株式会社メンバーズ

剣持 忠

4社上場、4社倒産から考える本当の成功・リスクとは

起業やベンチャー就職に一歩踏み出せない20代へ
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ベンチャー稲門会特別企画インタビュー【第4弾】では、株式会社メンバーズ代表取締役社長を務める傍ら、ベンチャー稲門会にも携わっておられる剣持 忠様にお話を伺います。

これまでに過去5年間で4社の上場支援を経験し、自身が創業した株式会社メンバーズも2017年4月に東京証券取引所市場第一部指定を受けている剣持様は、「いつかは、上場を…。」と目標を掲げる若手起業家、起業家を志す若者にとって注目の人物。

今回は、「目標達成への考え方」や「起業におけるリスクとは?」などについて、“20代の視点”から剣持様にお話を伺いました。


<目次>
1. 「今、20代が聞きたいこと!」
  目標達成にこだわり続けたストイック時代を超えて…

  逆境、苦難を乗り越えられる自信を
2. 「今、20代へ伝えたいメッセージ!」
  4社の上場、4社の倒産を見て導き出した法則
3. 「ベンチャー稲門会について」
  切磋琢磨し合える同志や仲間との出会いを

株式会社メンバーズ 代表取締役社長 剣持 忠氏のONLYSTORY


1965年生まれ。早稲田大学卒業後、日本合同ファイナンス(現・ジャフコ)入社。投資第一部にて国内ベンチャー企業の投資育成に従事。5年間で10社のベンチャー企業に投資し4社の株式上場を支援。1995年6月メンバーズ設立、代表取締役社長に就任。2006年11月、名古屋証券取引所セントレックス市場上場。2016年4月東京証券取引所市場第二部上場。2017年4月東京証券取引所市場第一部指定。2017年6月公益社団法人 日本ニュービジネス協議会連合会 副会長就任。
現在、「起業家精神が最も旺盛な大学を創る」をミッションに掲げるベンチャー稲門会にも携わっている。

目標達成にこだわり続けたストイック時代を超えて…

––本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございます。
本章では、20代の若手起業家や起業家を志す学生、若手社会人から募らせていただいた質問をもとに「今、20代が聞きたいこと!」について伺います。
2章では、起業を考えている、もしくはベンチャー企業で成長したいと考えているが一歩踏み出せずにいる20代の若者たちへ、剣持様からメッセージを頂ければと思っております。
最後に、剣持様が携わっておられる『ベンチャー稲門会』のお話もお聞きしたいと思います。
剣持氏:よろしくお願いします。
––早速ですが、「今、20代が剣持様に聞きたいこと!」からお話を伺ってまいります。
経営者プラットフォームを運営する当社に寄せられた声のうち、多く挙げられた質問から伺ってまいります。
まず、合計5社の上場に関わってこられた剣持様に対して、その目標達成力と目標達成までのマネジメント力に関する関心が寄せられています。1つ目の質問がこちらです。
「高い目標を達成するために心がけておられる習慣はありますか?」
剣持氏:質問をくださっている方々の期待に沿わない答えになるかもしれませんが、そもそも私は「目標は必達ではない」という考え方です。

一般的には、大きな目標を小さな行動までブレイクダウンし、それを遂行することで必ず目標は達成を目指すものだという考え方をお持ちの人が多いように感じます。一方で、僕は目標を達成できたか、達成できなかったかよりも、その目標を見据えて日々努めるプロセスの方がより大切だと思っているんです。

例えば、売上目標200億円に対して結果が100億円だったA社。総理大臣になるという目標設定をしたけれど結果的には市長になったBさん。どちらも目標を達成できていませんが、それでもいいんです。A社が100億円分の大きな価値を生み出したことは事実ですし、Bさんが市長として市政を整えることができたら市民は喜んでくださるわけじゃないですか。
––目標達成自体よりも、それまでのプロセスが大切。誠に勝手ながら、何度も上場に関わる中で常に高い目標を追い続け、達成し続けてこられたのではないかと思っていたのですが、以前から現在のような考え方なのでしょうか。
剣持氏:いやいや。こうして話している僕も、実は「目標は必達すべきものだ」と思っていたかなりストイックな時期がありました。しかし、そのやり方を10年間続けても結果が出ず、会社が潰れてしまいそうなところまでいってしまったんです。シンプルに「(目標設定→ストイックに達成を目指す)このやり方は僕には合わないんだな」と思い、ふっ切れましたね。

そこを機に、考え方も大きく変わりました。

––具体的には、どのような変化がありましたか?

