株式会社宇佐美ゴム工業商会

宇佐美 滋雅

人は必ず輝ける。そこに宇佐美ゴムがある限り。

ワンマンだった3代目が、全社員を失って得た気付きとは。
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株式会社宇佐美ゴム工業商会 社長 宇佐美 滋雅氏のONLY STORY

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見下されることへの嫌悪で見失ったもの。


“人に見下されたくない”
小学校の頃に理不尽ないじめを受けた時、そのような想いが私の胸に強く刻まれました。
たとえば、御上と平民、重役と平社員、年上と年下というような格差ってありますよね。
相手に下に見られると、「こいつならいじめても良い」と思われてしまう。
最終的に、恩師のおかげでいじめはなくなりましたが、この頃から「人に見下されること」への嫌悪感が強くなっていきます。
その嫌悪感は父に対しても抱いていました。
父は宇佐美ゴムの2代目でしたが、接待とゴルフばかりしていて、家族に迷惑ばかりかけているように見えていたんです。
周囲から下に見られている親父が腹立たしくて、正直憎んでいたほどでした。

「俺は下に見られるような会社は選ばない!せっかく早稲田に進学したのだから、一流のところで一旗揚げる!」

当時の私は、そう本気で思っていた。
2004年に会社を継ぐことになった時も、本当はイヤで仕方なかったんです。
ただ、31歳で血気だけはあったから「俺がすべてを変えてやる」とか「ゆくゆくは上場するんだ」とか大きな事ばかりを考えていました。社員にも「売上げを3倍にして会社を大きくしよう!」と伝えていましたね。
私はもともと体育会系だったので、昼夜関係なく仕事をして、仕事先の人と飲んだしビジネスホテルからオフィスに直行するなんてこともざらでした。

「僕のやり方でやれば、利益が上がって社員へのリターンが増える。それが皆にとっても幸せでしょ?」

そんな風に思っていた当時の自分を振り返ると、思い上がっていたしかなり大事な部分で間違っていたと思います。
人にはそれぞれ志があり、その高さには違いもある。それを無視して自分の目標を押し付けても、反動が起こるだけで意味がなかった。本当は、社員それぞれの志をすくい取って一緒に進んで行かなければならなかったんです。
結果的に社員が全員辞めてしまって、ようやく自分の間違いに気付くことができました。

今は、社員と話し、彼らのバックボーンや思いを汲み取ることを大切にしています。
誰にもその人なりの歴史があって、ストーリーがある。小学校の時に私をいじめたあの子にも、格好悪く見えていた親父にも、それぞれのストーリーがあったんだと今は思える。

親父は、2011年にガンで他界しましたが、もし今生きていたら一緒に酒を飲みたいんですよね。思い上がって、親父を嫌って、酒の誘いも断って来た。

それが、本当に心残りです。

“下請け” からの脱却。


祖父が設立した宇佐美ゴムは、元々はゴム問屋でしたので、当初はゴムや樹脂、金属などの素材販売をしていました。父の代からゴム製品やプラスチック製品の加工品販売を始め、現在はそれが中心事業になっています。

商品を低価格で提供できるので、コストダウンの依頼も多いのですが、我々が重きを置いているのは、この分野におけるコンサルティングなんです。

私たちは、図面に書かれていることだけをそのまま受け取って作ることはしません。図面を見た上で、どこを改善すればコスト削減につながるのか、お客様が本当にして欲しいことは何かを考えて提案させていただきます。

このことは、プロとしてゆるぎない自信と誇りを持って行っていることなので、たとえお客様がどれだけの大企業であっても変わらない。

いわゆる下請けとしてではなく、対等な立場で、お客様にとっての真の価値を一番に考え、「安さ」だけではない「何か」を提案できることが私たちの仕事の本質ですからね。

また、値切ることが目的の案件も、こちらからお断りするようにしています。そういった案件は、一時的な売上げにはなるかもしれません。しかし、ものづくりの楽しさや誇り、社員の誇りまでも奪ってしまう気がするんです。

例えば、社員がひとつの案件を持って来たときにも、なぜその案件をやりたいのか、金儲け以外にコミットしたい理由があるのかと、突き詰めて考えてもらいます。答えを迷わず言えた案件と言うのは、大概上手く行くものです。

中小企業であることを理由に、自分を下に置く働き方はしてほしくないし、下請けや値引きばかりでは、いつの間にか本人が卑屈になってしまいますから。

ものづくりを通じて、自分の居場所と出番を作ってほしい。そして、どんな人にもそのチャンスは必ずある。

私は、本気でそう信じています。

ものづくりを通して、全ての人に輝きを。


今後のビジョンは、「ものづくりを通して、その人なりの居場所と出番を作る」ことです。

そのために、現在は、「安全安心分野」「コンサルティング分野」「自社ブランドの創造」という3つの分野の強化を進めています。

特に自社ブランドは、他に替えがきかないオンリーワンのものになりますから、社員たちに「宇佐美ゴムブランド」をどんどん生み出してもらいたいと思っています。

今は、バンドをやっていたとか、世界を旅して来た経験があるとか、実学に関係ないものを排除してしまう社会的な傾向がある。でも、私はむしろそういう人こそ面白いと思うし、必要だと思っています。

なぜなら、彼らが培って来た出会いや経験は、必ず新しい“ワクワク”を生み出してくれますから。そういう人たちのプラットフォームを作っていきたいのです。

一方で、その若者たちはというと、人から提供される限られた情報の中でしか物事を判断しませんよね。だから、「大企業だから」「中小だから」と序列を作って生きてしまう。でも、大企業だから面白い事ができるかというと、今はもう違う。

自分が本当に面白いものを生みだせる所はどこか。そこで、自分は10年後どうありたいか。

会社と自分の距離感についてしっかり考えて欲しいし、リスクやエラーを恐れるよりも、挑戦できるワクワクを楽しんで欲しい。

私たちも、そんな会社を作って行きたいと思っています。そこから、自然とビジョンの達成につながっていくはずですから。

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