営業活動において、商談を獲得したものの、なかなか受注につながらず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。受注率を向上させるためには、いくつかのポイントを押さえて営業活動を行う必要があります。
この記事では、受注率が低くなる原因や、向上させるための方法を解説します。記事の後半では、受注率向上に役立つツールも紹介するので参考にしてください。
営業活動において、商談を獲得したものの、なかなか受注につながらず悩んでいる方は多いのではないでしょうか。受注率を向上させるためには、いくつかのポイントを押さえて営業活動を行う必要があります。
この記事では、受注率が低くなる原因や、向上させるための方法を解説します。記事の後半では、受注率向上に役立つツールも紹介するので参考にしてください。
受注率は成約率とも呼ばれ、商談を行った件数に対し、何件が成約につながったかを数値化したものです。成約した件数だけでなく、金額で算出する場合があります。
受注率は、次の式によって算出されます。
受注率(%)=成約に至った商談の件数(総額)÷商談の件数(総数)×100 |
例えば、月に20件の商談があり、2件が成約に至った場合の受注率は、2÷20×100=10%となります。
多くの商談を獲得していても、受注率が低ければ営業効率が良いとは言えません。受注率の把握は、営業活動の効率や成果を測ることにつながります。また、受注目標から逆算し、必要な商談件数を見出すことも可能です。
商談を獲得しているにも関わらず受注率が低くなる原因には、主に以下の5つが挙げられます。
1つずつ解説します。
成約率が低くなる原因の1つに、受注確度が見極められていないことが挙げられます。受注確度とは、営業活動において自社商品やサービスを受注してもらえるかどうか、判断する基準のことです。
受注確度を正確に把握していなければ、自社商品やサービスに興味のない顧客にもアプローチしてしまいます。成約する見込みが低い案件に注力している間に、受注確度が高い顧客との商談や提案のタイミングを逃し、機会損失につながるケースが考えられます。
決裁者へのアプローチができていないと、商談を重ねても成約につながらない可能性があります。企業で商品やサービスを新たに導入する際の最終決定は、決裁者による判断が必要なためです。
決裁権を持たない担当者との商談を行ったとしても、説明した内容が決裁者へ上手く伝わらず、成約につながらないケースがあります。また、担当者が提案内容を深く検討せず、商品やサービスの導入を見送ってしまう可能性もあるでしょう。
顧客のニーズを理解できていない場合は、いくら商談を重ねても受注につながる可能性は低くなるでしょう。ニーズに沿った提案ができなければ、顧客が商材を導入するメリットを感じづらいためです。例えば、顧客管理に課題を抱える企業に勤怠管理のシステムを営業しても課題解決にはつながらないため、導入される可能性は低くなります。CRMやSFAなどのツールの方が、親和性が高いと言えるでしょう。
商談回数や受注率を増やすことばかりに気を取られ、自社商品やサービスの押し売りになっていないか、注意が必要です。
自社商品やサービスの価値提供ができなければ、成約にはつながりにくいでしょう。見込み顧客にとってどういったメリットがあるのか、競合他社よりどこが優れているかなど、自社独自の価値を伝えられなければ、前向きに検討してもらえる可能性が低くなってしまいます。
また、商談の際に、商材の価値がうまく伝わらなかった可能性も考えられます。結論を後回しにして商品の説明をしたり、費用や機能の説明が欠けていたりすると、商材について理解されづらくなります。なるべく簡潔に、結論ファーストで話すことが重要です。
失注要因を分析していなければ、同じ失敗を繰り返し、受注に至る方法を見出せないでしょう。失注要因には、価格、機能やサービスの不足、導入時期のミスマッチ、決裁権がない担当者との商談などが考えられます。
受注に至らない理由を顧客からヒアリングできれば、再アプローチをして受注につなげられますが、毎回聞き出せるとは限りません。失注のタイミングや要因がどのプロセスにあるのかを分析し、PDCAを回すことが大切です。
ここでは、受注率を向上させるための7つの方法を解説します。
まずは、売上目標を設定することが重要です。最終的な売上目標を明確にすることによって、必要な見込み顧客の獲得件数や商談件数を逆算しやすくなります。何をすべきか明確になるため、営業担当者がモチベーションを保って営業できるようになります。
目標を設定していなければ、受注よりも商談獲得数ばかりに目が向いてしまい、確度の低い顧客にも時間を割く可能性があります。目標達成のために必要なプロセスを導き出し、効率よく営業活動を進めるために、売上目標を設定しておきましょう。
受注確度の基準がなければ、売上の予測やアプローチ方法が見出しにくくなります。個々の営業担当ではなく、チームで受注確度の基準を設定しておくことが大切です。
受注確度の基準を設定する際、以下4つの情報の頭文字を取った「BANT」の考え方を取り入れると良いでしょう。
「予算はどのくらいなのか」「決裁者は誰なのか」「自社の商品やサービスを導入する必要性はどの程度か」「導入時期はいつ頃を予定しているか」など、4つの条件が揃っている案件を基準にすると良いでしょう。4つの情報が、それぞれどの程度満たされていれば受注確度が高いのか、あるいは低いのか、数値やアルファベットなどを用いて確度を可視化します。
例えば、以下のように受注確度の基準を設定できます。
4つの条件の基準があれば、顧客の状況に応じたアプローチができるでしょう。
