株式会社ラックバッググループ

斉田 教継

大好きな飲食業を、大好きな仕事を辞めずに済むなら…

労働改革と複数業態経営を通して、一生働ける企業へ
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 深夜のワンオペ業務や長時間労働など、何かとブラックな印象を持たれがちな飲食業界。「飲食業は好きだけど、長くは働けない」と感じて止むを得ず転職する人も多いと聞きます。

そのような中、労働時間の削減、序列関係なく評価を図る360度評価の導入、複数業態の経営などを通して、“一生働き続けられる飲食企業”を目指している企業があります。


「飲食業が好きで、高いモチベーションを持って働いている人たちが報われないのは絶対におかしい」

今回は、飲食業界の労働改革へ並々ならぬ思いを持つ株式会社ラックバッググループ 代表取締役 斉田 教継氏に伺います。

なぜ、飲食業界は“長く働けない業界”と思われているのか。そして、本来あるべき飲食業界とはどのようなものなのか。

株式会社ラックバッググループ 代表取締役 斉田 教継氏

経歴

1996年から東南アジアやインドを舞台に製袋機、パッケージングの加工機械の営業・販売に携わる。その後、ドイツのパッケージング機械の専門商社で営業を担当し、海外企業の日本市場開拓にも携わった。また展示会やセミナーなどで講師を務め、最新の印刷技術や将来への業界の展望などを講演するようになる。2003年からプルデンシャル生命保険株式会社にて、ライフプランナーとして個人向け、法人向けの生命保険、中小企業向けの退職金のコンサルティングセールスを行う。
2007年3月 現会長河本賢二氏と当社を共同創業。

長く働けない原因は、“業界構造”と“教育制度”にあり


––“飲食業界は長く働けない”というイメージがありますが、その原因はどこにあるのか。株式会社ラックバッググループで様々な形の飲食店を経営する斉田社長のお考えを伺ってもよろしいですか?

斉田氏:まず、業界の構造的な問題が挙げられますね。

例えば、日本は人口に対しての飲食店の数が非常に多いのをご存知でしょうか。

世界の主要都市ごとの人口1000人あたりのレストラン数を示した統計データ[※]1によると、お隣の韓国・ソウルは1.37軒、アメリカ・ロサンゼルスは2.37軒、イタリア・ミラノは5.04軒。それに比べて、東京は6.22軒です。

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[※]1…出典「 Fukuoka Facts」

––他国と比べると、非常に多いですね。

斉田氏:海外では厳格なライセンスビジネス制を敷いたり通りごとにアルコールを提供できる店舗数を制限していたりするため、参入障壁が高い。そうすることで、過当競争を避ける狙いもあるようです。一方、日本では飲食店の営業許可を取得する際に必要なものが食品衛生管理責任者の資格しかありません[※]2。この参入障壁が低さによって、日本では日々多くの店舗が生まれています。

そのような環境だと必然的に競争が激しくなり、各店舗の責任者の経営手腕が試される状況になります。

––つまり…料理が美味しいだけでは生き残ってはいけない、ということでしょうか。

斉田氏:そうですね。飲食店の経営が初めてという経営者から見れば、非常に厳しい世界でしょう。開店時には、すでに相当数の競争相手が目の前にいるのですから。

この厳しい状況は帝国データバンクが公開した『外食関連業者の倒産動向調査(2017 年度上半期) 』にも表れており、 2017 年度上半期(4 月~9 月)の倒産件数は前年同期比 37.9%増の 360 件。これは、2000年度で見ると最多の数だと言われています。もちろん、着実に業績を伸ばし、ブランドとして企業価値を確立し、競争の渦から頭一つ抜け出した大手飲食企業もいますが、その数は一握り。

中小企業庁が発表している『平成28年度(2016年度)の中小企業の動向』からも、その業界の厳しさは見て取れます。

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––一見すると料理の味や接客の質に目が行きがちですが、競争環境の中で生き残るための戦略や経営方法が飲食店の存続を左右するもっとも大きなファクターの1つになってきますね。

斉田氏:こんな興味深いデータもあります。公益財団法人日本生産性本部が発表した『産業別労働生産性水準(2015年)の国際比較』によれば、5カ国(日・米・独・英・仏)の中で日本の労働生産性は全体的に低い傾向にあり、中でも日本の宿泊・飲食業の労働生産性水準は5カ国の中で最も低い。この中でもっとも生産性が高いとされる米国と比較すると、その半分以下。

この結果からは、長年の経営によって確かなノウハウや効率的なオペレーションを整えてきたお店とまだまだこれからというお店が混在する状況…もっと言うと、前者よりも後者のような発展途上の飲食店が多い状況であることが読み取れますね。

そのようなことを背景として、実は日本の飲食店は「世界一生産効率が悪い」ともいわれているのです。

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––働き方改革の渦中で生産性の向上が叫ばれる中、飲食業界もまた例外ではないということですね。

斉田社長ご自身も株式会社ラックバッググループの経営者として日々試行錯誤をしながら経営に向き合っておられると思いますが、飲食業界全体や他の飲食店をご覧になって、違和感や課題感を覚える場面はありますか?

