自社の商品やサービスを、どの切り口で提案すれば決裁者に響くのか。
営業やマーケティングに携わる人なら、誰もが一度は悩むテーマです。
業種が違えば刺さるポイントも違う、規模が違えば課題も違う——そう考えるのが自然でしょう。
ところが、約1,000名の決裁者へのヒアリング調査は、それとは異なる事実を示しました。
業種・従業員規模・役職のいずれで切っても、「新規開拓」が常にニーズの1位だったのです。
この記事では、決裁者の購買ニーズ調査のデータをもとに、なぜ新規開拓がこれほど普遍的な課題なのかを読み解きます。
そして、その事実を自社の提案にどう活かせるのかまで、具体的に考えていきます。
なお、本記事が引用するデータは、決裁者マッチングを手がける株式会社オンリーストーリーが約24か月かけて収集したヒアリング結果です。
調査の前提|約1,000名の決裁者から直接集めたデータ
本題に入る前に、引用するデータの性質を簡単に整理しておきます。
データの背景を理解しておくことで、結果の読み方も変わってきます。
回答者の83%が代表・役員クラス
この調査の最大の特徴は、回答者の多くが企業の意思決定層である点です。
代表・CEOが57.4%、取締役・役員を含めると83.3%に達します。
通常のBtoBマーケティングでは、この決裁者層に直接リーチすること自体が困難です。
つまり、現場担当者ではなく、実際に発注を決める人たちの生の声だという点に価値があります。
中小企業を中心に幅広い規模をカバー
従業員規模では、1〜50名のスモールチームが全体の66%を占めます。
一方で、101〜300名の成長期企業や、301名以上の大手も一定数含まれています。
創業期から拡大期、大企業まで、幅広いフェーズの決裁者が対象になっています。
そのため、規模によるニーズの違いも比較できる構成になっています。
データのゆらぎという前提も押さえておく
このデータは、決裁者マッチングの商談を通じて収集されたものです。
回答者はもともと集客に関心を持つ層に偏りやすいという前提があります。
したがって、新規開拓のニーズはやや高めに出る可能性があります。
この点を踏まえても、なお新規開拓が突出している事実は注目に値します。
調査結果|新規開拓があらゆる切り口で1位だった
それでは、調査が示した結果を具体的に見ていきましょう。
業種、規模、役職という3つの切り口すべてで、共通した傾向が現れました。
業種で切っても新規開拓が1位
事業領域の上位5業種それぞれで、TOP3ニーズを分析した結果があります。
人材・採用、IT・SaaS、その他BtoB、マーケ・広告、コンサルのいずれでも、新規開拓が1位でした。
特にマーケ・広告業では81%、IT・SaaS業では76%が新規開拓を課題に挙げています。
自社で支援サービスを提供する業種ほど、自社の新規開拓には悩んでいるという構図が見えてきます。
規模で切っても新規開拓が1位
従業員規模別に見ても、ほぼすべてのフェーズで新規開拓が1位を占めました。
1〜10名では75%、51〜100名では73%と、規模を問わず高い水準です。
唯一、1,001名以上の大企業だけは新規開拓比率がやや下がり、効率化ニーズが相対的に上がります。
それでも、ほとんどの企業にとって新規開拓が最優先であることに変わりはありません。
役職で切っても新規開拓が1位
役職別に見ると、その傾向はさらに鮮明になります。
代表・CEOで74%、取締役・役員で77%が新規開拓を課題としています。
そして部長・マネージャー層では、実に89%が新規開拓を挙げました。
現場に近い役職ほど、数字に直結する新規開拓への課題感が鋭くなる傾向があります。
なぜ新規開拓はこれほど普遍的な課題なのか
では、なぜ新規開拓はこれほどまでに共通の課題になるのでしょうか。
いくつかの構造的な理由が考えられます。
売上の源泉であり、終わりがない
新規開拓は、企業が売上を伸ばし続けるための根源的な活動です。
既存顧客だけに頼れば、解約や市場変化とともに売上は先細りします。
事業を継続・成長させる限り、新規開拓に終わりはありません。
だからこそ、どのフェーズの企業にとっても常に現在進行形の課題になります。
多くの企業が「正解」を持てていない
新規開拓の手法は、広告、紹介、展示会、SNSなど無数にあります。
しかし、自社にとって何が最適かを確信を持って言える企業は多くありません。
手法が多様化したぶん、かえって迷いや不安が生まれやすくなっています。
解決しきれない課題だからこそ、ニーズとして根強く残り続けるのです。
成果が数字で見えるため意識されやすい
新規開拓の成果は、受注数や売上として明確に数字に表れます。
未達であれば、その不足も同じように数字で突きつけられます。
可視化されやすい課題は、決裁者の意識にものぼりやすくなります。
結果として、常に優先度の高い課題として認識されるのです。
この事実を自社の提案にどう活かすか
新規開拓が普遍的な課題だという事実は、提案する側にとって大きなヒントになります。
「穴」が共通しているなら、そこに当てる「ドリル」を磨けばよいからです。
提案の入口は「新規開拓」で固定できる
どの決裁者にも響く切り口が分かっているなら、提案の出だしで迷う必要はありません。
自社のサービスを、新規開拓支援という文脈で再定義してみましょう。
一見、新規開拓と無関係に見えるサービスも、売上貢献の角度から語れることが多いものです。
決裁者の最優先課題に接続することで、話を聞いてもらえる確率が高まります。
差がつくのは「どう解決するか」
ただし、入口が同じなら、そこから先で差別化する必要があります。
同じ新規開拓という穴に対し、どんなドリルで解決するのかが問われます。
自社ならではの解決方法や根拠を、具体的に示せるかが勝負どころです。
切り口を新規開拓にそろえたうえで、解決策の独自性を磨きましょう。
相手のフェーズに応じて二の矢を変える
新規開拓を入口にしつつ、相手の規模や役職で次の提案を変えるのも有効です。
小規模なら経営相談、拡大期なら採用・組織といった具合に、二番目の課題は変化します。
相手のフェーズを見極め、次に効く提案を用意しておきましょう。
入口の普遍性と、二の矢の個別性を組み合わせることが、提案力を高めます。
まとめ
約1,000名の決裁者調査が示したのは、新規開拓が業種・規模・役職を問わず常に1位だという事実でした。
売上の源泉であり、明確な正解がなく、数字で可視化されやすい——だからこそ普遍的な課題になります。
この事実は、提案する側にとって強力な武器になります。
提案の入口は新規開拓に固定し、そのうえで解決策の独自性で差をつけましょう。
さらに、相手のフェーズに応じて次の提案を変えれば、響き方はいっそう深まります。
まずは自社のサービスを、新規開拓支援という文脈で語り直すことから始めてみてください。
(出典:株式会社オンリーストーリー「決裁者約1,000名のリアル購買ニーズ調査レポート」2026年5月)