新規開拓では、対象企業が自社のサービスに合っていても、今すぐ話す理由が見つからないことがあります。
一斉に同じ案内を送るだけでは、相手がなぜその提案を受け取ったのかも伝わりにくくなります。
そのときに役立つ考え方が、営業のトリガーイベントです。
企業の変化を手がかりに、確認したい課題や連絡の時期を考えます。
ただし、変化が起きた事実と、商品を購入する意思は別です。
本記事では、新規開拓を対象に、情報の選び方、事実と仮説の分け方、連絡文面への落とし込み、営業チームでの運用方法を解説します。
新規開拓では、対象企業が自社のサービスに合っていても、今すぐ話す理由が見つからないことがあります。
一斉に同じ案内を送るだけでは、相手がなぜその提案を受け取ったのかも伝わりにくくなります。
そのときに役立つ考え方が、営業のトリガーイベントです。
企業の変化を手がかりに、確認したい課題や連絡の時期を考えます。
ただし、変化が起きた事実と、商品を購入する意思は別です。
本記事では、新規開拓を対象に、情報の選び方、事実と仮説の分け方、連絡文面への落とし込み、営業チームでの運用方法を解説します。
営業のトリガーイベントとは、見込み顧客への接点づくりや状況確認のきっかけとなる変化・出来事を指します。
企業の発表、人事の変更、新しい事業の開始などを手がかりに、自社が役立てる可能性を検討します。
HubSpotの営業学習資料でも、トリガーイベントは潜在顧客を見つける手がかりとして説明され、プレスリリースやソーシャルメディアへの言及が挙げられています。
参考:HubSpot「Inbound Sales」学習資料。
本記事では、主に企業が公開した事業上の変化を扱います。
情報を見つける目的は、相手の事情を推測して売り込むことではありません。
その企業に関係する可能性がある話題を選び、今確認する意味があるかを判断することです。
例えば、新しい営業拠点の開設を知った場合でも、営業管理に困っているとは限りません。
「拠点間で管理方法をそろえる必要があるかもしれない」という仮説を立て、確認する内容を準備するところまでが営業側でできることです。
業種、従業員規模、提供サービスなどの企業属性は、営業対象としての適合性を考える材料です。
一方、トリガーイベントは、その企業で最近何が起きたかを示す材料です。
例えば、自社が複数拠点を持つ企業向けに業務標準化を支援している場合、拠点数や業種が対象条件になります。
そのうえで新拠点の開設が発表されれば、運用方法を確認するきっかけになり得ます。
ただし、新拠点の情報があっても、対象業種や支援範囲が合わなければ、優先して連絡する理由は弱くなります。
話題が新しいというだけで対象企業を増やすと、本来支援できる企業への活動時間が減る可能性があります。
先に「どのような企業を支援できるか」を定め、その条件に合う企業の変化を確認する順序が基本です。
トリガーイベントは、営業対象の条件を置き換えるものではなく、対象企業への理解を深める材料として使いましょう。
新しい拠点や店舗の開設は、業務の範囲や関係者が変わるきっかけになります。
支援内容によっては、情報共有、教育、問い合わせ対応、拠点管理などが関連する可能性があります。
確認する際は、どの拠点を、いつ、どのような目的で開設するのかを読み取ります。
計画段階なのか、すでに営業を開始しているのかでも、話題にできる内容は変わります。
発表日だけでなく、実施予定日や稼働開始日を区別してください。
例えば、開設前なら準備工程に関する情報、開設後なら運用をそろえるための確認事項が役立つ可能性があります。
ただし、開設前に連絡すれば必ず間に合うわけではありません。
設備や委託先の選定が先に完了している場合もあります。
連絡では「拠点開設で負担が増えていると思います」と断定するより、「拠点間の対応手順を統一される場合に、確認項目をご案内できます」と条件を示します。
相手が該当しないと判断できる表現にすることも、適切な接点づくりの一部です。
新規事業の発表からは、新しい顧客層、販売方法、運営体制などを確認できます。
自社がその変化に関係する支援を提供しているなら、連絡の理由になる場合があります。
ただし、「新規事業なので顧客獲得に困っている」「体制が整っていない」と決め付けることは避けます。
既存事業の顧客基盤を使える場合や、パートナーがすでに決まっている場合もあるためです。
まずは発表内容から、分かることと分からないことを整理します。
