株式会社一宝
懸谷正人
POSTED | 2019.01.24 Thu |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:卸売業・小売業 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoC |
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ハンマーを持ってブライダルリングを手作りする感動
職人とお客様のマッチングでジュエリーに更なる価値をTopics
株式会社一宝 取締役社長 懸谷正人氏のONLY STORY
今回は、北海道と東京を拠点とし、ジュエリーの小売や買い取りを行なう株式会社一宝の懸谷氏にお話を伺います。ジュエリーが持つ価値と可能性について、懸谷氏にお聞きします。
材料の提供からリングの手作りまで
−まずは株式会社一宝が手がけている事業について、お聞かせください。
懸谷氏:弊社ではジュエリーを主な商材として扱っており、そこから商品の卸や小売、加工体験などを展開しています。なので、個人向けと法人向けのどちらのサービスもあるかたちになりますね。
法人向けではジュエリーメーカーに対して、金、プラチナ、シルバー、パラジウム、それからダイヤモンドなどの材料を提供しています。
ダイヤモンドについては、メーカーや企業のご要望にお応えできる数を取り揃えています。サイズや色から宝石を仕分けするアソーターを駐在させ、すべてのダイヤのアソートを行い、業者さんに合わせたご用意をさせていただいてます。
個人向けのBtoCについては、結婚指輪などのブライダルがメインですね。ですが、ただ売るのではなく、カップルが自分たちで指輪を作るという体験を提供しています。
そのほかに、ジュエリーの買い取りも行っています。ジュエリーに特化しているので、買い取り価格はかなり高く設定させていただいてますね。また、自社で職人も抱えているので、ジュエリーの修理やリフォームもできる体制が整っています。
ジュエリーを買いたいひと、売りたいひと、直したい人、作りたい人。さまざまな人のニーズにも対応できるサービスを提供しています。
−業界の中では、どのような差別化を図っていますか。
懸谷氏:やはり自分たちで指輪づくりが体験できるということは大きな特徴だと思いますね。最初はただの素材だったものが自分たちの手でジュエリーになっていく。この感動は、なかなかほかでは味わえないものだと思います。
−実際にはどういった手順で作られるのでしょうか。
懸谷氏:指輪を作る場合、まず板状の金属をペンチを使ってそれを丸めるところから始まります。丸めても、隙間ができてしまう部分があるので、そこに地金を流し込んで形を作っていきます。ハンマーで形を整えるので、ボコボコになっているものをリューターという機械でだんだん削っていき、最終的にはよく目にするような綺麗な指輪にしていくのです。
若い方だけではなく、50台のご夫婦や、お子さん3人など、さまざまなお客様に来ていただいています。手作りするので、その分価格も控えめになっているというのもお客様にご好評いただいているの点のひとつですね。
また、弊社は職人を抱えているのですが、店舗の一部をガラス張りにして職人が仕事をするさまが見られるようになっています。何においても、商品を使う人がその過程が見ることが難しくなってきていると思うので、そういったところもきちんとお見せできることも私たちの強みだと思いますね。
その上、お客様は職人と直接話すことができます。そうすると、お客様の持っている細かなニュアンスを汲み取って、それを形にしたり直したりすることができるので、イメージと実際に出来上がる商品のズレや漏れもなくなっていくのです。
−事業に対して、一番重要視していること、大切にしていることを教えてください。
懸谷氏:価値のあるものを提供するということです。
一度思っていたような価値がないな、と思ってしまうと、もうジュエリーなんて買わなくなってしまいますよね。そうならないように、ものに宿る価値をきちんと感じられるような商品を提供しています。
お客様に寄り添った提案をするために起業
−現在の事業を立ち上げるに至った経緯を教えてください。
懸谷氏:もともと、北海道の大手ジュエリー会社に勤めていて、そこで2・3年営業としてお客様に商品をお届けしていました。いいお客様に恵まれて、売上もあがっていったのですが、だんだんと「このお客様にもっといいジュエリーを」「もっと安く提供したい」という想いが強くなっていきました。
その一方で、役職がついて、部下もついて、と組織の中でポジションが上がってマネジメントの比重が増えていくことで、むしろお客様との時間が取れなくなっていました。
そこで、ひとりひとりのお客様にもっと寄り添った提案をするために、起業することを決めました。
−起業してからの思い出深いエピソードはありますか。
懸谷氏:印象的だったのは、色々な方に誘っていただき夕食を5回食べたことですね。というのも、私はお客様にはとても恵まれていて、お客様の方からなにかしていただくことも多いんです。
あるお客様のところにお伺いしたら「若いから食べていないんでしょう」といって、夕食を出していただきました。それで次のお客様のところに行ったら、また用意してくれている。その繰り返しで、結局4軒で夕食をいただいたことがありました。ちなみに自宅でも夕食が用意されていたので、それも食べたので、合計5回というわけです。
こう言うと笑い話なのですが、そんな風にアットホームに迎えていただけることは、本当に嬉しかった、いい思い出ですね。
職人やデザイナーを通じて、お客様に感動を
−今後の展望について教えてください。
懸谷氏:まずは売り上げを伸ばすことを目標にしています。前期の売り上げが13億円弱で、今期が30億円程度になる見込みです。なので、3年以内に60億円の売り上げを目指そうと思っています。スタッフはあまり増やさずに、経費をかけずに取引先に還元できるような、小さな会社を目指していきたいですね。
長期的なビジョンとしては、海外展開をしていきたいと考えています。現在は香港が中心なのですが、これを足がかりにさまざまな国にアプローチしていくことを想定しています。
−最後に読者にメッセージをお願いいたします。
懸谷氏:ジュエリーの販売を長年手がけてきましたが、ブライダル指輪の手作りを扱うようになって、体験や感動の素晴らしさを実感しました。
特に職人やデザイナーは、なかなか日の目を浴びないところがあります。そういった人たちをお客様とマッチングしていくことで、新しい体験や感動を作っていけたら、と思っています。
執筆=スケルトンワークス
校正=笠原