「中小企業庁に聞いた、日本の創業・起業の実態」

起業に踏み切れない人へ「半歩踏みだす勇気」
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中小企業庁×オンリーストーリー

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今回、中小企業庁創業・新事業促進課(※)の古川雄一氏・高橋真寿美氏の2名と、自分自身も起業しながら、社長取材サイトを運営している株式会社オンリーストーリー代表の平野哲也が対談した。
マクロな視点を持つ中小企業庁と、ミクロな視点から約1000人の社長を取材・掲載してきた平野が、日本の起業事情について対談した。

※中小企業庁創業・新事業促進課( http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/index.html )
日本の創業・起業を考えている方や、ベンチャー企業の円滑な事業活動を
資金調達や情報提供等で支援している。

起業を遠ざける2種類のリスク

平野:今回は貴重な機会を頂き誠にありがとうございます。

早速ですが、今回『起業したいが一歩を踏み出せない人向けの記事ということで、自分の周りで起業をしたいが一歩を踏み出せない人に話を聞いてみたのですが、その中でも一歩踏み出せない理由として「リスク」が気になるという意見が一番多くありました。

古川:「起業に失敗して全てを失ってしまったら…」
そう考えて、起業をためらってしまう人はやはり多いですよね。実際に中小企業白書でも下記のようなデータがでています。(図1参照)。


図1 起業に対するイメージ


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(出典:2017年版中小企業白書 第2部 中小企業のライフサイクルより)   


『リスクが高い、『取得・収入が不安定という声が多いことからも、お金に対してリスクを考える人が多いことが伺えます。

起業して失敗したときのリスクと聞くと、「借金を抱えて生きていけない」というようなイメージを持つ方も多いかと思います。ですが最近ではその実態は少し変わってきました。例えば、以前と比べれば起業支援のための補助金や助成金が充実していますし、自己資金や家族・知人からの借り入れだけで起業するケースも多いです。

平野:起業は必ずしも、失敗したら何もかもを失うようなことでは無いということですね。確かに私も創業補助金をはじめとして、様々な補助金・助成金を活用させて頂いたことで、金銭面でのリスクに対する不安が軽減されました。


ただ私の周りにいる起業志望の人は、そのような金銭面でのリスクだけでなく、精神面でのリスクで悩んでいるケースが多い印象を受けます。

例えば出る杭が打たれやすい文化性から、何か失敗した際に叩かれて炎上して信頼を失ってしまうリスク、廃業したら敗者というレッテルを貼られてしまうリスクなど、一度失敗してしまうと再起が難しいと認識している方が多いのかもしれません。
 
古川:確かにリスクと言っても物理的・金銭的なリスクだけでなく、精神的なリスクも大きいですね。特に両親など周囲の人の反対を押し切って起業した場合等は尚更ですね。
 

平野:お恥ずかしながら、私も起業を決意した時は友人や先輩に反対・説得されると思ったので、打ち明けることが中々できませんでした。反対する人に無理に説明・説得する労力、いわゆる説明・説得コストを考えると、誰にも話さないで決断し、後から結果で肯定するしかないのではないかと思ってしまったりして。

その時に、周囲の人に応援されるか、されないかの差はすごく大きいなと感じました。もちろんそういったことが関係なく起業できてしまう人もいるかと思うのですが、私のようなビビりなタイプの人間の場合は、起業する際に障壁だなと感じてしまいましたね。


古川: 実際、両親など周囲の人の反対によって起業を断念するケースはよく聞きます。2017年中小企業白書 によると、過去に起業を諦めたことのある方の半数以上が、「相談相手がいなかった」と回答をしています。一方で、諦めずに起業まで至った方は家族・友人などに相談をできている割合が大きいです(図2参照)


図2 起業家・起業関心者の相談相手の状況

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(出典:2017年版中小企業白書 第2部 中小企業のライフサイクルより)


このことからも、周りからの応援がどれだけ重要かということがわかるかと思います。私たちとしても、起業したい人や起業した人が孤独にならない環境・文化を作ることが重要であると考えています。

そのために、起業家の周りにいる人が、起業したい人に対して応援したり、それが難しい時は尊重したりすることが、起業がキャリアの選択肢の一つとなるために大切だと思います。
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尊敬型の起業家と、共感型の起業家