受注率を向上させるためには、見込み顧客の情報を管理し、一元化しておくことが大切です。営業担当者は日々多くの業務を抱えており、見込み顧客の情報管理が後回しになっている可能性があります。顧客情報を管理すれば、業務効率化にもつながります。
見込み顧客の情報を管理しておけば、受注確度も把握しやすくなります。優先度の高い顧客には積極的にアプローチでき、自社商品やサービスに興味関心の薄い顧客に対して無駄にリソースを費やさなくて済みます。それぞれの顧客に対し、どういった切り口でアプローチするかを見出しやすくなるでしょう。
先述したBANTの4つの情報から受注確度の基準を設定し、あらかじめ受注確度に合わせたアプローチ方法を決めておきます。受注確度が高い顧客に対し、積極的に営業活動を行うことで、受注率を高められるでしょう。限られた時間で受注率を上げるためには、受注確度の高い案件に注力すべきです。
受注確度に合わせてアプローチの優先度や手法に変化をもたせることによって、ただ闇雲に無駄なアプローチをすることがなくなり、営業活動の効率化にもつながるでしょう。
受注率を向上させるためには、決裁者と商談を行うことが大切です。決裁者との商談が獲得できれば、担当者や上司などを経由して社内確認をしなくて済むため、受注につながりやすくなります。商談の相手が決裁権を持っていなければ、担当者の上司が間に入り、提案を却下されてしまうかもしれません。
決裁者と直接やりとりできれば、自社商品やサービスによって顧客のどういった課題を解決できるのか、予算や導入時期などを含めより具体的な提案ができます。受注率向上につながるだけでなく、営業活動の効率化を図るうえでも決裁者との商談は有効です。
営業活動では、商談件数や受注率などの数値だけに目を向けがちです。しかし、受注率を向上させるためには、見込み顧客との信頼関係を構築することも重要です。信頼関係が構築できている顧客とは、気軽にコミュニケーションが取れ、本音を聞き出しやすいケースがあります。顧客のニーズや課題を把握しやすくなるため、自社商品やサービスを見直すきっかけにもなるでしょう。
顧客のニーズを汲み取り、抱えている課題を解決するための提案を行います。押し売りではなく、相手のメリットを考えた真摯な態度で自社商品の価値を提案し続ければ、自然と信頼関係を築けるでしょう。
受注率の向上を図るためには、ITツールの活用が有効です。ITツールを使えば、営業活動の効率化や生産性の向上が図れます。顧客情報の一元化によって、チーム全体への情報共有もスムーズになり、属人化を防げるでしょう。
また、これまで行っていた手動の作業を自動化できるため、営業担当者は、効率化によって空いた時間をほかの業務に費やせるようになります。優先度の高い見込み顧客へのアプローチに注力できるため、受注につながりやすくなるでしょう。
受注率の向上には、営業活動の効率化が必要です。ここでは、受注率の向上に役立つ営業ツールについて解説します。
CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)とは、顧客との良好な関係を構築し、維持するための施策をいいます。CRMツールは、企業の顧客情報を管理・分析し、セグメント別のメール配信などで顧客へのアプローチができます。
主に、顧客の氏名、役職、部署といった顧客の個人情報、購入履歴などを一元管理します。顧客の購入履歴をもとに見込み度合いを可視化するため、受注確度の高い顧客が洗い出せます。顧客情報を組織全体で共有すれば、担当者が不在時でも対応可能となるでしょう。
CRMツール導入には料金がかかるため、社内の予算を確認する必要があります。また、自社の目標達成のための機能が搭載されているかも確認しておきましょう。
MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング担当者の活動を自動化し、効率的に運用する仕組みのことです。MAツールは、企業の顧客データを活用し、見込み顧客の獲得からナーチャリング(育成)、アプローチ活動まで行えます。
顧客の氏名、メールアドレスなどの情報だけでなく、Web上の行動履歴、メール開封状況など、自社のマーケティング活動に関するデータを管理します。見込み顧客の行動解析から見込み度合いを判別し、最適なタイミングで集中的にアプローチできます。
MAツール導入に際し、自社の課題を解決できるか、導入目的を明確にしておくことが大切です。ツールにどういった機能があるのか比較検討し、自社に必要な機能を備えているか確認しましょう。
SFA(セールスフォースオートメーション)ツールは、商談から受注に至るまでの進捗状況を管理する営業支援システムのことです。顧客の氏名、役職、商談履歴などの顧客管理だけでなく、顧客ごとの営業担当者、商談の進捗状況、受注確度などの情報も管理できます。
ほかにも、予算と実績を比較する機能や、営業活動を記録・報告する機能が備わっています。営業活動における一連の情報が可視化されるため、組織全体で営業プロセスを標準化し、スキルの底上げにつながります。
SFAツールを使用する際は、日常的に情報を入力するだけでなく、可視化した営業活動の内容を評価しPDCAを回すことが重要です。
受注率を向上させるためには、見込み度合いの高い顧客へ優先的にアプローチするための仕組みが必要です。顧客のニーズを把握し、最適なタイミングで自社商品やサービスの価値提供を行うためには、ツールを活用するのも有効な手段です。
とはいえ、いくら商談を重ねても決裁者に話が届かなければ意味がありません。受注率の向上を目指すのであれば、決裁者との商談を行うことが重要なポイントです。