株式会社陽幸社
大西英資
POSTED | 2015.10.05 Mon |
---|
TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:60代 商材:BtoB |
---|
紙メディアの魅力を伝えていくために
製版からマーケティングまで、印刷のすべてを担う企業Topics
株式会社陽幸社 社長 大西 英資氏のONLY STORY
プラス思考で印刷業を見つめる
株式会社陽幸社の事業内容は、主に四つの工程に分かれている。製版、印刷、デザイン、販売促進だ。もともとは製版だけを扱っている会社であったが、時代の移り変わりに合わせて事業内容を拡大していった。
同業他社はデザインやマーケティングに力を入れている会社や、設備に注力して生産性を向上させている会社などさまざまだ。大西英資社長は、現在持っている技術をどうやって広げていけばよいのかを常に考えている。
「情報をミックスさせることが大切です。製版、印刷、デザイン、販売促進という四つの柱をうまく融合させることで、新しいものにつながっていくと考えています」
印刷物は他社と比較をしても差が出づらい。そのため大西社長は、常に自分たちにしかできない仕事を探し続けている。
大西社長のモットーは、常にプラス思考であること。
「楽観的で、読みが甘いのかもしれません。しかし悲観的なことばかりを言う経営者の会社が潰れたり、廃業したりするのをたくさん見てきました。だからプラス思考は大事だと思っています。」
会社が軌道に乗る音が聞こえた
大西社長はある夜、電車が動き出す音を聞いた。
「夜眠るとき、不安だな、これからどうしようかな、と考えていたんです。すると、電車がレールに乗り、ガシャンと動き出す音がしました。電車はそのまま走り出していき、私は『この会社は大丈夫だ』と確信しました」
電車となって走りだした株式会社陽幸社は、今年で設立45周年を迎えた。事業を継続していく秘訣を、大西社長はこう語る。
「基本的に、事業の99パーセントは淡々と継続していきます。しかし、1パーセント程度の変化も大切です。1パーセントのチャレンジが、後々大きな変化となります。」
困難を作らないということも、事業を継続させていくうえで重要なことだ。
「いろいろなことを想定して手を打っておき、危険な状態にならないよう常に気を付けています。」
もちろん、注意していても不意に荒波が訪れることがある。そのときは起こった事態に対してきちんと対処をする。人材についても、大西社長独自の考え方がある。まずは自分自身がよい人材になることが大切だそうだ。
「いい人材を探している間は、そんな人材はやって来ません。人材は来るものではなく、育てるものです。いい人材が居ないのではなく、自分の育て方が悪いのです。」
大西社長が目指しているのは、社員がイキイキワクワクと働ける会社。仕事をしていく上でのビジネスブックを作り、会社がどういう姿を目指しているのか社員全員で共有する。そうすることで、全員が一丸となって働いていける。
紙メディアはエネルギーを使わず保存できる
大西社長が次に考えているのは、名刺を管理するサービスの提供だ。
「名刺のデータベースを作り、ダイレクトメールやEメールを一斉送信できるようなサービスを提供できればいいと思っています」
また、紙の魅力についても大西社長はこう語る。
「インターネットからの問い合わせでも『カタログありませんか?』『資料をください』という声は止むことがありません。紙を保存するときには電気も不要ですし、保存性も抜群です。インターネットと紙媒体を併用していくことで、紙の価値は高まるのではないかと感じています。」
昨今では、どの会社もホームページを持っているのが当たり前になってきた。大西社長は試行錯誤を繰り返し、紙のよさを存分に伝えていけるよう邁進している。
以前、アナログからデジタルへ移行する波が訪れた。そのとき大西社長は周囲の反対を押し切り、デジタルの導入を積極的に行った。これからは新しい技術を取り入れていく必要があると感じたからだ。
今後も新卒の採用に力を入れ、新しい風を取り入れていきたいと大西社長は考えている。
最後に、若者へメッセージをいただいた。
「若い人には、お金では買えない経験をしてほしいと思っています。その経験はいずれあなたの思想となっていくでしょうし、あなたの子どもにも受け継がれていくでしょう。友人を作ったり、旅行をしたり、さまざまな人と出会ったりして、いろいろな経験をしていってください。」
編集後記
大西社長の言葉の中で特に印象的だったのは、『会社が軌道に乗る音が聞こえた』という部分でした。経営者ならではの感覚だと思いますが、私たちにはまだわからない領域の言葉がたくさん出てきて学び深かったです。
世の中がデジタルの方向へ進む中で、こうして長年続いてきている”紙”を扱う会社の存在意義というのはますます増えてくると感じます。
今後、どのように時代に即しながら歴史を守っていくのかが楽しみです。