トークスクリプトの基本的な流れと役割
BtoB営業における営業トークの基本的な流れは、次の4つのパートに分けられます。
- 挨拶・自己紹介
- 導入(フロントトーク)
- 本題(メイントーク)
- クロージング
トークスクリプトを作成する際には、各パートごとの役割を理解しておくことが重要です。
この項目では、各パートにおけるポイントを解説します。
1.挨拶・自己紹介
営業トークは、まず挨拶から始めましょう。自己紹介では、自社がどんな商品やサービスを提供しているのかイメージが湧くように伝えるのが好ましいです。商材の知名度が高ければ、商材名を伝えてもよいでしょう。
【挨拶の例】
- 〇〇会社の△△と申します。弊社では、お客さまの新規開拓のお手伝いをしております。
- 〇〇を運営しております、〇〇会社の△△です。
挨拶で商材について触れることにより、自社について理解してもらいやすくなります。「〇〇会社の△△です」だけではどのような会社かが伝わらず、不信感につながる可能性があるので注意しましょう。
また、挨拶の時点で第一印象が決まります。そのため、トークスクリプトを用意するだけではなく、声のトーンにも気をつけましょう。柔らかい印象を与えるよう心がけることが大切です。
2.導入
導入部分はフロントトークとも呼ばれ、本題に入る前の重要なパートです。具体的な数字を用いて実績を説明するなど、興味を持ってもらうことを意識しましょう。また、簡単な質問をして相手を会話に引き込むのもよいでしょう。
【導入トークの例】
- 3ヶ月で売上が◯倍になった方法をご案内しています。
- 弊社では、商品やサービスの品質を保ったままコストを削減した実績が数多くあります。コスト面でお困りのことはございませんか?
「〇〇についてご案内したいのですが」といったありふれた導入トークでは相手の関心を得られず、本題に入る前に断られる可能性があります。導入の段階で、相手に話を聞くメリットを感じさせるようなトークスクリプトを用意しておきましょう。
3.本題
本題のメイントークでは、自社の商品やサービスの魅力を伝えます。ただし、商材の押し売りにならないように気をつけなければなりません。本題では、顧客にとっての商材の導入メリットを伝えることを意識します。
顧客の反応を確認しながら、顧客の課題や悩みに沿った内容で進めていくとよいでしょう。
【本題トークの例】
- 今回ご案内したいのは、〇〇プランです。御社へのメリットは月々のランニングコストが最大◯%抑えられる可能性があることです。
- 弊社のサービスを導入いただくと〇〇業務を自動化できるため、業務負担を軽減できます。残業時間の削減という御社の課題解決のサポートになるかと存じます。
4.クロージング
営業トークのクロージングは、商談のアポイントを打診し会話を締めくくるパートです。アポイントの獲得の際は、シンプルに日程調整を行いましょう。日程はいくつか選択肢を用意し提案すると、相手が悩むことがなく、アポイント日が決まりやすいでしょう。
【クロージングトークの例】
- 来週の◯曜日か◯曜日はいかがですか?
- 午前と午後でしたらどちらがご都合よろしいですか?
「いつがよろしいですか」と漠然と相手に委ねるのではなく、相手が「はい」「いいえ」で答えられるように質問するとスムーズです。
今回はアポイント獲得のクロージングを想定して説明していますが、商談のクロージングの場合でも「AプランとBプランとではどちらが御社の希望に合いますか?」と、選択肢を絞った問いかけをおすすめします。
クロージングで断られた際は、潔く引き下がるのが好ましいです。顧客を引き留めるために長々と話してしまうと印象が悪くなりかねないため、商品やサービスについて繰り返し伝えることは控えましょう。相手にとって今は自社サービスが不要だったとしても、いつか必要となった際に思い出してもらえるよう、親切で丁寧な印象を残して会話を終えましょう。
トークスクリプトの例文3パターン
ここではアポイント獲得をゴールとしたトークスクリプトの例文を、状況別に3つ紹介します。複数のパターンを想定しトークスクリプトを準備しておくことにより、営業する相手がどのような反応を示してきても対応できるでしょう。
例文1:基本の会話でアポを獲得する
導入において、相手がNoと答えづらい質問をすることにより、本題につなげられます。
【挨拶・自己紹介】
お世話になっております。営業支援サービスを提供している株式会社◯◯の△△と申します。弊社のサービスにより、御社の新規開拓のサポートができると思いご連絡いたしました。
【導入】
実際に企業様の新規開拓をお手伝いし、売上が◯%アップした実績があります。売上アップやコスト削減についてご興味はございますか?
