監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
受注できた案件の理由が担当者の感覚にとどまり、組織として再現できないことがあります。
受注分析はうまくいった案件の共通点を洗い出し、勝ち筋を言葉にするための作業です。

受注分析とは何かを、売上分析や失注分析との違いから整理します。データ収集から共通点の抽出、要因の明文化という手順と、重回帰分析やABC分析など4つの分析手法、SFAツールの活用法を解説します。
監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
受注できた案件の理由が担当者の感覚にとどまり、組織として再現できないことがあります。
受注分析はうまくいった案件の共通点を洗い出し、勝ち筋を言葉にするための作業です。
受注分析とは、その案件が受注に至った理由を分析することです。
受注できる案件の特徴や傾向などを見出し、営業活動をどのように進めれば受注につながりやすいかを理解するために行います。
例えば、AとBの2つのトークスクリプトを使用して、営業活動を行ったとします。
結果を分析し受注につながった案件の8割がBを利用しているとわかれば、AではなくBが有効であると判断できます。
営業活動は、やみくもに行ってもなかなか安定して成果を出せません。
受注分析によって、勝ちパターンを見つけることが大切です。
受注分析と売上分析の違いは、以下のように整理できます。
| 分析する対象 | 分析する目的 | 分析を行う人 | |
| 売上分析 | 事業別に見た売上の推移商品・サービスごとの売上顧客別の売上 | 営業における目標を設定し、戦略を策定する | 営業部長や経営層など |
| 受注分析 | 受注につながった個別の案件の特徴や傾向 | 勝ちパターンを見つける | 営業担当者やマネージャーなど |
売上分析は、売上を分析して業績を評価するというマクロ的な視点で行います。
目標の設定や戦略策定など、上流工程に関わります。
一方、受注分析は、ミクロ的視点に立った分析であり、営業担当者個人が日常的に行うのが特徴です。
個別の案件について「どうすれば受注につなげられるか」を、営業担当者やマネージャーが理解するために行います。
失注分析は、受注に至らなかった案件を分析します。
失注分析と受注分析とは真逆の分析方法ですが、受注率を上げるためには、両者ともに欠かせません。
失注分析では、失注した要因や課題を洗い出して対策を立て、今後の営業活動に活かすことを目的としています。
失注分析ができていない場合、受注率を上げようとさまざまな施策を講じても、再び同じ理由で失注する可能性が高いでしょう。
失注要因としては、主に以下の2つのパターンがあります。
このうち、営業担当者がコントロールできるのは1.です。
案件ごとに失注のパターンを振り返り、適切な対策を検討しましょう。
受注分析を行うメリットは3つあります。
受注分析をすると、商材やサービスの魅力や、競合の中から選ばれた決め手など、自社の強みがわかります。
顧客から見た自社の強みを理解できれば、商品・サービスのアップデートや営業資料の作成、商談でのアプローチ方法の見直しに役立ちます。
強みを伸ばすことにより、受注率のより一層の向上も期待できます。
受注分析によって、受注しやすい会社の属性やアプローチ方法などが明らかになり、営業リソースをどのように配分すべきかが判断しやすくなるため、営業活動をより効率的に行えます。
テレアポよりもメール営業の方が受注に至りやすい場合、テレアポに割いていた時間をメール営業に充てればいいと判断できます。
受注が難しい業種がわかれば、その業種の企業をリストから外す、優先順位を下げるなど対処できます。
受注分析の結果を記録すれば、ノウハウを蓄積でき、組織全体の営業力強化につながります。
営業活動は、営業担当者のスキルや経験に依存しがちで、成果に差が生じることが多く、属人化しがちです。
ノウハウの共有により属人化を防ぎ、組織の営業力を強化できます。
また、再現性の高い営業のコツを共有すれば、個々の営業成績も上がりやすくなり、社員のモチベーションアップにつながるでしょう。
受注分析は、以下の手順で行います。
ここでは、それぞれのステップについて解説します。
まず、受注分析に必要なデータを収集しましょう。
具体的には、以下のようなデータが必要です。
上記はあくまでも代表例です。
他にも必要なデータがあれば取得しましょう。
データを分析し、受注した案件の共通点や傾向などを見つけます。
データ分析の手法については、次の章で詳しく解説します。
共通点や傾向を見つけるには、売上に関する要素を洗い出すことが大切です。
要素の洗い出しを行ってからデータを分析すると、受注に至る傾向を詳細かつ具体的に把握できます。
例えば、以下のように要素を洗い出します。
<顧客数>
<単価>
<購入頻度>
その他、以下のような条件も細かく分析しましょう。
受注に至った要因がわかったら、明文化して記録します。
また、それぞれの要因が受注にどの程度貢献したかをスコアリングすると、要因がよりわかりやすくなります。
受注に至った要因は、以下のように記録するのがおすすめです。
| <リード獲得手法> テレアポであらかじめニーズをヒアリングし、アポイントにつなげるかのフィルタリングを行った・・・70点 <トークスクリプト> Aのトークスクリプトを利用した・・・50点 <決裁者へのアプローチ> 決裁者と直接アポイントを獲得し、商談できた・・・90点 担当者との3回目の商談で、決裁者に同席してもらった・・・70点 |
