橋本 真季

今回は、ナチュラル・オーガニック商品の製造から販売までを行う、株式会社ALHAMBRAの代表取締役・橋本氏にお話を伺いました。

まずは、橋本氏が「循環」をテーマに展開する事業内容からお聞きしましょう。

株式会社ALHAMBRAは、一言でいうと日本の健康美容の総合商社です。総合商社とは、ある一定の対象について川上から川下まで一貫して事業を行うもので、具体的に私たちに当てはめると、国内で健康と美容に良い食品・化粧品・雑貨を製造し、販売しています。

製造の過程にもとことんこだわり、まず畑で薬草や漢方を育て、収穫した後に専門の機関で研究や試験を重ね、原料から製品を作り、販売します。そして販売後にもう一度検証して、また畑に戻るという一巡です。

このサイクルを循環させるためにもっとも重要なのが、畑に向かう前に、グランドマーケティングをすることです。どんな人に、どんなものを、どのような形で使えていくのかというマーケティングを最初にきっちりと行う。

そこから、原料の栽培、製品作り、販売、検証、プロモーションを含め、もう一度改めてブランディングを行う。この循環をずっと作っています。

循環というのは、株式会社ALHAMBRAのひとつのキーワードで、事業の内容はもちろん、過去から未来へ繋げていくという時間の循環や、自然環境の循環も含めて大事にしながら健康と美容のためのモノ作りから販売、販促まで行っています。

この事業を選んだ理由は、オーガニックナチュラルという文化そのものを日本に持ち込みたいと思ったからです。今でこそテレビでもオーガニックという言葉をたびたび耳にするようになりましたが、その当時はまだ日本ではほとんど輸入されていなかったんです。

私自身、それまでオーガニックナチュラルにあまり馴染みがなかったのですが、知れば知るほどその魅力に引き込まれていきました。

ある企業からの依頼でプライベートブランドを作ることになり、最初はオーガニックの本場であるイタリアやフランスで作っていたのですが、2011年の震災を経験して、日本という国を改めて見つめ直し、日本で健康と美容に良いものを作りたいと思うようになりました。

さまざまな場所に自分の足で趣いて、人と出会って、民間療法や伝統食、植物療法、自然療法の知識を身につけ、奈良を拠点に、全国に国内の素晴らしいものを発信しています。

私は奈良県の出身で、奈良で生まれ育ちました。奈良と言えば鹿と大仏ですが、それ以外にもたくさん素晴らしいものがあります。奈良発祥のものって非常に多いんです。今の医療や薬学、福祉に至るまで、実は遡ると奈良に源流を求めることができます。

私は株式会社ALHAMBRAで美容と健康にまつわる事業を展開していますが、医療や薬学、漢方、香りの発祥が奈良であることを大人になるまで知りませんでした。それまでは、地元のことは、田舎だという理由であまり好きではなかったんです。

東京に出てきてこの仕事を立ち上げるまでは伊藤忠商事のブランドマーケティング部にいたのですが、やはり東京に出たいと思って関西から上京しました。

商社にいたので世界中のいろいろなオーガニックコスメやオーガニックフードや、雑貨や食品を見てきたのですが、最終的に立ち返ったのは、自分の地元である奈良だったんです。

自分の地元に素晴らしい歴史と文化があるということを誇りに感じ、今は奈良県産のものを使い、地元の企業や学校と提携しています。いわゆる産官学連携して、一緒に漢方を育てたり、原料や製品を作っているんです。

そして奈良で作ったものを、東京に持ってきて販売しています。

古い歌に「現在過去未来」というものがあって、私よりもっと上の世代の人たちは時間をその順番で言うのだと教わりました。

私もその順番が大切だと思っていて、今の世の中のために、私に何ができるのかと考えなければならない。現代の社会の中で、みんなが疲れていたり、病んでいる状況を打開するために、私は過去の知恵を用いています。

過去に帰ると、そこには奈良時代から大切にされていた文化や知恵があります。そもそも漢方の世界は、いろいろな人がいろいろなことを試して、それを口伝で残したり、古い書物に書き記したりして、現在まで伝わっています。

その歴史を、現在の技術で再度研究・検証することで、今生きている人たちの心や体を癒やし、未来を健やかに生きる方法を生み出すことができるんです。

やはりこれは循環の話で、過去の知恵を現代から未来へ繋げていくことに関わっています。この方法を循環させて環境や人を守っていきたい。

そのために、今後も事業を拡大して、国内でも海外でも株式会社ALHAMBRAの商品を手にとってもらえるようにしていきたいと思います。