ボーダレスハウス株式会社
李成一
POSTED | 2019.09.25 Wed |
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TAGS | 従業員数:31〜50人 業種:建築・不動産 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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国際交流シェアハウスで多文化共生社会を目指す
外国人が安心して暮らせる住まいとコミュニティづくりTopics
今回のインタビューは、国際交流シェアハウス「BORDERLESS HOUSE(ボーダレスハウス)」を運営するボーダレスハウス株式会社の李氏にお話を伺います。文化やルーツをお互いに認め合う多文化共生社会を目指す李氏にシェアハウスに込める想いやこれからのビジョンについて語っていただきました。
ボーダレスハウス株式会社 社長 李成一氏のONLY STORY
【経歴】
2004年㈱ミスミ(東証一部上場)に入社。マーケティングから商品開発、営業、ファイナンスなど事業活動に必要な一連の経営スキルマスター後、2011年㈱ボーダレス・ジャパン入社。国際交流をテーマとした多国籍シェアハウス事業の代表として、東京関西を中心に展開し、2013年ソウル、2015年台北で同事業を立ち上げ。現在国内77棟、海外43棟 計120棟を運営中。
国際交流に特化したシェアハウス
–まずは、ボーダレスハウス株式会社の事業内容をお聞かせください。
李氏:弊社は、外国人と日本人が一緒に暮らす国際交流型のシェアハウス「BORDERLESS HOUSE(ボーダレスハウス)」を運営しています。日本に留学に来ている「外国人」と、外国に関心のある「日本人」が大体8~10人、多いところでは20人ほど集まり、1つ屋根の下で共同生活をしながら国際交流ができる住環境を提供しています。
–ありがとうございます。続いて他のシェアハウスにはないボーダレスハウスの強みや差別化ポイントについて教えてください。
李氏:やはり国際交流に特化したシェアハウスという点ですね。そのポイントとしては2つあり、1つが国籍の比率、もう1つが国際交流を目的としたコンテンツの運営です。
1つ目に関して言いますと、ボーダレスハウスは、東京と関西で77棟、韓国と台湾も全て合わせると120棟を展開していますが、それぞれ外国人と日本人の比率が半分ずつになるようキープしているんです。
そのため外国人の入居者にとっても、日本人入居者にとっても「外国人の友達が欲しい」「英語を上達させたい」といった本来の目的が達成できる環境になっています。
2つ目のコンテンツに関しては例をあげると、世界の料理を食べながら国際交流ができるイベントや入居者同士で深い交流ができるイベントなど様々な企画を行っています。
–実際にイベントに参加された方からはどのような感想をいただきますか。
李氏:色々な国の人や、他のハウスに入居されている人たちとのつながりができることが一番喜ばれますね。日本で外国人の方を見かけることがあっても仲良くなる機会は多くはありませんので、イベントを通じて多様な人と出会い、お互いの価値観を共有して、異文化の理解を育むことができるのはボーダレスハウスならではの特徴ですね。
–事業に対して一番大切にしていることは何ですか。
李氏:ボーダレスハウス内のコミュニティの質はサービスの質に直結しますので、そこを最も重視しています。私はその質というのは、私たちが「このルールに従ってください」と伝えて後から作るようなものではなく、集まる人たちがもともと持っている特性や個性だと考えています。
そこを見極めるために入居者の審査には力を入れていますね。例えば外国の方はホームページから申し込みをして、その後来日されるので、事前にオンラインツールを使用し1時間ほどコミュニケ―ションを取るようにしています。そこではその方のルーツや経歴を尋ねたり、交流意欲があるか、ルールは守れるかなどを確認し、その上で入居していただきます。
1万通りのストーリーのきっかけに
–なぜシェアハウス事業を始められたのでしょうか。
李氏:現在のシェアハウス事業を始めた理由は2つあります。
1つは日本に来た外国人が、外国人という理由だけで家を借りられないという問題があること。もう1つが日本語を学びに来ている留学生が日本人となかなか接点を持つことができないということ。
その2つを同時に解決するために、2008年に国籍や人種、宗教など様々なバックグラウンドを持った外国人と日本人との深い交流が生まれるようなシェアハウス事業を始めました。
–事業を起ち上げて行く中で、一番苦労をされたのはどんな時ですか。
李氏:2011年の東日本大震災の時ですね。日本に住んでいた外国人の大半が帰国し、ボーダレスハウスの稼働率が大幅にダウンしてしまったのです。しかし、国際交流のコンセプトは崩さずに維持し、集客に注力していったため経営の危機を乗り越えることができました。
–反対に事業を運営する中で一番嬉しいと感じた時はどんな時ですか。
李氏:たくさんありますが1つ例をあげると、元々日本に興味のなかったある韓国人が韓国にある弊社のシェアハウスに住んで日本のことを知り、日本を好きになって留学をしに来てくれたことです。
このように、シェアハウスは家を提供しているだけでなく、人生の価値観が変わるきっかけを提供している。これまで10年の間にシェアハウスを卒業された方は1万人を越えていますので、言い換えれば1万通り以上のそれぞれのストーリーを作っている。そこに嬉しさややりがいを感じますね。
お互いを認め尊敬し合える多文化共生社会
–今後のビジョンを教えてください。
李氏:日本はこれからますます外国人の雇用が増え、外国人の方が定住されるのが当たり前の時代になっていくと思います。だからこそ私たちはお互いの文化やルーツを認め、尊敬し合える多文化共生の地域社会を実現していきたいと考えています。
そのためには、特定の国や宗教に対して無知無関心から生まれる「偏見意識」や、異文化に対する「閉鎖的な意識」を変えて、直接的な人と人との関り方をしていくことが最も大切だと考えています。
特に来日したばかりの外国人の方たちは会社以外にコミュニティがありませんので、コミュニティ付きの住居や地域との交流接点のある住居は社会的に必要になってくるはずです。そのモデルケースとして私たちの名前が上がるように、ここ数年の目標としては日本全国にシェアハウスの物件数を増やしていきたいと考えています。
–ありがとうございます。では最後に、読者の方にメッセージをお願いいたします。
李氏:私たちは外国人の方がもっと訪れやすく、もっと働きやすい日本社会を目指しています。
外国人の方を積極的に採用し、多文化共生社会を担っていきたいとお考えの企業様におかれましては、外国人の住まい提供とコミュニティづくりのサポートをさせていただきたいと思います。
経営者様以外の読者様に向けては、国際交流を通じて、この世の中には学校を卒業し、就職をするだけではない様々な価値観があるということを知ってもらいたいですね。
執筆=山田
校正=笠原