おもいで株式会社

奥野 和弘

未来の自分や家族に届けるメッセージ『OMOIDE』

開封率はメルマガの約3倍!その秘密は送り主にあった
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今回のインタビューは、おもいで株式会社代表取締役CEOの奥野和弘氏に、同社だけが提供している未来にメッセージを届けるサービス『OMOIDE』に寄せる想いやサービス誕生の経緯などをお聞きしました。

おもいで株式会社 代表取締役CEO 奥野 和弘氏のONLY STORY


【経歴】

大阪府羽曳野市出身。神戸大学大学院自然科学研究科(現 理学研究科) 修了。日本HP、SAPジャパン、日本オラクルなどの外資系ITベンダーでプリセールスやコンサルタントとして活躍。

SAPジャパン在籍時に一般社団法人コード・フォー・ジャパンと共同で、企業人材を地方自治体に派遣し、地域課題や行政課題の解決への取り組みを通して共創人材としての成長を促すアクティブラーニング型研修「地域フィールドラボ」の開発に従事。

その際に、多くのベンチャー企業家と出会ったことがきっかけとなり、2017年に自身もおもいで株式会社を創業。現在は大手コンサルティングファームでクライアントのデジタルトランスフォーメーションやデジタル新規事業開発を支援する傍らで、CEOとして未来にメッセージを届けるアプリ OMOIDE を提供している(https://www.omoide.life)。

QRコードを読むだけの簡単操作


––おもいで株式会社の事業内容からお伺いします。

奥野氏:弊社は未来に想いを届けるメッセージアプリ『OMOIDE』の開発・提供をしています。元々は2019年にBtoCサービスとしてリリースしたものですが、2021年にマーケティングに活用できる機能を搭載したため、この度個人と法人の両者に利用していただけるサービスへと進化しました。

スマホで使える非常にシンプルなアプリなので、若い人はもちろん、幅広い年齢層に利用されています。

––ありがとうございます。BtoCとBtoBではそれぞれどのような利用方法があるのか教えていただけますか。

奥野氏:はい、まずBtoCの利用では、1年後や10年後など指定された日時にユーザーが書いたのメッセージや画像などを自身やその家族、友人に届けることができます。

ユーザーの声からすると、学生であれば社会人になった来年の自分、社会人であれば仕事で悩んでしまいそうな数年先の自分、そのほかにも付き合い始めたころの想いを残しておこうと記念日にメッセージと写真が届くように設定しているカップルもいるようです。


また、年配の方の場合は「自分が亡くなった後に生前に書き溜めておいた想いを配偶者や子どもたちに届けたいから」といった理由で利用される方が多いです。

『OMOIDE』に類似したものとして、自分に何かあった時のために親しい人へ届ける手紙を預かってくれるサービスがあるのですが、それらは亡くなったタイミングで届けるのに対し、『OMOIDE』は書きためておいたものをユーザーが決めたタイミングで少しずつ届けることができるんですね。

そのため、もらう側は「次はいつ届くかな」という楽しみがあり、渡す側も自分が忘れられたら寂しいなという気持ちだけでなく、「あれが届いたらびっくりするかな」という楽しみも感じてもらえるので、未来に対してポジティブな気持ちが湧いてくるのが特徴です。

––続いてBtoBではどのような使い方をされるのか教えてください。

奥野氏:BtoBでは、広告付きのメッセージとして利用できます。

まず観光地や景勝地、レストランなどのBtoC企業にスポンサーになってもらい、続いて弊社がQRコードを提供し、これをユーザーがアプリで読み取ることで、その場所にまつわる思い出の写真や企業からのメッセージ、クーポンなどが届く仕組みです。

企業から届くメールのほとんどは不要なメールと見られてしまい、開封率は25%に届かないというデータがあるんですね。一方でOMOIDEは過去の自分からのメッセージであるため。開封率は80%以上もあるんです。これはかなり有効な広告手段と言えますよね。


例えば記念日にレストランを利用した夫婦にQRコードを読んでいただき、その11か月後にはその時の写真と「御利用ありがとうございました。今年もスペシャルコースとクーポンを御用意します、ぜひ来てください。」といったメッセージを届ける、といった使い方ができます。

他には、結婚式場で幹事が配ったQRコードを出席者に読み込んでもらい、新郎新婦あてにメッセージや撮影した写真を送るという使い方ができます。これの面白いところは、結婚式が終わった直後ではなく、何日何年か経ったころに、お祝いのメッセージが届くところです。メッセージが届いたら、忙しい結婚生活を送る中で忘れてしまった式を挙げたあの日の気持ちがきっと呼び起こされるはずですよ。