斉田氏:例えば、“お客様第一主義”という素晴らしい心のもと、請け度外視の商売をされる経営者がよくいますよね。(誤解を恐れずに申し上げますが…)消費者からすると非常に嬉しいことかもしれませんが、私にはその裏で過酷な労働環境や改善されない給与体系などに苦しんでいる労働者の姿が見えます。

様々なお考えの方がいるかとは思いますが、しっかりと1つの店舗で利益を出し、店舗数を増やすことで統括管理者の役職・仕事を創り出し、複数店舗経営の中で回収していく利益を社員へ還元していく。そのような姿こそ飲食店経営者のあるべき姿ではないのか、と私は思いますね。
 
––つまりは、飲食業界=長く働けない業界というイメージが作られた背景には、しっかりと利益をあげ、労働環境を整備していくということができる経営者が少ないという業界事情があったということでしょうか。

斉田氏:それが背景・要因の1つであると、私は考えています。

それに加えて、教える側に教育に関する知識がないことも大きな問題です。飲食業界で働いている、あるいは過去働いたことがある方々の中には、手足が出るような指導を受けたことがある方も少なくないのではないでしょうか。この時、客観的に見ればついその指導者を責めたくなりますが、本質はそこではありません。

その指導者もまたそのような指導を受けてきたのだろうと考えると、目を向けるべきはその指導者ではなく、これまでの業界の教育方法やその環境であると思います。

––今の日本の飲食業界は、これまでの形を見直し、健全な労働環境や教育制度を整えていかなければならない転換期にあると感じますね。

斉田氏:そうですね。しっかりとした教育を受けることができなければ、従業員は良いパフォーマンスを発揮し続けることはできないし、昇級してより良い暮らしを手にすることもできない。そのような従業員は周りの人を育て、導くこともできません。そのような人が集まった環境では企業も利益を継続的に生み出す経営状況を作り出すことは難しく、労働環境を整えるための余裕やリソースを得ることができない。

私たちには、そんな負の連鎖や業界イメージをどこかで断ち切らないといけないという強い想い、いわば使命感があるのです。
 

[※2]…店舗または建物全体の収容人員が30人以上の場合、「防火管理者」資格も必要。

▼参照
外食関連業者の倒産動向調査(2017 年度上半期)

産業別労働生産性水準(2015年)の国際比較

平成28年度(2016年度)の中小企業の動向

飲食が好き!モチベーション高く働く人々が報われる世界へ

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––事前に頂いたアンケートで、“飲食業界で一生食べていけるトッププロを育てることが使命”とお答えいただいていたのがとても印象的でした。

斉田氏:先ほどまで日本の飲食業界のネガティブな部分に言及してきましたが、もちろん日本の飲食業界の良いところもあります。それは、飲食業界で働く人たちのモチベーションが高いこと。

「美味しかったよ!」「ありがとう!」

そういったお客様の反応がダイレクトにもらえるこの業界・仕事が、みんな大好きなのです。私は、そのようにしてモチベーション高く仕事に臨んでいる人たちが報われないという現状を変えていきたいと思っています。

“大好きな仕事を一生の仕事にして、なおかつ人生の成功者になってもらいたい”というのが、私たちの目指すところであり、使命です。
 
––飲食業界で一生食べていけるトッププロを育てていくために、具体的にはどのような点に注力なさっていますか?