平野:起業が選択肢の一つとなるために、今足りないのは、身近な起業家のロールモデルではないかなと、色々な社長様のお話をお伺いする中で思うようになりました。

というのも、起業家のロールモデルといっても2種類あるのかなと思っていまして。1つ目は孫正義さんのように憧れを集める尊敬型のロールモデルです。そのような起業家はメディアでも取り上げられるケースが多いので、有名ですよね。実際、孫さんのようになりたいと願って起業する人は多くいると思います。

ですが一方で、起業するかどうか迷っている人がそのようなロールモデルを見た時に「自分にはできないのではないか」と思ってしまうみたいなんですね。

そのうえで、2つ目のロールモデルとして、身近にいる起業家という意味で、“共感型のロールモデル”が必要なのかなと思っています。例えば父親が経営者だったり、先輩や同期が起業したりなどですね。「父親みたいな生き方もありかもな、あの人にできたなら俺にもできるかも」と思えるような存在がいることは大きな支えになるかなと思います。

高橋そうですね、起業家の方にお話を伺うと、子供の頃から、家族や身近な知人の中に起業家がいたという割合が高いです。実際にデータとして2017年中小企業白書でも、起業をしたいと考えている人が起業に関心を持った元々のきっかけは「周囲の起業家・経営者からの影響」が最も多くなっています(図3参照)。 

そしてその起業準備者が具体的な起業に踏み切った理由としても、「起業について、家族の理解・協力が得られた」が最も多くなっています。(図4参照)。

これらのことからも、周囲のロールモデルの存在がどれだけ重要かわかりますよね。

図3 起業希望者・起業準備者が、元々起業に関心を持ったきっかけ

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図4 起業準備者が具体的な起業に踏み切った理由

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(出典:2017年版中小企業白書 第2部 中小企業のライフサイクルより)


平野:親フィルター、嫁フィルターなどとよく言いますが、そのパワーはやはり大きいのですね。笑

古川:そうですね、日本人の国民性を考えると、起業を身近に感じてもらうことの意味は大きくて、そういった意味でも平野さんがおっしゃるような「共感型の起業家」の存在は大切だと、私たちも思います。

そうした起業家は世の中には沢山いますが、多くの皆さんにとって出会ったり話したりする機会は多くありません。中小企業庁としても、起業を身近に感じてもらうための取組みを応援しています。

平野:例えば、どのような施策があるのですか?

古川:大きく2つを考えています。1つ目は起業家教育です。今年は高校生を対象に、先輩起業家を教室に呼んで起業経験談を語ってもらったり、起業の一連の流れを体験してもらうプログラムを実施する予定です。2つ目は兼業・副業の普及です。兼業・副業が広まれば、今働いている会社を辞めずに、一定の収入基盤を持ったまま起業するという選択肢も生まれます。そのため、起業に向けた心理的ハードルが下がると考えています。

現時点で、兼業・副業を認めている企業はまだまだ少ないですが、厚生労働省のモデル就業規則(※)の改正により、兼業・副業をしやすい社会になることを私たちとしても期待しています。

高橋:起業の在り方は、人それぞれです。専業で経営を行う人もいれば、兼業として経営を行う人もいます。就職活動をしないで起業する人も、一度企業に就職してから起業する人もいます。それぞれの人の話を聞くことで、起業にも様々な形があることを知っていただけるかと思います。

またそれこそ、オンリーストーリーさんのような社長インタビュー記事を通して、先輩経営者の記事を読むことも、起業をより身近に感じるための良い方法の1つだなと思いますね。

※労働基準法により、10人以上の従業員を擁する経営者に対して提出が義務付けられている就業規則の参考例

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起業に踏み切れない人へ「半歩踏みだす勇気」

平野:ありがとうございます。これまで起業のリスクや実態についてお話をしてきましたが、最後に、起業したいが一歩踏み出せないでいる人に向けてメッセージをお伺いできればと思います。

古川:繰り返しになりますが、急成長を目指していくだけではなく、目の前の資金をコツコツと稼いで積み上げていく起業もあります。一口に起業と言っても様々な形の起業があり、その中から自分にあったものを見つけることが重要だと考えています。

いきなり一歩を踏み出すリスクが怖いという方は、まずは小さな規模から始めて「半歩を踏み出す」起業という選択肢もあるということを知っていただければと思います。

その上でそれでも不安な方やより詳しい情報を知りたい方は、全国の市町村に起業相談窓口が1300か所ほどあるので、ぜひ最寄りの相談窓口にご相談ください。

本日はありがとうございました。

平野:お話勉強になりました。本日は本当にありがとうございました。
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お問い合わせ先


中小企業庁 創業・新事業促進課


2017年版「中小企業白書」全文


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