監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
決裁者約1,000名の調査では、業種や規模を問わず新規開拓が課題の1位でした。
なぜ普遍的な課題なのかと、提案への活かし方をまとめました。

約1,000名の決裁者調査から、業種・規模・役職のどの切り口でも新規開拓が課題の1位だった事実を解説します。なぜ普遍的な課題なのかを整理し、自社の提案に活かす方法も紹介します。
本題に入る前に、引用するデータの性質を簡単に整理しておきます。
データの背景を理解しておくことで、結果の読み方も変わってきます。

この調査の最大の特徴は、回答者の多くが企業の意思決定層である点です。
代表・CEOが57.4%、取締役・役員を含めると83.3%に達します。
通常のBtoBマーケティングでは、この決裁者層に直接リーチすること自体が困難です。
つまり、現場担当者ではなく、実際に発注を決める人たちの生の声だという点に価値があります。
従業員規模では、1〜50名のスモールチームが全体の66%を占めます。
一方で、101〜300名の成長期企業や、301名以上の大手も一定数含まれています。
創業期から拡大期、大企業まで、幅広いフェーズの決裁者が対象になっています。
そのため、規模によるニーズの違いも比較できる構成になっています。
このデータは、決裁者マッチングの商談を通じて収集されたものです。
回答者はもともと集客に関心を持つ層に偏りやすいという前提があります。
したがって、新規開拓のニーズはやや高めに出る可能性があります。
この点を踏まえても、なお新規開拓が突出している事実は注目に値します。
それでは、調査が示した結果を具体的に見ていきましょう。
業種、規模、役職という3つの切り口すべてで、共通した傾向が現れました。