提供開始日、対象顧客、サービスの概要は確認できても、営業目標、予算、内製方針まで分かるとは限りません。
分からない情報は空欄のままにし、仮の値で埋めないようにします。
アプローチするなら、発表内容と直接関係する論点を一つ選びます。
例えば、法人向けサービスの提供開始であれば、「どの企業に営業するべきか」や「初期の顧客との接点をどう作るか」が検討事項に含まれるかを尋ねる方法があります。
事業全体を評価するような書き方は避けましょう。
組織変更や責任者の就任は、担当範囲や意思決定の流れが変わる可能性を示します。
ただし、就任した人が新しい施策をすぐに導入したいと考えているとは限りません。
まず既存業務の把握を優先していることも考えられます。
確認したいのは、公式に示されている役割です。
同じ役職名でも、企業によって管掌範囲は異なります。
営業、事業開発、企画などの部門名だけで、提案内容の担当者だと断定しないでください。
また、発表時点と就任日が異なる場合があります。
これから就任する人に、すでにその役割を担当している前提で連絡すると、基本情報の確認不足が伝わります。
役職と日付は、公式発表に戻って確かめることが大切です。
文面では、肩書への過度な持ち上げより、担当領域との関係を簡潔に示します。
「新体制で必ず必要になるサービス」と書くのではなく、「担当される領域で、次の課題が検討対象に含まれる場合は」と、相手が判断できる形にしてください。
採用情報から、企業がどの職種や業務に人員を配置しようとしているかを把握できる場合があります。
営業職の募集であれば、担当業務や顧客層が記載されていることもあります。
ただし、求人が出ていることと、人手不足に困っていることは同じではありません。
欠員補充、事業拡大、将来に向けた採用など、背景は複数考えられます。
求人件数だけで経営状態や課題の深刻さを判断しないようにします。
求人情報を使う場合は、募集が現在も続いているかを確認します。
過去の求人が検索結果に残っていることもあるため、掲載されているというだけで直近の変化とは扱えません。
新たに見つけた情報が、最近発生した情報とは限らない点に注意してください。
連絡内容も、採用そのものに関係するのか、採用後の教育に関係するのかを分けます。
対象業務とのつながりを説明できなければ、求人を見たという一文だけを付けた一般的な営業メールになってしまいます。
トリガーイベントを記録する際は、企業名、出来事、情報源、発表日、実施日、確認日を分けて残します。
ページの更新日が新しくても、扱われている出来事は古い場合があるためです。
最初に情報を見つけた場所がニュースサイトや投稿であっても、可能であれば企業の公式発表を確認します。
同名企業、子会社、別地域の法人を取り違えていないかも確認してください。
企業名が似ているというだけでは、営業先との関連は確定しません。
情報が不十分な場合は、確認できた範囲をそのまま記録します。
「詳細不明」「実施日未確認」と残す方が、推測した日付を入れるより運用に役立ちます。
後から別の担当者が見た際にも、追加確認が必要だと分かります。
記録には、情報が変わる可能性も意識しておきます。
計画の延期や中止が発表されている場合は、古い内容のまま連絡しないよう更新します。
営業メールを書く直前に主要な事実を再確認する工程を入れると、取り違えを減らせます。
情報を営業活動に使うときは、三つの欄に分けると考えやすくなります。
以下は架空の企業を想定した例です。
| 項目 | 記録例 |
|---|---|
| 事実 | 企業が新しい営業拠点の開設を発表した |
| 仮説 | 拠点間で商談の管理方法をそろえる必要があるかもしれない |
| 確認したいこと | 管理方法の統一が現在の検討事項に含まれているか |
この整理では、仮説を事実の欄に書かないことが大切です。
「管理がばらばらになっている」と記録すると、確認していない課題が社内で既成事実のように扱われるおそれがあります。
さらに、「別の説明もあり得るか」を考えてみます。
新拠点でも既存の仕組みをそのまま使えるかもしれませんし、管理方法の見直しをすでに終えているかもしれません。
反対の可能性を置くことで、質問が誘導的になりにくくなります。
相手と話した後は、仮説が確認できたか、違っていたか、まだ不明かを更新します。
仮説が外れたこと自体を失敗とするのではなく、対象条件や情報の読み方を見直す材料にしてください。
新しい発表を見つけるたびに最優先で連絡すると、営業活動がニュースの量に左右されます。
