TANREN株式会社
佐藤勝彦
POSTED | 2015.09.29 Tue |
---|
TAGS | 従業員数:5人以下 業種:IT・情報通信業 創立:9〜10年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
---|
宮本武蔵の名言「鍛錬」が現世によみがえる
営業ロープレをクラウドでパフォーマンス評価Topics
TANREN株式会社 社長 佐藤 勝彦氏のONLY STORY
研修をアナログからデジタルへ転換したワケ
TANREN株式会社は店舗販売員の接客力向上や、法人営業パーソンのプレゼン力向上などを目的にした営業ロールプレイング(以下、営業ロープレ)をクラウド上で行える、パフォーマンス評価アプリを提供している。
従来の研修室に多人数を集めて講師が行う研修を効率化。スマホなどの端末で接客/営業ロープレを動画撮影し、スキル向上の答えを見つけてフィードバックする。佐藤勝彦社長に、研修をアナログからデジタルに転換した理由を聞いた。
「お客さんのニーズが多様化する中で、ニーズに対応できるトークをしなければなりません。1個覚えて1個返すのではなく、これとこれを組み合わせて応える必要があるのです。だからこそ、業界が研修というものに対して非常に興味・関心を持っている、というのが現状です。」
既存の情報端末の学習の限界を超え、幅広い対応が可能な研修とはなにか。
「eラーニング(端末などの情報技術を用いた学習)では知識だけが増えて、人と人との会話が面白くありません。例えば、情熱で商品を売る営業マンもいます。eラーニングで限界があるということが、アナログ営業マンのハウツーにあるだろうなあ、と考えたのです。いつでも、どこでも可視化と共有ができるツールは、動画で見られる方が教育研修ではよりスマートに進むと考えたのが我々の商品です。赤ペン先生(学習の通信添削)のような仕組みで、動画で撮って送って動画で返すのです。」
研修のデジタル化は効率的に、かつ個々の課題にも対応できるのが利点だ。北海道から沖縄まで日時や場所を選ばず対応できるのも、進化したクラウドの真価でもある。
ITの先端を走っても、根底は「五輪書」の教え
江戸時代初期の剣豪・宮本武蔵がしたためた「五輪書」にはこんな一節がある。『千日(3年)の稽古をもって鍛とし、万日(30年)の稽古をもって錬とす』。鍛錬の語源になったといわれる。
「個を強靭(きょうじん)にし、粘り強くすることが我々のサービスに込めた思いです。(今も社外監査役を務めておりますが)私は株式会社テソロ(http://www.tesoro.co.jp )という携帯のセールス支援を行っている会社の創業メンバーでもあります。そこで見てきた、現場で活躍する人財とは、最低3年間は基礎となる部分の練習などをただ実直に誠実に実行し、努力を怠らない人でした。わかりやすい例でいくと、メジャーリーガーイチロー選手は野球人生が始まってから、素振りを一日たりとも欠かさないと聞きます。彼のPRO生活は既に24年目、その”技芸”はいよいよ完成の域に達する事でしょう。私は現場で四苦八苦しながらも30年後の自分の理想像を描き、昨日の自分を少しでも超えようとする人財に対して、少しでも効率化が図れる仕組みを作りたい、そう考えたのです。TANREN(鍛錬)という会社名は、そのような背景から我々の社名になりました。」
そう言う佐藤社長も新社会人の時は、『鍛錬する事』にアレルギー反応を起こしていた、という。
「元々は感覚に頼って仕事をする人間でしたし、嫌な事からほぼすべて適当な理由をつけて逃げてました。ですが転機は子供ができた、25歳のときでした。逃げ腰であったら、何も通じないというトラウマはあって、そこから逃げなかったです。それから一つ一つコツコツと遠回りだけど、やってきたおかげで良い形で仕事ができています。25歳から鍛錬をしてきたからです。」
佐藤社長の思考回路はときにアナログの発想も取り入れ、発展という化学反応を起こした。
教育というテーマは頂上がない
研修による教育には終わりがないからこそ、新たなビジネスが生まれる。
「飲食、アパレル、生保などいろいろなところからお客さんが入ってきます。可視化された各業界のデータの波形を見ることができれば、『(教育を)やらせてください』という業者が出てきます。僕らはマッチングという形ですね。強化した会社は、さらに研修で強化ポイントを見つけるでしょう。教育というテーマは、どんなに頑張っても頂上がないのです。頑張り続けていけば、深度がどんどん深くなる。僕らは深度の深いデータを取れるかが勝負になります」
深度の深いディープデータこそ、業界の貴重な財産になる。頂上にも、海溝にも限界がないのだ。
行動予測を解析する最先端の世界観を
今後は、客の導線や嗜好などを細かくセンサリングし、接客や販売につなげるシステムを生み出す。
「次に見えてくるのが、ビッグデータビジネスをしているセンサリングの会社です。例えばiPhoneを売っている店の中で、センサリング技術により判明する30代女性がメイン通りを歩いてきて
→iPhone棚にたどり着いた
→iPhoneを手にとって20分超悩んだ
→別棚の他社携帯を触るも3分で置いた
→またiPhoneの棚に戻ってきて、再度iPhoneを触った
→その瞬間!
TANREN上のデータから【最も30代女性のアプローチが上手く、iPhoneの販売に長けてるスタッフA君】の接客タブレットに接客対応の指示を自動で出す。
確立統計論上、もっとも成約率が高い結果を生み出すことでしょう。このように裏付け根拠に、センサリング技術や僕らのTANRENデータは抜群の相性を示すと考えます。
マネジメント改革がデータの解析で間違いなく変わるのが2020年。東京オリンピックの年に外国人が大挙して来日する中で、日本の携帯ショップはとんでもなく最先端だといわれる世界観が実現するかもしれません。」
最後に、若者へのメッセージを頂いた。
「近道は鍛錬である。なので、遠いようで長いような道のりもコツコツと。うざいと思ったり、体育会系であると思われるようなところが、実は人生で近道だったりします。そうでなかったら、会社を立ち上げて表現したりはしませんからね。」
編集後記
「鍛錬」という、簡単な言葉だけど自分も含めて多くの人がなかなかできないこと。それをしっかりと
こなしている佐藤社長だからこそ、一つ一つコツコツやることの大切さが説得力をもって伝わってきました。
また、アナログのいい部分とデジタルのいい部分をしっかりと組み合わせている点が、現代における新しいものを生み出していて感銘を受けました。