営業活動の生産性を上げるための取り組みを「営業支援」と呼びます。利益率を上げるためには、業務の効率化が必要です。BtoBセールスにおいては、特に商材の単価が高くなるため、商談相手も慎重になります。不安や心配を払拭するための資料作りや信頼関係の構築など、営業プロセスに時間がかかることもあるはずです。そのため、営業支援を実施して業務の自動化や効率化がしたいというセールス担当者は多くいるでしょう。
そこでこの記事では、営業支援でできることや営業支援を行うツールの種類、導入手順、などを紹介します。
営業活動の生産性を上げるための取り組みを「営業支援」と呼びます。利益率を上げるためには、業務の効率化が必要です。BtoBセールスにおいては、特に商材の単価が高くなるため、商談相手も慎重になります。不安や心配を払拭するための資料作りや信頼関係の構築など、営業プロセスに時間がかかることもあるはずです。そのため、営業支援を実施して業務の自動化や効率化がしたいというセールス担当者は多くいるでしょう。
そこでこの記事では、営業支援でできることや営業支援を行うツールの種類、導入手順、などを紹介します。
「営業支援」とは、営業活動を最大限に効率化するために行う支援活動のことをいいます。例えば以下のようなものが営業支援に該当します。
営業支援によって営業担当者の業務を減らし、顧客対応に集中できるようにします。それによって、新規顧客の獲得や、売上げの向上を目指せます。
営業支援を実施すると、以下の4つのメリットが期待できます。
それぞれについて解説します。
営業担当者が顧客にアプローチするコアタイムを拡大できます。営業支援を実施することにより、営業日報作成や見積書の作成などの事務作業を効率化し、顧客対応に充てる時間を増やせます。社内のスケジュール調整、顧客方法の管理、データ入力などを自動化したり、業務量の偏りを防ぎ特定の営業担当者の負担を減らしたりすることが可能です。
これにより、見込み客へのアプローチ、課題のヒアリング、新規顧客の開拓、既存顧客のアップセルやクロスセルなど、成果に直結する業務に時間を割くことができます。
営業担当者の本来の営業活動以外の負担を軽減できるため、残業時間の削減が期待できます。
営業日報の作成や情報共有のための社内ミーティングなど、営業担当者が行うべき日々の業務は多岐に渡ります。営業支援により、このような社内で行う業務の効率化を図ることが可能です。また、クラウド型のツールを活用すれば、外出先でも営業活動の報告ができ、移動中の隙間時間を有効活用できます。
営業コストのなかでも人件費は大きな割合を占めているため、残業時間を削減できれば営業コストの縮小につながります。また、業務負担や残業時間の削減ができれば、営業担当者に余裕が生まれ、業務の質も改善できる可能性があります。
顧客情報の適切な管理によって社内の人脈が整理され、顧客への的確なアプローチが可能になります。
営業支援ツールによって顧客データや商談・案件の内容などの営業活動に必要な情報を一元管理できるため、誰でも進捗を確認できます。部署間で共有できることにより、社内連携がスムーズになります。また、一定の形式で保存されるため閲覧もしやすく、該当のデータや関連情報にすぐにたどり着くことができます。
適切な情報を元に適切なタイミングで顧客にアプローチできるようになるため、無駄な営業活動を減らして受注確度を高められるでしょう。
営業スキルを均一化でき、営業組織全体のスキルの底上げが期待できます。クラウド上で一人ひとりが持つノウハウや知識の共有ができれば、営業担当者によって結果が左右されることが少なくなります。トップセールスの営業活動をナレッジ化すれば、部署としての営業成績のアップが見込めます。
また、クラウド上に蓄積されたノウハウや情報は、新人の営業担当者の教育資料として使うことも可能です。教育体制が構築できるため、営業活動の属人化が防げるでしょう。
営業支援を行うさまざまな機能がついたツールを、営業支援ツールといいます。効率的な営業支援を行うには、営業支援ツールを導入するのがおすすめです。
ひとつのツールで資料作成の自動化や情報の管理・共有などができるため、複数の課題を同時に解決できます。入力内容によってソフトを立ち上げ直す必要もなく、クラウド型であればインターネット環境さえあればどこからでもアクセスでき、パソコンごとに特別な設定をする必要もありません。
営業活動を一元管理しやすくなるため、営業戦略の立案・改善などを行う経営層やセールスの責任者、マネージャーにもメリットがあるといえます。
営業支援ツールには、業務を効率化する以下のような機能があります。ツールを適切に取り入れることにより、利益の向上が期待できます。
営業支援ツールによって、社名・所在地・電話番号・担当者・役職などの顧客情報を管理できます。名刺管理ツールを使えば、名刺をスキャンするだけで顧客データベースを作ることができるうえ、やりとりの履歴を残せます。営業支援ツールで顧客管理を行うことにより、同じ顧客に重複して営業をかけるといった無駄の防止につながります。
また、顧客データベースを誰でも閲覧できるため社内で連携しやすくなり、顧客との信頼関係をスムーズに築けます。顧客管理によって社内に蓄積された人脈を可視化することによって、より戦略的な営業活動が可能になります。
営業活動を記録すると、履歴から担当者が行った活動を確認できます。また、活動を分析できるツールならば、数値化した売上などの成果を元に、アポイントや訪問の数、受注率などを分析できます。
