。そのために必要なリソースや調達方法、活用方法などについての方針を決めます。

事業戦略を策定する際は、方向性の異なる事業戦略を複数準備しておきましょう。戦略の方向性が一つの場合、順調に進まないと行き詰まってしまいます。迅速に方針を変えられるように複数のシナリオを用意しておくことが重要です。

例えば、既存製品と関連性の高い商品を開発して、海外の新規市場に参入する戦略を立てたとします。その場合、M&Aによる企業買収だけではなく、海外に販売網を持つ企業とパートナーシップ契約を結ぶことも検討しておくと、M&Aがうまくいかなくても対応できます。

④実現可能性を評価する

複数の戦略の中から、最も実現可能なものを選ぶために評価を行います。この際、それぞれ方向性やコスト、メリット、リスクなどを総合的に評価してください。徹底的にシミュレーションを行い、期待する効果や成果を創出する戦略を選びましょう。

⑤施策を策定する

実現可能性が高いと評価した戦略を、実行できるレベルまで具体化し、施策を策定します。複数の施策を走らせる際は、緊急度や重要度などで優先順位を付ける必要があります。スケジュールを決定し、優先順位の高い施策から実行しましょう。

新規事業の戦略を策定する際に必要なこと

ここでは、新規事業の戦略を策定する際に必要なことを説明します。

  • 強みを活かして差別化を図る
  • 必要なリソースを的確に把握する
  • 必要以上に人材を投入しない
  • 事前に撤退ラインを決める

それぞれ説明していきます。

強みを活かして差別化を図る

新規事業の成功には、自社の強みを活かして差別化を図ることが不可欠です。競合他社が多く存在する中でも、自社の強みを活かせば商品・サービスを選んでもらいやすくなります。そのため、長年に渡って社内で蓄積されてきたノウハウを再確認し、独自の強みを正確に把握しましょう。

必要なリソースを的確に把握する

戦略を策定する際には、各工程で必要となるリソースを洗い出します。特に「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの要素は事業の成功に欠かせないため、これらの要素を中心に、それぞれ何が、いつ、どの程度必要なのかを詳細に検討し、リソースの計画を立てることが重要です。

リソースの必要なタイミングや量を明確にするため、フローチャートなどを活用することがおすすめです。リソースが不足している部分や過剰な部分がわかり、効率的なリソースの配分を図ることが可能となります。

必要以上に人材を投入しない

人数が多いと労働力は増しますが、コミュニケーションの速度や密度が損なわれるリスクがあります。新規事業立ち上げの初期段階において、多くの人材を投入するのは必ずしも効果的ではありません。

新規事業立ち上げの初期段階では、2〜3人の経験豊富なメンバーによるチームがおすすめです。スピーディーかつ密にコミュニケーションが取れるため、事業の立ち上げをスムーズに行えます。人数が多すぎると情報共有が難しくなり、一貫性のない戦略となる可能性があるため、必要以上に人材を投入しないでおきましょう。

事前に撤退ラインを決める

新規事業を立ち上げても、成功する保証はどの事業にもありません。事業の立ち上げがうまくいかなかったときの損失を想定し、企業全体の経営を圧迫しないように対策を講じる必要があります。

事業から撤退しても回収できない、すでに投資した時間や費用のことをサンクコストといいます。それまでの時間や費用が無駄になるため、撤退の意思決定は容易ではありません。そのまま事業を継続すると中長期的に経営に影響するため、あらかじめ撤退ラインを決めておきましょう。

撤退ラインを決めておくと、事業が失敗の方向に進んでいる場合に早期に撤退でき、損失の拡大を防止できます。また、事業計画を外部に示す際に撤退基準を明らかにしておくと、リスク管理が行われていることをアピールできます。さらには、無駄にリソースを消耗することなく、他の有望な事業にリソースを再配置することが可能です。

そのため、「いつまでにどれだけの売上がでなければ撤退する」という撤退ラインを決めておくことは、新規事業の立ち上げにおいて非常に重要です。

新規事業の戦略策定にはフレームワークの活用がおすすめ

新規事業の戦略を策定する際は、フレームワークを活用することがおすすめです。主な理由は、以下の通りです。

  • 考えを整理しやすい
  • 検討内容の抜け漏れを防止できる
  • 考えや戦略を共有しやすい

フレームワークという決まった形式に沿って戦略を策定するため、考えを整理しやすく、検討内容の抜け漏れを防止できます。項目を埋めるように進められるため、思いつく順番に書き出すよりも無駄が少なく、効率的な策定が可能です。

また、考えや戦略をフレームワークの形で可視化できることにより、他の人にも理解してもらいやすくなります。

新規事業の戦略策定で役立つフレームワーク4選

ここでは、ケース別におすすめのフレームワークを紹介していきます。

アイデア出しで役立つフレームワーク:SCAMPER法

アイデア出しで役立つフレームワークとして、SCAMPER法を紹介します。SCAMPER法とは7つの質問に回答することにより、アイデアを導き出すフレームワークです。

アイデアの量産が目的であり、使用することにより、短時間で多くのアイデア出しが可能となります。

以下の7つの質問に回答することから、頭文字を取ってSCAMPER法と呼ばれています。

  • Substitute:何かで代用できないか?
  • Combine:2つ以上のものを組み合わせられないか?
  • Adapt:他のアイデアや事例を応用できないか?
  • Modify:何かを修正できないか?
  • Put to other uses:他のものに転用できないか?
  • Eliminate:機能やプロセスなどを削ぎ落とせないか?
  • Reverse・Rearrange:並べ替えたり、組み替えたりできないか?