斉田氏:当社では、まず“人の教育”を非常に重視していて、具体的には下記のようなことをしっかり学んでもらいたいと思っています。

・基本的なビジネススキル
・人を育てるスキル
・チームビルディングスキル
・数値管理スキル
・マーケティングスキル   など

––飲食業界に関わるところだけではなく、基礎的なビジネススキルも合わせて身につけていくのですか。

斉田氏:はい。

ここでインプットした知識も踏まえた上で、お客様と最前線で接している一人ひとりの従業員にベストな判断をしてもらいたいと考え、もともとあまりマニュアルを用意してはいません。
 
––一人ひとり、個の基礎力を養うことで、マニュアルで導かなくても正しい判断に沿って行動ができるということですね。

斉田氏:そうですね。加えて、こうした環境づくりは、経営視点でもメリットがあります。

と言いますのも、今は世の中の変化が激しいし、場所やマーケットによっても求められるものが変わりますよね。そのような中では、お客様と毎日接している現場スタッフこそがニーズや市場の流れの最前線にいるのです。そのため、私たちからは理念や目標、目的の部分を共有して、あとは現場が考えられる余白を設けています。

例えば、マニュアル化されている印象が強い入店時の挨拶一つとっても、スタッフがそれぞれ、その時、その方にベストだと思う挨拶をしていいはずなのです。
 
––現場スタッフは、日々非常にやりがいを感じられそうですね。しかしながら、現場の自由度が高くなると、経営者としてはどのような行動をどれだけ評価すべきか、判断が難しくなりませんか?

斉田氏:ここで大切なのは、理念と評価が1本の軸になって連動していて“納得感”があるということ。そして、会社の目指したい方向と従業員が目指したい方向が一致していること。

当社では、理念を行動指針まで落とし込み、明確な評価項目にわけた「ステップアップシート」や「360度評価」などの結果を昇進や給与に結びつけ、納得感を持ってもらえるような評価制度の構築を続けています。

––ここまでお話を伺うと、先ほどは「飲食業界で一生食べていけるトッププロを育てていく」という言葉にも現れていましたが、やはり斉田社長は従業員が働く環境へのこだわりが非常に強い印象を受けます。

斉田氏:そうですね。人を育てるための環境づくりは何よりも大切である、と私は考えています。

働く環境が整っていると、従業員は迷いなく目の前のお客様のことを考えることができ、やりがいを持って頑張れる。そうした中では、短期的な利益よりも長期的ビジョンに基づく運営と品質の向上を追求し続けることができる。その結果、必ずお客様は評価下さり、来店が増え、売り上げが伸びる。

当社ではこうした好循環を大切にしており、こうした中で高い利益率を確保できるよう意識しています。

高い利益が確保できるからこそ社員が永続的に成長でき、報酬や福利厚生といった労働環境にフィードバックできるようになる。社員の私生活が向上すれば、仕事のレベルの向上にもつながる。結果的に、それが店舗や会社の上昇スパイラルにつながっていくのです。
 
––確かにそうした労働環境づくりがきちんとできている企業が、飲食業界では頭一つ抜けていっているように見えます。

斉田氏:こうして話している私もまた様々な企業の経営から学ぶことが多いのですが、長く繁栄している企業に共通しているのは、企業の目標、目的、理念が明確で、それを働いている人たちと共に作り上げていることでしょう。もう少し言うと、企業の理念と目標が働く人の目標や将来の夢と一致しているのです。

だから、みんな頑張れる。トップへの偶像崇拝という誤ったリーダーシップではなく、皆で築き上げた理念を中心に、様々な役職や世代の従業員が豊かな未来を思い描くことができる。そうなれば、従業員はその会社にいる価値があると考え、転職を考える必要がありませんよね。私たちにとって、このような形こそが目指すべき理想の姿です。

––組織構築や教育制度の面での取り組みについてお伺いしてきましたが、実際にその取り組みによってどのような効果が表れていますか?

斉田氏:まだまだ発展途上ではありますが、従業員の待遇面で言うと労働時間の削減を図り、休日を増やしていくということを実現してきました。
 
具体的には、月の残業時間は2012年5月〜2018年2月までの約6年で半分近くにまで減少。月の出勤日数も、2012年4月から2018年1月までの約6年で月2日減少していますが、これから更なる削減が必要と考えています

業界内の競争率が高く、生産性の低さを指摘される中、高い利益率を追求し続け、従業員の待遇面を改善してこられたということは、これまでの取り組みと従業員のおかげであると考えています。

従業員が働きやすい環境づくりを整えることによって従業員の成長を後押しできるよう、引き続き改善を進めてまいります。

大好きな飲食業での仕事を全うし、人生の成功者になろう

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––それでは最後に、今後の目標や展望についてお伺いします。まず、短期的にはどのような目標をお持ちでしょうか。

斉田氏:短期的目標としては、既存店の完成度をさらに高めながら、価格帯やジャンルの異なる新業態の開発や開拓をしていきたいと考えています。

と言いますのも、料理の世界にいる人というのは都度方向性を変えながら働いていく人が多いのです。例えば最初は料理の深みを追及していたのが、ある時を境にカジュアルなレストランの仕組み作りが楽しくなる料理人がいたりする。そうした時、これまではやりたい方向に向かって仕事ができる他の職場へ転職することが多かったでしょう。

