最終更新日: 2026.10.06
SIer・システム開発企業の代表が決裁者マッチングで成果を出す方法

システム開発・SIer企業の代表が経営者交流会や決裁者マッチングで成果を出す方法を解説します。一言紹介文の作り方やターゲットの絞り込み、当日の会話術、陥りやすい落とし穴まで整理しました。

監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)

交流会に参加しても名刺交換で終わり、受注までつながらないという声は多く聞かれます。

無形のサービスを扱うSIerは、一般的な交流会のノウハウをそのまま使っても成果が出にくい分野です。

この記事の要約

  • システム開発の案件は経営者や役員が最終判断するため、決裁者と直接つながる価値が大きい分野です。
  • 準備すべきは業種・課題・成果をセットにした一言紹介文、ターゲットの絞り込み、名刺と資料の見直しです。
  • 当日は聞き役に徹し、技術説明や競合批判を避けて次のアクションを合意することが成果につながります。

経営者交流会・決裁者マッチングがSIer企業にとって重要な理由

従来の営業手法が通じにくくなっている現状

テレアポの接触率は年々低下し、メールマーケティングの開封率も頭打ちになっています。

特にシステム開発・SIer業界では、「IT企業からの営業電話」と認識された瞬間に担当者から断られるケースが多く、決裁者にたどり着く前に門前払いになることがほとんどです。

一方、経営者交流会や決裁者マッチングは、相手も「ビジネスの機会を求めている」という前提で参加しています。

ゼロから信頼を積み上げる必要がなく、対等な立場で話せる環境が整っています。

SIer企業が決裁者と直接つながることの価値

システム開発案件は、担当者レベルではなく経営者・役員が最終判断を下すケースがほとんどです。

DX推進、基幹システム刷新、クラウド移行などの大型案件ほど、この傾向が強まります。

交流会で経営者と直接関係を築くことで、担当者経由では得られない以下のメリットが生まれます。

  • 予算の全体感や優先課題をダイレクトに聞き出せる
  • 競合との比較が始まる前に「信頼できるパートナー」として認識される
  • 長期的なリプレイス需要や追加開発のパイプラインを早期に掴める

オンリーストーリーの事例▼

コンサルティング事業を手がけるある企業では、自社の提供範囲だけでは顧客の深い課題を解決しきれないことが悩みでした。

特にAI開発を担う技術やリソースが足りず、専門領域を任せられるパートナーの開拓が急務になっていました。

決裁者マッチング支援を活用したところ、新たに5社のパートナーを開拓し、顧客課題に対応できる体制が整いました。

プロダクト開発も進み、導入後8か月でROI4,900%を見込む成果につながっています。

導入事例▶ 決裁者マッチングでパートナー企業を開拓した事例はこちら

参加前に準備すべき3つの必須事項

自社のポジションを言語化する「一言紹介文」を磨く

交流会では「どんな会社ですか?」と聞かれた際に、30秒以内で明確に答えられることが最低条件です。

しかし、多くのSIer企業の代表が犯すミスが「技術の話から入ること」です。

相手の経営者が知りたいのは「あなたの会社に頼むと、自社のどんな問題が解決するのか」です。

以下のような構造で一言紹介文を作ると効果的です。

〔業種・規模〕の会社が抱える〔課題〕を、〔自社の強み〕によって〔成果〕に変えるお手伝いをしています。

例:「製造業・従業員100〜500名規模の会社が抱える、紙・Excelベースの業務管理の非効率を、自社開発のクラウドシステムで年間30%の業務削減につなげるお手伝いをしています」

業種・課題・成果がセットになっていることで、相手は「うちも同じ課題かも」と反応しやすくなります。

ターゲット業種・企業規模を絞り込む

交流会で「どんな企業でも対応できます」という姿勢で臨むのは逆効果です。

SIer企業にとって最も有効なアプローチは、あらかじめターゲットを絞った上で参加することです。

参加前に以下の観点でターゲットを明確にしておきましょう。

  • 業種:自社に事例・ノウハウが蓄積されている業種はどこか
  • 規模感:予算規模・システム投資意欲が合致する従業員規模はどこか
  • 課題フェーズ:DX黎明期なのか、既存システム刷新フェーズなのか

ターゲットが明確になれば、交流会の参加者リストを事前に確認した際に優先的にアプローチすべき相手をピックアップでき、限られた時間を最大限活用できます。

持参する名刺・資料を交流会仕様にブラッシュアップする

通常の営業用名刺や会社案内をそのまま持参するのはもったいないです。

交流会では「後で連絡したいと思わせること」が目的であるため、以下の点を見直しましょう。

名刺のチェックポイント

  • 肩書きは「代表取締役」だけでなく、専門領域を示す言葉を加える(例:「DX推進・基幹システム構築の専門家」)
  • QRコードでポートフォリオや事例集ページに誘導する導線を設ける
  • 裏面に「よくある相談事例」や「得意とする業種・規模」を簡潔に記載する

補助資料のチェックポイント

  • A4一枚の「ソリューション概要シート」を業種別に複数パターン用意する
  • 数字で成果を示す(「〇〇業界の△社で工数を40%削減」など)
  • 難しい技術用語は一切使わない