剣持氏:ストイックに目標を追っていた時期は、スティーブ・ジョブズ氏が語った「今日命がなくなるとしても後悔のない人生にしよう」という言葉が理解できませんでした。なぜなら、当時の僕は1ヶ月、半年、1年後…の目標のためのその日を過ごしていたので、その日自体を充実させようという考えは持っていなかったし、理解ができなかったんです。

その後、それまで目標達成を軸に頑張ってきたにもかかわらず会社が倒産の危機に直面した時を境に、「今を楽しく生きよう」と考え方が変わりました。

「今が辛くても、耐えて乗り越えれば天国が待ってるはず」という考え方からスティーブ・ジョブズ氏も語っていた今、この瞬間を大切に生きる考え方に変わったのは、私にとって大きな変化でしたね。

逆境、苦難を乗り越えられる自信を


––創業からこれまで、そのような考え方の変化があったのですね。

お話のなかで、「会社が倒産の危機に直面した時…」という事がありましたが、今まさに逆境に立ち向かい、乗り越えようとしている方々からはこのような質問がありました。

「逆境に直面した際、どのようなことを意識されていますか?」
「苦難を乗り越えることができる人材に感じる共通点はありますか?」

剣持氏:厳しい場面を乗り越えるために欠かせないのは「自信」だと思っています。

例えばまだストイックな姿勢だった前職時代には、起業家の事業が事業計画通りに進まないと責めていました。「どうするんですか?すぐにリカバリープランを考えてください。」と。しかし、それでうまくいってない事業がうまく行き始めるわけじゃない。

今思えば、新しい事業を開発しようと頑張っている起業家に対して言うことじゃないですよね(苦笑)最初に立てた計画通りに事業がうまくいったら、そんな楽な話ないですよ。

一方で、仕事を離れて一緒に飲んで「◯◯さんなら、大丈夫。頑張りましょうよ。」と話をすると、それまでうつむきがちだった起業家の顔が上がり始め、事業も上向き始めるという場面を見てきました。

実は、私自身も同じような経験があります。

––詳しくお聞きしてもよろしいですか?

剣持氏:これまでに一度、当社の社長を降りようかなと思ったことがあったんです。ある日、当時の監査役の方に、「もう自信がなくなったので社長を降りようと思います。」と話しました。すると、「いやいや、剣持さんがやるべきです。」って言うわけです。「自分は社長としての力がない」と言うと、こんな意外な言葉が返ってきました。

「だって、剣持さん、性格がいいじゃないですか。」

––性格、ですか…?!笑

剣持氏:そう、性格がいいからって言うんです(笑)

能力が…とかリーダーシップが…とかではなく、シンプルに性格がいいから、と。その時、自分の変えられない部分を正当化してもらったことで気持ちを切り替え、自信を取り戻すことができ、またもうひと頑張りしようと思えたんです。

先ほどいただいた質問に僕がお答えするとすれば、苦難や逆境を乗り越えるためには自信が必要なんだと思います。もっと言えば、自信を持つことに加えて、 「自信を持たせてくれる仲間をつくること」も大切でしょう。
––ある起業家は剣持さんの言葉に自信を取り戻し、剣持さんもまたある人の言葉に自信を取り戻した。2つのエピソードからも、まさに自信を持つことと仲間の存在の大切さが伝わってきますね。

加えて、この自信というのは経営をしていく上で人を巻き込んでいく際にも欠かせないもののように感じます。

剣持氏:ご用意いただいた質問のなかに、「人を巻き込んでいける人材になるためには、どのような心がけや経験が必要なのでしょうか。」という質問もありましたね。ちょうど、その質問にも僕なりの考えでお答えできればと思います。

僕自身は人を巻き込むのがうまいとは思っていないんですが、経営上意識していることが3つあるのでお伝えします。


まず1つ目は、想いを持つこと。なぜ、それを達成したいのか。部下に対して、どんなことを想っているのか。という想いです。それらを真剣に考え、行動していると“想い”が伝播し、自然とそのチームや組織は成長します。一方で、チームや組織を率いるリーダーが自分のマネジメントスキルや評価を上げることだけを考えていると、それがまた伝播し、いいチームや組織は作れない。
2つ目が、ファクトを可視化させること。大きな目標を設定するだけでは、人のモチベーションは維持できません。目標に近づいている、前に進んでいるという達成感をチームや組織全体に感じさせることが大切なんです。そのため、一つひとつの成果をはじめとした様々なファクトを全体に対して可視化させる必要がある。
そして、3つ目が一人ひとりにミッションを持たせること。人は、当事者意識を持てる領域を抱えるようになると積極的に関わってくれるようになりますからね。