しかし、社内に色んな業態があれば、成長に応じた社内転職ができますよね。そうした環境を整えていくことで、従業員が自身の成長を楽しみながら、長く働ける会社にしていきます。ライフスタイルの変化や出産などのライフイベントによって転職を考えなければならなかった人にも、このような環境をぜひ活用いただきたい。
 
––売上のためだけではなく、社員の成長の受け皿として業態を広げていくのですね。

斉田:従業員にとっては社内転職で気分転換にもなりますし、同じ理念、同じ待遇のもとでの転職なので負担も少なく済むでしょう。会社としても、新しい人材を採用する事なく育ててきた人が活躍してくれた方が断然良い。会社も社員も互いにプラスになるのです。

––続いて、その先にある長期的目標についてもお聞かせください。

斉田:長期的目標としては、「好きな事を仕事にして、そして人生の成功者になる会社」になることを掲げています。具体的には、まず“ホスピタリティ”を軸として、日本を代表するおもてなしブランドになりたいですね。

その過程では、“おもてなし(ホスピタリティ)”という軸を持ちながら、海外への進出をはじめ、ホテル、旅行、観光等のその他業界も見据えていますし、カジュアルな業態からハイレベルなサービスが要求されるものまで、幅広く事業やブランドを展開してきたいと考えています。

––こうした短期・長期の構想の中では、東証マザーズ上場、そして東証一部上場を果たすという目標をお持ちであると伺いました。

斉田氏:はい。企業も、経営者も、社員も、厳しい環境で磨かれないと成長できないという想いがあるので、会社を永続的に成長させるために上場は必要なことだと思っています。

企業としてもプロにならなくてはと強く思いますので、東証一部上場し、パブリック企業になりたい。そして、日本中世界中の優秀な人財が集まる“働きたい企業No.1”になりたいですね。
 
––独自の価値観や教育制度をお持ちの御社が“働きたい企業No.1”になることができたら、日本で働く人たちの感覚が大きくアップデートされていきそうですね。

斉田氏:ええ。当社をよりメジャーにすることで、当社ならではの取り組みを国内に広く発信していきたいという風にも考えています。

この取り組みの根底にあるのは、私自身が体感したドイツ型の労働文化。私が実際に見たドイツ型の労働文化と日本の労働文化を比べてみると、年間の労働日数、労働時間が日本人よりも少ないのにもかかわらず、ドイツ人の方が生産性が高いことに気づきました。その上、日本よりも長期休暇が取りやすい環境でもある。それを目の当たりにし、当時は驚きました。

ただ、それはドイツの人々が就業時間中の集中力を高く保っていたり、徹底して業務の効率化を図っていたりすることで実現しているもの。高い理想を基に、規律を伴った仕組みづくりが必要不可欠なのです。とはいえ、こうした仕組みがあれば、ドイツ以外の国でもバランスのとれた労働文化を培うことはできると考えています。

ゆくゆくは私が自分の目で見て共感を覚えたこのドイツ型の労働文化から吸収できる部分を日本に根付かせ、仕事と私生活のバランスが取れた新たな日本の労働文化を実現したい。私自身の目標の1つです。
 
––短い時間でしたが、斉田社長の飲食業界で働く人たちへの想いを強く感じさせていただきました。最後に、この記事を読んでくださっている方々へメッセージがありましたらお願いします。

斉田氏:残念ながら、日本の飲食業界の生産性の低さは冒頭で触れた通りですが、労働環境の改善の余地を示す現状が他にもあります。

厚生労働省発表の『平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況』を見ると、宿泊・飲食サービス業のカテゴリーの賃金がもっとも低いことがわかりますね。金融業や保険業と見比べると、その差は一目瞭然です。

そのような中にあっても、“ラックバッググループは違う”と認められる企業になりたいですね。大好きな飲食業界を選んだ若者が、大好きな仕事を一生全うできる。成長し続け、成功できる。そのような会社を作ることが私たちの責任です。


最後になりますが、先ほども申し上げた通り、飲食業界ほどお客様の評価をダイレクトにいただける業界はありません。

この幸せな業界で、料理やお店作りなどクリエイティブな仕事に挑戦し、成功したいと本気でお考えの方は、ぜひラックバッググループの仲間になっていただきたい。

▼参照
『平成 29 年賃金構造基本統計調査の概況

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▼株式会社ラックバッググループ採用ページはこちら。

執筆:佐久間
編集・校正=山崎

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