優先順位を付ける際は、自社の支援との適合性、情報の確かさ、出来事との時間的な関係、提供できる情報を確認します。
例えば、発表から日が浅くても、自社が対応できない業務なら優先度は上がりません。
少し前の発表でも、これから実施する計画に関係する支援を具体的に説明できるなら、確認する意味がある場合があります。
数値の点数を付ける方法もありますが、点数自体に客観性があるとは限りません。
運用を始める段階では、「今連絡する」「追加確認する」「今回は見送る」の三つに分け、その理由を記録するだけでも構いません。
見送る理由も残してください。
対象外の業種、支援範囲の不一致、計画が終了済みなどが分かれば、同じ企業が何度も新規候補に戻ることを防ぎやすくなります。
優先順位は、送る順番だけでなく、送らない判断にも使います。
メールには、確認した情報、相手に関係する可能性がある論点、提供できる内容、返答してほしいことを入れます。
以下は架空の例文です。
件名:新拠点での営業管理に関する情報提供/〇〇株式会社
株式会社△△
ご担当者様初めまして。
営業業務の運用整理を支援している、〇〇株式会社の田中と申します。
貴社が発表された新拠点の開設案内を拝見し、ご連絡いたしました。
拠点間で商談の引き継ぎ方法や確認項目を統一される場合に、検討項目をまとめた資料をご案内できます。
すでに対応方針が決まっている場合や、今回のご計画に関係しない場合は、ご放念ください。
情報収集の対象でしたら、資料をお送りしてもよろしいでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
この文面でも、資料は実際に用意できることが前提です。
また、連絡先は相手企業が案内する用途や、営業に関する受付方針を確認したうえで選びます。
公開されている連絡先だからといって、用途を問わず使ってよいと判断しないでください。
ニュースへの言及を入れれば個別対応になるわけではありません。
その出来事と、自社が提供できる情報との関係を説明できるかが重要です。
つながりが弱い場合は、別の話題を探すか、今回は連絡しない判断を検討しましょう。
運用を始める際は、対象企業と見る情報を絞ります。
例えば、自社の支援対象に合う企業について、新拠点、新規事業、組織変更のうち一つだけを確認する方法があります。
最初からすべての発表を集める必要はありません。
担当者は、見つけた情報の事実確認と、営業上の仮説を分けて記録します。
その後、連絡する価値があるかを判断し、必要な資料を準備します。
情報収集だけで時間を使い切っていないかも確認してください。
チームで扱う場合は、連絡済みの企業と、次の確認予定を共有します。
複数の担当者が同じ発表を見つけ、別々に同じ企業へ連絡することを防ぐためです。
相手から得た回答も、元の出来事とつなげて残します。
一定期間の運用後は、何件の情報を見つけたかだけでなく、関連性のある情報がどれだけあったかを振り返ります。
新規候補が増えても、対象外が多い場合は、確認する媒体や企業条件を見直した方がよいでしょう。
トリガーイベントを使った活動では、情報を見つけた企業数、条件に合った企業数、連絡した企業数、課題が確認できた企業数、商談を実施した企業数を分けると、どこに問題があるかを整理できます。
一つの企業で複数の発表があった場合は、出来事の件数と企業数を混同しないようにします。
また、メールを複数回送った場合も、送信通数と対象企業数を分けて記録します。
通常の営業活動と比較する場合は、対象企業、提案内容、観察期間などの違いを確認します。
条件が異なるまま商談化率だけを比べても、トリガーイベントを使ったことによる差とは判断できません。
数字だけでなく、仮説が外れた理由も残すと改善につながります。
すでに対応が終わっていた、担当部門が違った、そもそも課題がなかったなどを整理すれば、次に確認する情報や連絡時期を調整できます。
営業のトリガーイベントは、企業の変化をきっかけに、今話す意味を考えるための材料です。
自社が支援できる企業を定め、公開情報を確認し、事実と仮説を分けてから連絡してください。
企業情報を把握できても、適切な相手との接点を作ることが課題になる場合があります。
オンリーストーリーでは、決裁者マッチングをはじめとする営業支援を案内しています。
接点づくりの方法を見直したい場合は、サービス内容を確認し、自社の対象企業や営業体制に合うかを検討しましょう。