例えば当社にもミッションとして明文化しているものがありますが、これは社員全員で作ったんです。

200〜300名程度だったでしょうか。当時の社員全員に参加してもらう形で、1年かけて作りました。また、全部署の代表者が集ってメンバーズをより良い会社にするために必要な事を協議する「メンバーズウェイ協議会」というのも当社にはあります。これは、僕からトップダウンで作ろうと言ったわけではなく、社員からやろうと声が上がったもの。彼らから声が上がるのを、僕は20年待ちました(笑)

それだけ一人ひとりが当事者意識を持って会社に参画してもらう事は重要だと思っていて、そのためには一人ひとりにミッションや役割が必要なのではないかと思っています。

4社の上場、4社の倒産を見て導き出した法則


––ここからは、「起業したい」「ベンチャーに就職して成長したい」と思いつつも一歩踏み出せない20代の若者へのメッセージやアドバイスをお伺いできればと思っております。剣持様は、起業における失敗やリスクについてはどのようにお考えでしょうか?
剣持氏:そうですね。そのような方がいるのであれば、僕が前職時代から通して起業家を見てきて感じた「成功する起業家に共通する事」と「起業における失敗やリスク」についてお話ができたらと思います。

まずは前者からお話すると、前職時代に僕は4社の上場に関わらせていただいたのですが、一方で4社の倒産も目の当たりにしました。そのなかで、僕なりに考えたんです。成功する人に共通している事って何があるんだろう、と。

そこで気づいたのは、「社会の役に立とうと追求し続ける会社」は成功するという事。非常にシンプルでした。一方で、社長自身が自分の生活を豊かにするため、もしくは自身の生活を優先して考えている会社はそれなりの規模でとどまる。

逆に、失敗する会社、どこかで大きく躓いてしまう会社の共通点もありましたね。どこか自己中心的なところがあったりズルをしているような部分があったりするという事。倒産する会社を見ていると、こうした要素がそれぞれの会社にあったように思います。

––成功する会社と失敗する会社の共通点。それぞれ、非常にシンプルですね。そう考えると、起業におけるリスクとは一体…。

剣持氏:そうですね。「起業したい」「ベンチャーに就職して成長したい」と思いつつも一歩踏み出せない方がいると伺いましたが、みなさんは起業における失敗やリスクについてどのように考えているのでしょうか。僕は、よくよく考えれば失敗もリスクも存在しないと思っているんです。

例えば、ベーシックインカムってご存知ですか?ある実験によると、月に15万円支給したところ起業率が上がったそうです。という事は、多くの人が感じているリスクって月に15万円程度のものであるという事です。そう考えるなら、月に15万円を稼ぐ手段はたくさんあるじゃないですか。コンビニでアルバイトしてもいいし、住み込みで季節労働に汗を流すでもいい。

––そこまで考えると、一歩踏み出せない人がリスクと思っていたものは先入観や思い込みが作り出した想像に過ぎなかったのかもしれません。

しかしながら、なかには自身の決意は固くても周りのネガティブな反応が気にかかってしまう人が少なくないかと思います。剣持様も、そのようなご経験はありますか?

剣持氏:もちろん、僕もこれまでにいろんな人に会ってきましたよ。そうしたなかで思ったのは、人脈は作るよりも捨てる事の方が大切だという事。

ネガティブな発言をする人と会う回数が多いと、せっかく自信をつけて決意を固めたとしても揺らぎ始めてしまうじゃないですか。逆に、ポジティブな発言をする人と一緒に過ごしていると自分の発言が変わってくるし、視座が自分よりも高い人と一緒にいると自分の視座も上がってくるでしょう。

ポジティブな考えや青臭い発言よりネガティブな発言をした方が賛同を得られるこの風潮の中だからこそ、自分にとって良い人脈を作る事は起業家にとって非常に重要だと思いますね。

切磋琢磨し合える同志や仲間との出会いを


––起業家にとって良い人脈を作る点でいうと、剣持様が携わっておられるベンチャー稲門会は非常にいい機会と言えますね。
剣持氏:そうですね。早稲田卒の経営者には、個性的で素晴らしい実績を持たれている方がたくさんいます。視野が広く、目線の高い方と意見交換できるというのは価値のあることだと思いますね。志や将来の目標を共有できる同志や仲間との出会いもあるでしょう。
––剣持様も、起業当初は同志や仲間のような方と交流を持っていたのですか?
剣持氏:それぞれ業界や経歴は異なりますが、相談しあったり将来の話をしたりしていた仲間がいます。

今でこそその当時のメンバーはそれぞれ会社を上場させていますが、なぜそこまで成長できたのかといえば、やはり前向きで、刺激を与え合える人間が集まることで互いに切磋琢磨していたからだと思います。

若手起業家や起業を志す方々には、ぜひこうした機会に切磋琢磨し合える同志を見つけ、起業家として活躍していって欲しいですね。

––剣持様、 本日は貴重なお話をありがとうございました!

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