【本題】
(相手の返答を受けて)
コスト削減について悩まれているということですね。弊社では、企業様にあった新規開拓の方法を複数ご提案し、導入・実施までサポートしております。戦略の立案からリスト作成、商談の実施まで一気通貫でのサポートにより、売上アップと共に、コスト削減を目指すことも可能です。よろしければ具体的に説明させていただきたいのですが、打合せのお時間をいただけますでしょうか?
【クロージング】
(相手の返答を受けて)
ありがとうございます。時間は1時間ほどを予定しております。今週でしたら、木曜日と金曜日にお伺いできますが、どちらがよろしいですか?
(相手の返答を受けて)
では◯月◯日の10時にお伺いいたします。
例文2:断られる可能性を潰しアポを獲得する
挨拶・自己紹介トークで、断られる理由を潰しておくこともできます。導入トークを受けて相手がNoと答えた場合でも、メリットを伝えることによりアポイントにつなげられる可能性があります。
【挨拶・自己紹介】
お世話になっております。人材派遣サービスを行っている株式会社◯◯の△△と申します。既に多くの企業様とお取引されているかとは存じますが、弊社も選択肢に加えていただきたいと思いご連絡を差し上げました。
【導入】
弊社のサービスは、御社と同じ〇〇業界の△△(会社名)様などにもご利用いただいており、◯社以上の企業様とお付き合いがございます。御社では現在、中途採用は行っていらっしゃいますか?
【本題】
(相手の返答を受けて)
中途採用は行っているものの、人材派遣の利用は検討されていないとのことですね。弊社では、正社員雇用を前提とした紹介予定派遣も行っております。ご利用いただくことにより、人選やマッチング、面接などの手続きにおける御社の手間を省くことができます。
また、雇用後のミスマッチを防げます。よろしければ、一度ご挨拶をかねてお伺いさせていただきたいのですが、打合せのお時間をいただけないでしょうか?
【クロージング】
(相手の返答を受けて)
ありがとうございます。時間は1時間ほどを予定しております。来週の月曜日と火曜日であれば、どちらがご都合よろしいでしょうか?
(相手の返答を受けて)
では◯月◯日の10時にお伺いいたします。後ほど確認のメールをお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、失礼いたします。
例文3:導入トークで断られてもアポを獲得する
導入トークに入る前に断られる場合は「他社さまとご契約されているからでしょうか」「コストを気にされているからでしょうか」など、質問で返すとよいでしょう。これにより顧客の状況を把握し、比較検討へと進められる可能性があります。
【挨拶・自己紹介】
お世話になっております。Webサイトにおける集客のお手伝いを行なっている株式会社◯◯の△△と申します。御社のサイトを拝見し、弊社がお手伝いすることにより、集客率が高まる可能性があると思いご連絡させていただきました。
【導入】
(相手が断ってきた場合)
他社さまとご契約されているからでしょうか?
(相手から「はい」と返答があった場合)
それでしたら、現在ご利用のサービスで何かお困りのことはございませんか?
(相手の課題を引き出す)
弊社のサービスは、特に〇〇という特徴があり、集客率アップはもちろんコストを◯%削減した実績があります。御社の課題も解決できる可能性が高いでしょう。
【本題】
現在、他社さまとご契約されているとのことですので、無理におすすめはいたしません。ご契約の必要はございませんので、今後の判断材料にしていただくために改めて弊社サービスをご紹介するお時間をいただけないでしょうか?
【クロージング】
(相手の返答を受けて)
ありがとうございます。時間は1時間ほどを予定しております。来週の月曜日と火曜日であれば、どちらがご都合よろしいでしょうか?