これらのデータは、営業活動の費用対効果を検証する際に大いに役立ちます。営業プロセスごとに抱えている課題の洗い出しが容易になり、スピーディな営業活動の改善が見込めます。
営業日報もツールを使って管理できます。スマートフォンに対応した営業支援ツールであれば、営業担当者は移動中など外出中の空いた時間に活動内容を報告できます。すきま時間を活用して営業日報を作成できるため、顧客訪問や商談などの本来すべき営業活動に使う時間を確保しやすくなります。営業の進捗をリアルタイムで把握できるうえ営業部門全体で共有できるため、最適なタイミングでフィードバックやフォローを実行できます。
案件管理機能は、案件の詳細情報を管理できます。この機能により、以下のような情報を記録できます。
これらの情報を元に、案件の現状把握や営業担当者の成績を把握できます。今後の戦略も明確になるはずです。表示項目を自由にカスタマイズできるツールもあるため、自社にとって使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
スケジュール管理は、営業担当者個人のスケジュールを、社内や部門で管理し共有できる機能です。お互いのスケジュールを把握できるため、スケジュール調整が容易に行えます。ミーティングの参加者が大人数の場合でも、全員のスケジュールを画面上で確認し、開催日時の調整ができるため、個別に都合を確認する必要はありません。
営業活動の売上や履歴を集計し、レポート化できます。レポートを元に効率的なリソース配分や人員配置が可能になるため、マネジメントしやすくなります。レポートは、マーケティングの分析にも役立ちます。営業戦略につながるレポートを容易に作成できるため、集計業務に費やす時間を削減できます。
営業支援を実現するツールはSFA(Sales Force Automation)と呼ばれ、以下のようなツールがあります。この項目では各ツールの特徴と、おすすめのポイントを解説します。
Salesforce(セールスフォース)は、クラウド型のツールです。Salesforceには、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudなどさまざまなツールがあり、必要に応じて組合せて利用します。
営業活動を支援するツールとしては、SFA(営業活動自動化)、CRM(顧客管理)機能があるセールスクラウド(Sales Cloud)が多く使われています。セールスクラウドは、顧客情報を一元管理し、営業活動の進捗や商談管理、売上予測まで実行可能です。
Salesforceの特徴は、多機能でカスタマイズ性が高いことです。入力項目やページレイアウトをカスタマイズしたり、事業の成長に合わせて拡張させていくことが可能です。一方で、多機能であるがゆえに使いこなすことが難しく、機能を有効活用できない可能性もあります。そのため、自社に専任の運用担当者がいるなど、ある程度規模が大きい企業に向いていると言えます。
Senses(センシーズ)は、現場の営業担当者の使いやすさを追求したクラウド型のSFA(営業活動自動化)ツールです。公式サイトでは「営業は現場主義で行こう」というメッセージを掲げています。ツールを使うことに専門的な知識は不要で、直感的に使えるため操作が容易です。
進捗管理は、ドラッグ&ドロップで案件ボードを移動して行います。商談中のメモやホワイトボードに書いた内容などを取り込み、営業活動情報として登録できます。また、名刺はスキャンして取り込めます。
SensesにはAI機能が搭載されています。AI機能で算出した結果を元に、各案件の受注確度や契約金額などのアドバイスを受けられます。データの蓄積により改善が見込めるため、これまでの営業活動について分析が十分ではない、対応すべき優先順位の認識が統一できていないなどの課題を抱える企業にもおすすめです。
HubSpot(ハブスポット)はインバウンドマーケティングを推奨するCRM(顧客管理)ツールです。インバウンドマーケティングとは、価値あるコンテンツを提供し、自社と消費者にメリットをもたらすマーケティング手法のことです。
HubSpotは、マーケティング活動をサポートするMarketing Hub、営業活動を強化するSales Hub、スタマーサービスを効率化するService Hub、Webサイト運用を効率化するCMS Hub、外部ツールとの連携などオペレーション業務を効率化するOperations Hubの5つの機能で構成されています。なかでもLPやブログといったコンテンツを作成するCMS Hubの機能が充実していることが特徴です。
ユーザーがWeb上で情報を検索する機会が増えている昨今、web上のコンテンツを使って自社商材の情報発信をしていきたい企業や、ダイレクトメールやテレマーケティングなどのプッシュ型のマーケティング手法を見直したい企業に向いているツールです。
eセールスマネージャーはCRM(顧客管理)/SFA(営業活動自動化)ツールです。国産のツールのため、日本の営業組織向けに開発されているため国内の企業には使い勝手がいいとされており、自社独自の営業スタイルにカスタマイズして運用できます。
eセールスマネージャーの特徴は、サポート体制が充実していることです。通常、システム導入には4〜6ヶ月かかりますが、eセールスマネージャーは2.5ヶ月に短縮できます。