きっかけは祖母との別れ


––奥野様が『OMOIDE』を思いついたきっかけを教えてください。

奥野氏:私は22歳の時に肺がんで祖母を亡くしています。祖母が亡くなった後、祖母のことをほとんど知らないことに気がつき、母や叔母に「おばあちゃんって若い頃どんな人だったの?」と聞いてみたのですが、2人も全然知らなかったんです。びっくりしたんですが、考えてみれば私も、叔母だけでなく両親の若い頃のことを知らないと気がつきました。

そして「自分が死んだ後も、同じように身近な人に覚えててもらえないのか」と思うと、無性に寂しい気持ちになりました。その人が生きてきた経験や記憶を残したいと思ったのが、このサービスが生まれた1つのきっかけです。

ー亡くなってしまったら、身近な人でもその人のことを知る術がなくなってしまうということを体感したことが開発に至った理由なんですね。

奥野氏:そうです、また事故現場に駆け付けた救急救命士の話もこのサービスを作る上での方針になりました。

自分が助からないと悟った人は3種類の反応を示すそうなんです。自分の人生に価値があったことを確認したくなる、もっと家族のために生きるべきだったと謝りたくなる、誰でもいいから自分を覚えておいてほしいと願う、この3つです。

この3つ目の反応を聞いた時、私が祖母のことを知りたいと思ったのと同じぐらい、祖母も自分のことをもっと伝えたかったのではないかと思ったんですね。そのようなサービスを探したのですがまだ無かったため、「自分で作ればいいのでは」と思い、そこから家族や自分の想いを日記のような形で残せるサービスを考えつきました。

––BtoB向けの機能が生まれた背景も教えてください。

奥野氏:ある日、1年前に宿泊したことのあるホテルから「昨年のご利用ありがとうございました」と葉書が届いたんです。もし、これが1年前に自分で書いたメッセージだったら、うれしいし捨てるはずもないと思い、これがヒントになりました。

私たちのサービスは、企業にスポンサーになってもらうためエンドユーザーはお金を払うことはありません。過去の自分からメッセージが届くのはなんとも言えない嬉しい体験なのでいろいろな人に試してもらいたいですね。

未来に希望を持てる人を増やしたい


––将来の事業展望をお聞かせください。

奥野氏:やりたいことはたくさんあります。

BtoBで言えば人の集まる場所、例えば学校の文化祭での設置を計画しています。そのQRコードと同窓会のサイトを連携することで、学生時代の思い出のひとコマが同窓会サイトへ次々に投稿されます。そうすれば年次にかかわりなくコミュニケーションが生まれると思うんです。LINEがコミュニケーションツールとして当たり前の存在になりましたが、『OMOIDE』も早くそんなポジションになりたいと願っています。

その手始めとして今年中に、国内の動物園やホテルなど15か所にQRコードを設置してもらって一斉にリリースすることを目論んでいます。ゆくゆくは、世界中の観光地に『OMOIDE』のQRコードを設置して、世界中の人たちに利用してもらいたいですね。「世界のOMOIDE」になることが目標ではありますが、それよりも未来にメッセージを送るという習慣を作った会社になりたいです。

––日常で未来にメッセージを送ることはそうありませんよね。それは確かに新しい習慣ですね。

奥野氏:そうですよね。実は、アメリカのとある研究で、未来志向になるとポジティブになって且つパフォーマンスを最大限に発揮できるという結果が出ているんですね。未来を想像できる人は、未来に希望を持てる人なんです。この事業を通じてそんな人が増え、この考えが広がっていくことを目指しています。

またスパムや迷惑メールでも明らかなように、ITの進歩は必ずしも幸福をもたらしません。しかし弊社はITで人の幸福に寄与しようという想いから活動しているため、メンバー全員が生計を支える本業を別に持っています。だからこそ、コスト度外視で高セキュリティ、最新テクノロジーを駆使した、幸福をもたらすサービスを作ることができたと自負しているんです。

––最後に、読者へのメッセージをお願いします。

奥野氏:弊社のサービスはとてもシンプルですが、そのシンプルさが多くの事業との親和性を持っています。『OMOIDE』に興味を持たれ、新たな体験を提供したいという企業さまとの出会いをお待ちしています。

執筆=増田
校正=笠原

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