事業領域の上位5業種それぞれで、TOP3ニーズを分析した結果があります。
人材・採用、IT・SaaS、その他BtoB、マーケ・広告、コンサルのいずれでも、新規開拓が1位でした。
特にマーケ・広告業では81%、IT・SaaS業では76%が新規開拓を課題に挙げています。
自社で支援サービスを提供する業種ほど、自社の新規開拓には悩んでいるという構図が見えてきます。
従業員規模別に見ても、ほぼすべてのフェーズで新規開拓が1位を占めました。
1〜10名では75%、51〜100名では73%と、規模を問わず高い水準です。
唯一、1,001名以上の大企業だけは新規開拓比率がやや下がり、効率化ニーズが相対的に上がります。
それでも、ほとんどの企業にとって新規開拓が最優先であることに変わりはありません。
役職別に見ると、その傾向はさらに鮮明になります。
代表・CEOで74%、取締役・役員で77%が新規開拓を課題としています。
そして部長・マネージャー層では、実に89%が新規開拓を挙げました。
現場に近い役職ほど、数字に直結する新規開拓への課題感が鋭くなる傾向があります。
では、なぜ新規開拓はこれほどまでに共通の課題になるのでしょうか。
いくつかの構造的な理由が考えられます。
新規開拓は、企業が売上を伸ばし続けるための根源的な活動です。
既存顧客だけに頼れば、解約や市場変化とともに売上は先細りします。
事業を継続・成長させる限り、新規開拓に終わりはありません。
だからこそ、どのフェーズの企業にとっても常に現在進行形の課題になります。
新規開拓の手法は、広告、紹介、展示会、SNSなど無数にあります。
しかし、自社にとって何が最適かを確信を持って言える企業は多くありません。
手法が多様化したぶん、かえって迷いや不安が生まれやすくなっています。
解決しきれない課題だからこそ、ニーズとして根強く残り続けるのです。
新規開拓の成果は、受注数や売上として明確に数字に表れます。
未達であれば、その不足も同じように数字で突きつけられます。
可視化されやすい課題は、決裁者の意識にものぼりやすくなります。
結果として、常に優先度の高い課題として認識されるのです。
新規開拓が普遍的な課題だということ実は、提案する側にとって大きなヒントになります。
「穴」が共通しているなら、そこに当てる「ドリル」を磨けばよいからです。
どの決裁者にも響く切り口が分かっているなら、提案の出だしで迷う必要はありません。
自社のサービスを、新規開拓支援という文脈で再定義してみましょう。
一見、新規開拓と無関係に見えるサービスも、売上貢献の角度から語れることが多いものです。
決裁者の最優先課題に接続することで、話を聞いてもらえる確率が高まります。
ただし、入口が同じなら、そこから先で差別化する必要があります。
同じ新規開拓という穴に対し、どんなドリルで解決するのかが問われます。
自社ならではの解決方法や根拠を、具体的に示せるかが勝負どころです。
切り口を新規開拓にそろえたうえで、解決策の独自性を磨きましょう。
新規開拓を入口にしつつ、相手の規模や役職で次の提案を変えるのも有効です。
小規模なら経営相談、拡大期なら採用・組織といった具合に、二番目の課題は変化します。
相手のフェーズを見極め、次に効く提案を用意しておきましょう。
入口の普遍性と、二の矢の個別性を組み合わせることが、提案力を高めます。
多くの企業が取り組んでいるにもかかわらず、解決したと言い切れる企業は多くありません。
背景にある構造を整理します。
既存顧客の対応と違い、新規開拓は決まった手順が確立しにくい領域です。
成果を出す人のやり方が言語化されず、個人の技術のまま残ることが繰り返されます。
人が抜けた途端に数字が落ちる組織は、この状態に陥っています。
行動の手順まで分解して共有する仕組みが、解決の出発点になります。
接触してから受注に至るまで、商材によっては半年から一年かかります。
短期で評価すると、正しい取り組みでも途中で打ち切られてしまいます。
受注だけでなく、初回商談数や決裁者との接触数を中間の指標として見る必要があります。
目の前の顧客対応を優先すると、新規開拓の時間は後回しになります。
時間を確保する仕組みがなければ、意欲だけでは続きません。
週の中で開拓に充てる時間を固定する運用が、現実的な対処になります。
課題が共通だと分かっても、そのままでは提案の差別化にはつながりません。
実務に落とす手順を示します。
新規開拓が課題だと決めつけて話し始めると、押しつけがましく聞こえます。
今どの手法をどれだけ試したのかを聞いてから、提案に入るのが基本です。
試して失敗した手法を再提案してしまう事故も防げます。
同じ課題でも、人を増やす、仕組みを変える、外部を使うという選択肢があります。
自社のサービスだけを唯一の答えとして出さないほうが、相談相手として信頼されます。
選択肢を並べたうえで、自社が最も貢献できる領域を示します。
商談数、決裁者接触数、受注額のどれを追うかで、現場の動き方は変わります。
追う指標を一つに絞り、四半期は変えずに続けるほうが改善の効果が見えます。
約1,000名の決裁者調査が示したのは、新規開拓が業種・規模・役職を問わず常に1位だということ実でした。
売上の源泉であり、明確な正解がなく、数字で可視化されやすい——だからこそ普遍的な課題になります。
この事実は、提案する側にとって強力な武器になります。
提案の入口は新規開拓に固定し、そのうえで解決策の独自性で差をつけましょう。
さらに、相手のフェーズに応じて次の提案を変えれば、響き方はいっそう深まります。
まずは自社のサービスを、新規開拓支援という文脈で語り直すことから始めてみてください。
(出典:株式会社オンリーストーリー「決裁者約1,000名のリアル購買ニーズ調査レポート」2026年5月)
A. 約1,000名の決裁者から直接集めたヒアリング調査で、83%が代表・役員クラスです。
経営の意思決定に関わる立場の人の声を集めているため、実際の経営課題を知る手がかりになります。
A. 業種・規模・役職のどの切り口で見ても、新規開拓が1位という結果でした。
新規開拓がどの企業にとっても重要な課題であることが分かります。
A. 売上の源泉であり終わりがないうえ、多くの企業が正解を持てていないためです。
そのため、新規開拓の悩みに役立つ情報は、多くの経営者に関心を持ってもらいやすいといえます。
A. 提案の入口を新規開拓で固定し、どう解決するかという中身で差をつけることです。
入口の話題を共通にすることで、どの相手にも関心を持ってもらいやすくなります。
A. 入口は同じでも、相手のフェーズに応じて次に出す提案を変えることが有効です。
相手の規模や役職を事前に確認しておくと、次に出す提案を選びやすくなります。
この記事の監修者
平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。