導入後には、定着に向け3ヶ月間ものサポートを実施します。その後は、活用レベルに合わせて他ツールとの連携や設定変更などのステージアップを支援します。導入から運用、そして定着まで、各ステップにおける丁寧なサポートが支持され、利用継続率が高いです。社内にIT担当者がいない企業やリソースが足りていない企業にとって、導入から定着における手厚いサポートは大きな魅力です。
大手企業から中小企業まで、企業規模を問わず導入実績があります。導入企業は、製造業やサービス業、情報・通信業、金融業、建築・不動産業など、業種も多岐に渡ります。eセールスマネージャーには、どのような企業にも対応するノウハウが蓄積されていると考えられます。
Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト ダイナミクス 365)は、マイクロソフトが提供するCRM(顧客管理)/SFA(営業活動自動化)ツールです。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのOffice製品との連携がスムーズな点が最大の強みです。
.Microsoft Dynamics 365では、ツール内のデータをExcelにエクスポートしたり、Outlookで送受信した顧客とのメールのやりとりを取り込めたりします。Office製品を多く使う企業にとっては使いやすいツールといえるでしょう。
また、財務部門や人事部門の業務を効率化する機能を加えれば、財務計画、決済、支払い予測などの簡潔化、給与や福利厚生、休暇や勤怠時間の管理なども可能です。部署間でスムーズな情報連携が必要な企業に向いています。
自社にあった営業支援を実施するには、導入前の準備が必要です。それによって営業支援の効果が変わるともいえます。営業支援を実施する際には、以下に紹介する4つの手順を踏むことになります。
まず自社の営業プロセスを整理します。
このように、自社の営業プロセスを洗い出したら、同じように営業担当者の1日のスケジュールも洗い出します。それぞれを分解して整理することで課題を見つけやすくなります。整理する際には現場の意見をしっかり聞くことが重要です。
営業プロセスと営業担当者のスケジュールを可視化できたら、ボトルネックになっていると思われるプロセスを特定します。
例えば、以下のような課題が見出される可能性があります。
また、営業担当者によって大きな差がある箇所が見つかる可能性があります。それらも営業部門の課題としてピックアップしておくといいでしょう。
営業活動における課題を洗い出したら、必要な営業支援の内容を決めていきます。
例えば、以下のような営業支援策を検討します。
ほかにも必要な施策があれば、明らかにしていきます。どのプロセスを改善することが利益向上につながるかを精査して、必要な営業支援の内容を決定します。
自社に必要な営業支援策が決定したら、その機能があるツールやシステムを検討・導入します。ほかの企業も導入しているからといった安易な理由で選択せず、自社に本当に必要かを慎重に考えてツールを決定しましょう。
営業支援を成功させるために意識すると良いポイントは次の3つです。
それぞれについて紹介します。
営業担当者が直感的に操作できる営業支援ツールを選びましょう。操作が複雑でわかりにくい営業支援ツールを選んでしまうと、営業担当者の負担になり定着しない可能性があります。
また、マルチデバイスに対応しているかどうかも重要です。スマートフォンからの操作が可能であれば、顧客訪問先への移動時間や、営業活動から帰社する際の空いた時間に活動報告ができ、時間を有効活用できます。
営業支援ツールの選定の際には、現場の営業担当者からのヒアリングが必須です。無料トライアルがあるツールなら、営業担当者が実際に試してから導入を決めるべきです。
業務フローを整えておくことは、営業支援ツールのスムーズな活用と定着につながります。営業支援を成功させるためには、営業支援ツールを導入した後の業務フローをあらかじめ決めておくことが重要です。
営業担当者ごとに使い方が異なる状態では、入力する情報の粒度が揃わず、正確に把握できない可能性があるからです。情報を整理するためのルールと業務フローを事前に決めておくと、営業担当者が混乱せず使うことができます。
また、導入する予定の営業支援ツールではカバーしきれない機能は、既に導入済みのツールと連携させる必要があります。
営業支援を実施する前に、期待できる営業コストの削減や売上げの向上を検討しておくと良いです。営業支援ツールを導入すると、資料作成の自動化・効率化が実現します。属人化しやすい営業活動のプロセスを見える化でき、営業スキルの均一化を図れます。
しかし、一方でシステムを刷新すると、導入コストのほか、操作や運用をマスターするまでの学習コストがかかります。導入の際には、効果を見込める時期やその効果が売上げに反映される時期の見通しを事前につけておくと、営業支援の実施が成功したのか失敗したのか、正しく判断することができます。
営業支援を実施すると、営業担当者が営業コアタイムを確保しやすくなり、見込み客へのアプローチ、既存顧客のアップセルやクロスセルなど、利益の向上が期待できます。ただし、営業支援ツールの導入にあたっては、自社の課題を解決できる機能がついたものを選ばなければなりません。