交流会当日に実践すべき会話術と立ち回り

最初の10分で「話しかけやすい存在」を作る

大規模な経営者交流会では、いきなり核心のビジネス話から入ることは禁物です。

冒頭10分は関係構築のための「ウォームアップタイム」と捉えましょう。

効果的なアイスブレイクのテーマは以下の通りです。

  • 参加のきっかけや、どのエリア・業界の人が多いかについての話題
  • 最近の業界トレンドに対する軽い意見交換(DXの波、人手不足など)
  • 相手のビジネスや最近の取り組みへの純粋な質問

この段階でSIerとしての売り込みは一切不要です。

「話していて心地よい人」という印象を残すことが、次のステップへの最大の布石になります。

「聞き役」に徹して課題を引き出す質問設計

SIer企業の代表が交流会で犯しがちな最大の失敗は「自社のサービスを説明しすぎること」です。

相手の経営者が本当に求めているのは、「自分の話を聞いてもらうこと」であり、「自社の課題に共感してもらうこと」です。

課題を自然に引き出す質問の例を以下に挙げます。

  • 「最近、社内で一番頭を悩ませていることって何ですか?」
  • 「ITやシステム面で、以前から気になっているけど後回しにしていることはありますか?」
  • 「御社の規模感だと、人の採用や業務効率化のどちらが今の優先課題ですか?」

重要なのは、相手が話し始めたら「徹底的に聞く」ことです。

途中でソリューションを提示したくなる衝動を抑え、「それは具体的にどんな影響が出ていますか?」とさらに深堀りする姿勢が信頼を生みます。

「次のアクション」を必ず約束してから別れる

名刺交換だけで終わってしまうと、交流会の価値は半減します。

会話の最後に必ず「次のアクション」を合意することが成果につながる最大のポイントです。

ハードルの低い次のアクションの例を以下に示します。

  • 「一度、御社の現状をもう少し詳しく聞かせてもらえますか?30分でもZoomでお話できれば嬉しいです」
  • 「先ほどおっしゃっていた課題に近い事例資料があるので、後でメールでお送りしてもいいですか?」
  • 「来月また別の交流会があれば、ぜひご一緒しましょう」