(相手の返答を受けて)
では◯月◯日の10時にお伺いいたします。後ほど改めて確認のメールをお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。それでは、失礼いたします。
トークスクリプトの作成手順
この項目では、トークスクリプトを作成する際の3つの手順をお伝えします。
ペルソナを設定する
トークスクリプト作成の前に、まずペルソナを設定しましょう。ペルソナを設定することにより、トーク相手の悩みや課題が見えやすくなり、具体的なトークスクリプトになりやすいです。
ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用すると想定される具体的なユーザー像です。ペルソナの設定とはつまり、誰に向けて営業するのかをリアルに想定することです。BtoB営業におけるペルソナは、以下のような項目を設定するとよいでしょう。
- 年齢
- 所属部署
- 社歴
- 部署におけるポジション
- 苦手な業務
- 業務上の悩み
- 業務上の目標や希望
- 情報収集方法
フローチャート形式で作成する
トークスクリプトは、流れを示すフローチャート形式で作成することをおすすめします。
フローチャートでトークスクリプトを作成すると、顧客の返答内容に応じて回答を枝分かれさせられます。そのため、顧客のリアクションに応じた適切な切り返しをパターン別で用意できます。クレームがきた場合も想定してフローチャートに組み込むと、実際にクレームを言われた場面でも焦らず落ち着いて対応できるでしょう。
また、会話の流れを図で示すことによって複数のトークパターンを視覚的に把握でき、詳細のセリフだけでなくゴールまでの全体像を認識しながらトークを進められます。
セリフで作成する
トークスクリプトは「〇〇ですよね」など、語尾も含めて作成しましょう。箇条書きなど内容の大まかなメモではなく、セリフにして作成することにより自然に会話できます。また、トーク中の雰囲気やニュアンスも社内で統一されるため、担当者ごとのトークレベルの乖離が少なくなることが期待できます。
声量や会話のテンポでも印象が変わるため、パートごとに声のトーンや大きさなど、話し方についての注意書きもしておくことをおすすめします。
トークスクリプトの作成を成功させるポイント
トークスクリプトは作って終わりではありません。トークスクリプトを利用し、アポイント獲得や営業活動のゴールとなる売上のアップにつなげる必要があります。ここでは、トークスクリプトで営業を成功させるために必要なポイントを2つ、紹介します。
改善を繰り返す
営業活動を成功に導くには、トークスクリプトを改善し続けることが大切です。
ロールプレイングを行ったり、実践の録音データを聞いたりすることにより、トークスクリプトの課題が見つかるはずです。課題に合わせスクリプトを改善していくことにより、アポ獲得率や成約率を上げていけるでしょう。また、複数パターンのトークスクリプトを用意し、どれが効果的か検証することもおすすめです。
営業トークをする度に気づいた点や改善点を洗い出しておき、定期的にトークスクリプトの改善を繰り返してブラッシュアップしていきましょう。
社外サービスの利用も検討する
トークスクリプトを作成する社内のリソースが足りない、または作成したものの成果につながっていないといった場合は、社外サービスの利用を検討するという選択肢もあります。
例えば、決裁者同士をマッチングする経営・営業支援のプラットフォーム「チラCEO」の利用がおすすめです。最初から決裁者へアプローチできれば、営業トークで受付を突破するプロセスを省けるでしょう。空いたリソースでトークスクリプトの作成に力を入れることができ、また決裁者に対し営業ができるため、成約につながる確率も高まります。
また、決裁者同士の交流をすることにより、業界の動向や経営方法に関する情報を得ることができ、自社の課題解決も期待できます。営業活動を効率的にしながら成果を上げていきたい場合、ぜひ利用を検討してみてください。
トークスクリプトは改善を繰り返して精度を高めよう
トークスクリプトの内容は営業活動の成果を大きく左右します。トークスクリプトの内容を改善して精度をあげることは、アポイント獲得率や成約率のアップにつながります。しかし、トークスクリプトの作成にリソースが割けない場合や、作成したものの改善がすすまない場合もあるでしょう。そのような場合は社外サービスの利用を検討することをおすすめします。
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