株式会社アメディア
望月優
POSTED | 2016.10.11 Tue |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:卸売業・小売業 創立:15年以上 決裁者の年齢:60代 商材:BtoB |
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世界から障がい者をなくす。それが人生の目標。
視力ゼロというハンデに技術力で立ち向かう社長の決意とは。Topics
株式会社アメディア 社長 望月 優氏のONLY STORY
技術でハンデは解消できる。
「コンピューターは、障がい者のハンデを解消するカギになる」。
1983年頃、麗澤高等学校の非常勤の英語教師をしていた私は、配布された会議の資料を手にして、そう確信しました。ずっとガリ版刷りだった資料が、コンピューターのプリント印刷になった。この技術の進化は、目の見えない私にとって非常に大きなものでしたね。
コンピューターさえあれば、視覚障害者の2大不自由のひとつである。
「読み書きの不自由」が、解消できるんじゃないか。
そんな思いに突き動かされて高等学校を退職し、埼玉県所沢市にある国立職業リハビリテーションセンターに通い、1年間コンピュータープログラミングを勉強しました。
卒業後の進路として就職も考えたのですが、「視覚障害者に便利な情報を活かす会社を経営したい」という思いも強く、株式会社アメディアを設立するに至ったのです。
ニーズに答える情報を提供する。
アメディアでは、お客様のニーズに合った良い商品を世界中から探し出し、提供することを目標に業務を行っています。主に取り扱っているのが、障がい者の日常で使う便利な電子機器です。
たとえば、約40種類の色を判別できる「虹色リーダー」は、服や靴下の色を区別するのに便利なアイテムです。光の色を読み上げる機能もあり、部屋の電気がついているかどうかも確認することができます。
「骨伝導ヘッドホン耳フリー」も、非常に便利ですね。
私たちは、パソコンの音声を聞きながら仕事をしているのですが、ヘッドフォンで耳を塞いでしまうと、周囲の音声が聞こえなくなってしまうんです。骨伝導ヘッドフォンの場合は頬骨からの電動で音を聞きますから、耳を塞ぐことなく、パソコンの音声を聞くことができるんですよ。
この他にも、触読式腕時計や電子ルーペ、文字認識拡大読書器、点字プリンタ、点字ディスプレイなど、たくさんの商品を世界中から集めて販売しています。
お客様のニーズにお答えできる商品が世界にない場合は、自社開発も行います。
文字認識拡大読書機「よむべえスマイル」は、スキャンした印刷物を自動で音声で読み上げてくれる商品なのですが、2003年の発売以来、累計出荷台数8000台。
現在も売り上げの約4割を占める柱の商品へと成長してくれました。
課題もあります。わが社の商品は、世界から日本へという一方通行になっており、これを双方向に展開するための取り組みが必要だと考えています。
また、弊社の客層は99.5%が視覚障害関連。企業の展望を考えると、聴覚向けとシニア向けの商品ランイアップを充実させ、客層を拡大することが必要です。
現在取り組みを進めていますが、どちらも簡単なことではありませんので、長いスパンでじっくりと取り組んで行くつもりです。
これだけの情報化社会になっても、良い商品があることを知らない人は多いので、外国製・日本製関係なく、お客様のニーズにぴったりあったものを探して、情報をちゃんと伝えることは、非常に価値のあることだと思いますね。
世界から、障がい者をなくしたい。
私の人生の目的は、この広い世界から障害者を完全になくすこと。
「障がい者を完全になくす」、というのはどういうことかと言うと、「自分を障がい者だと思っている人をゼロにする」ということなんです。
私たちのビジネスの目的は、見えない目を治すことではありません。
目が見えない状態でも便利に暮らしていける状況を作るために、世界中からニーズに合う商品を集め、販売し続けているのです。
物理的な障害というのは、社会が発展し、技術が進化して行けば行く程、障害を障害と感じなくなっていくはず。となれば、最後に残るのは、「私は障がい者である」という、本人の思い込みだと私は思います。
確かに私は目が見えません。でも、自分のことを障がい者だとは思っていない。
これは、パラリンピックに出場しているアスリートの皆さんも同じだと思います。
だから上を向けるし、強く居られているのだと思います。
今後重要になるのは、物理的・テクニカルな部分への取り組みだけでなく、教育及びメンタルヘルスの分野に取り組む事だと思います。
私がこの世から去っても、このビジョンを引き継いで活動し続けられる組織体を作ること。
それが私の最終目標であり、アメディアは、その最有力候補の組織だと言えますね。