その場でのクロージングではなく、「もう一度会う理由」を作ることが重要です。


SIer企業が陥りやすい落とし穴と注意点

技術的な説明に偏りすぎてしまう

システム開発・SIer企業の代表が最も多くやってしまうミスが、技術的な詳細を交流会の場で説明してしまうことです。

「AWSを使ったマイクロサービスアーキテクチャで…」「APIを介したシステム連携が…」という説明は、相手の経営者にはほとんど伝わりません。

交流会の場では、技術は「手段」として一言触れるだけにとどめ、「何が解決するか」「どんな未来が手に入るか」というベネフィットのみを語るよう意識してください。

競合他社の批判・比較は厳禁

「A社のシステムよりも当社の方が〇〇の点で優れています」という発言は、たとえ事実であっても交流会では絶対に避けるべきです。

経営者コミュニティは意外と狭く、その発言が回り回って悪評につながるリスクがあります。

自社の強みは、競合との比較ではなく「自社の事例・実績」で語りましょう。

フォローアップを後回しにしない

交流会から帰宅した後、翌営業日までにフォローアップの連絡をしない企業は意外と多いです。

人の記憶は数日で薄れるため、遅くとも翌営業日中にはお礼メールを送ることが鉄則です。

お礼メールに盛り込むべき内容は以下の通りです。

  • 当日話した内容への共感・感想(会話の記憶を呼び起こす)
  • 約束した資料や情報の送付
  • 次のアクション(商談・Zoom面談など)への明確な誘導

テンプレートではなく、その人との会話の内容を踏まえたパーソナライズされた文面であることが、返信率を大きく左右します。

「すぐに売ろうとする」姿勢が信頼を損なう

決裁者マッチングで特に注意すべき点が、初回面談でのクロージング志向です。

相手の経営者は「まだ具体的な検討フェーズではない」という段階であることも多く、そこで強引に提案を進めると関係が壊れます。

特にシステム開発・SIer案件は検討から受注まで3〜12ヶ月かかることも珍しくありません。

長期的なリレーション構築を前提に、「今すぐ売る」よりも「信頼される存在になる」ことを最優先の目標として設定しましょう。


交流会・マッチングの種類別の活用戦略

大規模な経営者交流会での戦略

参加者が50名以上の大規模交流会では、全員と名刺交換を目指すのは非効率です。

事前の参加者リストや当日の観察から「優先ターゲット」を3〜5名に絞り、その方々との会話に時間を集中投資しましょう。

また、大規模交流会には「プレゼンタイム」が設けられているケースがあります。

自社紹介の機会がある場合は、スライドよりも「課題提起型のトーク」を選択すると、聴衆の反応が格段に変わります。

代表・平野のnote▼

オンリーストーリー代表の平野は、決裁者・経営者・投資家・起業家だけを招待した審査制の交流会を開催し、55社60名が参加しました。

参加者のうち代表・役員クラスが約78%を占め、スタートアップから大企業まで規模を越えた交流が生まれています。

アンケートでは、回答者の60%が「顧客候補となる決裁者との商談を増やしたい」と答えていました。

参加者を決裁者に絞った場だからこそ、意思決定につながる出会いへの期待が高まるといえます。

代表・平野のnote▶ 決裁者だけの交流会を開催した舞台裏を代表が語ったnoteはこちら

少人数制の決裁者マッチングでの戦略

5〜15名規模の少人数マッチングでは、参加者全員とじっくり話せる環境が整っています。

この形式では「ビジネスの深さ」を見せることが重要で、課題解決の事例を具体的に語れる準備が不可欠です。

また、少人数のため「その場での印象」がよりダイレクトに評価に直結します。

話し方・聞き方・言葉遣いなど、コミュニケーションの質を意識してください。

オンラインマッチングプラットフォームの活用

ビジネスマッチングアプリやオンラインプラットフォームを活用する場合、プロフィールの作り込みが勝負を決めます。

プロフィールには以下を必ず盛り込みましょう。

  • 解決できる課題・業種・規模感の明示
  • 数値で語れる実績(事例数・削減率・開発実績など)
  • 代表者の顔写真と人柄が伝わるプロフィール文

オンラインでは対面より信頼形成に時間がかかるため、まずはカジュアルな情報交換を目的とした初回面談を提案し、ハードルを下げる設計にすることが重要です。


成果を最大化するPDCAサイクルの回し方

参加後に振り返るべき5つの指標

交流会・マッチングへの参加は「投資」です。

参加ごとに以下の指標を記録・振り返ることで、次回以降の精度が上がります。

  1. 接触人数:何人と会話できたか
  2. ターゲット接触率:そのうち狙ったターゲット層は何人いたか
  3. ネクストアクション合意率:次の約束を取り付けられた割合
  4. 商談化率:参加から商談に進んだ割合
  5. 受注までのリードタイム:交流会接触から受注まで何ヶ月かかったか

継続参加による「コミュニティ内ブランディング」を狙う

同じ交流会・コミュニティに継続して参加することで、「〇〇のことならあの会社に聞けばいい」という口コミが自然に生まれます。

一度きりの参加で成果を求めるのではなく、3〜6ヶ月単位で同一コミュニティへの継続参加を戦略として組み込みましょう。

コミュニティでの信頼が蓄積されると、参加者からの紹介案件という最も受注確度の高いリードが生まれるようになります。


まとめ:SIer企業代表が交流会で成果を出す本質

経営者交流会・決裁者マッチングは、「売る場」ではなく「信頼を作る場」です。

特にシステム開発・SIer企業の代表にとって、技術的な正確さよりも「相手の課題に共感し、解決の糸口を見せる姿勢」が成果を左右します。

本記事で解説したポイントを改めて整理します。

  • 参加前に「一言紹介文」とターゲットを明確にしておく
  • 当日は聞き役に徹し、「次のアクション」を必ず合意する
  • 技術説明・競合批判・即クロージングは厳禁
  • 参加後は翌営業日中にパーソナライズしたフォローを行う
  • 継続参加でコミュニティ内ブランドを築く

一度の交流会で受注を狙うのではなく、3〜6ヶ月のスパンで関係を積み上げていく姿勢が、システム開発・SIer企業が交流会から安定的に案件を獲得するための王道です。

まずは今月参加する交流会に向けて、本記事を参考に準備を整えてみてください。


よくある質問

Q. 交流会でSIerが自己紹介する際のコツはありますか?

A. 技術の話から入らないことです。

相手の経営者が知りたいのは、依頼すると自社のどんな問題が解決するのかという点です。

業種や規模、抱える課題、自社の強み、得られる成果をセットにした構造で、30秒以内に伝えられるよう準備しておきましょう。

Q. 当日はどのように会話を進めればよいですか?

A. 冒頭の10分は関係構築のためのウォームアップと捉え、売り込みは控えましょう。

その後は聞き役に徹し、社内で頭を悩ませていることやITで後回しにしていることを尋ねて課題を引き出します。

途中でソリューションを提示せず、さらに深掘りする姿勢が信頼を生みます。

Q. SIerが交流会でやってはいけないことは何ですか?

A. 技術的な詳細を説明しすぎること、競合他社を批判したり比較したりすること、フォローアップを後回しにすること、そして初回面談で強引にクロージングしようとすることです。

経営者コミュニティは狭く、批判的な発言は悪評につながるリスクがあります。

Q. 成果はどのくらいの期間で出ますか?

A. システム開発やSIerの案件は、検討から受注まで3か月から12か月かかることも珍しくありません。

一度の交流会で受注を狙うのではなく、同じコミュニティへ3か月から6か月単位で継続参加し、関係を積み上げる姿勢が有効です。

この記事の監修者

平野哲也

平野 哲也(ひらの てつや)

株式会社オンリーストーリー 代表取締役

BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。

累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。

「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

メッセージアイコン 今ならオンリーストーリー代表 平野が直接商談
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オンリーストーリーでは、これまで10年以上にわたり、
BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
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