こうした分析を地道に繰り返し、受注につながる勝ち筋を見つけることにより、営業力を強化できます。
受注分析は、以下のような手法を使うといいでしょう。
それぞれを解説します。
重回帰分析とは、結果に影響を与えるとされる複数の要因のうち、どの要因がどのくらい影響を与えているのかを分析する手法です。
重回帰分析を行うと、受注につながった要因のうち、どれのインパクトが大きいのかがわかり、営業活動をより改善しやすくなります。
重回帰分析は、以下の手順で行います。
重回帰分析を行う際は、説明変数を増やしすぎないことが大事です。
説明変数を増やしすぎると、それぞれの要因が結果に与える影響が小さくなってしまい、有用なデータを得られなくなります。
1度の分析につき7つ程度に絞り込み、説明変数を変えて複数回分析しましょう。
ABC分析(パレート分析)とは、売上・コスト・在庫といった指標を大きい順にランク付けし、どの商品やサービスが自社にとって重要かを把握する手法です。
ABC分析の根底にあるのは、「売上の8割は全体の2割の商品で生み出している」という「パレートの法則」です。
ABC分析を行うと、売上につながる主力商品・サービスを把握できます。
そのため、在庫管理に活用することが多い手法です。
ABC分析は、受注分析以外にも応用できます。
例えば、顧客が購入・契約を決めた最も大きな要因を明らかにできます。
購入・契約の決め手には、コストパフォーマンスがよかった、セキュリティ対策がしっかりしていた、営業担当者が信頼できたなど、さまざまな要因が考えられます。
ABC分析によって、どの要因が特に重要だったか理解できれば、今後のアプローチ方法を決める際に役立つでしょう。
パイプライン分析とは、「見込み客(リード)の獲得・育成→商談→受注」という営業活動の各プロセスにKPIを設定して、達成状況を分析することです。
どの過程に強みがあり、どの部分を強化すべきかを明らかにできます。
パイプライン分析では、プロセスごとに以下のようなKPIを設定しましょう。
パイプライン分析の結果、商談化率が低いと判明すれば、受注確度の低いリード(見込み客)を多く獲得していると考えられます。
アソシエーション分析は、複数のデータ間の関連性を分析する手法です。
前提と結果を仮定した上で、データ同士の関連性とその強弱を分析します。
例えば、受注分析でアソシエーション分析を用いると、以下のようなことがわかる可能性があります。
コンビニでお酒を購入する人の多くが一緒におつまみを購入している、と導き出すのがアソシエーション分析です。
顧客の行動と受注の関連性を明らかにできれば、受注につながる案件のパターンが見えてくるでしょう。
受注分析には、SFAツールを活用するのがおすすめです。
SFA(Sales Force Automation)ツールとは、案件管理や顧客管理などの営業管理を効率化できるツールです。
主に以下のような機能があります。
営業活動におけるあらゆる情報をデータで蓄積し、管理できるのが魅力です。
営業担当者の行動や商談記録などを細かく蓄積できるため、受注分析に必要なデータの収集に役立ちます。
中には、行動データや案件データの抽出や、レポート機能で受注傾向を自動的に分析ができるものもあります。
導入すると、日々の営業活動や受注分析の効率化に効果的です。
最後に、受注分析についてよくある質問を2つ紹介します。
A. ナレッジ共有ツールを活用するのがおすすめです。
ナレッジ共有ツールとしては、社内wikiやビジネスチャット、ナレッジ共有専門ツールが挙げられます。
ツールを導入して終わりにならないよう、必要な情報をすぐに参照できる使い勝手の良いツールを選ぶことが大切です。
A. 主な失注理由として、以下の6つが挙げられます。
その他、予算や既存サービスとの兼ね合いなど、顧客の事情で失注することもあります。
顧客事情による失注はコントロールが難しいですが、顧客の反応から失注の可能性に気づけなかったかを振り返りましょう。
A. 月次や四半期など、営業活動を振り返るタイミングに合わせて定期的に行うのがおすすめです。
案件数が少ないうちに分析しても傾向は見えにくいため、ある程度データが溜まってから振り返りましょう。
受注した案件が出たつど記録を残しておくと、分析時の手間を減らせます。
受注分析について理解しておきたい要点は、以下の4つです。
受注分析で営業の勝ち筋が見つかれば、受注率を上げる方法がわかり、営業力を強化できます。
受注分析の手法には、重回帰分析やABC分析などがあります。
明らかにしたい事項に応じて、適切な手法を選ぶことが大切です。
また、受注確率を高めるためには、決裁者に直接アプローチするのが効果的です。
決裁者に商品やサービスの魅力をアピールできれば、スムーズに受注できる可能性が高まります。
決裁者とマッチングできるサービスを使えば気になる決裁者にアプローチでき、商談のアポイントにつなげられます。
「チラCEO」は、審査制で決裁者のみが登録できるマッチングサービスです。
受注確度を上げ高め、効率よく営業活動を行いたい方は、ぜひお問い合わせください。
この記事の監修者
平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。