市場調査で役立つフレームワーク:VRIO分析

市場調査で役立つフレームワークとして、VRIO分析を紹介します。VRIO分析は、経済的価値や希少性、模倣可能性、組織という要素によって、経営資源を分析するフレームワークです。

自社の経営資源が競合よりもどれほど優位性が高いのかを分析することが目的です。自社の経営資源の強みや弱みを把握でき、競合優位性を高めるための戦略立案に役立ちます。

以下の4つの頭文字を取って、VRIO分析と呼ばれています。

  • Value(経済的価値):自社の商品・サービスにどの程度の価値があるのか
  • Rareness(希少性):自社の商品・サービスやスキルには、独自性があるのか
  • Imitability(模倣可能性):自社の商品・サービスやスキルは他社から模倣されやすいか
  • Organization(組織):自社の経営資源をスムーズに活用できる組織力があるか

事業内容の計画で役立つフレームワーク:4C分析

事業内容の計画で役立つフレームワークとして、4C分析を紹介します。4C分析では、顧客価値やコスト、利便性、コミュニケーションという要素から、自社の商品・サービスを評価します。

自社商品・サービスの魅力を顧客視点で把握することが目的です。顧客視点から自社の商品・サービスを評価できるため、顧客のニーズを満たすものを開発できます。競合との差別化ポイントも見つけやすく、多くの商品・サービスが溢れる市場の中でも、自社を選んでもらいやすくなります。

以下の4つの要素から分析することから、頭文字を取って4C分析と呼ばれています。

  • Customer Value(顧客価値):自社の商品・サービスに対して顧客が抱く価値
  • Cost(価値):自社の商品・サービスを購入する際に顧客が負担する費用
  • Convenience(利便性):自社の商品・サービスを購入するプロセスの容易さ
  • Communication(コミュニケーション):顧客との接点Cu

マーケティング戦略の立案に役立つフレームワーク:RFM分析

マーケティング戦略の立案に役立つフレームワークとして、RFM分析を紹介します。RFM分析は、最終購入日と購入頻度、購入金額という指標で顧客をグループ分けするフレームワークです。

優良顧客には積極的にアプローチして、受注確度の低い顧客にはアプローチを減らすというように、顧客ごとに適したアプローチ方法を検討できます。顧客全体に同じアプローチをする場合よりも成果につながりやすい点がメリットです。

以下の3つの指標でグループ分けすることから、頭文字を取ってRFM分析と呼ばれています。

  • Recency(最終購入日):最終購入日からの経過時間が短い顧客を高く評価する
  • Frequency(購入頻度):購入頻度の高い顧客を高く評価する
  • Monetary(購入金額):購入した総額が高い顧客を高く評価する

新規事業の戦略に関するよくある質問

新規事業の戦略に関するよくある質問を紹介します。

  • 新規事業の立ち上げに失敗する割合は?
  • 新規事業のフレームワークは複数使用してもよい?

Q.新規事業の立ち上げに失敗する割合は?

A.経済産業省の2017年版「中小企業白書」によると、成功していない企業の割合は約71%です。

また、新規事業を立ち上げた背景について、成功した企業のうち67.9%の企業が「新しい柱となる事業の創出」、64.9%の企業が「顧客・取引先の要請やニーズへの対応」と回答しました。一方、失敗した企業のうち48.1%が「他社との競争激化」、46.2%の企業が「既存市場の縮小・既存事業の業績不振」と回答しています。

上記の回答結果から、以下のことがわかります。

  • 顧客などからの要請・自発的な要因による新規事業の立ち上げは、成功しやすい
  • 市場の縮小・競争激化という外部要因による新規事業の立ち上げは、失敗しやすい

Q.新規事業のフレームワークは複数使用してもよい?

A.複数のフレームワークを組み合わせることがおすすめです。複数のフレームワークを組み合わせると、自社の商品・サービスを複数の観点から分析できます。例えば、顧客視点の4C分析と企業視点の4P分析を組み合わせると、自社に最適なアプローチ方法を検討しやすくなります。

新規事業の成功には戦略策定が欠かせない

新規事業を立ち上げても、失敗する可能性の方が高いです。収益化するためには、しっかりと戦略を立てて事業を進める必要があります。新規事業の戦略を策定する流れは、以下の通りです。

  1. 目的や目標を設定する
  2. 現状分析を行う
  3. 方向性を決める
  4. 実現可能性を評価する
  5. 施策を策定する

また、本記事では新規事業戦略を策定する際に必要なことも紹介しました。

  • 強みを活かして差別化を図る
  • 必要なリソースを的確に把握する
  • 必要以上に人材を投入しない
  • 事前に撤退ラインを決める

先述した通り、新規事業を立ち上げても成功するとは限りません。大きな損失が発生して既存の事業にも影響するリスクがあるため、事前に撤退ラインを決めておくことが重要です。無駄にリソースを消耗するのを防ぎ、他の事業にリソースを充てられます。

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